経営シミュレーションゲームは、例えば遊園地経営とか動物園経営とか、一つの閉じられた世界にテーマを絞ってプレーヤーをお金儲けの世界に引き込むものが多い。ところが「Capitalism II」は、製品の製造や流通といったややこしい要素をどどーんとシミュレートしてしまっているゲームなのだ。資源の調達、それを加工しての製造、そして販売に株売買。こういった、製造業、販売業を営む上での様々な過程をゲーム上で楽しむ事ができる、スケールの大きい経営シミュレーションである。 |
■ 造って売って儲ける、そんな経営シミュレーション
「Capitalism II」は、資源を加工して製品を製造し、小売店を開いて都市の人々に自分の商品を売って儲けていく、製造と販売をモチーフにした経営シミュレーションゲームである。単純に言うと「造って売る」会社経営ゲームなのだ。プレーヤーは、自ら農場や鉱山を開いたり港から購入したりして資源を調達し、それを工場で加工して、街中に開いた小売店で販売する。そして、どんどん商品を売りさばいて利益を出し、さらに新たな製品の製造や販売網の拡大に挑んでいく事になる。資産が底をつき、破産になってしまうとゲームオーバーだ。
ゲーム内でプレーヤが製造できる製品は実に70以上も用意されており、手に入る材料をどう組み合わせるとどんな製品が造れるのかと考えるのが楽しく、それがゲームの大きなポイントになっている。様々な材料の中からの作成例を紹介すると、たとえば、製材所を建てて材木を手に入れ、それと農場で作った綿や皮などを工場で組み合わせればソファを作れる。
また、港で輸入したCPUと基板とプラスチックとでノートパソコンを作ったりもできる。もちろん、輸入せずにCPUを造る事もできるが、それにはシリカ(珪土)を採掘して、それを工場でシリコンに加工しなくてはならない。70以上あるプロダクト一つ一つに必要な材料の組み合わせが用意されているのだ。
これら、プロダクトの種類はコンピュータ、食べ物、生活用品、薬品、車、宝飾品、洋服、革製品など多岐におよび、それらを都市の人々のニーズを見極めながら製造して販売していくことになる。プロダクトを造って売って儲ける、それが「Capitalism II」である。
箱庭の雰囲気満点の都市画面。ここに小売店や工場などを設置していく | 農場で牛を飼うと、そこから肉や牛乳や革を手に入れられる | そういった材料を加工して、街の小売店で販売する |
■ 製品製造はどんなふうに進めていくのか
このゲームでやる事というのは、つきつめると“様々な製品を造って街で売る”ということになる。プレーヤーは都市マップの中に農場や工場や建てて、そこで材料を仕入れ、加工し、そして自分が街に開いた小売店でそれを売る。商品は様々で、生鮮食品を造ってもいいし、薬品や洋服、車などを造っても。製品を作るには材料と加工が必要なのは前述の通りだが、例えば“革ジャン”を造る場合、材料から自分で調達して製造すると、以下のような手順をふむことになる。
砂糖+アルミ→コーラ | 基盤+ガラス+プラスチック→電子レンジ | 染料+プラスチック+麦芽油→口紅 |
羊毛+染料→セーター | ココナッツオイル+紙+クエン酸→石鹸 | 牛乳+イチゴ+砂糖→アイスクリーム |
ボックス内には材料や製品情報が表示され、紫のバーが供給、赤いバーが需要、点線バーが在庫を示している |
工場で様々な材料を組み合わせて製造する。ボックスに余裕があれば複数の製品を一つの工場で作れる |
こういった材料の加工は、工場画面の右にある9つのボックスを好きなように組み合わせる事で自分で製造工程を作成できる。ボックスの一つをダブルクリックすると「購入」「加工」「販売」「貯蔵」といった項目を選べ、ボックスとボックスの間にあるラインをつなぐことで、製造工程が完成する。
たとえば購入ボックス(冷凍チキン)と加工ボックス(缶スープ)を繋げれば、購入ボックスから加工ボックスに材料が流れて、缶スープが続々と生産され始める。その加工ボックスを販売ボックスにつないで、ようやく店でこの工場の品を購入できるようになるのだ。こうして出来上がったものを、街の中に開いた小売店でどんどん売っていけば缶スープ販売での利益が入るようになる。一つの店には4種類までの製品が置けるほか、それらの販売に対してラジオやテレビで広告を打つことも可能だ。
ボックスをひとつひとつクリックして内容を指定するのが面倒であれば、ほとんどの商品にはボックスのテンプレートが用意されているので、それを利用すればいいし。自分が作成した製造過程も新しいテンプレートとして追加できる。
■ 完成した製品は街でどんどん販売しよう!
