「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」CBTレポート

細かい演出に原作ファンも納得できる、こだわりが光るブラウザゲーム


7月31日~8月3日 開催



 株式会社ストラテジーアンドパートナーズ(以下、S&P)が運営する「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」は7月31日から8月3日までのクローズドβテスト(CBT)「みんなでテスト」を行なった。

 本作は2011年1月から4月まで放送されたテレビアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」の世界観をベースにしたブラウザゲーム。プレーヤーはオリジナルの魔法少女を作成して、鹿目まどかや暁美ほむらたちおなじみの魔法少女たちと一緒に魔女と戦う。

 オンラインゲームではあるが、基本はソロプレイで他のプレーヤーと連携する要素は薄い。その代わりに、ゲームのUIからTwitterを呼び出すボタンがあり、ゲーム内のチャットとは別にTwitterで不特定多数とコミュニケーションを取りながら遊ぶことができるといった、ソーシャルメディアと連携した、いかにもPCゲームらしいコミュニケーション手段が用意されている。

 このレポートでは、4日間に渡って行なわれたCBTの様子や、実際にゲームをプレイしてみて感じたインプレッションなどをお届けしつつ、ゲームが目指している方向性を見ていきたい。





■ キャラクターメイキングは納得のハイクオリティ

アニメと同じように、最強の魔女「ワルプルギスの夜」が街を崩壊させるシーンからゲームが始まる

 本作は「魔法少女まどか☆マギカ」の世界をベースにしている。ゲームではアニメのストーリーは完全に押さえているという基本に立っていて、スタート時点からいきなりクライマックスのオンパレードになるため、もしアニメをまだ見たことがないなら、見た後でのプレイを強くオススメする。

 アニメのストーリーを簡単に説明しておこう。平凡な中学生の鹿目まどかは、ある日、謎の白い生物キュゥべえから「僕と契約して、魔法少女になってよ!」と依頼される。キュゥべえと契約すれば、魔女と戦う魔法少女になるが……。

蒼樹うめ氏の可愛いキャラクターと、シリアスでダークなストーリーのギャップがファンの心を掴んだ。特に、主要キャラクターの1人が第3話で衝撃的な最期を迎えたことで話題が沸騰。明るい雰囲気の中に常に不安がつきまとう独特の演出や伏線として仕込まれたSF的なギミックがあいまって、カリスマ的な人気を博した。

 プレーヤーは魔法少女になって、まどかたち主要キャラクターとともに魔女と戦う。キャラクターメイキングのバリエーションはかなり豊富に用意されており、フェイスパターンは20種類ある。これらを組み合わせて様々な表情を作れるので、自分好みに近づけることができる。

 髪型は前髪と後ろ髪でパーツが分かれていて、後ろ髪はロング、ショート、ツインテールとこちらもユーザーのニーズを十分満足させられそうな多彩なバリエーションがそろっている。

 「魔法少女まどか☆マギカ オンライン」を提供するゲームブランドConterideには、デジターボやグッドスマイルカンパニーというキャラクターコンテンツに明るい会社が企画・マーケティング協力を行なっており、このキャラメイクだけでも「わかってるなあ」と感心する出来だった。


表情の選択画面。全部で20種類の表情から選択できる上段が前髪、下段が後ろ髪の選択画面。各18種類が用意されているホームはロビーになっていて、他のプレーヤーの魔法少女を見ることができる




■ 主要キャラが全員登場するオリジナルストーリー

アニメと同じように、最強の魔女「ワルプルギスの夜」が街を崩壊させるシーンからゲームが始まる

 5人の主要な魔法少女が全員登場するオリジナルストーリーは章立てになっている。街を探索して結界の中に隠れた魔女を探すというアニメ通りに、街マップのあちこちに魔女が潜む結界があり、それぞれが1つの章になっている。

 1つの章はいくつかの戦闘マップに分かれていて、毎回1番奥にはボスがいる。1度クリアした後も、繰り返しプレイが可能だ。マップに入るには「行動ポイント(AP)」を消費する。

