先行レビュー
「HYKE:Northern Light(s)」は少女たちとキャンプしながら荒廃世界を旅する新感覚の2D見下ろし型アクションRPG
キャンプパートはまさに旅を彩る箱庭! ドットで描かれるキャンプ飯もちゃんとある
2025年9月16日 17:00
- 【HYKE:Northern Light(s)】
- 9月19日10時 発売予定
- 価格:2,800円
9月19日に発売予定のプレイステーション 5/Nintendo Switch/PC(Steam)用2D見下ろし型アクションRPG「HYKE:Northern Light(s)(ハイク ノーザンライツ 以下、HYKE)」。
本作は人類と魔女の戦争によって荒廃した世界を舞台に、“少女たちが車で旅をする”という独自の世界観を持つ作品となる。販売はアニプレックスとアカツキゲームス、開発は「VARIOUS DAYLIFE」や「鬼ノ哭ク邦」(スクウェア・エニックス)などの制作に携わるブラストエッジゲームズ。せたも氏およびシロス氏が手掛けるドットアートで描かれた美しくも寂しげな風景と、個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、発売前から注目を集めている。
今回、製品版を第5章までプレイする機会を得た。実際に触れてみて、キャンプでの穏やかなひとときから、激しいアクションバトルまで、さまざまな側面を体験できたので、その魅力をたっぷりとお届けしたい。
旅とキャンプが織りなす独特の世界観
本作の舞台は、人類と魔女の戦争によって荒廃した世界。
主人公の少女・ハイクは、魔女である母の足跡を求めながら旅を続けている。移動手段は父から譲り受けた車。進んだ先で広げるテントや椅子、焚き火台といったキャンプギアが、彼女たちの拠点となる。
プレーヤーはハイクを操作し、様々な地域に足を踏み入れる。そこでは“メテオス”と呼ばれる魔女たちが待ち受けており、彼女たちとの出会いが物語を大きく動かしていく。
ゲームの流れとしてはステージクリア型になっており、複数のステージをクリアし最後にボス戦(メテオス戦)が待っている。それをクリアすることで次のマップが開放されるという形で、ステージの合間にはストーリーが展開されるほか、ほのぼのとした「キャンプパート」も盛り込まれている。
特筆すべきはこの「キャンプパート」だ。入手したギアを自由に配置し、オリジナルのレイアウトにできるだけでなく、キャラクター同士の会話イベントがフルボイスで楽しめる。戦いの合間に交わされる少女たちの笑いや悩みは、物語に温かみを与え、プレーヤーの心を癒してくれる。さらに、キャンプの様子をカメラで撮影してアルバムに残せるほか、車やギアのスキン変更も可能。まさに“旅を彩る箱庭”としての楽しみが詰まっている。
荒れた世界のデザインも素晴らしい。文明の残骸があふれる森、水没した遺跡、廃墟に潜む怪物や魔女。すべてがドットアートで描かれているものの、その緻密さと演出がプレーヤーを「HYKE」の世界に没入させ、実際に旅をしているかのような臨場感を味わえる。
自由に作るキャンプ――旅の箱庭としての魅力
キャンプは単なる休憩所ではない。ギアを自由に配置して自分だけの拠点を作り上げることができる。入手したテント、椅子、焚き火台、テーブルなどを思い思いに並べると、仲間たちが自然にくつろぎ始める。その姿を見ているだけでも楽しいし、写真を撮ってアルバムに残すことも可能だ。
さらに、車やギアのスキン変更も可能で、プレーヤーごとに旅の雰囲気を変えられる。BGMをプレイリストにして流したり、ゲーム内時計と連動させてアラームを設定する機能もあり、キャンプが単なる休憩所ではなく“旅そのもの”を象徴する場となっている。
もちろんキャンプで重要なキャンプ飯もちゃんとある。キャンプでは料理をすることで様々な効果のあるキャンプ飯をつくることができる。材料やレシピは街のショップから購入することができ、作ったキャンプ飯の効果はステージに出発するときに発動する。攻撃力上昇や移動速度上昇など、攻略に役立つ効果を得られるので必ず料理してから出発したい。
テンポの良い探索と小さな発見
本作のステージは2Dの見下ろし型マップで構成されている。1マップはおおよそ10分程度でクリアできるため、テンポよく進められる。
