G-Star 2010レポート

【G-Star 2010】完成間近の大作MMORPG「TERA」体験レポート
キュートな新種族「エリン」でパーティープレイを体験!


11月18日~21日開催

会場:釜山国際展示場(BEXCO)

入場料:大人4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
学生2,000ウォン(前売り1,000ウォン)


2010年末には韓国で待望のOBTが開始される
ブースを案内してくれたNHNジャパンのイ・ハクソン氏

 「G-Star 2010」のメインスポンサーにもなっている韓国NHNは、最大規模のブースで「TERA The Exiled Realm of Arborea(以下、TERA)」、「Kingdom Under Fire 2」、「Metro Conflict: Presto」、「Asta」の4本のPCオンラインタイトルを出展した。このレポートでは、主力タイトルのMMORPG「TERA」を紹介する。他のタイトルの詳細についても後日紹介する予定だ。なお、NHNはG-Starの開催に先駆けてプライベートショウを行なっている。そちらでも各タイトルについて紹介しているので合わせて参照頂きたい。

 韓国では2010年末にオープンベータテスト(OBT)が開始される予定で、日本でも先日ティザーサイトがオープンして、いよいよ遊べる日が近づいてきた感があり、いやがおうにも期待が盛り上がってくる。「TERA」は昨年の「G-Star 2011」でも大々的にブースを展開していたが、あれから1年経ってもまだ作りこんでいる最中なのだから、そのこだわりは相当なものだ。

 例えば、エモーションのダンスは種族の男女ですべて違うなど、試遊台でもこだわりの一端を観ることができた。クローズβテスト開始当初は批判の多かった戦闘システムも、改良に改良を重ねて完成系に近づいてきている。このレポートでは、今回のバージョンからの変更点と、インスタンスダンジョンでのパーティープレイを紹介しよう。



■ 「G-Star 2010」=「TERA」と言えるほどのプロモーション展開

白を基調とした試遊会場。外には大行列が今か今かと順番を待っている

 「TERA」のブースは2階建て。1階はソロプレイ用で白を基調にしたすっきりしたイメージ、2階はパーティプレイ用で黒を基調にデコラティブに飾った対照的な作りだ。階段には額縁に入ったコンセプトアートが展示してあった。

 400億ウォン(約30億円)という巨額の開発費と3年の期間をかけた超大作だけに、プロモーションにもかなりリキが入っている。会場のエントランスや会場に隣接したホテルの壁にも巨大な垂れ幕がかかり、パンフレットの裏からチケット売り場までいたるところに「TERA」の名前を見つける力の入れようだ。

 NHNで1番の知名度を誇るタイトルだけに、試遊台には開場すぐから長い行列ができた。行列は閉会時間近くになっても途切れず、30分待ちの札を最後尾たくさんの人が並んでいた。試遊するとキャラクターのイラストが描いてあるカードがもらえる。このカードの抽選で当たるとポポリの顔になる毛布や、ロリポップキャンディーなどがもらえた。


【会場と「TERA」ブースの様子】
6画面の大モニター試遊台も用意されていた2階のパーティープレイ試遊台は、司令室のような雰囲気試遊が終わると、案内のお姉さんからプレゼントの引換券がもらえる
イメージガールの撮影コーナーも大盛況だった会場の向かいにある建物にも大きな垂れ幕がかかっていた会場のエントランスにも大きな垂れ幕を発見
会場の奥には各種族のイラストが展示されていた新種族「エリン」の姿も。イラストは魔法少女風だがランサーにだってなれる試遊した人が抽選でもらえるポポリの毛布とキャンディ。キャンディの由来は不明だ




■ 息もつかせぬ戦闘はアクションゲームのノリ

あらかじめすべてのクラスのキャラクターが用意されている。今回は見た目重視でランサーとソーサラーを使ってみた

 1階のソロ用体験コーナーでは7つのクラスを試すことができた。今回はその中から近距離クラスのランサーと、遠距離クラスのソーサラーを試してみた。「TERA」の戦闘はノンターゲッティングというMMORPGでは珍しいシステムを採用している。画面の中央には照準のマークがあり、マウスで照準を合わせてクリックやショートカットキーで攻撃を行なう。

 どのクラスでも戦闘のスピードはかなり早く、テンポも軽快だ。立ち止まっている時間は短く、常に動きながら戦闘している感じはFPSやアクションMOなどのほうが近い。棒立ちのまま片手でキーを押すだけや、カチカチクリックするだけのゲームとは完全に一線を画している。遊んでみて1番操作感が近いと思ったのはアクションMOの「ドラゴンネスト」だ。

 攻撃に使えるのは左右のクリックのほかに、そのクラスの特徴的なスキルを入れる「C」キーと数字やファンクションキーで発動するショートカットスロットがある。試遊台のショートカットスロットには回避やカウンターなどのアクションスキルや各種アイテムが入っていたが、カスタマイズは自由にできるそうなので、自分が良く使うものをクリックに割り当てて使える。

