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VRゲーミング最前線!「Oculus Connect 2」特別レポート その1

1,500人ものVRクリエイターが集結。大量の新情報も披露!

9月23日~25日開催



会場:LOWES Hollywood

 新世代VRの旗手Oculus VRによる開発者向けカンファレンス「Oculus Connect 2」が、9月23日から25日にかけて開催された。会場となったハリウッドの大型ホテルには世界中から1,500人ものVRクリエイターが集まり、Oculusによる最新VRデモの体験や各種技術セッションに参加。2016年第1四半期にも製品版ローンチが予定されているPC用VRシステム「Oculus Rift」の全貌が明らかになってきた。

 世界最大級のVRクリエイター向けカンファレンスとなった「Oculus Connect 2」の全貌を、数本のレポートにわけてお送りする。本稿ではまずその全体像を本稿でお伝えしよう。

【Oculus Connect 2】
およそ1,500人にものぼるVRクリエイターが集まった本イベント。E3やTGSでも見たことないような大量のデモルームが用意されOculus RiftやGearVR向けの最新コンテンツを大量に試せたほか、Oculusスタッフやサードパーティによる技術セッションを通じてVRコンテンツ制作の方向性もかなり明らかになってきた

【日本のVRクリエイター陣】
昨年の「Oculus Connect」では、日程がTGSに丸かぶりだったため参加が叶わなかった国内のクリエイターやメディア勢も、今年は大勢が参加。ゲーム業界陣を中心に大手からインディまで、筆者が把握できただけでも30名近く、実際にはその倍ちかい人数の日本人クリエイターの参加があったと見られる
開発者が自由に交流できるデベロッパーラウンジには、Oculus創設者にしてすっかりマスコットキャラ化した感のあるPalmer Luckey氏が出没。日本のゲームやアニメ好きで知られるLuckey氏、日本のクリエイター勢のデモを興味深くチェックしたり、にこやかに交流する姿が見られた

本格VRゲームが多数登場、1,000ドル以下のOculus Ready PC……キーノートスピーチで明かされた、ゲーマーも必見の新情報

Oculus CEO、Brendan Iribe氏
Facebook CEO、Mark Zuckerberg氏
「GearVR」は11月、99ドルで発売開始!

 24日に開催されたキーノート・スピーチではVRの一般化を進めるキーマンたちが多数登壇。Oculusが目指すVR時代へのビジョンが改めて語られると同時に、Rift製品版や対応コンテンツに関するたくさんの新情報が披露された。

 特に驚きをもって迎えられたのが、FacebookのCEOであるMark Zuckerberg氏が登壇したことだろう。Zuckerberg氏は、VRはテキスト→写真→動画と進化してきたコミュニケーション手段の新しい形であると語り、VRで大勢の人が繋がる“ソーシャルVR”の世界こそがきたるべき将来の形であると、そのビジョンを語った。

 これに続き各製品の発売時期も確認された。

 サムスンのGalaxyシリーズ向けのVRヘッドセットである「GearVR」は、今年11月に消費者向けの製品版がローンチ。製品版はGalaxy Note 5/S6/S6 edge/S6 edge+ に対応し、価格は99ドル(およそ12,000円)となることも明らかに。これまで流通してきた開発者向けバージョンのおよそ半額となる値段で、一般向けに本格普及を狙う。

【Oculus Arcade】
「GearVR」もゲーマー向けに大きく舵を切る。新発表された「Oculus Arcade」では、「GearVR」とBluetoothゲームコントローラーを使い、往年のアーケードゲームを、VR筐体を前にしてプレイできる

Oculus Arcadeにはアーケードゲームの雄であるセガ、バンダイナムコ、MIDWAYが参入済み。各社が1980年~1990年台にかけて展開した様々なタイトルがVR筐体で遊べるようになる

 ゲーマー的により気になるOculus Rift製品版は、2016年第1四半期の発売予定が改めて確認された。また、VRコントローラーOculus Touchは2016年第2四半期の発売となる。なお具体的な日付や価格については明かされなかったが、E3時点からスケジュールに変更がないことから、すくなくとも上記の発売時期はほぼ確実なものとなりそうだ。

 また、OculusではRift製品版のローンチに向け、公式のコンテンツ配信プラットフォーム「Oculus Platform」をローンチ予定。これはコンテンツの購入、プレイ、フレンドとのコミュニケーション等のソーシャル機能を統合するフロントエンドアプリで、VRとフラットスクリーンの双方で利用可能。いわばOculus版の“Steam”といった存在になるようだ。

Oculus Riftは2016年第1四半期、Oculus Touchは第2四半期との発売予定が改めて確認された。
Oculusコンテンツのための“Steam”のような立ち位置となるOculus Platform

Oculus認定PCが各社より1,000ドル以下で登場!

