先行体験
キャラクリ捗るソウルライク。ネクソン「Vindictus: Defying Fate」パブリック・アルファテストを体験!
ややカジュアルめ、“マビノギ”要素もあるやり応えバッチリの期待作
2025年6月9日 11:00
- 【「Vindictus: Defying Fate」パブリック・アルファテスト】
- 実施期間:6月9日11時~6月17日16時
ネクソンが開発中の「Vindictus: Defying Fate」は、同社の「マビノギ英雄伝(英語名:Vindictus)」をベースにしたPC(Steam)向けアクションRPGだ。Unreal Engine 5で開発された美麗なグラフィックをはじめ、ソウルライク風の戦闘システム、ケルト神話を題材にしたファンタジー世界などが特徴となっている。日本での配信日、価格は未定だ。
Steamでは、6月9日11時から6月17日15時59分までの間、「Vindictus: Defying Fate」のパブリック・アルファテストが開催される。アルファテストは2024年3月に開催されたプレアルファテストを基に、プレイアブルキャラクターやNPC、成長要素などの機能を追加したものだ。
そして今回、「Vindictus: Defying Fate」のパブリック・アルファテスト(Steam)を一足先にプレイする機会をいただいたので、レビューをお届けしたい。
「マビノギ英雄伝」ベースのアクションRPGはシングルプレイ重視のゲームに
本作のベースとなっている「マビノギ英雄伝」は、2011年から2018年まで日本国内でサービスが行われていたオンラインアクションRPGだ(海外ではサービス中)。MMORPG「マビノギ」の世界観を踏襲した作品で、多種多様なキャラクターや北欧神話風の世界観、そして少人数のオンラインプレイなどが特徴。そんな本作を継いだ新作ゲームが、現在開発中の「Vindictus: Defying Fate」というわけだ。
「マビノギ英雄伝」は少規模のオンラインプレイ、いわばMORPGを採用したゲームだったが、「Vindictus: Defying Fate」はシングルプレイ重視の高難易度アクションRPGとなっている。最大4人でのマルチプレイモード(後述)もあるが、基本的には1人で戦うことになる。
「マビノギ英雄伝」のようなオンラインRPGは、リアルな仲間(人間)の協力が不可欠になるケースがしばしば。だが、「Vindictus: Defying Fate」のメインクエストは、他のプレイヤーが参入できない仕様になっている。ジャンルとしては、ソウルライクと言うとイメージしやすいかと思う。プレイヤー自身の力で困難を乗り越えてほしいという、開発側の思いが込められているように感じられた。
本作は高難易度アクションがウリになっているためか、1人での攻略が厳しいと感じる人もいるだろう。そういうときに役立つのが「仲間NPC」だ。一部のエリア以外であれば、仲間NPCを同伴させることが可能。従来のソウルライクアクションゲームに実装されている、NPCの召喚システムに近い。1人での攻略が難しくなった場合は、仲間NPCを有効活用することが吉と言える。
仲間NPCは積極的に攻めてくれる点がメリットだが、回避とガードの能力が乏しいためか、致命的な攻撃を食らって勝手に自滅してしまう点がデメリットだ。しかも、倒れた仲間NPCの蘇生は少々時間がかかるため、構いすぎると状況によっては攻略のお荷物になってしまうことも……。
つまり、本作の仲間NPCはプレイヤーをサポートする立場であって、敵を瞬殺してしまうほどの強さは持ち合わせてはいないということだ。結局のところ、プレイヤー自身の力が攻略のカギとなるわけだ。
可能であれば、失敗を積み重ねたうえで勝利の達成感を味わってほしいのだが、1人での攻略が難しいと思ったら仲間NPCを同伴させるといいだろう。己自身の力で強敵に挑むか、仲間NPCの力を借りて共闘するかはプレイヤー次第だ。
ソウルライクを取り入れたハードコアな戦闘も魅力! でもデスペナルティがないからストレスはフリー
各要素に入る前に、全体のつくりについて述べておきたい。「Vindictus: Defying Fate」は、死にゲーの代表格である「ソウルライク」のジャンルを採用している。ソウルライクさながらの骨太な戦闘が楽しめるが、最初から難しいわけではなく、だんだんと難易度が上がっていく仕様だ。プレイしていると序盤は簡単だったが、終盤からボスが急激に強くなり、何度も敗北を喫することになった。
従来のソウルライクは、死ぬとレベルアップに必要なもの(通貨や経験値など)を喪失する「デスペナルティ」が設けられている。レベルアップに必要なものを担保に、命がけの戦いを味わえる点がソウルライクの醍醐味だ。その一方、喪失のリスクが伴うゲーム性は、人によってはストレスの原因になることも。強敵に歯が立たずに挫折するパターンは、もはや”ソウルライクあるある”と言える。