探索の醍醐味は「隠し要素」。木々の裏に隠された通路や、建物の裏側に隠されたルートを見つけると、思わず嬉しくなる。宝箱やアイテムが配置されていることもあり、探索欲を刺激してくれる。
さらに、マップごとにギミックも仕込まれており、プレーヤーを飽きさせない工夫が感じられる。ギミックを乗り越えたときの達成感やその演出が、世界観を描き出しており、それらは次のステージへのモチベーションを高めてくれる。
ちなみに難易度はゲーム開始時に選択可能。アクションゲームに不慣れな方でもストーリーを楽しめるように用意された難易度もあるので、安心して挑戦できる。ただし難易度の途中変更はできないため、最初の選択には注意が必要だ。
個性豊かなキャラクターとアクションの深み
探索および戦闘は、ステージ内でキャラクターを切り替えながら進めるスタイルを採用している。切り替えの際にはハイタッチ演出が入りその場で操作キャラクターが入れ替わる形で、緊迫した戦闘の中に微笑ましさを与えてくれる。
ハイク:近接攻撃メインで戦うオーソドックスな万能型
メインストーリーでプレーヤーが最初に操作できるのは主人公「ハイク」。母を探すため、父から譲り受けた車で世界を旅をしている。近接攻撃をベースに戦うキャラクターとなっており、万能型で扱いやすく、魔法「アーマーラウンズ」が特に便利。敵に囲まれたときも安心感がある。物語が進むと、魔法ダメージを与えた時に回復効果を得られるようになり、さらに安定したプレイができるようになる。
物語が進むにつれ、新たな仲間が登場し、操作可能なキャラクターが増えていく。
最初の仲間・リコは体力を犠牲に変身して戦うリスクとリターンが魅力のキャラであり、強力な攻撃力を持ちながらも油断ならない駆け引きを楽しませてくれる。
リコ:ウサのんに変身して戦うトリッキータイプ
ハイクとともに旅をしている魔女。うさぎのぬいぐるみ型のリュック「ウサのん」を武器に戦う。通常攻撃で体力を回復、通常攻撃を貯めることで体力を使用して「ウサのん」に変身して強力な攻撃を繰り出すことができる。
変身することで強力なインファイト攻撃が可能となるが、変身していないと非力。変身中に一定の攻撃を受けると解除されてしまうので油断はできない。自身の体力量によって効果時間などが変わる魔法を使うなど、パワー系に見えて意外とトリッキーなキャラクターだ。
旅の途中、ハイクは魔石を守護する「メテオス」と呼ばれる魔女たちと出会い、新たな仲間として旅を共にする。今回、プレイできた物語5章までの間に出会えたキャラクターは「リコ」、「フォールアウト」、「ホールキーパー」、「マザーブレイン」、「エクストラ」の5人。
フォールアウト:植物の魔法で動物と共に戦う魔女
赤い森の奥で魔石を守護していた魔女。植物や動物など言葉持たぬ生き物たちと 意思疎通することができ、彼らの力を借りた魔法を操る。
通常攻撃で敵に棘種(とげたね)を植え付け、通常攻撃を溜めることで狼を召喚することができる。召喚された狼は棘種が植え付けられた敵を攻撃する。魔法は蔓で敵を一定時間拘束したり、猛獣を呼び出して攻撃するなど攻守のバランスが良い。敵に棘種を植え付けるというワンテンポが必要となるが、植え付けてしまえばあとは狼を召喚することで自動的に大ダメージを与えられるのが魅力的だ。
ホールキーパー:遠距離からの攻撃が得意なわらわ呼びの魔法使い
水没した遺跡群の奥地で魔石を守護していた魔女。見た目は幼女だが自身のことを「わらわ」と呼んでいる。また、自分を「偶像=アイドル」であると自称している。
魔法攻撃を得意としたキャラクターで、通常攻撃は魔法による遠距離攻撃。攻撃を敵に命中させることで「神聖力」というゲージが蓄積されていき、これを消費することで強力な効果をもつ魔法陣を発動できる。魔法陣は3種類あり、その魔法陣の上で通常攻撃を行なうことで属性を付与することができる。氷は敵に命中させて体力回復、雷は命中時に確率でスタンさせる、炎は命中後に一定時間持続ダメージを与える、といったように使い分けが可能。魔法陣を発動した際はそれぞれの属性の特殊攻撃も発動する。
初期魔法では氷と雷を使用できる。氷は目の前に氷の壁を作ることで敵の進行を阻害し、さらに、氷の壁に通常攻撃をヒットさせることで壁が四散して命中した敵にダメージを与える。 対する雷は敵の頭上に落雷を落とす。命中率が高いがその分威力は控えめといった形だ。
