サンディスク、PSP、PSP goをターゲットにした新商品を発表
「メモリースティック マイクロ」を10月中旬に発売

10月中旬 発売

価格:オープンプライス


PSP goを発売に先駆けて発売となる「メモリースティック マイクロ」。小池淳義社長は「ゲームは拡大していく分野。1年から2年と言わず長く力を入れていきたい」と期待を寄せた

 サンディスク株式会社は15日に発表会を行ない、同社の新製品としてPSPユーザーをメインターゲットとした「メモリースティック マイクロ」を10月中旬に発売することを明らかにした。容量は2GB、4GB、8GB、16GBの4種類でメモリースティックPROデュオ変換アダプタが付属する。スピードはスタンダード。価格はオープンプライス。

 「メモリースティック マイクロ」は、海外におけるソニー・エリクソン製の携帯電話に主に採用されており、2007年から欧米市場において販売していたが、サンディスクによる日本での販売は今回が初めてとなる(ソニーから発売されていた製品があったが、現在は生産終了となっている)。このほど参入することとなった理由は、11月1日にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売される予定の「PSP go」にメモリースティック マイクロのスロットが採用されたことによる。

 今回サンディスクから発売されるメモリースティック マイクロには、前述の通り「メモリースティックPROデュオ」変換アダプタが同梱されるため、従来のPSPシリーズを持っている人でも使用することができ、さらにPSP goを購入する予定があれば、どちらでも使用することができるようになるというメリットはある。

 発表会ではサンディスク株式会社 代表取締役社長及びSanDiskコーポレーション シニアバイスプレジデントを務める小池淳義氏が「ゲームの市場は拡大していく分野。1年から2年の間と言わず、長く力を入れていきたい」と、ゲーム市場にフォーカスした商品をアピールしていきたいとした。

 価格についてはオープンプライスだが、想定市場価格については「もう少し待っていただきたい」とし、明らかにされなかった。同社によれば「現行のメモリースティックPRO DUOにプラスアダプタのプレミアをどこまで載せるのかという考え方になると思う」とコメントしている。


PSPプラットフォームが広がりを見せPSP goの発売も控えたいま、SanDiskは「メモリースティック マイクロ」の参入を決定したゲーム市場においてSanDiskのブランドイメージの向上を目指すため、今後様々な施策を実行していくという法人向けのOEMビジネスのほか、個人向けリテールビジネスも行なっている。その中でもゲーミング・カテゴリ製品は有望な市場だという



様々な質問に答えてくれたリテール プロダクト マーケティングのコーポレーション バイス プレジデントを務めるエリック・ボーン氏。発表会では主にコンパクトディスクの新製品「サンディスク・エクストリーム・プロ」のプレゼンテーションを行なった

 発表会にも出席したSanDisk Corporationのリテール プロダクト マーケティングを担当するコーポレーション バイス プレジデント、エリック・ボーン氏に「メモリースティック マイクロ」の日本参入についてお話を伺った。ボーン氏はSanDiskの全リテール製品のマーケティングを統括している。同席上にはサンディスク株式会社のマーケティング部ディレクター、大木和彦氏も同席した。

 今回、「メモリースティック マイクロ」に参入した理由は前述の通り「PSP go」の発売をにらんでの展開となるわけだが、大木氏によればすでに現状においてフラッシュメモリカードの使用用途として、ゲームが1/4を占めるほど伸びがすさまじいという。これはすなわち日本においてゲーム関連の市場の広がり、特にPSPシリーズの販売台数の伸びに呼応しメモリースティック PRO DUOの販売枚数が増加しての展開といえる。

 ボーン氏は「これまではメモリースティックはオプションだったが、絶対に必要なものにしたい」と意気込みを語った。同氏によれば「これまではセーブデータであったり音楽、映像といったデータをフラッシュメモリに記録するという点でオプション扱いだった。しかし、今度はゲームそのものをフラッシュメモリーに記録することができる。だから必要なものだし、今後伸びていくと考えている」とPSP goの登場によりメモリースティックが今後より重要な役割を持つと見ている。

