マイクロソフト、Windows phone向けアプリ配信サービスを12月開始

プロペの新作アクションなどゲーム各社も参入


12月上旬より サービス開始予定



マイクロソフト代表執行役副社長の堂山昌司氏
マイクロソフトモバイルコミュニケーション本部 本部長の越川慎司氏

 マイクロソフト株式会社は11月12日、Windows Mobile 6.5を搭載したスマートフォン「Windows phone」におけるアプリケーション配信サービス「Windows Marketplace for Mobile」の発表会を、ホテルニューオータニにて開催した。

 Windows phoneは、マイクロソフトのモバイル端末向けOSであるWindows Mobileを搭載したスマートフォンの中でも、最新のWindows Mobile 6.5を搭載したものを指す。そしてこのWindows Mobile 6.5における新機能として、「Windows Marketplace for Mobile」が提供される。なお日本ではまだWindows phoneの端末がなく、端末が登場する12月上旬からサービスが開始される予定。

 マイクロソフト代表執行役副社長の堂山昌司氏は、「携帯電話の出荷が減る中、スマートフォンだけは伸びている。世界では2009年に約2億台のスマートフォンが出荷されると言われているが、2012年には3億5,000万台が出荷されるだろうと考えている」と述べ、将来性の高さと期待を示した。

 次に、同社モバイルコミュニケーション本部 本部長の越川慎司氏が、Windows phoneの説明を行なった。まずインターフェイスについては、従来はスタイラスを使った細かい操作を前提にしていたものから、アイコンを巨大化して片手で操作できるUIに変更。日本のユーザーの「片手で操作したい」というニーズに合わせたという。

 新機能となる「Windows Marketplace for Mobile」は、端末上からアプリケーションを探して購入、ダウンロードできるもの。PCからも購入は可能だが、PCにアプリケーションをダウンロードするのではなく、同社のネットワークサービスで共通使用するWindows Live IDに購入情報を紐付けするという形になっており、同じWindows Live IDを使用するWindows phoneから改めてダウンロードする。

 他の携帯端末と異なる特徴としては、マルチタスクであることが挙げられる。会場のデモでは、アプリケーションをダウンロードしながら、ブラウジングなど他の作業に移る様子が見られた。ゲームに関しても、プレイ中にスタートメニューなどに遷移し、再びそのアプリケーションに戻ると、プレイの途中からゲームが再開していた。


「Windows Marketplace for Mobile」でアプリケーションを購入しているところ。リストから欲しいものを探して購入するという流れは、決済を含めてシンプルにできている

プロペ代表取締役社長の中裕司氏

 続いてパートナー企業によるアプリケーション紹介が行なわれ、ゲーム会社からも3社の代表者が壇上に立った。株式会社プロペ代表取締役社長の中裕司氏は、新作のアクションゲーム「IVY THE KIWI?(アイビィ・ザ・キウィ?)」を紹介した。ただ前に歩くだけのキャラクター「アイビィ」をゴールに導く2Dアクションゲームで、スタイラスで引いた線に沿って生まれるツタを使い、段差や穴、敵キャラクターを超えさせる。描いたツタを引っ張って弓なりにし、離した反動で「アイビィ」を飛ばすことも可能。

 中氏は本作について、「直接操作しないので最初は難しいが、思い通りに動かせるようになる。上達性が大切で、うまい具合にできたと思う。画面が高精細なので、絵本のようなグラフィックスにも気を使って作っている。全部で約50面ほど入っており、遊び応えもある。なぜタイトルに“?”がついているのかはクリアするとわかるので、たくさんの方に最後まで遊んでいただきたい」と語った。


「IVY THE KIWI?」。まっすぐ動くキャラクターの2Dアクションというと、中氏の代表作である「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」をイメージするが、実際の動きは、次々とツタを書くことで「アイビィ」が空を飛ぶように動く。グラフィックスともあいまって、浮遊感のあるゲームになっている

カプコン開発統括本部MC開発部長の手塚武氏

 株式会社カプコンの開発統括本部MC開発部長の手塚武氏は、「バイオハザード ディジェネレーション」を紹介。こちらは携帯電話やiPhoneで配信されているものの移植となる。手塚氏はWindows phoneについて、「携帯電話よりパワフルで、PCよりフレンドリーなスマートフォンは、これからますます伸びる分野だと思っている。これからも積極的にチャレンジしていきたい」と述べた。


