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「イーグレットツー ミニ アーケードコレクション PART1」全タイトルレポート

懐かしの名作から知る人ぞ知るマイナー作品まで、珠玉の10タイトルを一挙収録!

【イーグレットツー ミニ アーケードコレクションPART1】
12月18日 発売予定
価格:9,878円

 タイトーは、懐かしのアーケードゲームを収録した復刻ゲーム機「イーグレットツー ミニ」に差し込むことで、追加タイトルが遊べる専用SDカード「イーグレットツーミニ アーケードコレクション PART1」を12月18日に発売する。価格は9,878円。動作には「イーグレットツー ミニ」本体(別売:21,978円)が必要だ。

 「イーグレットツーミニ アーケードコレクション PART1」には、かつて数々のアーケードゲームを世に送り出したメーカー、テクノスジャパンとデータイースト2社が、1984~92年にかけて開発した作品を5タイトルずつ、合計10タイトルが収録されている。

 本作のパッケージにはSDカードのほか、特典DX攻略本「電撃 TAITO STATION VOLUME 5」、全10タイトルのインストカード(※筐体に貼り付ける、ゲームの遊び方や料金の説明が書かれたカード)を復刻した「インストラクションカード ミニ」、本体のアップデート手順書が同梱されている。

 本作に収録された全10タイトルは以下のとおり。

<テクノスジャパン製タイトル>

・「ミステリアスストーンズ Dr.キックの大冒険」(1984年)
・「ブギーマナー」(1985年)
・「熱血硬派くにおくん」(1986年)
・「ザインド・スリーナ」(1986年)
・「ダブルドラゴン」(1987年)

<データイースト製タイトル>

・「チェルノブ」(1988年)
・「ダークシール」(1990年)
・「エドワード・ランディ」(1990年)
・「ウルフファング 空牙2001」(1991年)
・「ザ・グレート・ラグタイムショー」(1992年)

本体の電源をオンにすると、最初にタイトル画面が表示される
メニュー画面は、レバーを左右いずれかに入力してテクノスジャパン、データイーストのリスト表示を切り替える仕組みになっている

 以下、全タイトルの特徴や見どころ、おすすめの遊び方を、70年代からゲームセンターや駄菓子屋でゲームに興じていた筆者の経験もふまえ、一挙まとめてご紹介しよう。読者の皆さんが本作を購入、またはプレイする際の参考になれば幸いだ。

【イーグレットツー ミニ アーケードコレクションPART1収録ゲーム全10タイトル紹介】


全10タイトルレビュー PART1:テクノスジャパン編


「ミステリアスストーンズ Dr.キックの大冒険」(1984年)

 主人公のDr.キックを、4方向レバーとピストル、キックの2ボタンで操作して、古代遺跡に出現する敵と戦いながら遺跡の最奥部にある宝物を入手し、24時間以内に脱出を目指すアクションゲーム。実に41年もの時を経て、初めて移植が実現した作品だ。

 敵はピストルで倒すのが基本だが、攻略のポイントとなるのはキックの使い方。ステージ内にあるタマゴ型のストーンや宝箱をキックして破壊すると、中からアイテムや敵の動きを止めてくれる天使、神様などが出現するからだ。加えて、先の部屋に進むためには、どこかに隠れているゴーストを出現させ、ピストルで倒して鍵を奪い取ることが必要だ。本作を遊んだことがない人は、まずはゴーストを発見して倒す練習から始めるといい。

 外壁に向かってキックボタンを押すと、まれに秘密のメッセージが表示されたり、隠しボーナス点が加算されることがある。余裕があるときは、ぜひあちこちの壁をキックしてみよう。減点などのワナが仕掛けられていることもあるが、「当たり」の隠しメッセージを引くと宝の部屋に置かれた水、石、火の3個の宝物のうち、どれを取ればいいのかアドバイスをしてくれる。

