先行レビュー
スクエニ新作「KILLER INN」プレイレポート。全員"敵"に思える人狼の醍醐味が堪らない!
最大24人で心理戦を繰り広げる非対称型のマーダーミステリーアクション
2025年7月23日 22:00
- 【KILLER INN(キラーイン)】
- 発売日:未定
- 価格:未定
スクウェア・エニックスはPC用マーダーミステリーアクションゲーム「KILLER INN(キラーイン)」のクローズドβテストを実施する。本作は「狼チーム」と「羊チーム」に分かれ、生き残りをかけて競い合う非対称型のアクションゲームだ。6月7日に配信番組「Summer Game Fest 2025」でトレーラー映像が発表され、スクウェア・エニックスとTBSテレビのゲーム部門TBS GAMESのタッグで開発が進められていることが話題となった。
最大の特徴はマーダーミステリーの要素を取り入れた、“高度な騙し合い”と“心理的な駆け引き”を基軸としたアクションゲームであるということだ。そんな本作は、現在Steamにてクローズドβテストの応募受付が開始されている。今回はクローズドβテストに先駆けて実施された、メディア向けの先行体験会でゲームを実機プレイする機会に恵まれたので、早速ゲームをプレイした感想やその手応えについてお届けしていきたい。
︎“狼”vs“羊”。24人で臨む究極の騙し合いゲーム
「KILLER INN」は、謎に包まれた古城を舞台に、24人のゲストたちがサバイバルを繰り広げていく。8人の“狼”と16人の“羊”たちがお互いを騙し合い、疑心暗鬼になりながらも自チームを勝利に導いていくのだ。ゲーム開始の時点では誰が狼で誰が羊なのかが分からない。ひとつだけ明確であることは、自分が属しているチームが狼か羊かのどちらかであることだけ────。
狼チームは自分たちの正体が悟られないよう、マップ中に点在する自分たちの証拠を隠滅しながら、羊チームのプレイヤーを屠る。そしてもう一方の羊チームは、死体や争ったと思われる痕跡から証拠を集めてプレイヤーを特定し、狼を倒す。プレイヤーが減る度に生き残ったプレイヤーの身分は自然と割れやすくなっていき、お互いの身分が判明している最終フェーズともなれば、そこからは生き残ったプレイヤー同士の殺し合いが始まる。
チームそれぞれの勝利条件として共通しているのは「相手チームを全員倒す」こと。勝利条件そのものは至ってシンプルだが、その単純明快なゴールに行き着くまでに、マーダーミステリーのエッセンスが詰まっている。また、人狼ゲームのように細やかなプレイヤーコミュニケーションが必要かと思えば、ゲームの仕組み上、実はそこまでを求められないのもポイント。無論、ボイスチャットを用いてプレイヤー同士がお互いの会話から身分を炙り出すという駆け引きも楽しむことができる。
さらに相手チームを全滅させる以外にも、チームごとの勝利条件が用意されており、これがゲームを進行する強制力として働く。たとえば、片方のチームが役割を果たさず、ゲームが上手く進行しないという問題を、もう1つの勝利条件が仕組みとしてこれを解決する。羊チームは、制限時間以内に古城の外に停めてある船に乗り込み脱出することでも勝利となるため、狼チームは逆にこれを阻止する必要がある。勝利条件が2種類ずつ備わることで、試合が有機的に動き続けるとも言えるだろう。次項では早速、実際のゲームプレイにおける流れを紹介していこう。
意表を突き、裏をかけ。毎戦異なるドラマが生まれる心理戦の奥深さ
本作はプレイヤーが狼か羊のどちらになるかは、キャラクターを選択して実際にマッチメイクされてみなければわからない。今回の試遊会は羊側のプレイヤー数が16人という枠数の事情もあってか、羊チームでプレイすることが多かった。
キャラクターを選択してマッチが開始すると、全てのプレイヤーは古城の一室からスタートする。ゲーム開始したら、部屋の引き出しや棚といった収納スペースなどにインタラクトできるので、手当たり次第に戦闘や調査に便利なアイテムなどを回収しながら、古城の中にいるNPCからクエストを引き受けていく。
NPCは古城内に特定の部屋におり、アイテムだったり武器・装備だったりをプレイヤーに販売してくれる。もちろん、ゲーム開始時点でプレイヤーは一文無しなので、基本的にはクエスト報酬でお金を貯めながら装備を整えていくわけだ。また、クエストを達成するとキャラクターレベルが上がり、ゲーム中に有利なスキルが使えるようになる。クエストは狼プレイヤーも同様に引き受けることができる。
序盤はどのプレイヤーも自分の装備を整えることで精一杯になりがちだが、上手い狼プレイヤーは必要最低限の武器を入手したら、この時点から羊プレイヤーを尾行しつつ、暗殺を仕掛けて来る。どのタイミングで襲うのかは当人の判断力と思考力によるところだが、セオリー通りの動きは避けた方がいい場合もあるのだろう。筆者は数マッチのプレイで流れを把握して、気が緩んでいたところをサクッと暗殺されてしまった。
