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【連載第38回】 気になる海外ゲームをピックアップ


西尾ゆきの海外ゲームレポート

スパイ映画をまるごとゲームにしたかのような
女スパイの活躍を描くアクションゲーム
「No One Lives Forever 2」

 「No One Lives Forever 2」は、60年代風のサイケデリックなファッションに身を包んだ女スパイ、ケイト・アーチャーを主人公にすえたアクションゲームだ。前作に引き続きスパイ組織UNITYの一員として、犯罪組織H.A.R.Mの野望を打ち砕くため、さらなる作戦に参加する。時には武器で、時にはスパイガジェットで敵を翻弄し、数々の計画をつぶしていく。グラフィック、音楽、ゲーム性、共に優れた今年一押しのアクションゲームである。

美貌の女スパイ、ケイト・アーチャー

 「No One Lives Forever 2(以下NOLF2)」は、キュートでスタイリッシュな女スパイ、ケイト・アーチャーを主人公にした3Dスパイ・アクションゲームだ。数々のスパイガジェットや武器を使いこなしながらミッションをクリアしていき、ストーリーを進めていくタイプのアクションゲームである。FPSばりに敵を倒したり、もしくは見つからないようにスニークアクションをこなしたりしながら、敵対する勢力の野望を砕かなくてはならない。

 主人公であるケイト・アーチャーはスパイ組織UNITYに所属する実力と美貌を備えた女スパイだ。前作、「No One Lives Forever」での働きを認められ、今回は第三次世界大戦を引き起こしかねない計画を防ぐため、またもや犯罪組織H.A.R.M.と対決することになる。様々な土地で命を狙われながらも、敵を倒し、基地に潜入したり、秘密の書類や密会の証拠を手に入れるなどしていくのだが、ゲーム開始直後の日本ステージに始まって、ゲームが進むごとに他の地域へと舞台が移っていき、まさに世界を股にかける秘密エージェントとして活躍していく。

 敵を倒す時は銃器のほかにスタンガンやボウガンなども使い、いかに敵を集めないようにするかに腐心しながら任務を進めていく。もし何も考えずに突っ込んでいけば、一度に大勢の敵と戦ったり、倒れた死体を見つけた敵が、警鐘やアラームなどで仲間を呼んでしまうからだ。時にコインを投げておびき出したり、もしくはボウガンで静かに殺したりしながら、敵地に潜入していく。

 バラエティに富んだ任務を遂行しながら、当意即妙の工夫と、体当たりなアクションで敵を倒していく。「NOLF2」は、そんなスパイ人生を味わえるミッションクリア型のアクションゲームである。

主人公ケイト・アーチャーは元泥棒だったが、身軽さを買われてスパイに転身。今ではUNITY随一の女スパイに 新たな強敵の出現! ケイトの暗殺を命令される女忍者のイサコ 敵地に潜入し、時には戦闘を時にはスパイ行為を行っていく

楽しいスパイガジェットとドキドキのゲーム展開

 ケイトの持ち物には戦闘用の武器のほか、スパイ行為を働くために様々なガジェットが用意されている。強力に光るキーライト、コンパクト型の暗号解読機、口紅ケースに仕込んだ携帯カメラと盛りだくさんだ。

 これらは「NOLF2」の大きな特徴となっていて、任務を遂行する際に適宜、こういったスパイガジェットを使用する必要がある。スパイガジェットはミッションが進むにつれて種類が増えたり減ったりする。最初のチャプターである日本ステージでの任務はチュートリアル要素も兼ねているため、さまざまなアイテムが登場し、ゲーム開始直後からすでにプレーヤーのわくわく感を煽ってくれる。

 それ以降のミッションでもその時のサブクリア条件によって、おお! と思うようなアイテムを使う機会がある。これらのスパイガジェットは、武器と同系列のFPS風操作でぱぱっと持ち替えられるようになっている。

スパイガジェットその1:コンパクト型暗号解読機
メモ書きされた暗号に機械を使うとみるみる間に暗号が普通の文章に直されていく

スパイガジェットその2:スパイカメラ
口紅ケースに組み込まれた、極小携帯カメラ
スパイガジェットその3:ヘアスプレー風バーナー
ヘアスプレーかと思いきやバーナー。鍵も焼ききってしまう

