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SCEJA、河野弘プレジデントインタビュー
「予約された方にはお約束なので、しっかり確保しています!」
ゲームタイトルのラインナップからPlayStation Nowまで聞いてみた
(2014/2/21 00:00)
- 2月18日 収録
- 【プレイステーション 4】
- 2月22日 発売
- 価格:
- 46,179円(First Limited Pack with PlayStation Camera)
- 41,979円(First Limited Pack)
2013年の2月にニューヨークにおいて、電撃的に発表された次世代家庭用ゲーム機「プレイステーション 4」。その後、GDCやE3、gamescom、東京ゲームショウなど世界中で大きな展示会を経るごとに様々な情報がアップデートされ、2013年11月に一足先に欧米で発売され、その後アジアなど全世界各地で発売されていった。
そして主要国としては後発と言ってもいい形で、この2月22日についに日本でもPS4が発売となる。グラフィックスの進化はもちろんのこと、ソーシャルメディアへの情報発信力の強化、高感度6軸検出システムおよびタッチパッドを採用したワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK」の登場、セカンドデバイスとしてスマートフォンとの連携、PS Vitaを使ってのリモートプレイ……などなど、数々の機能強化が図られている。
同社調査における推計値ではあるが、2月8日の時点で全世界の実売台数が530万台と発表され、海外でのヒットを受け、日本でも確実に盛り上がりつつある。ということで、日本とアジアを統括するソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジアのプレジデントを務める河野弘氏に発売直前インタビューを敢行した。
PS4の話題を中心に、1月に米国で開催されたCESで発表されたPlayStation Nowなどについても伺ってみた。
本当に日本のユーザーの皆さんにはお待たせしました!
――PS4の発売を直前に控えた、いまのお気持ちをお聞かせください。
河野 弘氏: 気持ちとしては、やっと出せるという感じですね。事実として主要国の中で日本が最後、つまり“とり”ということですよね。それが残念だという声もすごく多かったし、……内側からも「なんで?」っていう声も聞かれたりして、非常に複雑な心境でしたからね。
もちろん、良いことも悪いこともありながらも、これが正しいだろうと思ってこういった選択をしたわけですし。そういった経緯がありましたから、「やっとPS4を日本で出せるね」と言う気持ちなのが、率直なところですね。
――ゲームファンに向けてお待たせしましたということですね。
河野 弘氏: そうですね。「なんで日本が後なんだよ」、「ソニー、SCEは日本の企業じゃないか!」とかいろんな意見があると思うんです。そういった声を上げてくれている人たちは、期待を持ってくれている人たちやファンの方々なんですよね。そういった人たちを少なくとも待たせてしまったことは、やはり残念だったし、苦渋の決断でした。でも、やっとお応えできるということですね。
――これからは前向きにと言うことですね。
河野 弘氏: まぁ、決断を下した時から前向きだったんです。
新しいプラットフォームを出すときは、(販売施策として)薄く広くやるといろんな混乱が起こります。「プレイステーション 3」の時もそうでしたけど、売る人たちも(数が少ないと)「こんな量でお客さんをどう捌けば良いんだ?」と感じるんです。商品を欲しいと言ってくれるお客さんのニーズと、供給できる数のバランスがとれていないと、売り場にも迷惑を掛けるし、買えないお客様に対するご迷惑もあります。ですからきちんと数を揃えていって、主要マーケット一つ一つの波をを作っていかないと、混乱が世界中で起こることになります。
そういった意味でも地域ごとにキチンと立ち上げていこうという戦略を作ったんですね。じゃ、どういう地域から行くかということで……各地域のお客様が期待しているタイトルの揃い具合をみると、やはり日本のマーケットでは日本のタイトルが期待されるわけです。たとえば調査を行ない「発売日にどのタイトルを購入しますか?」と聞くと、日本のタイトルが上位10タイトルのうち4~5本挙がってくるんです。
発売日、発売間近という点で言えば、「龍が如く 維新!」、「真・三國無双7 with 猛将伝」、「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」、そして「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の名前が挙がるんです。こういったタイトルが揃っているかどうかが、日本のマーケットに新型ゲーム機を導入するときに大事なんです。もちろん欧米のタイトルを熱望しているユーザーさんもものすごくたくさんいらっしゃるので、両方ですけどね。
そういった市場性を考えると、発売は国産タイトルのラインナップがある程度揃ったタイミングを選ぼうかということで2月を選んだんですね。そうやって決めた発売日を迎えることができて、ある意味ホッとしていますし、これからですよね。
いまゲーム会社さんは急ピッチでゲームタイトルを制作中。年末に向けてのラインナップにも期待できる?
――私も最初は残念な気持ちがあったのですが、一方で、海外で発売され盛り上がりを見せ、その盛り上がりが日本のユーザーにも伝染してきて、流れが良くなってきた感じもあるのですが?