だが、「Vindictus: Defying Fate」はそうしたデスペナルティを設けていない。いくら難しいとはいえ、負けても大事なものを失わずに済む。敗北時のストレスを感じず、気軽に再戦できる点がうれしいところだ。
ネクソンが手がけたソウルライクアクションゲームといえば、「アラド戦記」を題材にした「The First Berserker: Khazan」が記憶に新しい。本作はソウルライクらしいデスペナルティがあるものの、死んでも一部の経験値がもらえる仕様(ボス戦のみ)など、ストレスフリーを意識したつくりが好意的だった。
「The First Berserker: Khazan」といい、「Vindictus: Defying Fate」といい、「難しいけれども心が折れるほどではなく、何度も再戦すれば勝てるかもしれない」のバランスが絶妙と感じた。プレイヤーのフィードバック等で本作の難易度に調整が入るかもしれないが、パブリック・アルファテストの難易度ぐらいがちょうど良いと感じられた。
上記のバランス感と難易度設定の存在を含めると、「Vindictus: Defying Fate」はカジュアル寄りのソウルライクアクションゲーム、と言えるだろう。戦闘は徐々に難しくなっていくが、トライ&エラーは容易かつ快適であることが理由である。デスペナルティによる精神的苦痛を受けたくない人に最適なゲームと言えるだろう。
便利かつ気持ちいい、多種多様な戦闘アクション
「Vindictus: Defying Fate」の戦闘パートについては、雑魚敵が徘徊するフィールドを探索し、指定されたクリア条件を達成することが目的だ。今回体験したクエストのクリア条件はボスを討伐すること。雑魚敵を蹴散らしながらフィールドを進み、最後に待ち構えているボスを倒せばクリアといった流れだ。
本作を攻略するうえで重要なポイントは、「キャンプ場」を解放すること。フィールドの各所には、下記画像のような青い篝火が設けられている。篝火にインタラクトすると休憩ができるようになり、体力回復やアビリティの獲得などが可能に。おまけに、敵にやられたときのリスポーン地点も兼ねているため、キャンプ場はできる限り開放しておきたい。
本作は、マップ画面から次に向かうフィールドを選択して移動する形だ。自然と廃墟が広がる「北の廃墟」や氷に覆われた鉱山が特徴の「ホアフロスト・ホロウ」など、フィールドの種類は多彩。撮影した風景を並べるとオープンワールドの印象を受ける人もいるかもしれないが、基本的には一本道となっている。
雑魚敵は指定された場所を徘徊していて、プレイヤーが近づくと戦闘が始まる。広く開いた場所や高低差のある場所など、敵の配置パターンは様々だ。雑魚敵の集団を広い場所に誘導してアドバンテージを得たり、高所にいる遠距離タイプの雑魚敵を優先して倒したりといった、柔軟な戦い方が求められる。
迫りくる敵に対して、プレイヤーは基本攻撃や強攻撃、固有アクティブスキル、回避&ガードなどを駆使して戦っていく。本作の戦闘アクションは多種多様だが、操作方法はいたってシンプル。序盤のチュートリアルをこなせば難なく習得できると思われる。
基本攻撃は与えるダメージが少ない一方でスピードが速く、強攻撃は与えるダメージが高い一方、スピードが遅い。基本攻撃と強攻撃を使い分けることも大事だが、戦闘でアドバンテージを得るには「コンボ技」が不可欠だ。基本攻撃と強攻撃を組み合わせることでコンボ技を発動でき、効率よく敵にダメージを与えられる。
また、キャラクター固有スキルやアクティブスキル、ガード&回避、「ジャストアクションシステム」と呼ばれるジャスト回避とガード、「ダウン&フィニッシュアクション」も効果的だ。発動すれば戦闘が有利になると同時に、発動が成功したときの達成感も得られる。
雑魚敵は上記のスキルを使用すれば問題ないが、ボスはガードや回避ができない特殊攻撃を繰り出してくる。たとえば、戦闘中に敵が発する黄色いエフェクトはガード不可で、赤いエフェクトはガード&回避不可だ。特殊攻撃を受けると致命的なダメージを負うので、ボスについては当然、雑魚敵よりもシビアな戦いを強いられるだろう。
ボスの特殊攻撃は回避以外にも、「ジャスト回避」「ジャストガード」が有効なものもある。ボスが発する青いエフェクトを合図に、タイミングよく攻撃を回避、もしくはガードするとジャストガードかジャスト回避が可能(回避方法はプレイアブルキャラクターによって異なる)。スローモーションになったら成功の証しだ。しかもジャスト回避かジャストガードを成功させてから、ボスに強力な連続技やカウンター攻撃を与えられる。
