ニュース

【G-STAR 2013】Wargaming.net、「World of Tanks」の日韓戦を開催

CEO、Victor Kislyi氏にインタビュー。アップデートで登場する日本戦車の情報も!

CEO、Victor Kislyi氏にインタビュー。アップデートで登場する日本戦車の情報も!

Wargaming.netのCEO、Victor Kislyi氏
「World of Tanks Xbox 360 Edition」はリビングで快適に遊べるようインターフェイスが改良されている

 「G-STAR 2013」のBtoBブースで、Wargaming.netのCEO、Victor Kislyi氏から話を聞くことができたので、インタビューの様子をお届けしたい。

―― 「G-STAR 2013」にはXbox 360版の「World of Tanks Xbox 360 Edition」を出展されましたが、PC版との違いはどんなところですか?

Victor Kislyi氏PC版ではある程度成功してヒットしました。アメリカ等ではPCよりもコンソールで遊んでいる人が多いので、Xbox 360版を開発することになりました。PC版ではモニターからちょうどいい距離でしたが、リビングルームではテレビからの距離が離れているので、PC版とは別のゲームスタイルになります。ゲームの内容についてはほぼ同じですが、インターフェイスはかなり異なっていますので、別なゲームと考えられますね。

―― コンシューマで出して欲しいという要望はかなり多かったのですか?

Kislyi氏そうですね。それがわかったからこそ、Xbox 360バージョンを開発することになりました。

―― かなりカメラが戦車に寄って、TPS視点に近くなりましたね。

Kislyi氏演出の面でもかなりエフェクトに力を入れていて、PC版よりもリアリティが増しています。

―― 現時点ではXbox 360版のみですが、今後PS3版や次世代機へのサービスも考えられますか?

Kislyi氏現在のコンソールではマイクロソフトとの独占契約になるため、Xbox 360版のみになります。次世代機については、Xbox 360版の結果をみながらどうするかを判断したいと思っています。

―― サーバーはPC版とは別になるのですか?

Kislyi氏別のサーバーになります。Xbox 360版はすべてマイクロソフトのシステムを通るので、別になります。

―― 例えば韓国のXbox 360版の場合は、韓国のXbox 360ユーザー専用になるわけですか?

Kislyi氏そうなります。PCプレーヤーと一緒にはプレイできません。

―― Xbox 360版のPC版と違う楽しみ方ができる部分はどういったところですか?

Kislyi氏PC版よりも戦闘のペースが早くなっています。開発はシカゴのチームが行なっているのですが、このチームは12年前からコンソールを開発している方が多いので、そのノウハウを活かしながらコンソールに一番合うゲームプレイを研究してもらいました。

―― コントローラーで操作をするうえで、一番開発に苦心した点はどこですか?

Kislyi氏かなり難しいことなので、開発には半年くらいかかりました。一番苦心したのは、バランスよくスムーズに動かすことです。ご存知のように戦車は軌道部分とは別に砲台も動きますので、ジョイスティックでうまく操作できるよう工夫しました。マウスではホイールを使ってスムーズなズーム操作ができるのですが、コントローラーにはホイールがありません。そこでズームの操作を2つに分けて、普通のズームと遠距離射撃のためのエイミングズームという2つのボタンがあります。遠距離射撃の時には、アナログジョイスティックを押し込むことでエイミングズームモードになります。

―― 出てくる戦車の種類はPC版と同じですか?

Kislyi氏まったく同じです。

―― アジアでは韓国だけサーバーが分かれていますが、それはなぜですか?

Kislyi氏「WoT」は人が同じサーバーにたくさんいないとマッチングに時間がかかりますが、韓国にはユーザーがたくさんいるのでサーバーを分けています。フィリピンや日本などユーザー数が少ないところはシンガポールのサーバーにまとめています。もしこれから日本のユーザーが一定数以上に増えて我々が考えるクリティカルマスの人数に達すれば、日本クラスタでも専用サーバーが立ち上がるでしょう。

―― クリティカルマスとして考えている人数に達するとサーバーを分けるという戦略なのですね。その理由は、回線速度ですか?

Kislyi氏もちろんそれも理由の1つです。しかし、今日本のユーザーはシンガポールのサーバーでプレイしているのですが、Pingは非常に少なくほとんどダイレクト接続のようになっています。

―― 国によってプレイスタイルに違いがあると思いますが、それは理由ではないのですか?

Kislyi氏ある程度暴言などがないようにコミュニティは守っていますが、これは戦争ゲームで、撃ち合うことが挨拶の世界なので、プレイスタイルについてはそれほど違いはないと思います。

―― クラスターを細分化すると、将来その地域のプレイ人口が減った時プレイしづらくなるのではないかと思いますが、その場合は他の地域に統合されるのですか?

Kislyi氏もちろんなるべく離脱がないよう努力しています。5年、10年と続けていく為にマーケティングやPRをがんばってなるべく長くプレイしていただけるようがんばりたいです。

―― 日本でのローンチ後、日本人プレーヤーの動向は順調ですか?

Kislyi氏日本人プレーヤーはとても紳士的で、一度ハマるとそのままずっと続けるタイプのユーザーが多いです。今はまだ全体数では他の地域ほど多くはないですが、遊んでいただいているユーザーは皆さんしっかり遊んでいただいているので、今後さらに強化していきたいです。

―― アイテム課金型のオンラインゲームでは日本人ユーザーは他地域に比べて平均の課金額が高い傾向にありますが、「WoT」ではどうですか?

