先行レビュー
『ファレイドリア』の正体は、“考えている間も敵が動き続ける”ターン制RPGだった
少女たちと暮らす「黄昏館」を拠点に、日常と戦闘が地続きでつながる
2026年9月17日 10:00
- 【ファレイドリア】
- 配信未定
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ネクソンは、NEXON Games IO DIVISION RXスタジオが開発中の新作美少女ゲーム『ファレイドリア』(FAREIDOLIA)を、9月17日から幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ2026」(TGS2026)にプレイアブル出展する。対応プラットフォームはPC、モバイル、コンソール。リリース時期およびサービス地域は未定となっている。
本作は、『プロジェクトRX』の仮称で開発が進められてきたタイトルだ。『ブルーアーカイブ -Blue Archive-』を手掛けたIO DIVISION内のRXスタジオが開発を担当し、Unreal Engine 5によるハイクオリティな3Dグラフィックスで、日常とバトル、そしてキャラクターとの交流を描く。8月24日に正式タイトルが発表されて以降、断片的な情報は出ていたものの、実際のプレイ内容についてはほとんど明かされてこなかった。
そんな本作のメディア先行体験会が開催され、TGS2026で世界初公開となる試遊ビルドを一足先にプレイする機会を得た。プレイ時間はおよそ15分。短いながら、日常から浸蝕バトル、そして再び日常へと戻る本作のプレイサイクルが一通り詰め込まれた構成となっていた。
結論から書いてしまうと、本作は少女たちと暮らす家「黄昏館」を拠点に、各地で発生した異変へ赴き敵と戦うターン制RPGだ。ただしそのターン制は、プレイヤーが行動を考えている間も敵が動き続けるという、やや変わった作りになっている。そして拠点での日常パートは、単なるおまけの交流要素にとどまらない。
本稿では、この2点を中心にお伝えしていきたい。
舞台は「アニマ市」。プレイヤーは少女たちと暮らす“センター長”
まずは本作の世界観を整理しておこう。
舞台となるのは、地球と非常によく似た世界に存在する地方都市「アニマ市」。プレイヤーはメイツ対策委員会所属の公務員として、アニマ市復興センターのセンター長に赴任する。同時に、復興センターの事務所であり公務員寮でもある「黄昏館」の管理人も兼任することになる。
「黄昏館」で共に暮らすのが、魔法や魔術のような特別な力を扱う少女たち「メイツ」だ。彼女たちの能力の源は、アニマ市の大気中に存在する識別不能な粒子「オッド」。このオッドが過度に密集すると、天候や音が非現実的に変化したり、物理法則がねじれた空間が形成される「異常現象・浸蝕」が発生する。放置すればアニマ市そのものが侵されてしまうため、センター長はメイツたちと出動し、これを解決していくことになる。
プレイヤーはアニマ市で唯一の人間だが、完璧な解決役として描かれるわけではない。メイツたちの助けを借りながら困難を乗り越える、対等なパートナーとしての立ち位置だ。開発陣はこの共同生活のありようを「異世界ホームステイ」という言葉に凝縮している。見知らぬ場所にやってきて、そこに住む存在たちと同じ空間で日常を送り、繰り返される毎日のなかで互いに打ち解けていく、というわけだ。
プレイの基本サイクルは、「黄昏館」での日常 → 浸蝕への出動と探索・戦闘 → 帰宅、という流れで構成される。「一日を終えてログインしたとき、“帰りたくなる家”があるという感覚を味わえるように」というのが開発の狙いだという。今回の試遊ビルドは、まさにこのサイクルを15分に凝縮したものだった。
「スピード配達」から始まる災難。日常会話から一気に非日常へ
試遊は「黄昏館」のロビーから始まる。ミニエとオハナが交わす他愛のない日常会話を眺めていると、そこへ慌てた様子のシャミが飛び込んでくる。
事の発端は、かつて彼女たちが苦労して「箱」に封印した遺物「影蛇」だという。
この「箱」を2階の倉庫まで運んでもらおうと「適材適所人材事務所」に配送を依頼したところ、スピード配達を頼んだせいか、配達員が2階の窓めがけて箱を思いきり投げ込んでいったのだという。当然というべきか、その衝撃で封印が解け、「黄昏館」の2階が「影」に飲み込まれてしまった。放っておけば館ごと飲まれかねない。かくして、「影」に沈んだ2階へ乗り込み、影蛇を捕まえて封じ直すことになる。
導入としては数分程度のやり取りだが、キャラクター同士の掛け合いのテンポがよく、状況の説明と3人の性格紹介を同時に処理してしまう手際のよさがある。深刻な事態でありながら、その原因が配達業者の雑な仕事という脱力感のある落差も、本作の温度感をよく表しているように思えた。