 初回には立ち絵を使ったアドベンチャーゲーム風のやり取りが挿入される。ゲームシナリオはアニメの脚本を担当した虚淵玄氏が監修に入っているだけあり、キャラクターイメージを損なうことなく、オリジナルストーリーが楽しめる。キャラクターの会話に声が入っていないのは残念だが、アニメとは違うストーリー展開が楽しめるのはファンには嬉しいだろう。オリジナルイラストも多数用意されているという。

 最初に使えるキャラクターは自分が作ったオリジナル魔法少女だけだが、ストーリーを進めていくとアニメの魔法少女たちをパーティーメンバーにできるようになる。最初は「暁美ほむら」で次が「美樹さやか」と、1人ずつ仲間が増えていく。

 仲間にしたキャラクターはプレーヤーキャラクターとともに成長していく。アクセサリーや武器を変えることもできる。アニメ通りにほむらに銃を持たせることもできるし、剣や弓を使わせることもできる。

 装備はすべてグラフィックスに反映される。戦闘中には持っている武器によってアニメーションパターンが変わる。すごろく画面の待機グラフィックスでは、そのキャラらしいかわいいモーションを見せてくれる。


イベントの戦闘シーン。レベル200のワルプルギスの夜には手も足も出ないオープニングイベントから核心に迫る展開なので、アニメを知らないと意味がわからないかもマップ画面。街のあちこちに魔女の結界が隠れている
可愛いデフォルメイラストで、ゲームの説明が挿入されるアニメに登場した魔女がそのままの姿でゲーム内でも大暴れするオリジナルストーリーでは、まどかも魔法少女として魔女退治に参戦している




■ サイコロを振りながら進むすごろくゲーム

魔女の結界の中は、サイコロをふって進むすごろくゲームになっている

 ゲームはサイコロを振ってマス型の道を進んでいくすごろく方式。1つのステージがすごろくの盤面のようになっているステージクリア型で、スタート位置から進んでゴールを目指していく。サイコロの目は1から5までで、6の場所にはまどかのイラストが書かれている。この目が出ると、「Free Move」で1から6までの好きな数字を選ぶことができる。

 マスには宝箱やくじ「キュゥべえBOX」のチケット、罠、回復薬などが置かれている。罠は赤いマスで、上からタライが落ちてきたり、はさみで斬りつけられたり、使い魔が襲ってきたりして体力を奪う。特に、爆弾が置かれたマスは大量のHPを削られるので要注意。

 ステージが進んでゴールまでの距離が長くなると、罠で体力を削られてゴールにたどり着く前にHPがなくなってしまうこともある。そうならないためにも、回復薬のマスに止まってHPを回復しておかなくてはならない。宝箱からは、CBTでは主にノーマルの武器が出ていた。

 ルートが分岐していることもあり、「キュゥべえBOX」チケットなどいいものが置いてあるルートは危険も多い。他にも、すごろくらしくゴール直前にスタートに戻されるワープゾーンがあったり、どんなことが起きるのかわからない謎のマスなど色々と趣向を凝らしてある。

 ゴールにはボスが待ち受けており、ボスとの戦いに勝てばステージクリアとなる。このバトルはターン性のオートバトルで、始まってしまうとプレーヤーが介入する余地がない。1ターンの攻撃回数は1回で、ターンが終わるたびにフィールド画面に戻って、またターンがスタートしてボスとの戦闘画面に切り替わり……という繰り返しが最大30回続く。

 初めて戦うボスならいざしらず、レベル上げのために何度も何度も戦うボスでも同じようにターンを待つ必要があり冗長さはぬぐえない。戦闘をカットして一気に結果に飛べるようにするか、それとも何らかの介入ができるような仕様に変えて欲しいところだ。


クエストの詳細。適正レベルや報酬などが確認できるそのステージのボスを倒すまでは、イベントシーンを見ることができる1番奥のマスに着くと、自動的にボス戦がスタートする
まどかのイラストのついた目がでると、好きな数を進める「Free Move」のチャンスボス戦は横視点のRPG風戦闘。プレーヤーは見守ることしかできないレベルアップすると、仲間が手をたたいて祝福してくれる




■ チケットを集めて、「キュゥべえBOX」で手に入れた武器を合成、強化

「キュゥべえBOX」はゲーム内で集めたチケットで引ける無料のガチャ

 装備は宝箱以外に、「キュゥべえBOX」からも手に入る。「キュゥべえBOX」は「バラエティ」と「期間限定」の2種類。現時点ではどちらもゲーム内で手に入るチケット3枚で1回引くことができる。