 不気味な敵とのバトル、トリッキーなマップ構成、そして謎めいたメッセージが登場する、文字どおりミステリアスな世界観は本作ならではのもの。腕に自信のある人は、ある条件を満たしたうえで、3種類の宝物をすべて回収してクリアすると獲得できる、1億点ボーナス(!)と秘密のメッセージの謎をぜひ解き明かしていただきたい。80年代からのゲームファンを自称する人であれば、メッセージの内容に引っくり返ることウケアイだ。

タマゴ型のストーンをキックして破壊すると、アイテムや敵のゴーストなどが出現する
宝の部屋には水、石、火の3種類の宝物があるが、持ち帰れるのは毎回1個だけ。さて、どれを取る?
外壁に向かってキックすると、謎のメッセージが表示されることがある。ぜひお試しあれ!


「ブギーマナー」(1985年)

 正義のヒーロー、フリッツを4方向レバーとロッド振りボタン、だましボタンで操作して、敵の悪魔を倒しつつ、屋敷内にある「エネルギーポイント」をすべて破壊して脱出を目指すアクションゲーム。本作も初移植となるタイトルだ。

 本作の最大の特徴は、ゴーストなどの敵を倒すときにはだましボタン、「『あッ』ボタン」で敵をよそ見状態にしてからロッドで叩く必要があること。各ステージの屋敷は1画面につき4フロア、全4画面分の広さがあり、現在地点は画面上部中央に表示されるレーダーで随時確認ができる。

 多くのステージでは、フリッツがいるフロア以外は真っ暗になるため、「エネルギーポイント」があるかどうかは、そのフロアに移動するまでわからない。フロア間の移動は階段だけでなく、入ると特定の位置にワープするドアも利用する必要があるので、ただ敵を倒すだけでなく、迷子にならないよう階段、ドアの場所およびワープ地点をその都度覚えながらプレイすることも本作では求められる。

 赤く光る「エネルギーポイント」を3個破壊すると、指輪やブローチなどのアイテムが出現し、赤い指輪を取ると全フロアの明かりが灯る効果が得られる。また、光る扉に入るとフリッツが変身してしばらくの間無敵になり、ジャンプでフロアを上下に移動可能となるので、光る扉を見付けたら必ず入っておきたい。

 「エネルギーポイント」をすべて叩き壊した後に屋敷が上階から崩れ出し、完全崩壊する前に出口から脱出を図るスリル感もなかなかのもの。筆者は今回収録された10タイトルの中で唯一、本作だけ当時のゲームセンターで一度も見る機会がなかったが、その独特の面白さには今更ながらうならされた。

「あッ」ボタンを押すと、近くにいる敵があっち向いてホイ状態に。このスキにロッドで叩いて倒すか、そのまま通過してかわそう
点滅する円形の「エネルギーポイント」を発見したら、必ずロッドで破壊すること
「エネルギーポイント」をすべて破壊したら、上のフロアから順に壊れていく屋敷が完全崩壊する前に脱出を図ろう


「熱血硬派くにおくん」(1986年)

 主人公のくにお君を8方向レバーと左攻撃、右攻撃、ジャンプの3ボタンで操作して、敵のツッパリたちを倒していくアクションゲーム。後にファミコンなどにも移植され、派生タイトルも多数発売された、おそらく、数あるテクノスジャパン作品の中でも最も有名なタイトルが本作であろう。

 本作の面白さのキモは、昭和の時代のヤンキー漫画の主人公よろしく、角棒を振り回すヤンキー少年、バイクで突っ込んでくる暴走族、スケバンなどの敵とタイマン勝負ができることに尽きる。攻撃はパンチ、キックに加え、敵がひるんだスキに接近すると膝蹴り、投げの「襟つかみ攻撃」が繰り出せるようになり、ダウン中の敵には馬乗りになって追い打ちを掛けることも可能。敵をKOするとすこぶる快感だ。