歩くたびに姿を変える「影の黄昏館」
舞台は「影の黄昏館」へと移る。遺物「影蛇」の封印が解かれたことで館の一部が影に飲み込まれ、危険と謎に満ちた歪みの空間が生まれてしまった、という設定だ。
探索が始まると、3Dマップを自由に歩き回れるようになる。パーティはミニエ、オハナ、シャミの3人編成で、操作対象となるリーダー(作中では「リーダーメイツ」と呼ばれる)は十字キーで随時変更が可能。目的地まで走りながらダンジョンを進んでいくことになる。
3Dモデルの出来はかなりのもので、動かしていて違和感を覚える場面はなかった。
探索で目を引いたのが、マップそのものの変化だ。影に飲まれた「黄昏館」を歩いていると、オブジェクトがひとりでに動き出し、内装が刻々と変わっていく。壁が動き、構造そのものが組み変わっていくため、同じ場所を歩いているはずなのに景色が変わっていく。生活空間であるはずの館が非定型にねじ曲がっていく様子には非日常感とミステリアスな手触りがあり、探索そのものが素直に楽しく感じた。
探索中に手を止めてみたら、シャミが猫そのものだった
さて、ここで少し寄り道をしたい。
本作はフィールド上でリーダーメイツを直接操作するわけだが、その状態で何も入力せずに放置すると、キャラクターは固有の待機モーションを見せる。
(TGS2026の)試遊台に座って限られた時間でプレイする場では、わざわざ手を止めて待つ人はまずいないだろう。しかし、こうした場面こそキャラクターの作り込みが表れるところでもある。せっかくなので、探索中にコントローラーから手を離して観察してみた。
今回確認できたのは、シャミの待機モーションだ。
まず、猫のようにお尻を突き出して、そのまま大きく背伸びをする。そしてもうひとつ、自分の猫耳に何度か触れながら、顔を左右に振るというもの。しかも「にゃーん」「ごろごろ」と声を出しながらである。猫耳少女という設定を、そのまま所作にまで落とし込んできたわけだ。
ちくしょうあざとい、でも可愛い……! 金欠で不幸体質、それでもたくましく生きているという彼女のプロフィールからは、こうした無防備な仕草はあまり想像していなかった。操作していない時間にこそ素の顔が出る、という設計なのだとしたら、なかなか心憎い。
なお、ミニエとオハナにもそれぞれ固有の待機モーションが用意されている。こちらはぜひ、リリース後に確認してみてほしい。
ターン制とリアルタイムを組み合わせた「ライブターンバトル」
話を探索に戻そう。 「影の黄昏館」を進んでいくと、影に飲み込まれた「適材適所」の配達員を発見する。元に戻すには「正気に戻るまでぶっ叩く」のがよいらしい。肉体言語の万能さには頭が下がる。
戦闘は、フィールド上で使用できる「探索スキル」で対象を攻撃することで開始される。どうやらシンボルエンカウント方式のようだ。
本作の戦闘システムは「ライブターンバトル(LTB)」と名付けられている。ターン制の戦略性とリアルタイムバトルの臨場感を組み合わせた、というのがコンセプトだ。
メイツは自分のターンになるとスキルを使用できる。毎ターン、スキル1とスキル2のうちいずれか1つを選択し、使用ボタンを押すと発動するコマンドスタイルだ。各キャラクターの行動時、敵は攻撃を仕掛けてこない。ただし、敵は常に移動し続けている。ここが本作の肝だ。
スキルには効果範囲を持つものがあるため、複数の敵を巻き込むには、敵が範囲内に重なっているタイミングを見計らう必要がある。また、スキルによっては直線上に味方がいると発動できないケースもあり、位置関係を確認しながら撃つ判断が求められる。行動には1分の制限時間が設けられているが、実際にプレイした感覚では決定まで1分もかからず、急かされる感じはなかった。
行動順は画面左に味方・敵ともに常時表示されている。これを見ながら、どの敵から先に処理するかを組み立てていくことになる。
戦略性という点で面白いのが「ブーストゲージ」の存在だ。攻撃を続けてゲージを溜め、発動すると、任意のキャラクターの行動順を前倒しして即座に操作できる。たとえばシャミの行動直前にブーストを使ってシャミを前倒しすれば、実質的に2回連続で行動させられる。ターンの流れを能動的に組み替えられるわけで、単なる順番待ちのターン制とは異なる駆け引きが生まれていた。
また、攻撃を重ねていくと敵がグロッキー状態に陥ることがある。何らかのゲージを削りきることが条件と思われるが、この状態では通常のダメージにバフがかかり、大ダメージを狙えるとのことだった。
戦闘に勝利してストーリーを進めると、ボス戦として「影蛇」が生み出したミニエ、オハナ、シャミのコピーと戦うことに。
