Microsoft、Kinect専用タイトルレポート

パーティーモードが楽しい「Dance Central 3」、本格アクションアドベンチャー「Fable: The Journey」


6月5日~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 ここ数年、Xbox 360の牽引役を担っているXbox 360 Kinect。発売から2年足らずで1,800万台近くの出荷台数を記録し、大型のアタッチメントとしては世界最速の売れ行きとなっている。この追い風を受けて、最近の新サービスはKinectを前提としたものが増えている。今回Media Briefingで発表されたXbox SmartGlassやNike+ Kinect Trainingもそうだし、EAからはEA Sportsのメジャータイトル「FIFA」と「MADDEN NFL」の対応も発表された。また、表向きあまり対応は謳われていないが「Forza Horizon」も当たり前のように対応している。もちろん、Kinect専用タイトルも相変わらず元気だ。今回は大型のKinect専用タイトルとなる「Dance Central 3」と「Fable: The Journey」の2タイトルを取り上げたい。


【E3 2012: Kinect Games】



■ シリーズ第3弾はパーティープレイと即興ダンスが売り! 「Dance Central 3」

MSブースの「Dance Central 3」コーナー
説明と実演を担当してくれたHarmonixのJohn Drake氏と、プロの振り付け師Chanel氏。Harmonixはプロの振り付け師を社内に在籍させているというからおもしろい

 1作目と2作目の成功で一躍Kinect専用タイトルの代名詞となった「Dance Central」シリーズ。初代「Dance Central」はKinectのローンチタイトルとして2010年11月(日本では2011年6月)、「Dance Central 2」はその翌年の2011年10月にそれぞれリリースされるなど、今回「Dance Central 3」も今秋発売予定ということで、年に1度の定番タイトルとなりつつある。

 「Dance Central」は3部作を好む米国らしくシリーズの集大成的なデザインとなっており、「ストーリーモード」で1970年代から現代までのヒットチャートをカバーし、様々なダンスジャンルにチャレンジできるほか、前回から引き続いて、過去の作品のデータ引き継ぎを有料でサポートする。

 「Dance Central 3」単体で、40曲を収録し、「1」と「2」のデータをすべて引き継ぐとその数は140曲にも及ぶ。この収録曲すべてで、今回紹介する「パーティーモード」が楽しめるのだからダンスファンにはたまらないだろう。

 今回のデモンストレーションでは、複数の新要素のうち、「パーティーモード」を中心に見ることができた。「Dance Central」は、初代では1人で、続編「2」では2人で踊ることができたが、「3」ではついに8人のマルチプレイに対応する。といっても8人同時に踊るのでなく、最大2人同時プレイを繰り返すことで8人対戦を実現する。

 パーティーモードは、4対4のダンスチーム対決を可能にする一方で、飛び入り参加にも対応しており、フリーパーティーさながらに、自由なスタイルでダンスを楽しむことができる。このパーティーモードの各ルールは、3作目らしい実にユニークな内容のものが多く、あらかじめダンスを覚える必要もないため、誰でも楽しめるのが大きな特徴となっている。今回確認できたルールは以下の通りだ。

・Keep The Beat
 「Dance Central」シリーズで曲の間奏に挿入される自由な踊りを披露する場「フリースタイル」のシステムを応用し、ビートに乗って自由なダンスを披露しポイントを稼ぐというミニゲーム。2人同時に踊れる。身体の動きに応じてKinect側が認識してポイントに換算し、同じムーブ(ダンスの最小単位)の繰り返しはカウントされない。120秒は若干長いという気もしたが、パーティーだとこれぐらいがいいのかもしれない。

・Make Your Move
 自分で即興のムーブを作り出して、隣の人がそれにチャレンジする。登録の仕方は4回同じムーブを繰り替えすだけ。2人で交互にムーブを作り、作る度に、隣の人がチャレンジし、最後に2人が2つずつ作った計4つのムーブを1つに繋げてそのダンスルーチンで踊る。あまりに簡単だと簡単に相手に踊られてしまい、難しくすると自分が再現できなかったりする。大人気になりそうな素晴らしいミニゲームだ。

 このほかにも4対4の対戦型ダンスバトルを実現する「Dance Battle」や、単に収録曲を流しておくだけという「Party Time」など、パーティーで遊ぶことを意識したモードが盛りだくさんだ。今回E3で発表された収録曲は以下の通り。Kinectファンには発売が待ち遠しいタイトルだ。

・50 Cent – “In Da Club”
・Cali Swag District – “Teach Me How to Dougie”
・Cobra Starship ft. Sabi – “You Make Me Feel …”
・E.U. – “Da’ Butt”
・Edward Maya & Vika Jigulina – “Stereo Love”
・Gloria Gaynor – “I Will Survive”
・Marcia Griffiths – “Electric Boogie”
・Usher ft. Will.I.Am – “OMG”
・Usher – “Scream”
・Van McCoy – “The Hustle

