ニュース

「ブレイドアンドソウル ワールドチャンピオンシップ」の勝者が決定

4,000人が見守った決勝大会。初めて準決勝に挑んだ日本人選手の順位は?

11月13日、14日開催

会場:映画の殿堂 野外劇場

 韓国NCSOFTは、釜山で開催中のゲームショウG-STAR 2015」に合わせて「ブレイドアンドソウル トーナメント 2015 ワールドチャンピオンシップ」の決勝大会を開催した。「ブレイドアンドソウル」は武侠世界を舞台にしたWindows用MMORPG。ゲーム内には「比武」というオートマッチングで気軽な対人が楽しめるコンテンツがある。

準決勝戦2戦目は日本人のマスモトユウヤ選手と韓国人のJungho Yoon選手が戦った

 ワールドチャンピオンシップは、現在「ブレイドアンドソウル」がサービスされている日本、韓国、中国、台湾の4カ国で比武の成績優秀者を選抜し、その上位入賞者が世界一を目指して激突する。優勝者には4,000万ウォン、準優勝者に2,000万ウォン、3位には1,500万ウォンが賞金として贈られる。

 今回のトナーメントでは、日本人のマスモトユウヤ選手が4強に残るという快挙を決めた。13日に3人の韓国人選手とマスモト選手による準決勝戦が開催され、14日に決勝戦が行われた。

 また、大会の前には、この大会のために1日限り上演されるミュージカル「墨華魔女 ジン・ヴァレル」の舞台が上演された。プロジェクションマッピングやフライングを駆使した舞台は、「ブレイドアンドソウル」の敵役であるジン・ヴァレルを主人公に、ゲームのチュートリアルに当たるムイル峰の襲撃事件が描かれる。天下四絶や、ホン門派の弟子たちも登場し、殺陣あり、ラップあり、タップダンスありの派手にショーアップされた舞台だった。

 このレポートでは準決勝戦と決勝戦の様子をお届けしたい。韓国でのe-Sports人気と、賑わいを感じていただけると幸いだ。

【ミュージカル「墨華魔女 ジン・ヴァレル」】
ミュージカル「墨華魔女 ジン・ヴァレル」の様子。上演時間は約1時間。単体でも十分お金を取れるレベルのクオリティの高い舞台だった。ジン・ヴァレル役の女優が朗々と歌い上げる主題歌に、会場は静まり返って聞き入っていた

本場のショーアップされたステージに、日本人が初めて立った

観戦用の画面。対戦格闘ゲームのようなUIで、お互いの状態が一目でわかるように工夫されている
優勝カップと、「ブレイドアンドソウル」のコスプレ姿のコンパニオンさん

 決勝戦の会場となったのは、釜山国際映画祭の会場でもある映画の殿堂の外にある屋外劇場。4,000人を収容できる広大な会場は、入場有料にも関わらずほぼ満席の状態。観客はスマートフォンに応援メッセージを表示させたり、手書きのイラストやアイテムを掲げて選手を応援する。観客には女性も多く、ゲーム大会というよりもライブ会場のような雰囲気。

 ここで、大会の流れについて説明しておこう。まずはそれぞれの国ごとにゲーム内で予選が行なわれた。日本では6月17日から8月5日までのシーズン1と、8月5日から9月16日までのシーズン2が開催された。参加方法は、ゲーム内から「比武大会」に参加する。シーズン期間中に大会に勝利すると、ランキングに合わせてポイントがもらえる。このポイントの総合獲得数を基準にして、国内の決勝大会への進出者8名が選ばれた。

 10月3日に秋葉原で8人による国内決勝大会が開催された。この国内決勝大会に残った競合の中から、海外の大会に参加が可能なマスモト選手、イトウカズキ選手、ミズノタツキ選手、ヒロタコウイチ選手の4名が、日本代表として世界大会へ出場した。

 世界大会は、日中韓台それぞれの4人チームによって、まず11月6日と7日にソウルのヨンサンで準々決勝が開催された。ここで勝利した4人が、釜山での決勝大会に参加した。参加したのは、日本のマスモト選手と韓国のJaesung Lee選手、ShinKyum Kim選手、Jungho Yoon選手。

 「ブレイドアンドソウル」の武功ツリーには複数のルートがあり、ゲーム内でもいつでも自由に組み替えることができる。パーティ用、ソロ用、対人用とキャラクターの性能を気軽にカスタマイズできるのは本作の大きな魅力でもある。トーナメントでは、どの武功をセットしているのか、それをどのタイミングで使っているのか観客に見えるようになっている。

 e-Sportsが文化として定着している韓国では、メディアの取材でも「この武功を使う作戦と聞きましたが、どうでしたか?」と、サッカーのフォーメーションや野球の打順のように聞いており、武功選びが戦略として重要であることが伺えた。