小売店の種類によって、お店に並べられる商品の種類も異なる |
いよいよ開店。通常のデータ画面の他に店内の様子を映すモードも用意されている |
また、当然ながらお店を開いた後は人件費などのコストがかかり、コンスタントに商品が売れなければたちまち赤字を出してしまう。また、農場などの運営費、工場へ材料を仕入れるときの費用、工場の運営費、そしてお店の運営費といった支出を上回る売上を出さないければ、あっという間に破産へと転がり落ちてしまう。
販売に関しては、ゲーム内で、さらに複雑な要素がからんでくる。というのも、造った製品が、その都市の人々に必要とされてなければ、いくら店頭に並べても売れないのだ。しかも、最初は商品に対しての需要があったとしても、過剰に商品が出回ればお客さんたちの購入数はどんどん減ってしまう。需要と供給のバランスを見極めながら出荷する必要があり、造りっぱなし売りっぱなしでは利益がでない。収支のバランスを考えなしに製造を進めると、それこそ、材料の仕入れをちょっと増やしただけでも徐々に全体のバランスが崩れて、最終的には損失が出てしまうのだ。
また、売れ行きには製品のクオリティやブランドとしての認知度なども絡み、さらにライバル会社の製品との競争も待っている。こういったことは、製品の値段を下げたり、テレビやラジオで広告をうったり、R&D(Reserch&Development)センターで、お金を出してプロダクトのクオリティを上げたり、新製品を開発したりすることなどで乗り切ることができる。
つきつめればこのゲームのポイントは“売って儲ける”と“損益はださない”の2点なのだ。収支がマイナスにならないよう、小売店の仕入れと販売のバランスに気をつけ、地道に販売基盤を広げていくのだが、そこでマイナスになるようなら即刻やり直し。かならず収入がプラスになるような行動をとらなくてはならない。収支のバランスがシビアなので、利益が出てきたときの喜びがプレイでの大きな醍醐味になっている。
ゲーム内には、こういった製品製造の他、マンションや商業ビルを建てて賃料を得ることもできるし、自社株や他社の株を売買して個人資産を増やしていく事もできる。年間収入をこれこれにしろとか、個人資産をいくらまで貯めよとか、ゲームクリアの目的はマップごとに異なるのだが、いずれにせよ、商品へのニーズを見極めてきちんと利益をだしていくというのが、ゲームの目的になっている。
街中の人が集るところに商業ビルをどどんと建設。他の会社が売りに出した建物を購入する事もできる | ブランド戦略も大事な要素。会社全体、個別の商品、または同ジャンルの商品のいずれかでイメージアップしていくかが決められる | 経済オンチは悩まされる株売買。ミッションによってはクリア条件になっていることも |
■ ゲームの進め方をマスターするまでが大変
けっこう盲点なのが生活用品の英単語。なじみのない単語も多いが、製品ごとの画像に大いに助けられる |
懇切丁寧なチュートリアルだが、チュートリアルでさえクリアが難しい |
ただ、ゲームの進行に関しては、かなりボリュームのあるチュートリアルが8シナリオあり、それを順番にクリアしていけば、ゲームシステムの基本と利益をだすコツのようなものは徐々に身についてくる。実際、チュートリアルが終わる頃には、経済用語はちんぷんかんぷんで家計簿もろくにつけられない筆者でも、なんとか利益のでる会社運営ができるようになった。
また、材料の生産から製造、小売といった一連のお店経営が上手く起動に乗って利益が出始めると、俄然、このゲームは面白くなってくる。資産が増えれば、設備投資やさらなる製品開発に取りかかれ、お金がお金を産むという気持ちよさが味わえるからだ。プロダクトや材料の表示に実写の画像が使われていて、本物のベッドや缶スープやデスクトップPCを作っている気にさせてくれるのもいい。とっつきは悪いものの、細かい部分まで自分で調整でき、経営シミュレーションとしてはとても歯応えのある内容だ。物を売り買いする“商売”の魅力を知っている人ならば、かなり楽しめるはずだ。
余談だが、アメリカ版のパッケージのマニュアルには製造のための材料組み合わせ表やどの専門店で販売できるかの一覧表が付属していて、これが中々便利だった。ヨーロッパ版パッケージのマニュアルでは割愛されていたので、でかくて邪魔な箱でもOKならアメリカ版のパッケージもお勧めだ。
(c)Ubi Soft, Inc. All rights reserved. Ubi Soft and the Ubi Soft Entertainment logo are registered trademarks of Ubi Soft, Inc. Capitalism and Enlight logo are trademarks of Enlight Software.
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■ 今週の気になる直輸入ソフト
先週は諸事情のため一回お休みをさせていただいたのだが、その間に、新入荷のソフトがたくさん並べられていた。4月26日にサイバーフロントから日本語マニュアル付き版が発売予定の「Jedi Knight II: Jedi Outcast」輸入版が一足先に棚に並べられているほか、LaOXではシリーズ作品や拡張セットを一つのパッケージにまとめたゴールドエディションもの、「EVER QUEST Gold Edition(6,000円)」や「RISK Gold Edition(4,000円)」、「MechWarrior 3 Gold Edition(4,000円)」などが並んでいた。
アドベンチャーゲームの名作MYSTシリーズを3作まとめた「MYST TRIROGY」も発売されていて、収録されている1作目のMYSTはMasterpiece版であった。一方、T-ZONE本店では、初代「Baldur's Gate」のパッケージと拡張シナリオの「Tales of The Sword Coast」が一緒にパッキングされたセット商品(5,000円)が置かれていた。その他、韓国の生首育成ゲーム「Tomak」日本語版がサンソフトから発売され、かわいらしいピンクのパッケージが平台にたくさん並べられていたのも印象的だった。
「Dark Forces」、「Jedi Knight」に続く、スターウォーズのアクションゲームの最新作が早くも登場した。主人公はシリーズでおなじみのKyle Katarnで、ライトセイバーやフォースによる各種アクションを駆使してダークフォースの脅威を食い止めなければならない。マルチプレイ対応で、ライトセイバーのみを使った対戦も楽しめる。
(c) 2002 LucasArts Entertainment Company LLC. c 2002 Lucasfilm Ltd. & TM or R as indicated.All rights reserved. Used under authorization. LucasArts, the LucasArts logo, Gold Guy and the Human Figure design logo are all registered trademarks or trademarks of Lucasfilm Ltd.