マザーブレイン:銃火器で戦う癖強めなメカ魔女
南の孤島で魔石を守護していたロボットの魔女。魔力によって駆動する銃火器やドローンを駆使し、およそ魔法には似つかわしくない戦い方をする。特殊な操作方法を要する遠距離攻撃タイプのキャラクター。
通常攻撃は銃火器による射撃で、スティックやマウスの方向に向けて射撃を行なう。射撃には弾薬が必要で、リロードも行なう必要がある。弾薬は敵を倒すことでドロップするので、それを回収する必要がある。弾薬を全て撃ち尽くしてしまった際はドローンが探してきてくれるので弾切れになることはないが、大きい隙ができてしまう。弾薬管理やリロード、独特のターゲティングなどが必要なため、全体的に癖が強め。
魔法は様々な武装を使用する。初期魔法は「フレイムランチャー」と「ドローン・スパーリングモード」。「フレイムランチャー」を発動すると弾薬の代わりに専用のエネルギーゲージが表示され、ゲージが尽きるまで通常攻撃が火炎放射に変化する。「ドローン・スパーリングモード」は相棒のドローンが近くの敵を自動的に攻撃してくれる。
エクストラ:唯一バリアで防御&ゲージを貯めて戦う地球外生命体
広大な荒野の奥地で魔石を守護している宇宙人の魔女。 魔力によって駆動するオーバーテクノロジー兵器と、自身の身体の一部である尾を用いて戦う。人間や魔女とは根本的に異なる価値観を持ち合わせており、コミュニケーションに苦労することもしばしば。故郷の星に帰還するため、墜落した宇宙船を修理することを目的としている。
彼女はダッシュ(回避)を使用できない代わりにバリアで攻撃を防ぐことができるのが特徴。タイミングよくバリアで攻撃を防御することで「パリィ」が可能。パリィは敵の攻撃を完全無効化できるうえ、隙を生み出すこともできる。さらに、エクストラは時間経過で体力が回復もする。
魔法には時間経過やバリアで敵の攻撃を防ぐことで蓄積される「フォトンゲージ」を使用する。このゲージはパリィに成功すると最大まで一気に蓄積する。 初期魔法は「M82光刃」と「しっぽ様のお怒り」。「M82光刃」は通常攻撃がブレード状に変化し、攻撃力と範囲が上昇する。発動中はフォトンゲージを持続で消費する。「しっぽ様のお怒り」はヒットした敵を自身にひきつけつつ大ダメージを与える。フォトンゲージを一気に消費するが、消費したフォトンゲージ量によって威力が上昇する。ゲージを溜めてから放つと効果的。
物語を彩るボイスと音楽が与える臨場感
主題歌「Silhouette feat. ヰ世界情緒」をはじめ、BGMは幻想的でありながら温かみもあり、荒廃世界を旅する少女たちの物語に深みを与えている。効果音も重厚で、世界観やその雰囲気がしっかりと伝わる。
声優陣の演技も秀逸で、小原好美さん演じるハイクの芯の強さ、古賀葵さん演じるリコの可愛らしさと等身大の弱さなど、それぞれの個性を鮮やかに浮かび上がらせている。
ストーリーは部分的なパートボイスだが、キャンプイベントはフルボイス。キャラクターたちの人間味や関係性が丁寧に描かれている。
旅、戦い、癒やしを兼ね備えた新境地
「HYKE:Northern Light(s)」は、アクションRPGの枠を超えた“旅の物語”を体験させてくれる作品だ。キャラクターごとの個性を活かした戦闘、探索の発見、キャンプの癒やし。すべてが有機的につながり、プレーヤーの心に残る。
少女たちと紡ぐドットアートの旅、奥深いアクションとキャラクターごとの戦略性、癒しと発見に満ちたキャンプモードなど、アクション好きはもちろん、ドット絵やキャラクターを主体としたゲームが好きな人、さらには“旅”や“箱庭”に憧れる人にもおすすめしたい。発売日は9月19日。ぜひ、自分だけの旅とキャンプを体験してほしい。
(C)2025 Aniplex Inc. Akatsuki Games Inc.
※ゲーム画面は開発中のものです。





























































































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