 一方、ケイトの冒険(というか任務)の舞台となる各ステージもかなり強烈だ。最初に登場するのは勘違い日本を狙いまくった、ジャパンステージ。板塀にトタン屋根があるかと思えば、ラーメン屋の脇にはビールケースがあるという始末で、歩いているだけでも楽しいステージとなっている。ケイトの最初の目的はこの日本ステージで情報提供者の《ハットリ》さんに会うことなのだが、その前に街中のくのいち達を倒さなくてはならない。

 最初の、ミステリアスなジャパンステージが終了すると、今度はがらりと変わって、雪が深いシベリアの地が作戦場所となる。無線通信をしたり、スノーモービルで大ジャンプしたりと、それまでのチャプターになかったようなアクションや出来事がさりげなく盛り込まれていて、早く次のチャプター、次のチャプターを遊びたいと思わせてくれた。

 また、ケイトはミッション内のオブジェクトをクリアしたりすることで経験値を得て、体力を増やしたりスニーク能力を高めたりもできる。プレーヤーの好みの行動にそったケイトに成長させられるわけだ。この辺も、じっくりやりこんでしまいそうな要素のひとつである。

言葉や漢字は間違っていないものの、どこか怪しげな日本ステージ。和菓子屋さんでハットリさんと待ち合わせる

日本の次はシベリアへ。雪の降る地域なのでケイトの衣装も変わる。また、この地ならではの乗り物も登場

魅力的なグラフィックと遊びやすいインタフェース

前作にも登場したおなじみの人物達に再び会える
得た経験値は好きなスキルに割り振って能力を伸ばす
死体をじっくりとサーチすると様々なものが手に入る
 「NOLF2」は、スパイガジェットを利用するといったアドベンチャーゲームを思わせる部分や、さくさくと敵との戦闘を進めていくFPS的部分、敵に気づかれないように行動するスニーク部分といったゲーム各所のバランスが実によくとれている。また、インタフェースやローディング画面の演出なども含めて様々な部分でプレーヤーが遊びやすいように気を使っており、ゲームの魅力が最大限に引き出されている。

 グラフィックも前作よりかなりパワーアップ。ケイト・アーチャーの動きや顔、ファッションを始め、本当にスパイ映画に出てきそうな濃いキャラクタたちの言動や、各地のゲームフィールドなどが華麗に細やかに描かれており、どのステージでも非常に臨場感のある任務を経験できる。

 例えば、今回最初の2チャプターは怪しげな日本ステージから始まるのだが、昭和風の路地になぜか琴の音が流れ、鋳物の風鈴がぶら下がっていたりする。そして襲ってくるのは、忍者村にいそうなくのいち軍団。ここまでうそ臭い設定が目白押しながらも、ケイト自身の60年代風スパイ・スタイルと、荒唐無稽なストーリー展開があいまって、非常に臨場感のある世界を作っており、しかも楽しかった。チャプターやミッションの合間にはムービーシーンが数多く挿入されて、これらもプレーヤーにゲームの雰囲気とこれからのミッション内容を的確に教えてくれる。

驚いたのは第2チャプターを終えて初めて、ゲームのオープニングが出てきたこと。チュートリアル的要素を持たせた2チャプターを終了した途端、60年代風の音楽と映像が流れ、ゲーム内に登場する人物達の名が、まるで出演俳優のように表示されていった。なんともお洒落でわくわくする演出だ。

 そのほか、「NOLF2」では、シングルプレイが難易度が4段階に分かれており、EASYであればアクションゲームが苦手な人であってもスパイ気分のそままに手軽にゲームを進めていける。一方で難易度を高くすればするほど、スニークアクションや場面に応じた的確な武器選択も求められるようになり、ハードゲーマーでもかなり満足のいくプレイを満喫できるだろう。

 映画風のオープニング、キッチュな色使いのケイト・アーチャー、そしてどこか変なのにリアリティも溢れているジャパニーズワールドや各種ステージなどなど、ゲームを盛り上げる演出がかなり贅沢だ。そして、ゲームが進めば進むほど意外な展開が待っているのも好ましい。グラフィック、音楽、ゲーム性共に満点をつけたい、エンターテインメント性に溢れた優良アクションゲームである。

 なお、サイバーフロントから「ノーワンリブスフォーエバー(完全日本語版)」の低価格版が11月7日に発売される。前作を知らない人は合わせてプレイしたい。

一度はイサコの剣に倒れるケイト。しかし彼女は無事だった 仲間を呼ばれる前にさくっと銃撃してしまう ローディング画面もこんなにキッチュ。ミッションの説明も書かれる

シベリアではスノーモービルの激しいアクションもあり ソ連兵と激しい銃撃戦。正面からいかない工夫もできる 書類をサーチすると、何か重要な手がかりが得られるかもしれない

(C) 2002 Monolith Productions, Inc. c2002 Twentieth Century Fox Film Corporation. Fox Interactive, No One Lives Forever and their respective logos are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation. Monolith and A Spy In H.A.R.M's Way are trademarks of Monolith Productions, Inc. Sierra and the Sierra logo are trademarks of Sierra Entertainment, Inc. The ratings icon is a trademark of the Interactive Digital Software Association.? Vivendi and Fox have no association with and take no responsibility for the community fan sites to which this site is linked or the content thereon.

