Taipei Game Show 2011レポート

「Starcraft II」人気に沸く台湾PCゲーム関連レポート
Razerは台湾美女プロゲーマーと専属契約を発表、Thermaltakeもゲーミングデバイスを大々的に出展


2月18日~22日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:150台湾ドル


 Taipei Game ShowはもともとPCゲームの即売会としてスタートし、2000年以降のPCオンラインゲームの勃興に合わせて大きく規模を拡大したという経緯がある。近年は開幕レポートでもお伝えしたように、コンシューマーゲームやアーケードゲームの出展が目立ち、PCオンラインゲームのみならず、PCゲーム関連の出展もまた年々寂しくなりつつあるが、今年は若干様子が違っていた。

 起爆剤となったのは米Blizzard Entertainmentが2010年7月にリリースしたリアルタイムストラテジー「Starcraft II(台湾名:星海争覇2)」。一説には台湾だけで30万近くのユーザーがいるとされ、オンラインゲームが十数万人規模、コンソールゲームが数万本で大ヒットと言われる台湾の現状を考えれば、空前の大ヒットとなっている。本稿では「星海争覇2(Starcraft II)」人気に乗じてPCゲーム市場の拡大を目指すメーカPC関連メーカーの動向をレポートしたい。



■ Razerは台湾の人気女性プロゲーマーLindaさんと専属契約を発表

Razer CEOのMin-Liang Tan氏。今回の契約発表会のために渡台したという
台湾の女性プロゲーマーLindaさん。アイドルのような人気ぶり

 米Razerと言えば、カッティングエッジのテクノロジーとデザインを採用したゲーミングデバイスを多数リリースし、ゲーマーから熱い支持を集めている世界を代表するゲーミングデバイスメーカーである。PCゲーム向けが中心だが、近年ではXbox 360向けのゲームパッドRazer Onzaのように、コンシューマーゲーム向けのデバイスも企画しつつある。

 そのRazerは、Taipei Game Showに初出展し、ショウ初日の2月18日の記者会見で、ヨーロッパを中心に活躍する台湾の女性プロゲーマーLindaさんが、Razerの台湾地域の広告塔になることを明らかにした。Lindaさんは、ヨーロッパのプロリーグESLで、2010年度の「Starcraft II」女性部門のチャンピオンに輝いた実力と美貌を兼ね備えたプロゲーマーで、「Starcraft II」のプロリーグがある台湾でも非常に人気が高い。

 今回の発表会にはRazer CEOのMin-Liang Tan氏自らが出席し、「台湾はRazerにとって特別な地域。その台湾で今回の発表ができることを誇りに思う」と満面の笑顔で挨拶し、「Razerはカッティングエッジのゲーミングデバイスを取り扱っているだけでなく、世界中のプロリーグやトーナメント大会をサポートしてきたし、これからもサポートし続ける。そしてこれからはアメリカとヨーロッパだけでなく、台湾も積極的にサポートしていく」と宣言。その広告塔を担うのがプロゲーマーのLindaさんというわけだ。

 会場ではLindaさんが登場するやいなや激しいフラッシュが炊かれ、まるでアイドルのような人気ぶり。Lindaさんは、今後のすべてのプロ活動においてRazerのゲーミングデバイスを使用し、RazerはLindaさんの活動を支援するだけでなく、使用後のフィードバックを得て今後の製品開発に役立てていく。記者会見はその後、Tan氏とLindaさんの2人による調印式、記念撮影が行なわれた。

 今回の発表の背景には、もともとRazerが「Starcraft II」推奨モデルを扱っていたことに加え、台湾において「Starcraft II」が大ヒットしたこと、そして同作の女性ヨーロッパチャンプが台湾人だったという3つの要素が重なったこともある。本作が発売すらされていない日本では考えられないような展開だが、台湾では「Starcraft II」のおかげで再びPCゲーム市場が盛り上がりを見せつつあるのは間違いなさそうだ。


【調印式】
この調印式を見届けるために多くのメディア関係者が会場を訪れた。今回の発表は台湾Razerにとっては大きな追い風となりそうだ

【Razerブース】
今回Razerは新製品の発表は行なわず、まさにLindaさんとの発表のために出展したような印象だったが、ブースの注目度は高かった



■ 台湾PCパーツ大手のThermaltakeは連日「Starcraft II」大会を実施

Thermaltakeはブースのほとんどを使って「Starcraft II」大会を実施。おかげで絶えず身動きが取れないほどの人気ぶりだった
大会を行なうメインステージの裏では即売会も実施

 台湾PCパーツ大手のThermaltakeも久々にブースを出展。同社が展開するゲーミングデバイスブランド「Tt eSPORTS」を全面に押し出し、特大のメインステージでは自社のゲーミングデバイスを使った「Starcraft II」ゲーム大会を連日に渡って実施。プロゲーマーのエキシビションマッチも開催されるなど、「Starcraft II」一色の展開だった。

 ステージの背面では、自社のゲーミングデバイスで「Starcraft II」を体験できるコーナーを設置し、気に入ればその場で購入できるという至れり尽くせりの環境を整備。同社のFacebookページに登録するとプレゼントが当たるキャンペーンコーナーには長い行列ができていた。同社では今後もBlizzardとの協力関係を維持し、「Starcraft II」推奨のゲーミングデバイスブランドとして売り出していく考えだという。

 「Tt eSPORTS」は、2010年に本格展開を開始したゲーミングキーボード、ゲーミングマウス、ゲーミングヘッドセット、ゲーミングマウスパッドを主力製品としたThermaltakeのゲーミングデバイスブランド。日本ではまだ馴染みの薄いブランドだが、2010年12月から自社での取り扱いを始めており、今年から本格展開していく予定だ。

 ブランド名からもわかるように、プロゲーマーの使用に耐えるタフなチューニングのハードウェアがメインになっているが、台湾メーカーと言うことで価格は比較的手頃。遊び手の技量を問わず使える商品が揃っている。今後要注意のゲーミングデバイスブランドだ。


【Thermaltakeブース】
Blizzardブースと勘違いしてしまうようなブースデザイン。Razerのように「Starcraft II」オフィシャルプロダクトは存在しないが、「Starcraft II」との密着具合はRazer以上のものがある



台湾大手PCメーカーのASUSは、「Starcraft II」推奨ノートPCを出展(左)。右はPC専用というわけではなく、モニタから出る有害電波から目を守るというゲーミンググラス。カールツァイスで有名なツァイスとSteelSeriesが共同開発した本格的なもので、台湾では2010年6月より販売を開始し、これまでに1,000個を販売したという。値段は3,400~9,000台湾ドル(約10,200~27,000円)で、フレームや度付きかいなかによって価格が異なる

(2011年 2月 20日)

[Reported by 中村聖司]