東京ゲームショウ 2011レポート

スクウェア・エニックスがスマートフォン&ソーシャルコンテンツ発表会を開催
「サガ」のソーシャルゲームやスマートフォン初の「ドラクエ」などを発表


9月15日~18日 開催(15日、16日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 「東京ゲームショウ 2011」のスクウェア・エニックスブースのステージにおいて、「スマートフォン&ソーシャルコンテンツ発表会」が開催された。同社の今後のモバイル事業の展開が発表され、Android端末向けポータルサイト「SQUARE ENIX MARKET」や、iOS/Android向けに配信予定の新作タイトルが明らかにされた。




■ 「ドラゴンクエスト」や「サガ」の新作が登場!

スクウェア・エニックス専務執行役員の原口洋一氏

 最初にスクウェア・エニックス専務執行役員の原田洋一氏が登壇し、同社におけるスマートフォンビジネスの現況が報告された。昨年から配信しているiPhone/iPod touch/iPad用アプリが30タイトルになり、それらの有料ダウンロード数は現在までに300万ダウンロードを越えていることを紹介。Android Marketにも1タイトルを配信しているが、日本のマーケットを優先させたかったことや、セキュリティー面での脆弱性があるため、これまで新たな配信を控えていたことも明らかにした。

 そして、満を持して国内のAndroid市場向けに「SQUARE ENIX MARKET」を開設し、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリア向けに今冬より順次サービスを開始していくことを発表した。合わせて配信タイトルも発表され、「ドラゴンクエスト」シリーズ初のスマートフォン向けタイトルとなる「ドラゴンクエストモンスターズWANTED!」や、不朽の名作シリーズとして「クロノ・トリガー」や「いただきストリート Smartphone(仮)」、これまでiPhone/iPod touch/iPad用に提供されてきた「ファイナルファンタジー」や「ファイナルファンタジーII」、「クリスタル・ディフェンダーズ」、「ケイオスリングス」シリーズなどが紹介された。

 さらに原口氏は「SQUARE ENIX MARKET」向けに配信したタイトルは、Androidマーケットや世界中のマーケットプレイスにも配信していくことを述べ、世界展開も視野に入れていることを明かした。


これまでiPhone/iPod touch/iPad用に配信してきた名作の数々。コンシューマーゲームのリメイクだけでなく、オリジナルタイトルも配信されている国内のAndroid市場に向けて、スクウェア・エニックスのタイトルが揃ったポータルサイトのサービスが今冬より開始される

【ドラゴンクエストモンスターズWANTED!】
ついに「ドラゴンクエスト」がスマートフォン用ゲームとして登場する。本作はモンスターを主人公の仲間にして育てていきながら冒険するRPGの人気シリーズ。スマートフォン用としてどんな内容になっているか楽しみだ

【クロノ・トリガー】
スーパーファミコン用に発売された名作タイトル。時を越えてさまざまな時代を冒険していくRPGがスマートフォン用になって甦る

【ファイナルファンタジー】
RPG「ファイナルファンタジー」の原点が、Androidでも遊べるようになる。「II」も配信予定


【いただきストリート Smartphone(仮称)】【ケイオスリングス】【ケイオスリングス オメガ】
スゴロクのようにサイコロを振って盤上を周回しながら、お店や株を購入して資産を増やしていくコンピューターボードゲーム。スマートフォン用ではどのようなアレンジが加えられるか気になるところiPhone/iPod touch/iPad用のオリジナルタイトルとして作られ、大ヒットしたRPG。男女ペアとなって生死をかけたトーナメントの真実を求めて冒険していく、シリアスな内容になっているiPhone/iPod touch/iPad用として大ヒットしたRPG「ケイオスリングス」の外伝で、物語は10,000年前の話になっている


 続いてソーシャル系のコンテンツについても説明された。東京ゲームショウ 2011の直後から毎月数タイトルをリリースしていくそうで、年内はフィーチャーフォン向けのタイトルもあるが、その後はスマートフォンに特化していくことを明らかにした。

 タイトルとしては、9月15日より事前登録が開始された「サガ」シリーズ初のソーシャルゲーム「エンペラーズ サガ」を今秋よりGREEでサービスされることも発表。GREEでの取り組みでは、「ナイツ オブ クリスタル」のスマートフォン版サービスや、「ケイオス リングス」のiPhone向けの体験版を展開していることも紹介した。

 そして原口氏は今後の戦略として3つをかかげ、「モバイル事業を携帯電話からスマートフォンに軸足を移す」、「今後はダウンロードで落としきりのコンテンツだけではなく、Free-to-Play Micro Transaction(無料アプリを配信してアプリ内課金を行なう)形式も取り入れていく」、「日本のみのマーケットから、欧米はもとより世界各地へ展開する」ことを述べた。


「サガ」シリーズが「エンペラーズ サガ」というソーシャルゲームになる。プレーヤーは一国の皇帝となって自分だけの親衛隊を編成し、世界を旅するクエストや、連携技で勝ち抜くバトル、仲間とともに戦うリーグなどに挑んでいく同社ではソーシャル系のコンテンツを、この2つのほかにも毎月数タイトルをリリースしていく予定だという3つの戦略を見ると、今後はさらにスマートフォン事業にも力を入れていくことが伺える