チーム戦をメインに考えた特殊部隊系FPSで、Counter Strikeに携わったBarking Dog Studiosが開発を担当している。Commando、Medic、Heavy Gunner、Sniperなどの、それぞれに役割の異なる兵士となって、敵チームと対決していく。
(c) 2002 Electronic Arts.
セガ、ヒットメーカーの「パワースマッシュ」がオリジナルの、徹底的にリアルさを追求したテニスゲーム。芝生やクレーなどのコートの種類によって選手やボールの動きまで微妙に変わるほど。プレーヤーが操作する選手としてTim HenmanやTommy Haasなどの実在選手が実名と共に登録されていて、テニス好きにはたまらない作品。LANを使ったマルチプレイにも対応している。
(C) SEGA CORPORATION, 1999, 2000 (C) SEGA / Hitmaker, 2000. All rights Reserved. Published by Empire Interactive. PC version developed by Strangelite. Empire Interactive is a registered trademark of Empire Interactive Europe Limited.
第2次世界大戦を舞台にしたリアルタイムストラテジー。米軍の指揮官となって、ノルマンディー上陸後の数々の作戦をこなしていく。シングルキャンペーンは2つあり、それぞれに12ミッションが用意されているのだが、どちらのキャンペーンにもプレーヤーの行動での選択肢が2通り用意されているため、繰り返し長く遊べる。また、マルチプレイでは最大8人での同時プレイが可能だ。
(c)CDV Software Entertainment. All rights reserved.
“ベースボール”と聞くとアクション性あふれるスポーツゲームを思い浮かべるかもしれないが、これはれっきとしたシミュレーションゲーム。いわばベースボールチームシムとでも言うべき内容で、野球場のチケット料金設定やエージェントとの契約、テレビ局との放映権の契約などをこなしながらビッグな興行成績をあげて、一流のベースボールチーム経営を目指すのだ。
(c) 2002 Infogrames, Inc. Infogrames and the Infogrames logo are trademarks or registered trademarks of Infogrames. All rights reserved. The ratings icon is a trademark of the Interactive Digital Software Association. Season Ticket Baseball 2003 c2001 Markus Heinsohn. All trademarks or registered trademarks are the property of their respective owners. Manufactured and marketed by Infogrames, N.Y., N.Y.
「Season Ticket Baseball 2003」とは違って、こちらは純粋なスポーツゲーム。米メジャーリーグを舞台に、リアルな挙動をする選手達の動きと、試合の展開にそった臨場感溢れるアナウンス&解説とを楽しみながら、手に汗握るプレイを満喫できる。
(c)2002 The 3DO Company. All rights reserved.
宇宙船の墜落により、大量の恐竜達が都市に解き放たれてしまったというおバカな設定のもと、ハンターとなって、溢れてしまった恐竜たちを撃ちまくるシューティングゲーム。素早い恐竜達の牙や爪をかいくぐりながら、公園やスラム、地下鉄や下水道などのエリアで、恐竜達を倒していかなくてはならない。マルチプレイではプレーヤーが恐竜となって対戦する事もでき、協力プレイにも対応している。
(c) 2002 Infogrames, Inc. Infogrames and the Infogrames logo are trademarks or registered trademarks of Infogrames. All rights reserved. The ratings icon is a trademark of the Interactive Digital Software Association. (C)2002 Sunstorm Interactive. All rights reserved. All trademarks or registered trademarks are the property of their respective owners. Manufactured and marketed by Infogrames, Inc., New York, N.Y.
名作シューティング「Incoming」の続編がとうとう英国で発売され、LaOXにもヨーロッパ版のパッケージが入荷されていた。「Incoming Force」は前作から20年後という設定で、エイリアンの侵略に対抗して地球を守った軍団が、今度はエイリアンの星に殴り込みをかけるというもの。派手派手なシューティングが楽しめる一作だ。
アメリカの人気プロスケーターTony Hawkをフィーチャーしたスケートボードゲーム。実在の地域をモデルにしたステージもあり、ロサンゼルスや東京などの街中でトリックを決める事ができる。今回はマルチプレイにも対応している。
(c)2002 Activision, Inc. All rights reserved. Game copyrights & trademarks are property of their respective owners Legal.
(2001年4月3日)
[Reported by 西尾ゆき]
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