 また、例えばカウンターなどのように特定の状況が発動の条件になっているスキルは、その条件を満たした時にキャラクターの右側にアイコンが表示される。この時タイミングよくスペースバーを押せばスキルが発動する。とっさの状況でスキルを選ぶ必要もなく、非常に便利な機能だ。

 ランサーは盾と巨大なランスを持って、パーティーの壁となって戦うクラス。敵を自分の側に引っ張り寄せる技能や、敵を挑発してヘイトを集める技能が特徴だ。アタッカーとして武器が大きいために小回りが利きにくいが、高速で前方へ突進する技能もあるので決して動きが遅くはない。

 敵をひきつける技能は、引き寄せたい敵にターゲットを合わせて使うことで敵を鎖でからめ取って自分の側に引き寄せ、一定時間動けなくするというもの。スキルのTipを見ると使える距離は15mまでと書いてある。敵に照準マークを合わせるとマークの下に敵との距離が表示されるので、良く使う技はレンジを覚えておいて常に発動のタイミングを狙う感じになるだろう。ちなみにレンジの外でも技を使うことはできる。当然だが、当たらないが。

 挑発技能は自分を中心とした同心円状のすべての敵をひきつける範囲技能だ。「TERA」は乱戦になりやすいので、できるだけ多くの敵をひきつけるために移動しながらスキルを使うことになる。全体的に従来のMMORPGに比べてプレーヤースキルを必要とする局面が多く、それだけやりがいのあるプレイを楽しめそうに思えた。


【ランサーの戦闘】
ランサーのスキルには、ヘイトを上げるもの、敵を引き寄せるもの、シールドでの防御など盾としての技能が揃っている長くて重いランスは小回りが利きにくい。攻撃速度はかなり遅めだ
挑発スキルを使うと、黄色い円の範囲にいる敵のヘイトを自分に向けることができるその状況に適したスキルのアイコンが、画面中央辺りに自動的に表示される

 ソーサラーは、魔法攻撃を得意とするクラス。強力な範囲攻撃を持っているが、ローブ職のため体力は少なめだ。ターゲットが攻撃のレンジに入ると正面の照準がサークル状になる。魔法は詠唱に入ったところで放出場所が固定される。詠唱時間が長いと対象が効果範囲から出てしまうことがある。

 攻撃は上手く良ければダメージを食らわないが、PvEのモンスターも攻撃を避けるようAIが工夫されている。イ氏によれば、開発も相当この部分に気を使って調整を行なっているのだそうだ。「TERA」の高レベルのモンスターはプレーヤーに向かってただただ突進してくるだけの単細胞ではない。攻略のためには攻撃を当てる工夫や連携が必要になってくる。攻撃を仕掛ける方向によってもダメージが変化する。攻撃がどの部位に当たるかによっても、ダメージが多少変わるらしい。ただ部位損傷のようなシステムはない。

 ソロプレイでは、フィールドで自由に戦闘を試すことができた。周りにも試遊をしているキャラクターがたくさん戦闘していて、MMORPGらしい風景だ。過去のテストでは乱戦の中で起こる意図しないMPKが問題視されたりもしたが、AIの改善のおかげなのか、今回プレイでは他のプレーヤーがモンスターを大量につれてきてしまう、いわゆるトレイン行為は見られなかった。


【ソーサラーの戦闘】
ソーサラーの戦闘は雪国のエリア。キャンプのような場所にいるNPCからクエストを受ける範囲攻撃は強力だが発動に時間がかかり、その間にも殴られたり敵が移動したりする
少々見えづらいが、画面中央辺りに攻撃の照準があるレンジに入ると、この照準が円形に変わる




■ インスタンスダンジョンでパーティープレイを体験

 ブース2階のパーティープレイ体験コーナーではインスタンスダンジョンの戦闘を試すことができた。パーティーは4人のプレーヤーとガイド役のスタッフ1名の5人パーティー。筆者は今回は新種族「エリン」のアーチャーを選択。どこかの部屋のような場所でパーティーを組んだ後、リーダーが申請をしてインスタンスエリアに移動する。

 本来はもっと手ごわい敵がいる場所だが、今回は時間短縮のために敵の強さや数を調整したG-Star版だ。全員で敵を倒しながら進むが、敵が弱めに調整してあることもあり、雑魚戦ではそれほど役割分担を意識することなく、全員で殴って倒しまくっていくという感じだ。

 ある程度雑魚を倒して進むと、ボスのいるゾーンにたどり着く。このエリアには入口に扉があり、入るとボスの登場ムービーが流れる。ボス戦では、ランサーがボスを抑え、ヒーラーが背後から回復するといった役割分担が機能していた。途中、2度ほどわらわらと大量の雑魚が沸いた。ランサーが見えなくなるほどの数で、大量の敵をどんどん倒していく無双的な戦いになった。