筆者個人としては、ジャスト回避かジャストガードが成功した際に見られるスローモーションが魅力的だった。スローモーションから反撃までの流れを見ただけで、成功時の気持ちよさが強く湧いてくるからだ。戦闘の爽快感もまた、「Vindictus: Defying Fate」の強みと言っていいかもしれない。
注意すべきは、ガード&回避とジャストアクションシステムの内容はプレイアブルキャラクターによって異なることだ。たとえば、ガード、もしくは回避しか使えないキャラクターもいれば、両方使えるキャラクターもいる。ただ、アクションの内容が若干違うだけで、発動のしやすさはそこまで変わらないと感じた。とどのつまり、どのプレイアブルキャラクターを選んでも、気持ちいい戦闘が楽しめるというわけだ。
RPG初心者でもとっつきやすい、カジュアルな成長要素
基本的に「Vindictus: Defying Fate」はアクションだが、RPGの側面も持っている。本作を攻略するには、プレイアブルキャラクターを強くすることが肝心だ。
「Vindictus: Defying Fate」にはレベルの概念があり、戦闘で経験値を一定値まで上げるとレベルが1つアップする仕組みだ。本作では、ソウルライクでおなじみの「ステータスの割り振り(ステ振り)」がない。
ステ振りは、ポイントを使ってキャラクターの各ステータスを自由に調整できるというもので、多くのソウルライクアクションゲームで採用されている。メリットは理想のキャラクターを育成できることで、デメリットはポイントの振り直し、誤った方向性などによって適切な育成ができなくなることだ。そのうえ、ステータス効果の意味を理解する必要もあるため、慣れれば奥深いが、慣れるまでに時間がかかるというとっつきづらさもある。
「Vindictus: Defying Fate」では、レベルアップの時点で「攻撃力(Attack)」「防御力(Defense)」「体力(Health)」のステータスが上昇する仕組みになっている。要は、レベル上げをするだけでキャラクターが強くなる仕組みだ。
また、プレイアブルキャラクターの固有アビリティと共通アビリティのアンロックも簡単。戦闘やクエストで得たアビリティポイントを使用し、スキルツリーの中から必要なものをアンロックするというものだ。「好きなものを選ぶだけでOK」の認識で問題ない。
加えて、必要な素材と通貨(Hanner)を使って新たな武器を製作する要素もあった。製作した武器はあくまでもアクセサリーの扱いで、注目すべきは成長要素のひとつである「武器レベル」。武器レベルを上げることで、キャラクターの一部ステータスも上昇するという仕組み。そのため、レベルアップだけでなく武器製作も攻略の秘訣となる。ちなみに、必要な素材と通貨はストーリー進行で多く獲得できるため、回収作業が面倒と感じたことはなかった。
このように、本作の成長要素はシンプルでわかりやすいため、RPG初心者でも気軽に遊べると感じた。逆にいえば、自由度の高い育成を求めている人は物足りなさを感じてしまうかもしれない。
”世界でたった1人の主人公”を選択・創造・デコレーションする醍醐味
「Vindictus: Defying Fate」のパブリック・アルファテストで使用できたプレイアブルキャラクターは、「Lann(リシタ)」「Fiona(フィオナ)」「Delia(デリア)」「Karok(カロック)」の4人。この中から1人を選んで冒険することになる。
リシタは剣の二刀流、フィオナは剣&盾、デリアは大剣、カロックは巨大な柱といった武器を装備している。彼らは「マビノギ英雄伝」にも登場していたため、本作のファンはキャラクターの選択画面で胸を打たれると同時に、懐かしさを覚えるかもしれない。
また、各キャラクターは装備やアビリティの内容が異なっているため、選択の決め手になりうるだろう。チュートリアルでは各キャラクターを自由に切り替えて操作できるが、冒険へ旅立つには自分に合う1人を選ばなければならない。「どのキャラクターにしようか迷う……」と頭を抱えるプレイヤーは少なくないのでは、と予想する筆者である。
チュートリアルで基本操作を学んでから、決定した1名のキャラクタークリエイトを行う。体型や各部位、肌の調整、衣装の試着ができ、”世界でたった1人の主人公”を自由自在に創造できる。カスタマイズの幅が広いため、キャラクター職人の血が騒ぐこと請け合いだ。
ちなみに本編のプレイ中でも、プレイアブルキャラクターの外見を自由にカスタマイズできるようになっている。「試着室(Fitting Room)」では、衣装やヘアスタイル、メイクなどのアイテムを購入できるほか、所有している衣装の試着・染色、体格の調整が可能。世界でたった1人の主人公を自由にデコレーションできる点もまた、本作独自の魅力と言えるだろう。