 1周全4ステージで、各ステージに登場するボスから、くにおが「襟つかみ攻撃」を受ける、またはKOされると流れる、「なめんなよこの野郎!」などと罵倒するボイスは、何度聞いてもカッコイイ。ステージ3のボスである巨体のスケバン、みすずのビンタ攻撃や、当たると即死する銃をブッ放すチンピラにしてラスボス、さぶの非情な攻撃も必見だ。

くにお君の周りを取り囲む、いかにもワルそうな敵のヤンキーたち
ステージ2の波止場では、バイクに乗った族たちが爆音を鳴らしながら襲い掛かる
ステージ3のボスである巨体のスケバン、みすずのインパクトは抜群だ


「ザインド・スリーナ」(1986年)

 地上ステージでは主人公の戦士ザインを、空中ステージでは宇宙船タヴ・スリーナ号を8方向レバー、ビームボタン、ジャンプボタン(※空中戦ではミサイル発射ボタン)で操作し、敵を倒していくアクション・シューティングゲーム。地上ステージは任意、空中ステージは強制横スクロール方式で、ゲーム開始時に全体マップ画面でプレイする惑星を選択し、地上・空中ステージ両方をクリアすると新たな惑星にチャレンジすることができる。

 本作をプレイするにあたり、まず頭の中に叩き込んでおきたいのは、ザインがジャンプ中に空中で再度ジャンプできる、いわゆる2段ジャンプが可能だという点だ。なぜなら、2段ジャンプなしでは1ステージすらクリアできないからだ。恥ずかしながら、筆者はゲーセンで初プレイ時に2段ジャンプの存在にまったく気付かず、あっという間に100円を失った苦い思い出がある。しゃがみたいときはレバーを下に1回ではなく、2回続けて入力することもお忘れなく。

 地上ステージのザインはライフ(ダメージゲージ)制で、ゲージがゼロになるとミスになる。特定の敵を倒すと出現する「P」マークのアイテムは、取るとサブウェポンの手榴弾が装備されるか、ビームがワイド、貫通弾、2ウェイのいずれかに換装される。4種類のパワーアップのうち、どの効果が得られるかは、何と毎回ランダムで変化するので、初めのうちは攻略パターンを作るのに少々骨が折れるかもしれない。

 空中戦では、敵や敵弾に触れると即ミスになるが、ありがたいことに「アーケードコレクション」版にはビームの高速連射ボタンが搭載されているので、かなり楽に戦えるのが嬉しい。

地上ステージでは2段ジャンプによる移動、または敵をかわす場面が頻出する
特定の敵を倒すと出現するアイテムを取ると、サブウェポンの手榴弾が追加、またはビームがパワーアップする
空中戦ステージでは、ビームとミサイルをとことん撃ちまくろう!


「ダブルドラゴン」(1987年)

 主人公である双子の兄弟を、8方向レバーとパンチ、キック、ジャンプボタンで操作して敵を倒すベルトスクロールアクションゲーム。迫力満点の格闘アクションとパンクな世界観が絶妙にシンクロした、掛け値なしの名作だ。

 本作の素晴らしさはパンチ、キックのほか投げ技、頭突き、肘打ちなど、「くにおくん」よりも攻撃のバリエーションがさらに増え、技が決まったときの爽快感がとにかく高いこと。道端にあるドラム缶や段ボールを敵に投げ付けたり、ナイフやムチなどの敵が持つ武器を奪い取って逆用できたりするのも実に面白い。

 「思い出補正」が含まれるかもしれないが、筆者がベルトスクロールアクションの楽しさを知るきっかけになった本作は、やはり今遊んでも本当に楽しい。2人同時プレイもとても面白いので、友人たちと一緒に遊ぶときは、迷わず同時プレイを選択していただきたい。ただしプレイ中は、うっかり同士討ちしないようくれぐれもご注意を!