【E3 2012: Dance Central 3 】


【パーティーモード】

【「Dance Central 3」スクリーンショット】



■ 自ら手綱を操作し、魔法を掌で弄ぶ。ファンタジックな手触り感が楽しい「Fable The Journey」

「Fable The Journey」試遊コーナー
デモを行なってくれたLionhead Studiosのスタッフ。向かって右がリードデザイナーのTed Timmins氏
魔法の種類と位置を合わせて扉に当てることで扉が開くというチュートリアル。意外と難しくなかなか当たらない
モンスターとのバトル。複数のキャラクターが登場することは多いが、基本的に同時に対応するのは1人まで。思ったほど慌ただしいゲームではない

 お次のKinectタイトルは「Fable The Journey」。Kinectのローンチのタイミングで発表されたものの、開発に長い時間が掛かり、Kinect発売から2年後の今年ようやく発売される。「Fable」シリーズ初のKinect専用タイトルということで、「Fable」ファンからも高い注目を集めてきたタイトルだ。

 「Fable The Journey」の世界設定は「Fable 3」の50年後。主人公は英雄ではなく、仲間から離ればなれになってしまった若者ガブリエルとなり、シリーズを通して登場する謎の人物“テレサ”と出会い、彼女を助けることで、彼の一生は大きく変わることになる。ガブリエルの行く手には、無数の敵が待ち受け、テレサから与えられた魔法の力を駆使したり、馬車の手綱を引いて追い詰めていく。

 グラフィックスは、「Fable III」がベースになっているというが、キャラクターのモデリングは従来のカートゥーンライクなファンタジーテイストから、ややフォトリアルな方向に変わり、ずいぶん印象が異なる。その代わり没入感は高そうだ。

 デモでは、テレサと出会い、魔法をマスターしていく序盤のシーンを見ることができた。スタッフの手の動きを真似ながら、メディアの1人が実際にやってみるというスタイルで進められたが、どういう力のいれ具合で、どう押し出せば、画面のどこに当たるのかという3次元の空間把握がかなり難しい印象で、チュートリアルをしっかりやらないと前に進めなさそうだった。

 ゲームの基本操作は右手で魔法を操り、左手は敵をプッシュしたり、ガードしたり、扉を開いたりなど補助的な操作に割り当てられている。左手は思ったよりもかなり重要で、骸骨モンスターの腕をもいだり、魔法を防ぐために構えている盾をはがしたりすることも可能で、よくよく考えたら実際には物理的に難しそうなアクションが、ゲーム的な駆け引きとして数多く左手操作に盛り込まれている。

 あともうひとつ上手いと思ったのは、手だけだと処理できる量に限りがあるため、全体的にスローな展開で進んでいくことだ。言い換えれば、若干スローなガンシューティングみたいな雰囲気。デモでは「Fable II」に登場したアーストロールとのバトルシーンもあったが、ボス戦だからといって両手を高速で動かし続けなければならないわけではなく、どの順番で処理していくかという判断が重要になる印象だ。

 このゲームの魅力はなんといても右手で扱える魔法だ。今回はライトニングやファイアボールなどを見ることができたが、ファンタジー世界の魔法使いのように掌で弄ぶ感覚が楽しい。魔法の切り替えや空間把握を理解して遊べばかなり楽しいゲームになりそうだ。魔法は全部で6つあり、それぞれ3つのアップグレードを用意しているという。

 QAの時間に「Fable」シリーズのファンとして気になっていた質問をぶつけてみた。1つは「Fable The Journey」の完成を待たずに退社したピーター・モリニュー氏に関して、作品の制作に影響はなかったのかということと、彼が退社したことで「Fable」シリーズはどうなるかということだ。

 Ted Timmins氏は、「モリニューが抜けたときにはほとんど出来上がっていて、退社後もクリエイティブな部分についてアドバイスを貰っていた。現在は最後の詰めで、バグの対応をしていて、彼の退社の影響はほとんどなかった」と応えた後、少し沈思し、「もうひとつはとても良い質問。私が知っていれば即答するが、わからないというのが正直なところ。『Fable』ファンが続編を期待してくれるようなら、その期待に応えられるように頑張っていきたい」とコメントしてくれた。シリーズの行方に一抹の不安を感じさせるものの、今年はまずは「Fable The Journey」を楽しみたいところだ。

【E3 2012: Fable The Journey 】


【「Fable The Journey」デモンストレーション】

【「Fable The Journey」スクリーンショット】

(C) 2012 Microsoft

(2012年 6月 10日)

[Reported by 中村聖司]