懐かしさと美しさが融合したグラフィックに心を奪われた
パブリック・アルファテストでは、プロローグ以外のメインストーリーを一部だけプレイできた。公式サイトの情報によれば、「Vindictus: Defying Fate」の世界では人間とフォモールが争っていて、プレイヤーは人間側の勢力である「カルブラム傭兵団」の一員として戦いに身を投じることになる。
「Vindictus: Defying Fate」の特徴は、「マビノギ英雄伝」と同じ世界観であること。原作でおなじみの舞台やモンスターが続投しているため、ファンの多くは懐かしい感情に襲われるだろう。筆者は原作を深くプレイしてはいないのだが、「コルヘン街(Colhen)」「ノール(Gnoll)」「北の廃墟(Northern Ruins)」といったワードにニヤリとしたものだった。
加えて、目を奪われる美麗なグラフィックも魅力だ。「Vindictus: Defying Fate」は、最新のゲームエンジンであるUnreal Engine 5を採用していることがポイント。ライティングに加え、中世風の家屋やモンスターのフサフサ感、人間味あふれるキャラクターなども写実的で、昨今のAAAタイトルと比肩するほどのクオリティだったと言える。「マビノギ英雄伝」と比較してもその差は一目瞭然だ。
今回のパブリック・アルファテストは日本語が未実装だったため、本作の世界観やストーリーを深く理解することはできなかった。用語や舞台、モンスターは原作を踏襲しているものの、本作のストーリーは「マビノギ英雄伝」とつながっていないと思われる。そのため、完全新作の感覚でプレイできると感じた。原作ファンのみならず、原作をまったく知らない初心者も気軽に参入できるはずだ。
ボス再戦モードやオンラインレイドなどのコンテンツも多数
ここからは、「Vindictus: Defying Fate」の各種コンテンツをいくつか紹介しよう。筆者が特に気になったコンテンツは、「ボス再戦モード」「特別依頼」の2点だ。
ボス再戦モードは、文字通り「一度倒したボスと再戦できる」というもの。ボスを倒した場所に現れる裂け目にインタラクトすると再戦がスタート。ボス再戦のメリットはずばり報酬。通貨と経験値はもちろん、一定の確率でレアな素材が手に入ることもある。
再戦できる回数は限られているものの、キャラクターの強化に必要な作業と言っていいだろう。再戦時に戦闘の難易度を細かく調整できたらうれしかったが、そのあたりはリリース後のアップデートに期待したいところだ。
続いて特別依頼は、ソロもしくはマルチ(最大4人)で2体のボスに挑戦できるモードだ。オンラインゲームでよく見かける「レイド戦」で、勝利すれば攻略に役立つ報酬がもらえる。
今回は、筆者ひとりで「ホワイトタイラント」に挑んでみたが、開始数分であっさり負けてしまった。攻撃力と防御力が他のボスよりも高かったほか、激しい連続攻撃に太刀打ちできなかったことが敗因である。回避行動で精いっぱいだったため反撃する余裕がなく、敗北を喫したわけだ。強い、強すぎる……。
そのほか、ジェスチャーや報酬システムの「Kalbram Supplies」などのコンテンツも用意されている。どのコンテンツもプレイヤーの没入感を高めるものばかりで、思う存分遊んでみたいと思った次第だ。
国内でのサービス開始が待ち遠しい注目作!
「Vindictus: Defying Fate」のパブリック・アルファテストを10時間程度プレイしたが、本作はプレイヤーの貴重な時間を溶かす、良い意味で恐ろしいゲームではないかという結論に至った。
先が気になるストーリーやソウルライク風の戦闘、リアリティあふれる美麗なグラフィック、遊びごたえのある各種コンテンツは、筆者の予想をはるかに上回る出来であった。一部気になる箇所もあったが、長所の部分が勝っているため現時点での満足度は上々だ。
「Vindictus: Defying Fate」をプレイして最も魅力的に感じた部分は、経験者も未経験者も分け隔てなく楽しめるゲーム性だ。チュートリアルや戦闘システム、成長要素も親切設計なので、多少難しいと感じても快適にリトライできるのが素晴らしい。ソウルライクはハードルが高いと思われがちなジャンルだが、本作はその入門編にふさわしいと感じた。ちょっと骨太なゲームに挑戦してみたい人に打ってつけだ。
「Vindictus: Defying Fate」のパブリック・アルファテストは、6月9日から開催される。発売前の本作を無料で試せるチャンスなので、気になる人はぜひプレイしてほしい。
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