多彩な技が繰り出せるのが実に楽しい。写真は当時のプレイヤーにはおなじみの肘打ちをヒットさせたところ
金属バットなど、敵から奪った武器を逆用することも可能だ
ピンチになったらお互いに助け合える、2人同時プレイも面白い


全10タイトルレビュー PART2:データイースト編


「チェルノブ」(1988年)

 主人公チェルノブを操作して敵を倒す、強制横スクロール方式のアクションゲームで、8方向レバーと攻撃、ジャンプ、方向転換の3ボタンを使用する。チェルノブは方向転換ボタンを押すことで、いつでも左右の向きを変えることが可能で、レバーを斜め上方向に入力しながらジャンプすると空中で回転し、回転中に攻撃ボタンを押すと、さまざまな方向に攻撃を放つ「回転アタック」が繰り出せる。

 チェルノブは画面の右側に向かって走り続け、途中で体の向きを左に変えても進行方向は右のまま変わらない。敵が画面の左側から出現する場所が頻出するので、状況に応じて体の向きをどちらにするのか、攻略パターンを考えながらプレイするところに本作ならではの面白さがある。敵に一度でも触れると即ミスになるが、敵の頭上に着地した場合はミスにならないので、ステージ1の後半やステージ2のボス戦など、敵の頭上に乗って移動する攻略パターンを作るのもまた楽しい。

 特定の場所で出現する「かがり火」を破壊するか、敵のアイテムキャリアを倒すと、武器のパワーアップアイテムが出現する。初期状態の武器はレーザーだが、ブーメランや重力分銅、赤城山ミサイル(誘導弾)などのアイテムを取ることで装備を変えることも可能だ。強制スクロール方式ゆえ、出現させたアイテムがチェルノブの背後(左側)に落ちた場合は取れなくなってしまう。なので、武器の選択以前にアイテムを確実に取れるパターンを作るのもまた楽しい。

 不気味さとカッコよさとが入り混じる、独特のビジュアルとBGMも、本作をまだプレイしたことがない人は必見だ。

初期状態のチェルノブはレーザーを装備している
敵が背後から出現する場所では、方向転換ボタンを押して左を向いて攻撃することが必要だ
ステージ4のボス戦より。追い込まれた場合は、ジャンプ後にボスの首元に着地すればミスにならずピンチを回避できる


「ダークシール」(1990年)

 戦士、魔法使い、吟遊詩人、忍者の4人のプレイヤーキャラクターから1人を選択し、武器と魔法を駆使して敵を倒していく、フィールドがクオータービューで描かれた任意スクロール方式のアクションゲーム。操作は8方向レバーと武器、魔法の2ボタンを使用し、2人同時プレイもできる。

 スケルトンやゾンビ、ハーピーなどの敵を武器、魔法どちらの方法で倒しても爽快感が非常に高い。敵を倒すとたまるマジックメーターが満タンになると魔法が使用可能となり、一定時間さまざまな姿に変身する。中にはネズミや植物、鉄球など奇妙な姿になる魔法もあるが、いずれも使い方次第で攻略がぐっと楽になるのも、本作の面白いところだ。

 各ステージの脇道などには、宝箱がいくつか置かれている。宝箱からはボーナス得点のほか、移動速度がアップするブーツ、攻撃力がアップする籠手(こて)など、持っておくと断然有利に戦えるアイテムが出現することもある。敵の倒し方と並行して、制限時間オーバーにならないよう、宝箱を残らず回収できる攻略パターンも作っておきたい。

 ファンタジックなビジュアルと、ドラゴンやビッグアイなど巨大なボスキャラの迫力も本作の大きな見どころだ。なお、本作を今回初めてプレイする人は、過去に1コインクリアしたことがある筆者の経験上、キャラクターは吟遊詩人を使用することをおすすめする。

敵の出現場所や種類に合わせて、少しずつ攻略パターンを作っていくのが実に楽しい
植物の魔法を発動! 見た目はシュールだが、花粉を広範囲にバラまいて敵を一掃できるその威力は折り紙付きだ
巨大かつ不気味な姿のボス敵も必見。写真はステージ3のボス、ビッグアイだ


「エドワード・ランディ」(1990年)