Kislyi氏同じです。他の地域に比べると課金率が高く、金額も高めです。

―― 12月にはいよいよ日本の戦車も登場しますね。

Kislyi氏まずはPCバージョンから日本の戦車が入ります。歴史に忠実に出そうと思っているので、たくさん勉強をしています。ウォーゲーミングジャパンのミリタリーアドバイザーもいるので、一緒に研究しながら情報を提供してもらったりしています。日本の戦車は軽戦車が多い印象ですが、実はそれだけではなく中戦車や重戦車やスーパー重戦車、100トン戦車もあります。プロトタイプがたくさん作られた国ですので、これからも研究しながらプロトタイプ的な秘密のプロジェクトも出そうと思っています。

―― 史実では実践投入されなかった戦車も使うことができるということですか?

Kislyi氏そうです。後は戦後以降の戦車もいくつか入りますので。

―― あまり現代の戦車を入れると、性能のバランス取りが難しいのではないですか?

Kislyi氏我々のゲームにはすでにロシア、フランス、ドイツで第二次大戦後から60年代までに作られた戦車が入っていますのでバランス的には問題ないかなと思っています。レーダーやミサイルなど電子的な装備のないものは入れようと思っていますので。

wot_08.jpg

―― 最新の戦車を出すとしたら、別のゲームになるということですね。

Kislyi氏現代の戦車戦は電子機器やミサイルを駆使して戦い、お互いの姿を見ながら向き合って撃ち合うような戦いではないので、まったく違うゲームになるでしょうね。未来にはそういったものも考えてみたいが、現在は「WoT」、Xbox 用「World of Tanks Xbox 360 Edition」、タブレット用の「WoT BLITZ」、リリースしたばかりの「World of Warplanes」とブラウザベースのカードバトルゲーム「WoT generals」という5つの別のプロジェクトが同時に進行中なので、そちらに注力しなければなりません。

―― 「World of Warplanes」は日本展開も予定されていますよね?

Kislyi氏「World of Warplanes」は3日前にロシアとヨーロッパでローンチして、いいスタートを切っています。これは我々の伝統的な手法で、まずはロシアでスタートして、 バグ取りやバランス調整をしてからヨーロッパとアメリカでローンチする。同時リリースではなく、少しずつ良くしながらリリースをする形です。今後は必ずアジアでも日本でも「World of Warplanes」をリリースする予定ですが、ローカライズであるとかポータルを開いたりと色々な作業があるので、だいたい2カ月程度の差がどうしても出てきます。リリースはするので、あとは時間の問題ですね。

―― 夏くらいですか?

Kislyi氏なんともいえませんが、そこまでではないかもです。

―― いろんなゲームがグローバル展開をする時カルチャライズに気を使っていますが、「WoT」はグローバルに統一的なサービスを提供していますね。そんな風に世界中で受け入れられる要因は何だと思いますか?

Kislyi氏我々がターゲットにしているユーザーは、どちらかというと男性です。特に若い男性は、世界中どこでもだいたい考えていることは一緒で、戦車にも強い愛情を持っています。ポリシーとして同じゲームルールと、同じ内容を提供したいと思っています。複数のバージョンを作りたくはないのです。その理由としては、今後もeスポーツに力を入れようとおもっているからです。自社で開催するウォーゲーミングリーグでは約2.5億円の賞金を出しています。WGC(World Cyber Games)にもゲームを出していますし、みんな同じ内容であればどこの世界のプレーヤーでも簡単に試合ができますから。

バーチャルコントローラーは自由な位置にカスタマイズ可能
戦闘中はチャットの代わりにアイコンによるサインで指示をだせるようになっている

―― モバイル版「WoT BLITZ」について、どんなゲームなのか教えてください。

Kislyi氏今、開発の最終段階です。プレイ体験は元のゲームと非常に近いのですが、マップはPC版よりも少し小さめになっています。対戦は15対15ではなく7対7という形です。現在多い、人差し指でクリックするだけのゲームよりはもっと進化したプレイを目指しています。Xbox 360バージョンと同じように、タブレットでも快適にプレイできるよう開発にがんばってもらっています。コントローラーの位置はカスタマイズ可能で、自分の好きな場所に移動できます。

―― タブレットでプレイする時に、一番やりにくいのはチャットかなと思いますが、そこはなにか対策がはいっているのですか?

Kislyi氏タブレット版では、アイコンでサインを出すことで指示ができるようになっています。 このゲームはMMORPGのように何時間もRaidをしてボスを倒すようなものではないので、ロビーでチャットをしますが、PC版でもゲーム中はそちらに集中して欲しいと思っています。

―― マップの数はPC版と同じですか?

Kislyi氏PCとはマップの容量やスケールも違います。それに最初例えば10マップだったとしても、その後追加していきたいと思っています。

―― プレイ可能なバージョンはiPad4以降ですか?

Kislyi氏iPad3でも可能ですし、環境は良くないですがiPad2でも動きます。iPad miniでも動きます。

―― ローンチ予定は?

Kislyi氏 まだ改善中で、Googleとアップルの審査もあるので、まだはっきりと発表はできませんが、来年のどこかですね。

―― リージョンはグローバルですか?

Kislyi氏グローバルリリースを目指していますが、もしかしたらできないところもあるかもしれません。今それを交渉しているところです。

―― 日本のファンに一言お願いします。

Kislyi氏日本のユーザー数はまだ他の国のレベルまでは達していませんが、とても紳士的で気持ちの強い選手ばかりなので、どんどんチームを組んでeスポーツの舞台に出て欲しいです。いままでもそういうチームはあったのですが、これからもっとチームを増やして、どんどんeスポーツの世界に入っていただきたいです。

―― ありがとうございました。

【「World of Tanks Generals」スクリーンショット】
戦車カードを集めるブラウザベースのカードゲーム

(石井聡)