■ コンシューマーゲームに匹敵するハイクオリティなオリジナルタイトルも開発中

「半熟英雄」や「クロノ・トリガー」など、数々のコンシューマーゲームの開発に携わってきたモバイル事業部のプロデューサー時田貴司氏

 次にモバイル事業部のプロデューサー時田貴司氏が登場し、今後配信予定の注目タイトルを披露した。まずはフィーチャーフォン版で有料ダウンロード数が100万回を越えたシナリオ配信型RPG「ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士」で、スマートフォン向けにグラフィックスをリニューアルし、iPhone/Android向けに2012年に配信するのを目指して現在開発中という。

 また、コンシューマーゲームに負けないくらいのクオリティのものを何本も開発しているという。その目玉となるオリジナルタイトルとして、iPhone/Android用の「DEMONS’ SCORE」を紹介。Unreal Engine 3.0を採用し、ハイエンドなグラフィックスを目指して開発しているそうで、2012年に配信される予定。

【ファイナルファンタジー レジェンズ 光と闇の戦士】
フィーチャーフォン向けに作られた「ファイナルファンタジー」シリーズのRPG「ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士」をスマートフォンに展開。ジョブチェンジによるキャラクターの育成や、クリスタルをめぐる光と闇の王道ストーリーを楽しめる。スマートフォン向けにグラフィックスが一新されて登場する

【DEMONS' SCORE】
現在スマートフォン向けに開発中の「DEMONS' SCORE」。どんなゲームになるかは不明だが、画面を見るとアクションのようにもRPGにも思える。ハイクオリティなグラフィックスのゲームになるのは間違いなさそうだ



■ 完全新作のカードバトルRPG「拡散性ミリオンアーサー」を披露

これまでに数々のiPhone/iPod touch/iPad用ゲームの開発を手がけてきたモバイル事業部のプロデューサー安藤武博氏
完全オリジナルタイトル「拡散性ミリオンアーサー」を発表

 最後はモバイル事業部のプロデューサー安藤武博氏が登場し、これまでの取り組みや現状、そして今後の展開を発表した。

 これまでの取り組みとしては、2010年4月にiOS向けに配信したRPG「ケイオスリングス」が、日本、米国を含む15カ国でApp Storeの売上ランキングでトップを記録したことを明かした。さらにシリーズ化もでき、2011年5月には「ケイオスリングス オメガ」を配信。8月には「1」と「オメガ」で400MB近いアップデートを行ない、豪華声優陣によるボイスデータを追加して話題になったと述べた。11月からは同社のコミック誌「ヤングガンガン」で本作のマンガ連載が開始することや、現在開発中のAndroid版「ケイオスリングス」では裸眼3D立体視機能を搭載した端末にも対応することを明かした。

 また、最近の人気ゲームアプリはFree-to-Play Micro Transaction(基本プレイ無料の少額決済)形式のビジネスモデルができつつあるのでそちらもやっていくが、これまでの「ケイオスリングス」シリーズがきちんとした価格をつけても売上面で成果をあげており、売り切り販売のビジネスモデルでも新しい道を切り広げられたと思っていると述べた。現在開発中の「ケイオスリングス2」も、売り切り販売型に挑戦していくという。

 さらに「ケイオスリングス」シリーズや「FINAL FANTASY TACTICS 獅子戦争」の開発を通じて「スマートフォンは電話機ではなく、プレイステーション 2+αやPSP並の内容が作れるゲーム機だ」ということを確信し、きちんとした面白いゲームが作れるものだという思いが現場の中で確固たるものになったと語った。

 そして、現在開発中のタイトルとして、iPhone/Android用の完全オリジナルタイトル「拡散性ミリオンアーサー」が発表された。100万人のアーサー王の物語を描くカードバトルRPGで、カードイラストには著名なイラストレーターが50名以上参加。シナリオはライトノベル「とある魔術の禁書目録」の鎌池和馬氏、サウンドはAKB48などにも曲を提供している前山田健一氏(ヒャダイン)、アニメーションはJ.C.STAFFが手がけるという豪華なスタッフ陣になっている。

 このほか現在開発中のゲームとして、コンシューマーゲーム機並のものが少なくとも5本はあり、人気タイトルの続編よりもApp Storeで人気傾向にあるオリジナルタイトルのものを多く作っていると述べた。そして、スマートフォン向けのゲームでもきちんと面白いと思ってもらえるようなものを開発していかなくてはならないと語り、コンシューマゲームからモバイル向けに移植やリメイクをする流れではなく、これまで開発してきた「ケイオスリングス」ような実績を鑑みて、モバイルからコンシューマー向けに流れができてきた可能性を感じているという。

 安藤氏は、「これまでコンシューマー向けの名作を開発してきた時田がスマートフォン用ゲームに参画するというのは、流れの変化を象徴する出来事だと思う。今後は、コンシューマーの面白い部分と、ソーシャルなどの新しいサービスの両方のいいところを模索することで、スマートフォン向けのゲームが新たな遊びを生み出せると確信している」と述べ、発表会をまとめた。


【拡散性ミリオンアーサー】
50人以上のイラストレーターが描いたカードを使って、大勢の人とのバトルが楽しめるカードバトルRPGになりそうだ


(2011年 9月 16日)

[Reported by 川村和弘]