「バイオハザード ディジェネレーション」

コナミデジタルエンタテインメント執行役員の上原和彦氏

 株式会社コナミデジタルエンタテインメント執行役員の上原和彦氏は、iPhoneからの移植となる「DanceDanceRevolution S」を始め、「ツインビー」、「グラディウスII」、「モバイル・パワフルプロ野球」など計6タイトルを12月に配信すると発表した。上原氏は「携帯電話では実現できなかったハイクオリティなゲームを提供できる。将来的には家庭用ゲームとWindows phone向けのゲームが相互連動するゲームができるのではないか」と語った。


「DanceDanceRevolution S」「ツインビー」「グラディウスII」
「モバイル・パワフルプロ野球」「コナミのソリティア」「コナミのナンプレ」

 会場ではこのほかにも、各社のローンチタイトルとなるアプリケーションが展示された。一般的な携帯電話のようなボタン操作ではなく、1点のみ認識するタッチパネルでの操作が前提となっているため、各社様々なアイデアでインターフェイスを作りこんでいた。

 この展示の中で、株式会社アプリックスはiアプリ自動変換ツール「Mobile Game Deployer」を出展していた。これは既存のiアプリを、Windows Mobileを始めとした他のオープンプラットフォームで動作するアプリケーションに変換するツールで、既にコナミデジタルエンタテインメントと、株式会社ハドソン、株式会社ジー・モード、株式会社セガが採用している。

 会場で「Mobile Game Deployer」を使って変換した各社のアプリケーションを体験できたが、いずれのゲームも処理速度や再現性に全く問題はなかった。ただインターフェイスはボタンがない端末に対応するため、バーチャルパッドを使用しつつ、操作方法にもアレンジが加えられていた。この辺りの調整はゲームごとに異なり、アイコンデザインなどを含め柔軟に対応できるようだ。


セガの「ベアナックル モバイル」。バーチャルパッドを押すとその方向に移動し、叩くように触ると攻撃する。敵に近づいたら、敵のいる方向を連打すれば攻撃するという仕組み。価格は未定セガの「ガチンコ★ベースボールMOBILE」。EZweb版の移植で、バッティング時はタイミングよくボタンを押すというものだったが、こちらでは画面のどこかを叩けばいい。価格は未定サン電子株式会社の「上海」。同じ絵の牌を選んで消していく定番パズルゲームで、見たまま牌をタッチすればいいだけ。価格は700円
株式会社タイトーの「パズルボブル」。画面下にある赤いラインより下を触って左右に動かすと、射出方向が変わる。射出は赤いラインより上をタッチする。価格は600円ハドソンの「ボンバーマン」。PCエンジンからの移植で、画面に触れて指をスライドさせた方向にキャラクターが移動。画面を叩くと爆弾を置く(下のアイコンを押してもいい)。価格は未定ハドソンの「高橋名人の冒険島 復刻版」。ファミコンからの移植と、アレンジ版を同時収録したもの。画面下のバーチャルパッドで移動。攻撃は敵が画面に入ると自動連射で行なわれる。価格は未定
ジー・モードの「スケボーマンJet」。右方向へ走り続けるので、障害物などをジャンプで避けて進む。ジャンプ操作は、画面に触れて上に弾くように動かす。同社は既に20タイトル以上をラインナップしている。価格は未定ツェナネットワークス株式会社の「Xroads」。交差点を走る車を事故なく走らせるというもの。車をタッチすると加速するので、全体の様子を見ながらうまく調整する。価格は300円ツェナネットワークスの「Spring Star」。ドリルのような機械で岩を砕き、その下にある栓を壊せばクリアとなる。岩は物理演算で動いており、崩れたり上から降ってきたりする岩が頭に当たるとミスになる。価格は300円
株式会社スティングの「将棋対局1417」。シンプルな将棋ゲームで、動かしたい駒をタッチした後、移動した居場所をタッチするだけ。CPUのレスポンスが早いのも特徴。価格は未定iアプリ自動変換ツール「Mobile Game Deployer」を出展したアプリックス。移植を短時間で行なうとともに、作業量を減らせるのが魅力

(C)2009 Konami Digital Entertainment

(2009年 11月 12日)

[Reported by 石田賀津男]