クエストを受けるとあちこちを奔走することになり、その過程で孤立してしまうことが多い。自分自身が羊プレイヤーの場合、コッソリ背後から忍び寄ってきた狼プレイヤーにあっさり殺害されてしまうわけだ。そのため、羊側は如何に孤立し過ぎないように立ち回るかが重要になるのだが、そこが実に奥深くも難しいところ。序盤から相棒のように行動していたプレイヤーが実は狼でした……なんてことも珍しくはないのがこのゲーム。
装備を整えながら、狼プレイヤーはマップ内の死体から証拠を隠滅し、羊プレイヤーは逆に証拠を集めていく。証拠が隠滅されると、狼プレイヤーを特定する手掛かりがなくなってしまうので、マップ内を隈なく探索しつつ、狼側より先に証拠を手にしなければならない。証拠は3つ集めることで、その証拠に対応した狼プレイヤーのキャラクターを特定することが可能なので、積極的に証拠隠滅には参加した方がいいのだ。
また、羊チームは装備が整ってきたら古城内を徘徊する球体型ドローンのようなガーディアンを倒し、船場に繋がるゲートの鍵を集めるという役割もある。船場を開放して全ての錨を引き上げることができれば、羊チームは勝利となるからだ。しかし、ガーディアンを狙うプレイヤーは基本的に羊プレイヤーくらいなので、自分の居場所をバラしているようなもの。実際、筆者が狼プレイヤーだった際はガーディアン討伐にワザと協力し、討伐後の孤立した羊を殺害するなんて芸当も容易くできてしまった。上手くことが運んだときは脳内物質がドバドバと溢れ出るような心持ちだったのは言うまでもない。
そんなこんなで「クエスト」「証拠」「ガーディアン討伐」といった要素を中心に本作のマッチは進行する。その中で身元プレイヤーが一人ずつ殺害されて、脱落していくことになる。狼の存在に怯えながら、カギを集めたり、装備集めでクエストに集中していた羊プレイヤーは、たとえ終盤で生き残っても、証拠が不十分で誰が狼なのか見当すら付かないこともあるだろう。戦闘が発生しているところへ飛び込み、勘違いして仲間の羊を殺してしまうと、お手付きとなりそこでも即脱落となる。
ちなみにキャラクターごとに証拠として残る痕跡はバラバラで、髪の毛だったり衣類の繊維だったりする。試遊会ではプレイアブルにスキンヘッドのキャラクターが居たため、「狼プレイヤーになっても証拠として髪の毛は残らないはず」とタカを括っていたが、割とすぐに狼とバレてしまった。どうやら体毛が証拠として出ない代わりに、指紋など他より特定されやすい痕跡が出るようだ……。プレイスタイルだけではなくキャラクター選択による立ち回り方も、ゲームでは重要となりそうだ。
プレイヤーの正体を特定する基本システムであるから、証拠の存在はマッチ中に重要視される。とはいえ、誰も殺害されていなければ、自分以外のプレイヤーを含めても23人はいるため、証拠を1つ集めただけでは特定に繋がらない場合がほとんど。運が良ければその1つの証拠から予想される狼プレイヤーの誰かが、コソコソ尾行している怪しさ満点の現場に居合わせる場合も。証拠は3つ揃えば狼プレイヤーの誰かを確実に特定できるが、実は2つ集まるだけでもだいぶ絞り込める。そこから狼プレイヤーと思われる人物を推測し、ターゲットを尾行するなり、銃を構えて反応を見るなり、リスクを冒して炙り出してみるのも一興だ。まさしく羊プレイヤーの腕の見せ所とも言える瞬間だが、正体を見誤って脱落すると非常にカッコ悪い。
本試遊会では結局最後まで生き残ることはできなかったが、意表を突いたり突かれたり、常に予想を超えた展開が待ち受けているから、毎回新鮮な気持ちでゲームを楽しめていた。いくら慎重に立ち回っていたとしても、誰かは必ず人間らしいボロの出し方をしてしまうもので、特にボイスチャットを使った直接的な駆け引きがそこに加われば、そうした部分の魅力が大いに引き立つ。マッチ中は近くのプレイヤー同士で会話の音声が聞こえるようになっており、この仕様を活かしたテクニックもゲームに深みを持たせる余白となり得るはずだ。
「KILLER INN」は開発中の段階で、クローズドβテストのユーザーフィードバックを受け、さまざまな調整や改善が行なわれる見通しである。今回の試遊会で体験したバージョンには導入されていない機能も構想されているようで、ゲームプレイがより楽しい方向性へと進化していくことに期待していいだろう。何よりゲームの仕組み上、ボイスチャットや密なコミュニケーションを取らなければ勝てないといったこともなく、マーダーミステリーながらにプレイハードルは低いように思える。この機会にぜひクローズドβテストをチェックしてみてほしい。
(C) SQUARE ENIX / Tokyo Broadcasting System Television, Inc.





















































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