この戦闘では、新たに「必殺技」が解禁。一定ターンの経過で使用可能になるもので、それだけに効果は強力だ。通常スキルの発動演出もそうだが、必殺技のカットインはかなり作り込まれている。
キャラクターの可愛さ、画面のきれいさ、演出の派手さ。加えて位置取りとブーストによる独特の戦略性が噛み合い、テンポよく進みながらプレイヤーの判断もきちんと結果に反映される。
これらのバランスが実に絶妙で、戦闘面に関しては、サクサク進むスタイリッシュ&キュートなターン制RPG、といったところだろうか。
“生活している”を表現する、黄昏館での交流
ボス戦を終えると、舞台は再び「黄昏館」へ。ここではメイツたちとの交流が楽しめる。今回の試遊では、ミニエ、オハナ、シャミ以外のメイツも多数登場する状態だった。
メイツをクリックする、あるいは音声入力で名前を呼ぶと、その子との交流画面へ移行。項目には「手を振る」「贈り物」「お出かけ」「招待」などが並んでいたが、今回の試遊で体験できたのは「手を振る」のみ。
ちなみに、メイツの身体に触れれば何かアクションを返してくれるのではと思い、好奇心のまま試してみたが、現時点では反応はなかった。それを延々と検証している間、メーカーの方々の視線をやたらと気にしていたことは内緒である。
とまあ、ここまでは近年の美少女RPGでもよく見られる作りだ。ただし、感心したのは、そこから先——「メイツたちが暮らしている」ことの表現である。
「黄昏館」内はさまざまな場所へ自由に移動できるのだが、メイツたちもまた、随時自由に移動しているのだ。この手のゲームではキャラクターの立ち位置が固定されていることが多い。しかし「生活している」と考えれば、動かないほうがむしろ不自然だろう。本作では常に彼女たちが館の中を移動しており、のびのびと暮らしている様子が伝わってくる。
もう1点、ヘッドセットを装着してプレイしていたからこそ気づいたことがある。メイツたちの足音の方向が、きちんと定位されているのだ。画面外から近づいてくるキャラクターの気配に足音で気づける。これもまた「生活感」を構成する要素のひとつだろう。
こうした細部の積み重ねに、「黄昏館」での生活を描きたいという作り手のこだわりが感じられた。開発資料にある“帰りたくなる家”という表現は、案外こういうところに宿るのかもしれない。
隠れた主役だった音声認識を体験!
今回の試遊ビルドについて、メディア向け資料が「隠れた主役」と紹介していたのが音声認識だ。
会話中に選択肢が表示される場面で、その言葉を実際に声に出すと、システムが認識して選んでくれる。試してみたところ、認識精度は結構なものだった。ただし今回は合同のメディア体験会である。周囲に人がいる状態で画面に向かって話しかけるのは、それなりに恥ずかしい……! これは家でひとりのときにやりたい。
「黄昏館」でも同様で、メイツの名前を呼ぶと、その子が寄ってきてコミュニケーションを取ることができた。ボタンを介さず、声で直接呼びかけて反応が返ってくる感覚は、確かにこれまでの美少女ゲームにはあまりなかったものだ。
ここにも生活感が溢れている。
TGS2026では黄昏館を再現したブースを展開
短い試遊ではあったが、日常・戦闘・帰宅というプレイサイクルの全体像はしっかりと掴めた。「ライブターンバトル」の位置取りとブーストによる駆け引き、そして「黄昏館」の生活感の描き方。この2点が、本作を語るうえでの軸になっていきそうだ。
なお、TGS2026のネクソンブースでは、『ファレイドリア』ゾーンを展開予定。作中の舞台である「黄昏館」を再現した2階建て構成となっており、壁掛け時計やエレベーターといったゲーム内の要素が空間演出に取り込まれている。ブース内には黄昏館2階の「食堂」をモチーフにしたゲーム体験コーナーに12席の試遊台が設置され、今回プレイした体験版が世界初公開される。
このほか、じゃんけん体験コーナー、メイツの等身大パネルを配置した展示・撮影スペースも用意される。シャミ、オハナ、ミニエ、エレベーターガールのコスプレイヤーもローテーションで登場し、撮影が可能だ。
さらに「黄昏館スタンプラリー」も実施。試遊、ブース写真のSNS投稿、メイツとのじゃんけんの3ミッションで構成され、達成数に応じてビッグ缶バッジや冷感タオルがもらえる。また、ブース周辺でのクリアファイルを、ネクソン公式LINEの友だち登録でステッカーを配布しているので、こちらも要注目だ。















































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