河野 弘氏: ゲームに限らず世の中全体に言えることだと思うのですが、今の日本は一般的に言って、勢いに多少欠ける、いわゆる「コンサバ」な状態だと思うんですね。そういった意味では海外で先に発売され、まず北米で24時間で100万台いきました。PS3の時は100万台いくまで約2カ月かかっているんです。それがPS4では1日で達成したことから「あれっ? すごいね!」ってなった。
その勢いがいまもずっと続いているので、順調に数は伸びているし、欧米のマーケットでも在庫がない状態で、きわめて順調なんです。そういった意味での“盛り上がり感”が日本にも入ってくることによって、ユーザーさんもですが、なんと言ってもゲーム会社さんが「PS4のゲームを作ろうよ」という話になっているんです。それは我々にとってはすごく良いことですね。
やっぱり据え置機ってどこまで行けるんだろうって不安はあると思うんですよね。ですから、PS4の実売の数字を見てゲーム会社さんからは「心強い」と言ってもらえるし、「PS4に賭けてみたいね」と仰ってくださるところもあります。
ゲーム会社さんはいろいろなポートフォリオをお持ちで、いろいろな携帯機もあれば据え置き機もあり、いわゆるスマートフォン系のゲームも開発していらっしゃいます。彼らはいろいろやっていく中で、「家庭用の据え置き機はどうなのかな?」って感じてらっしゃると思うし、現に開発のリソースをスマートフォン用タイトルにシフトされた会社さんもいらっしゃいます。
ただ、ゲーム会社さんの開発陣の中には、本格的にやり込める家庭用のゲームを作りたいという声ってすごく強いんですよね。今回はPS4の売れ行きが好調であるのと、(リモートプレイで)PlayStation Vitaでも遊べることがゲーム会社の方からすると、納得感、安心感があって「大急ぎで作る!」と言ってくださる会社さんが増えました。
ですから現在ローンチタイトルが30タイトル近く、そこから「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」や「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」も含め、その後も作り始めてくれていますので、非常に楽しみですね。
――では、ローンチタイトルだけでなく、年末に向けてのラインナップにも期待できると言うことですね?
河野 弘氏: そうですね、順調にリリースされると思います。やはり日本のタイトルが出てこないと盛り上がらないんですよね。
――確かにローンチタイトルとして日本のタイトルも並んでいますし、アンケートで「どのタイトルを買いますか?」と聞くと「龍が如く 維新!」を挙げる人が多いのですが、PS4でしか遊べない「KILLZONE SHADOW FALL」など、「海外のタイトルが多いよね」といった印象を持つ人も大勢いらっしゃるようです。
河野 弘氏: そうですね。やはり据え置き機のマーケットは海外が非常に大きいです。海外のゲーム会社は、マルチプラットフォームで大作をたくさん作っているわけですから、ある意味、強くて当然かなと思っています。
ただ、PS4が出た後に、いろんな機能を使ってどんなタイトルを作るか? いわゆるスペックを追い求める路線もあると思います。確かに国内のパブリッシャーさんの中にも「欧米のゲーム会社と勝負をするんだ」という考えの方達もいらっしゃいます。一方で、新機能を使って遊び方を工夫してみようという、アイディア勝負のゲーム会社さんもいらっしゃいます。インディゲームも含めて、いろんな参戦の仕方があるというのが、これから楽しみなところでもあると思います。
――PS4がユーザーを引きつけているのはどういった理由からだと思いますか?
河野 弘氏: いろいろな要素があると思うのですが、まず1番は、価格設定が許容範囲に収まっているいう点が重要なポイントとしてあります。「えぇ?」っていうような価格だとこういったムーブメントは起こらないですから。
そしてグラフィックスや処理能力がすごく上がっていることは、海外のお客さんを特に引きつけている大きな要因ですね。
もう1つは、SHARE機能のようなソーシャルとの連動、情報の発信力のところですね。北米で発売して11月15日から1月6日の間に取ったデータでは、SHARE機能を使ってライブ配信をしている件数が「170万回」という数値が出ているんです。それをものすごい数の人が見ています。ボタンひとつで簡単にライブで配信ができて、それを見ている人も盛り上がる。このユーザー同士をつなげているところが盛り上がりの1つの要素かなと感じています。日本も同じような盛り上がりを作りたいなと思っています。
――現在、「SHAREボタン」でのライブ配信は「実況」に使うといった印象が強いですが、弊誌アンケートでは、実況は少し敷居が高いように感じている人が多いようです。でも、いろいろな使い方があって、「解き方教えて!」といった攻略本的な使い方もあると思いますし。
河野 弘氏: ユーザーさんが使い方を考え出すというか、いろんなことが起きるんじゃないかなと思いますね。カリスマプレーヤーにフォロワーが付いて見て楽しんだり、ゲームメーカーさんがマーケティングに使うこともできますし、おっしゃったようにユーザーさん同士が助け合うといったコミュニティの形成の場となるかもしれません。使い方をユーザーさんが編み出していける要素があるので、どういう風に使われるのか、すごく楽しみな部分です。それは注目を集めると思いますね。制作側も、作り手も、ダイレクトな繋がりといえますし。
海外などでは「プレイルーム(THE PLAYROOM)」を使って、けっこう顔出しをしている人もいます。生活している風景やパーティの様子をただ流している人もいます。いろいろと遊び方を工夫して楽しんでくれたらいいかなと。そして毎日、PS4を起動してくれることがすごく重要です。PS4を中心にしていろいろな繋がりを作っていく。その繋がりはプレイステーションの中で閉じているのではなく、スマートフォンやタブレットPCでも見ることができ、メッセージを送ることができる。
そういった繋がりができることを考えると、そこに工夫の余地があるんじゃないかなという気がします。メッセージが送られてくることでゲームの状況が変わるとか、すでに「龍が如く 維新!」で実現していますし、見ている人が参加できるといった繋がりを演出できればなぁと思います。