【会場の様子】
手作りの応援グッズで選手を応援している人がたくさんいた。スマホやタブレットで文字を表示されている人も多かった
ステージの左右にある選手のブース。中に入ってヘッドフォンをしていても歓声が届いて緊張するとマスモト選手が語っていた
試合前のセッティングタイムにも、ずっと応援の歓声が響いていた
試合の様子はネットでも生中継され、実況と解説のアナウンサーが試合を即座に分析していた

神業クラスの応酬。強豪韓国を相手に孤高の戦いの結果は

1勝して健闘したものの、圧倒的な力の差を見せつけられた形になった

 準決勝のルールは、トーナメント方式の3勝先取。観戦用の画面には、両者の生命力、内力、軽力が対戦格闘ゲームのように画面の両側に並んでいる。他にもセットしている武功や、戦っている最中の異常状態がわかりやすく表示され、とかく見ただけではわかりにくいMMORPGの戦闘を、観客も楽しめるよう工夫されている。

 準決勝第1戦はLee選手の魔道士と、Kim選手の邪術士の対戦で、Kimが圧倒的な強さを見せて3-0で勝利した。2試合目は、マスモト選手の滅砕士とYoonの魔道士の対戦。滅砕士はパーティプレイでは盾的な役割を果たす近接の物理攻撃職。対戦相手の魔道士は、術で攻撃する遠距離の魔法職だ。攻防のバランスに優れる破砕士は比武では強職として人気がある。逆に防御力の弱い魔道士は本場韓国でも圧倒的な少数派だそうだ。そんな中、勝ち抜いてきた2人は、それだけでずば抜けた強さの持ち主だとわかる。

 「ブレイドアンドソウル」の戦いでは、状況に応じて使用可能になる各種の武功をうまくつないでコンボを作り、相手に攻撃の好きを与えずにダメージを叩き込むかが重要だ。たくさんのカウンター技があり、カウンターから繋がるコンボには強力なものが多い。そのため、下手に仕掛けると相手に攻撃のチャンスを作ってしまう。また、本作には回復職がなく、すべてのクラスが自己回復手段を持っているので、一発逆転がありうるところも見どころだ。

 準決勝戦では、マスモト選手が滅砕士の攻撃起点となる「旋風打撃」を繰り返しつつ、相手のリーチに入ろうとするが、Yoon選手はなかなか間合いを詰めさせてくれない。上手くコンボが決まって生命力を削っても、回復技で回復されてしまう。ようやく近づいても、今度は束縛技で浮かされ逆に生命力を削られる展開に。

 それでも2回戦には、激しい削り合いと自己回復競争の末に、マスモト選手がYoon選手をスタンして、一気にコンボで勝利した。だが、その後は再び近寄らせてもらえない一方的な展開が続き、結局3対1でYoon選手が勝利した。

 その後、Lee選手との3位決定戦では、マスモト選手が2敗した後、判定勝ちで1勝し、さらに今度は勝利を収めて2対2となった。勝利した瞬間には会場が大きな声援に包まれ、その日一番の盛り上がりを見せた。だが、最終マッチで惜しくも敗れ、4位が確定した。

 試合後にコメントを求めたところ、「負けたけれど楽しかったです。勝てないと思っていたので、1回でも勝てて良かったです」とマスモト選手。日本では比武大会の参加者が少ないため、練習する機会を得るのが難しいと語った。

 決勝戦はKim選手とYoon選手の対戦。4勝先取で優勝が確定する。試合は終始Kim選手がリードする形で進んだ。Yoon選手がからくも1勝したが、Kim選手の召喚獣との絶妙なコンビネーションの前に敗れ去った。勝利したKim選手は、応援に来ていた両親と共に巨大な優勝カップを掲げていた。

 マスモト選手にとってはアウェーの韓国だが、すでに熱心に応援しているファンがいて、試合終了後にはサインを求めるファンに囲まれていた。「ブレイドアンドソウル」は来年には北米欧州でのサービスがスタートする。トーナメントに参加できるほどにゲームが成熟するには少し時間が必要だろうが、今後さらに参加国が増えれば大会はますます盛り上がりを見せるだろう。

 今回、惜しくも4位に終わったとはいえ、日本人で唯一準決勝戦に出場し、世界中の「ブレイドアンドソウル」ランカーの中で4番目の強さを認められたというのは非常に素晴らしいことだ。今後、日本でも比武大会への参加が増えて、対人戦の面白さに気づく人が増えて欲しいものだ。

【表彰式の様子】
表彰式の様子。賞金の目録と記念品が手渡された。激戦は幕を閉じたが、すでに来年のトーナメントの日程も決まっているという。また熱い戦いがスタートする(画像提供 OGN)

(石井聡)