 8方向レバーとムチ、ジャンプボタンで主人公を操作し、敵を倒していくアクションゲームで、2人同時プレイにも対応している。映画の「インディ・ジョーンズ」を彷彿とさせるビジュアルで、「いきなりクライマックス」とタイトルが付けられたステージ1から、洋上を超低空飛行する複葉機の翼に乗って敵と戦う、迫力満点の展開が待ち受ける。

 ムチは敵を攻撃するための武器としてはもちろん、通常のジャンプでは届かない場所へ移動したいときには、どこかにムチを巻き付けたうえでジャンプすることで、より高くかつ遠くに飛び移ることができる。さらにムチを巻き付けた状態でレバーを回転させると、主人公が体を回転させながらキックなどを放つ「大回転攻撃」が繰り出せるのも本作ならではの面白さだ。

 複葉機の翼や船の甲板の上に乗ったり、車を運転しながらムチを振るったりなど、ステージ構成も実に個性的。画面の奥から敵が出現する、あるいは倒した敵が手前に向かって吹っ飛ぶ、立体感のある演出も見ているだけで楽しい。

 本作は得点が体力メーターも兼ねており、敵を倒すと得点がアップし、逆に攻撃を受けると減点され、ゼロになるとミスとなりゲームオーバーとなるシステムも極めて珍しい。ちなみに、かつてアーケードゲーム専門誌に掲載されていた全国ハイスコアコーナーにおける本作のハイスコアは、プレイの途中で記録した最高得点によって集計されていた。腕に自信のある人は、文字どおり体力の限界にチャレンジしながら遊ぶのも一興だ。

ムチを巻き付け、レバーを回すと「大回転攻撃」が繰り出せる
ステージ1のボスでありながら、この大迫力。まさにいきなりクライマックス状態!
ステージ4は車を運転しながら戦う。ここではムチだけなく、車のドアを開いて敵を攻撃することも可能だ


「ウルフファング 空牙2001」(1991年)

 8方向レバーとアタック、ジャンプ、サブウェポンの3ボタンを使用し、自機にあたる人型兵器を操作して敵を倒していく横スクロールアクションゲーム。1989年に登場した縦スクロールシューティングゲーム「空牙」のその後の世界がゲームの舞台で、2人同時プレイも可能だ。

 本作の一番の面白さは、あらかじめ用意された4種類の人型兵器に加え、ゲーム開始時に「コンストラクションモード」を選択すると、装備を自由にカスタマイズした機体でも遊べるところにある。本モードでは「胴体」「腕」「脚」の各パーツを組み合わせることで、全64種類もの機体が作り出せ、しかもセットアップの仕方によって「仁王」「烈風」「白龍」など、機体の名称までもが変わるこだわりぶりだ。

 バルカン、クラスター、グレネード、レーザーの各アイテムを取ると自機のメインショットが換装されるが、いずれもオート連射機能が付いている。アタックボタンを押している間は、機体の向きが左右いずれかに固定されるので、前述の「チェルノブ」と同様に画面の左側から敵が出現した場合は、すぐに左を向いて攻撃を仕掛けるといい。

 サブウェポンは一度使用するとゲージがゼロになり、ゲージが再びチャージされるまで撃てなくなるが、使用回数は無制限なので、こちらも惜しまずどんどん撃ちまくったほうがいいだろう。また、レバーを下に入力しながらジャンプボタンを押すと、機体を前方にダッシュさせることも可能。ダッシュは敵の歩行型ロボットが飛び掛かってきた際に、足元を潜ってかわすときなどに利用できる。

 自機だけでなく、敵キャラや背景のメカニックデザインのカッコよさも本作の大きな見どころ。「空牙」と同様に軽快なBGMの数々も必聴だ。

「コンストラクションモード」を利用して、自分好みの機体を作れるのが実に楽しい
ボタンは連打不要。押しっぱなしでショットを存分に撃ちまくれる(写真はレーザーを装備したところ)
サブウェポンのホーミングミサイルを発射したところ。画面上部のゲージがたまった状態であれば、いつでも好きなタイミングで放てる