 ここで力を発揮するのが上記で説明したロックオンだ。遠くから攻撃をする時、動き回る敵の中から特定の1匹に照準を合わせるのはかなり大変だ。そこで「C」ボタンを押しながらターゲットをドラッグすることで、複数の敵をロックオンして一気に攻撃できるようになった。

 この新システムは「フリーターゲッティング」と呼ばれている。ターゲットシステムの導入は、ノンターゲッティングという「TERA」の売りを否定するもののように思えるが、イ氏によると「このやり方が一番、オンラインゲームでのノンターゲッティグシステムで戦闘の良さを感じてもらえる」とのこと。ノンターゲッティグにこだわって戦闘を難しくするよりは、ライトユーザーでも簡単に遊べるようにと言う配慮のようだ。

 「C」キーを押しながらマウスをドラッグするとまとめて数匹をロックオンすることができる。ロックオンされた敵は緑のメッシュがかかる。この状態で攻撃すると、ロックオンした敵すべてにダメージが入る。確かにターゲット合わせでいらつくことなく、軽快な戦闘を楽しめた。

 今回ソロ戦闘とパーティー戦闘を試すことができた。シューティングゲーム寄りの戦闘は忙しく、FPSのようにチャットを使ったコミュニケーションを考える必要がありそうだ。だが、従来のMMORPGにはないスポーティーなアクション性、ワンミスが運命を左右するタイトさは、上手くいくとかなりの快感だ。

 といってもこのゲームは決してピーキーな操作を要求する高難易度のゲームではない。今回紹介したロックオンシステムも、カジュアル層に対する配慮だ。「TERA」が目指すノンターゲッティングシステムは、とんがったマニア向けではなく、誰もが楽しめかつやりこみ要素もたっぷりあるという贅沢なものなのだ。

「TERA」については、日本への展開について、「TERA」日本プロデューサーの潮田太一氏にインタビューをする予定なので、そちらの記事も楽しみにして欲しい。


【パーティープレイの様子】
インスタンスダンジョンは細い通路と敵のいる丸い広場がいくつかつながっているボスの登場シーンにはムービーが挿入される
ボス戦では、各クラスの役割分担が明確になる時折出てくる大量の雑魚は、範囲攻撃やロックオンでなぎ倒す



■ 新システム「フリーターゲッティング」など試遊版の変更点を紹介

 さて、今回出展されたのは、オープンβ版に近いものに制限を付けたG-Starオリジナルバージョン。あらかじめレベル35~45のキャラクターが用意されているので、その中から好きなキャラクターを選ぶ。昨年はまだ体験できなかったパーティープレイやダンジョンも体験できる。ちなみに現在のレベルキャップは60に設定されている。ただしこれは暫定的な数字で、今後変更の予定もあるようだ。

 このバージョンでは従来のバージョンから、以下のような点が変更されている。これらの要素は日本版にもβテストの段階から実装される予定だ。

・UIのカスタマイズ

 以前はできなかったUIの位置やサイズの変更ができるようになった。スキルの登録できるショートカットスロットの数は12から24に倍増された。残念ながら、アドオンによるUIのカスタマイズはサポートしていない。


TIPSに表示されるスキルや装備の説明も、以前より詳しくなっている

・新種族「エリン」の追加

 「TERA」には「ポポリ」というパンダのような獣人種族がいるが、その女性版として追加された。日本版では「ポポリ」は単一の種族ではなく、広く獣タイプの亜人種連合を指す「ポポリ連合」という意味合いになるだろうということだ。イ氏おすすめのダンスを収録させてもらったので、ぜひ見て欲しい。


耳としっぽのある少女の姿の「エリン」。内またのジャンプモーションがとても可愛い

【「TERA」プロモーションムービー】

・遠距離アタッカーにロックオン機能の追加

 体験レポートでも紹介した、遠距離アタッカー用の新システム。敵をロックオンすることで真正面以外の敵にも攻撃できる便利なシステムだが、従来のMMORPGのターゲットのようにターゲットしていれば位置取りに関わらず攻撃が当たるといったものではない。ターゲットしても、キャラクターの向きを変えてレンジから外れると消えてしまうし、攻撃しなくても一定時間で効果がなくなる。再使用には数秒のクールタイムが必要となる。

ロックオンした敵は緑のメッシュがかかった状態になる

・マウントの導入

 試遊台では馬に乗ることができたが、オープンベータ版以降は種類がもっと増えるそうだ。


試遊台で使えるのは武装を付けた馬。今後さらに種類が増えるそうだ

・3つめの大陸の追加

 今まで発表されていた2つのエリアに加えて、新しいエリアが追加された。


右側下部分のエリアが今回新しく追加された

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(2010年 11月 20日)

[Reported by 石井聡]