 「キュゥべえBOX」や宝箱で貯まったカードは合成して武器の装備に使える。ストーリーを進めていくうえで、武器の強化は必須だ。ボスには適正レベルがあるのだが、ノーマル武器のままそのボスと戦っても勝てる気がしない。

 レベルでも基本能力が上がっていくが、レベルはどちらかと言うとマップに入るための条件として設定されており、強さの根幹を支えるのは「キュゥべえBOX」で手に入る武器のレアリティや、その武器の合成などで、どのくらい強化するかに依存しているという印象を受けた。

 武器と並んでキャラクターを強化するもう1つの要素がスキルだ。スキルカードにはステータスを上げるもののほかに、特定の武器を持つキャラクターにセットするとランダムに必殺技を発動するものがある。この必殺技がかなり強力で、キャラクター3人がかりで何ターンも使ってやっと倒すような敵を、1度の攻撃でガリガリと削ってしまうような一発逆転要素になっている。


「キュゥべえBOX」には期間限定とバラエティの2種類がある「キュゥべえBOX」で手に入るスキルカード。レア度が高いほど能力も高く、イラストもいいものが入っている時々挿入されるまどかのリーチ演出
「キュゥべえBOX」を引くチケットはゲーム内で手に入れる武器の強化画面。材料のカードよりも強化のための予算が不足気味だったキュゥべえBOXには武器やスキルのほか、衣装やアクセサリーも入っている




■ 友達とのプレイはすべて非同期。オンライン要素は今後に期待

プレーヤー対戦では、不足しがちなコインを一気に稼ぐことができる

 ここまで紹介した内容は、ほぼソロで遊べる要素だが、オンラインゲームらしい対戦もある。対戦はロビーにいる魔法少女の中から3人を選び、自分を含めた4人で勝ち抜き戦をするというもので、非同期で遊ぶことができる。

 対戦は十字のマップの端から中央に向かって進んできた4人が中央で戦って勝者を決める。こちらも戦闘はオートバトルだ。

 フレンドとのチャットやメール機能はもちろん、CBTではTwitterでの座談会が可能だった。総じてオンラインゲームである意味は薄目だが、トレーディングカードゲームとしての側面もあるので、カードが出そろい、様々なデッキを組めるようになればそこに新しいやりこみ要素が生まれそうだ。


ロビーにいるキャラクターの中から、対戦相手を3人選ぶ対戦で遊ぶにも「AP」を消費する。代わりにクエストと同様にアイテムが手に入る中央のマスにいくまではサイコロで、全員が集まると勝ち抜き戦が始まる




■ ファン用のアイテムとしては満足のクオリティ

アニメの要素が随所に盛り込まれており、かなりのこだわりを感じる。なお第2回目となるCBTが8月9日17時より実施される

 最近はプロモーション的な意味合いのCBTが多い中、今回のCBTでは、サーバーオープン直後に不具合が連発したり、緊急メンテが繰り返されてテストの続行が危ぶまれたりと、久々に良くも悪くもCBTらしい展開が続いた。

 もちろんCBTなのでその手のトラブルはつきもの。Twitterでも怒りの声よりはむしろ運営への激励が目立っていた。

 ゲームはアニメの雰囲気が良く落とし込まれていて、ファンが喜ぶ仕掛けが多数用意されている。しかし単にゲームとして見ると、敵の強さのバランス調整に極端な部分がありレベル上げが必須な箇所があったり、サイコロで進んでいく部分が単調な作業になりやすかったりと改善して欲しい部分も多かった。

 ゲームとしては少々薄目だが、ストーリーを進めることで見られるオリジナルのイベントシーンや、キャラクターの着替えなどファンなら充分楽しめる要素が詰め込まれている。ファンが何を求めて本作をプレイするのかを考えれば、十分盛り沢山な内容だと言えるだろう。

 というわけで、ファンなら遊んでみて損はない。ファンでないなら、まずはアニメを見て、ファンになってみてはどうだろうか。


(c)Magica Quartet / Aniplex・Madoka Partners・MBS
S&P・Conteride(c)

(2012年 8月 9日)

[Reported by 石井聡]