「ザ・グレート・ラグタイムショー」(1992年)

 8方向レバーと攻撃、切り離し(またはジャンプ)の2ボタンで自機または主人公を操作して敵を倒していく、強制横スクロール方式のシューティング・アクションゲームで、2人同時プレイにも対応。本作も長年のブランクを経て、今回初めて移植が実現した。

 ゲーム開始時は複葉機を操作し、敵を倒す際はショットだけでなく、フックを利用して引っ掛けた物を投げ付けて攻撃することも可能。初期状態では爆弾をフックしているほか、飛行機や兵士などの敵キャラ、車やバイク、戦車などの乗り物から、地面に置かれた箱や消火栓、2人同時プレイ時には味方の主人公に至るまで、ありとあらゆる物をフックできる。そのシュールな光景は、見ているだけでも思わず笑ってしまうほど面白い。

 「アーケードコレクション PART1」版には連射ボタンが搭載されている。特に複葉機を操作中は、攻撃ボタンを素早く連打すると広範囲に広がる強力なサンダーに変化するので、連射ボタンを使うとかなり楽に戦える。複葉機は一定のダメージを受けると墜落し、以後ハンドガンを持つ主人公を操作して戦うことになるが、敵の車やバイク、戦車、ロボットなどを奪って乗り込むことができる。ステージによってはゾウやキリンなどの動物に乗ることも可能で、さらにはどういうわけか、空高くジャンプできるホッピングマシンまで用意されているのがこれまたおかしい。

 プレイ中は攻略を度外視して、2人で同時にプレイしながら、目の前の敵や障害物を片っ端から破壊、あるいはフックして遊んでいるだけでも十分に楽しめる。ステージによっては巨大な恐竜の化石や観覧車、ボスキャラとしてサンタクロースが出現する独特の世界観と、路上を走る野良犬などの小さなキャラクターまでもがきめ細かく描かれたビジュアルにも注目しつつ、本作をじっくりと堪能したい。

何でも引っ掛ける便利なフック。引っ掛けたものを敵に向けて投下するとボンバー代わりに使える
二足歩行ロボットとゾウに乗って戦っているところ。美しさとシュールさが絶妙にマッチした(?)、本作独特の世界観も必見!
連射ボタンのおかげで、常時サンダーを使いまくれるのも嬉しい


求む! 「アーケードコレクション」の定番シリーズ化

 繰り返しになるが、本作に収録された全10タイトルのうち「ミステリアスストーンズ」「ブギーマナー」「エドワード・ランディ」「ザ・グレート・ラグタイムショー」の4タイトルが、今回初めて移植が実現したものだ。

 昨年に発売された「イーグレットツー ミニ アーケードメモリーズ VOL.3」と同様に、かつてゲーセンや駄菓子屋で夢中になって遊んでいたものの、「もう基板を買わない限り、二度と遊べないだろうな」と長年思っていたタイトルが、まさか令和の時代に自宅で遊べる日がやって来るとは……実に感慨深い。

 今回はタイトー製のタイトルが1つもないが(※「熱血硬派くにおくん」「ザインド・スリーナ」「ダブルドラゴン」の販売はタイトーが行っていた)、「イーグレットツー ミニ」で遊べるタイトルのバリエーションが広がるのは大歓迎だ。気が早い話だが、これを機にテクノスジャパンとデータイースト作品はもちろん、 ほかのアーケードゲームメーカーの作品や、さまざまなジャンルのタイトルを収録した「アーケードコレクション PART2」「PART3」とシリーズ化することを、筆者は切に願っている。

 昭和時代のゲームセンターを知るベテランだけでなく、ゲームの発売日よりも後に生まれた若い世代にも、まだまだ面白いアーケードゲームがたくさんあることを、今後も「イーグレットツー ミニ」を通じてぜひ知らしめていただきたい。

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