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【JAEPO2015レポ】タイトー、Suicaやnanacoなど電子マネーでゲームがプレイ可能に

プレイ価格設定を柔軟に。アーケードゲームが変わる?

2月13日 発表

会場に設置されていたマシン。コイン投入口あたりにある小さな四角いボックスが「マルチ電子マネーシステム」

 タイトーはSuicaやnanacoの電子マネーでアミューズメントマシンをプレイできるようマルチ電子マネーの導入を予定していると発表した。5月に「タイトーステーション アリオ蘇我店」で導入/運営を開始し、2015年7月以降に同社の直営40店舗を対象に導入を順次進めていく。

 タイトーの「マルチ電子マネーシステム」は、Suica/pasmo/Kitaca/ICOCA/TOICA/manaca/SUGOCA/はやかけん/nimocaといった交通系の電子マネー、nanaco/楽天Edy/WAONといった流通系電子マネーのカードをアミューズメントマシンのコイン投入口付近に設置された端末にかざすと自動的に引き落とされ、ゲームをプレイできるようになるシステム。

 導入の対象ゲーム機は、「音楽ゲーム」、「大型ビデオゲーム」、「ビデオゲーム」、「プライズ(クレーン)ゲーム」、「プリクラ(プリントシール機)」。既存のマシンに繋げることになるため、これまで通りコインを使うこともできる。

 これまでアミューズメント業界は物価の変動や消費税の導入にもかかわらず、40年近くコインベースでの直接的な決済をベースとしてきた。電子マネーの決済が導入されると、購入データに関してすべてデータで管理され、プレイ金額を自由に設定できることもありこれまでとは大きく変わってくる。

 単純な値上げなどではなく、たとえばプライズの場合、「8日だから8%引き」といった具合に日にちによって割引率を変えるといったことが柔軟に可能となる。また、ファムリー向けの景品の売れ筋の時間帯などをデータ計測して、景品の入れ替えを行なったりすることも可能となる。

 また長いスパンで見ると、「マルチ電子マネーシステム」を前提としたゲームの登場も考えられる。ソーシャルゲームなどで見られる課金の仕組みを利用し、もう少し遊びたいときに100円を投入するのではなく数十円の課金でプレイできるようにしたり、アイテム課金制も考えられる。こういったシステムの導入がユーザーに受け入れられるのかどうかはわからないが、こういったシステムに限らずこれまでにないシステムでゲームの設計できるということは事実だろう。

 タイトーによれば、タイトーステーション新宿東口店で長期間にわたるテストを実施。来店者にもアンケートを採ったところ、プレイ中にコインの両替が発生したり不便だといった話も出たという。またオペレーター(店員)からも、毎日集金し一袋20kg近いコインの管理など、様々な点で問題点を指摘されたという。また、電子マネーカードを使用することでポイントがたまることも「お得感がある」といった意見も寄せられたという。

 「ジャパンアミューズメントエキスポ2015」に出展されていた「マルチ電子マネーシステム」を実際に試したところ、電子マネーカードをかざすとプレイ回数がカウントアップされ、これまで通りプレイすることができた。課金への心理障壁が低い上に、プリペイド形式であるため、チャージした分だけ引き落とされるということで、クレジットカードなどとは違い、ある意味歯止めがきくともいえる。ただ、同社は店舗内に電子マネーカードへのチャージ機も用意するとしている。

 発表会に出席した飯澤幸雄タイトー代表取締役社長は、「電子マネーは潜在的に需要が大きい。電子マネーを使いたいといった声が大きかった。システムの設置は10数億円の投資となるが、導入していく」と語った。

飯澤幸雄氏は「アミューズメント業界を変えるため、システムの設置は10数億円の投資となるが、導入していく」と決意を語った
電子マネー推進プロジェクトのサブリーダーを務める宮方詩穂氏。「電子システムを導入することで、よりスマートにゲームを楽しんでほしいとコメント」
全国の交通系、流通系の電子マネーカードを使用してタイトー系列の直営店でゲームをプレイできるようになる
オペレーション業界はここ数年、「右肩下がり(飯澤社長)」ということで、厳しい状況が続いている。今回のシステムの導入は、ある意味マーケティングの強化ともとれる
これまで40年以上、基本的にワンコインオペレーションで業界は突き進んできた。今回の少額決済が導入され、大きくシステムが変わることになる
利便性のアップなどユーザーメリットも大きいという電子マネーカードの導入
電子マネーのカード発行枚数はどんどん増えている。それに併せて決済額も増え続け、もはや生活に根付いているといえる
スピーディな決済や、その場で金額や計算を気にすることなく利用することができるのは非常に便利
5月から導入を開始し、来期は40店舗に設置する予定となっている
「『スペースインベーダー』をプレイするため、100円玉を積み上げた」や「日本中から100円玉がなくなった」といった逸話は過去のものとなる
日にちによって料金を変えることが可能になるなど、柔軟な運営が可能。たとえばショッピングセンターとして割引を設定しているときに、一緒に同率で割引額を設定するといったこともできる
従業員にとっても集金やコインと管理は大変だという
何時に何が売れているのかといったマーケティングも強化できる
長期的な視点でいえば、これまでとは違ったゲームの制作も可能となる
オリジナルデザインのカードを作成して集客に利用したり、ポイントを特別に付与することで他店との差別化を図ることができる
5月にタイトーステーション アリオ蘇我店に導入され、その後も順次導入が進められる予定
既存筐体に取り付けることができるので、コインも引き続き使用することができるという
この小さなボックスに電子マネーカードをかざす
カードをかざすと認識して引き落とされると共に、このように残高などの情報が表示される

(船津稔)