Oculus Rift推奨PCスペック

 Oculus Riftを快適に利用するためには、NVIDIA GeForce GTX 970 / AMD Radeon R9 290以上のGPUと、Intel Core i5-4590以上のCPUに、8GBのメインメモリという、推奨スペックを満たすPCが必要だ。これについて、Oculusでは新たにPCベンダー向けの認証プログラムをスタート。推奨スペックを満たしたPCに「Oculus Ready」ロゴを表示して販売できるようにするというものだ。

 さっそくOculus Ready認証を受けた第1陣のPC製品が、ASUS、DELL、ALIENWAREといった有名ベンダーから登場予定。しかもそれぞれのOculus対応PCは「1,000ドル以下の値段で販売される」と明言された。この施策は既存のPCゲーマーを盛り上げるのみならず、新たなゲーミングPCユーザーを掘り起こすことにも繋がりそうだ。

スペックを満たすモデルのPCに対応ロゴを付与
1000ドル以下の推奨PCが複数のメーカーから登場予定だ

Oculus Rift&Touch対応ゲームが続々

 そしてなにより気になるのが、コンテンツ面。Oculus Rift標準のXbox Oneコントローラーや、VRコントローラーOculus Touchに対応する、本格VRゲームやソーシャルVRコンテンツが多数発表されている。

【Oculus Connect 2 - Rift Games】

【Oculus Connect 2 - Touch Demos】

VR内で両手を駆使し戦う「Bullet Time」
「Minecraft」もついにVR版へ!

 中でも注目は、あのEpic GamesがVR専用タイトルとして製作中のVR-FPS「Bullet Train」。これはOculus Touchを駆使して体感的に遊ぶ、新しい形のガンシューティングゲームで、時間経過を遅くする“バレットタイム”アクションを使って敵の銃弾をつかみとり、投げ返すことでも攻撃できるという点がユニーク。体感型VRの面白さを最大限に引き出すゲームの1つになることは間違いない。

 さらに講演の中で、「Minecraft: Windows 10 Edition」がOculus Riftに対応予定であることも明かされた。「Minecraft」がVRで遊べるというだけでも楽しみだが、ここに、Windows 10ユニバーサルアプリのゲームがVRに対応可能であるという事実が暗に示されていることも重要なポイントだ。果たして、Windows 10 Phone等のデバイスでもVRで遊べるようになるのだろうか?

【Bullet Train Unreal Engine 4 Demo - Oculus Connect 2】

VRスカルプトアプリ「Medium」

セカンドカメラ付きでの出荷が明言されたOculus Touch

 Oculus謹製コンテンツも負けていない。今回新たに発表されたOculus Touch用「Medium」は、デジタルクリエイションの新しい形を提案する、VRスカルプトアプリ。Oculus Touchの付属アプリとして出荷予定だ。

 これはOculus TouchでVR空間内に持ち込まれた両手を多機能な“筆先”に仕立て、絵の具を空間にペイントするように立体物を配置したり、表面や内部を削って様々な形をつくることで、完全にVR内のみで立体物の創作を可能とするものだ。いわばVR版の「ZBrush」。VRならではの直感性、肉体性、デジタルならではの自由度が融合する新しいメディア。「Medium」という名称には人間にとっての新しい媒質になるという思いが込められている。

【Introducing Oculus Medium】

多数の大手動画配信サービスと提携

 ゲーム以外の活用にも積極的。20th century foxやLionsgateといった映画企業、Twitchをはじめとするライブ配信サイト、あるいはHuluやNetflixといったオンラインテレビサービスとの提携を発表している。GearVRやOculus RiftのVRシアター上で各社の既存映像コンテンツを楽しめるのみならず、VR専用おの映像作品の制作・配信も行なわれていく模様だ。

ゲーマー的にはTwitch対応が気になる。バーチャルシアターでe-Sportsを観戦?

Facebookによる360度ビデオや、映像関連各社によるVR向けコンテンツを皮切りに、バーチャルシアター上で多数の映像サービスが利用できるようにもなる

(佐藤カフジ)