 「PSP go」には16GBのメモリーが搭載されているが、同氏は「我々は16GBは少ないと考えている。先日発表されたiPod Touchは8GB、32GB、64GBの商品ラインナップとなっている」と語り、それ故にメモリースティック マイクロの必要性があるとアピール。実際PSPの方がiPod Touchよりプログラムデータも大きいため、よりコアなゲームファンにとっては記録媒体の必要性は他のプラットフォームより高いと言える。

 商品のラインナップに関しては2GBから4GB、8GB、16GBと用意される。ソニーからは11月1日に4GBと8GBが発売されるが、それではサンディスクが2GBと16GBの商品を用意した理由として大木氏は「16GBはPSP goの(容量の)全てをコピーできたほうがいいという理由から。2GBに関しては、ソニーの出していない製品なので」ラインナップとして意味があると言う。ちなみにボーン氏によれば、小さな「メモリースティック マイクロ」において16GBという大容量を実現し初めて出したのはSanDiskだという。

 ゲーム市場を重要視するのは日本市場のみかと聞いたところ、Wii用の「Guiter Hero」を例に挙げ「多数の曲を購入してWiiの少ないメモリにダウンロードすることはできないので、SDメモリーカードが必要となる。(日本と違い)海外では現在のコンシューマゲーム機はメディアハブとして利用されており、ゲームは主要なエンターテイメントの1つ。こういった状況はフラッシュメモリ製品の必要要件を満たしている。例えばソニーのHDビデオで撮影した映像を、カードをPS3に差せば再生することができる。これはフラッシュメモリカードが必要なこと」とボーン氏は答えた。

 同社によれば、日本のゲーム市場においては、フラッシュメモリ製品の速度がスタンダードなものよりもハイスピードな製品を選んで購入する顧客が多く、いわゆる目の肥えた顧客が多いと言え、そういった顧客層に対して購入する時も“買う楽しさ”を提案していきたいという。これまでは家電量販店などを中心にセールスを伸ばしてきた同社だが、ゲーム媒体やホームページなどを通じてこれまでにないゲームの顧客層にもアピールしていくという。現在ホームページでRPG風の商品紹介などを行なっているが、これもその一環だという。

 これまでのようにパッケージに収められたゲームを買って遊ぶというゲーム機の楽しみ方が、映像や音楽を楽しんだり、流通が多様化することで、これまでにない楽しみ方が登場したりしている。サンディスクではフラッシュメモリ製品を通じてこういった新しい楽しみ方の促進を進めていきたい考えのようだ。




 発表会では「メモリースティック マイクロ」のほかにも、90MB/秒の読み取り/書き込み速度を実現した大容量コンパクトフラッシュ「サンディスク・エクストリーム・プロ(16GB、32GB、64GB)」、また「サンディスク・エクストリームIIIコンパクトフラッシュカード」の後継品となる「サンディスク・エクストリームコンパクトフラッシュカード(8GB、16GB、32GB)」も発表された。これらは9月19日発売で、価格はオープンプライス。

小池淳義代表取締役社長。発表会ではサンディスク株式会社の会社概要、市場における位置づけや方針を説明し、最後に「メモリースティック マイクロ」を発表した発表会のほとんどの時間を割いて行なわれた「サンディスク・エクストリーム・プロ」。商品ラインナップは64GB、32GB、16GBとなっている発表会に出席した荒川静香氏に花束を手渡すエリック・ボーン氏
発表会はトリノオリンピックで金メダルを獲得した荒川静香氏が演技を披露し、それをプロカメラマンの権藤和也氏が「サンディスク・エクストリーム・プロ」を使い撮影するという構成。スポーツの世界で活躍するプロカメラマンにとって連射で撮影することの重要性と、同社製品がそれに応える製品であるとコメントを残した。ちなみに荒川静香氏も飼っている犬などをデジタルカメラで撮影しブログなどでアップしているが、なかなか上手く撮影できないといい、「まぶたがカメラで全て撮影できたらいいのに」とトークショウで語っていた

発表会で行なわれた荒川静香氏の演技を権藤和也氏がキヤノンの「EOS7D(β機)」と「サンディスク・エクストリーム・プロ」で撮影した画像がこちら。権藤氏によれば高速で正確に記録できると言い、JPEGだけで記録するのであれば、連射で64GBすべてを撮りきることができるほど高速に書き込まれるのだという

(2009年 9月 15日)

[Reported by 船津稔]