【No One Lives Forever 2】
  • ジャンル:ジャンル:アクションアドベンチャー
  • 開発元:Fox Interactive
  • 発売元:Sierra Entertainment
  • 価格::7,000円(実売価格)
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • CPU:PentiunII 500MHz以上(Pentium III 1GHz以上を推奨)
  • メモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)


□「No One Lives Forever 2」公式ホームページ
http://nolf2.sierra.com/
□関連情報
【2002年8月27日】「No One Lives Forever 2 - A Spy In H.A.R.M.s Way」Ohio Teaser Version
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020827/demo0827.htm
【2002年9月18日】「No One Lives Forever 2 A Spy In H.A.R.M.'s Way」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020918/demo0918.htm


気になる直輸入ソフト

 10月始めにこれまでラオックスGAME館にあった海外ゲーム売り場は、店舗丸ごとの移転に伴って、旧T-ZONEミナミの建物のアソビットシティ6階へと移動した。売り場面積は以前以上に広く取られており、NOLF2のような人気作であれば、レジ近くの平台にも置かれていた。アソビットシティについてはこちらの詳細レポートを参照してもらいたい。

 というわけで最近の見かけた直輸入ソフトはなかなか盛りだくさん。待っていた人も多い、「Divine Divinity」、「Hitman2」、そして今回紹介した「NOLF2」など大物タイトルが揃っている。それ以外では警察を引退して賞金首稼ぎとなったプレーヤーが凶悪犯たちを追い詰めるアクションゲーム「10 Most Wanted(3,500円)」、ブルージーンズを身に着けた億万長者Largo Winchが危険な冒険に身を投じていくアクションゲーム「Largo Winch Empire Under Threat(5,980円)」のUK版、連綿と続くゴルフゲームの超定番シリーズ「Links 2003」、人気のテレビドラマをもとにしたアクションゲーム「Farscape:The Game(7,030円)」、などが並んでいた。また、Ever Qusetプレーヤーには大いに役立つ完全マップガイドセット「Ever Quest MAP ATLAS(3,500円)」もたくさん入荷されていた。

Divine Divinity
実売価格:4,630~6,400円 ジャンル:リゾート経営SLG Demo版

 物語性溢れる広大な世界での冒険を楽しむアクションRPG。主人公を成長させながら数多く用意されたスキルなどを習得していき、闇に侵されかかっている世界を救う旅に出る。完全日本語版は12月20日に発売予定だ。

(C) 1999,2002 Larian Studios

The Partners
実売価格:7,250円 ジャンル:シミュレーション

 箱庭系ゲームばかりを作っているフランスのMonte Cristoが開発した、「The Sims」系列と言える人間シミュレーションゲーム。公式サイトの紹介では、「アリーmyラブ」と「シム・ピープル」をまぜたような物と表現されている。シム風のアバターによる人間係シミュレーションを法律事務所を舞台に行えるゲームだ。シムズ風のソープオペラ体験という感じのようだが、Monte Crist社開発ということでゲーム的な精度はやや不安が残る。21個のミッションで構成された3つのキャンペーンモードなども用意されている。

Hitman 2: Silent Assassin
実売価格:5,980円 ジャンル:アクション Demo版

 スニークアクションものの人気作続編。一度は引退した殺し屋が、事件に巻き込まれて再び銃を手にし、悪と戦うハードボイルドタッチな、アクションゲームだ。時には射撃で、時には敵の目を欺く侵入方法で敵地にもぐりこみ悪を討つ。弾があたれば怪我をするし死にもするという緊張感溢れる中で、射撃の腕と創意工夫で難局を切り抜けていく。

Hitman 2: Silent Assassin (c) I.O Interactive A/S, 20021.Developed by IO Interactive A/S Published by Eidos Interactive Limited.

(2002年10月30日)

[Reported by 西尾ゆき]


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ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

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