EA EUROPEAN SHOWCASE現地レポート

「EA EUROPEAN SHOWCASE」タイトルレポート その2
Wii向けの主力タイトル「EA SPORTS Active」、「EA SPORTS Grand Slam Tennis」ファーストインプレッション

4月23~24日開催(現地時間)

会場:The Ark Hammersmith


 「EA EUROPEAN SHOWCASE」で、Wiiへのシフトを鮮明にしたElectronic Artsだが、その主力タイトルとなるのが、EA SPORTSの名前を冠した「EA SPORTS Active」と「EA SPORTS Grand Slam Tennis」の2タイトルである。欧米での発売日は「EA SPORTS Active」が5月22日、「EA SPORTS Grand Slam Tennis」が6月12日と、「EA EUROPEAN SHOWCASE」出展タイトルの中では比較的発売が早く、共に日本での発売も確定しているという点でも共通している。

 「EA EUROPEAN SHOWCASE」タイトルレポート第2弾では、上記2タイトルのファーストインプレッションをお届けしたい。




■ レッグストラップとバンドを使ってエクササイズを楽しむEA版「Wii Fit」~「EA SPORTS Active」

見事なプロポーションだったため、てっきりプロのインストラクターかと思いきやEAのPR担当だった。EA SPORTSのPRマネージャーのJEN RILEY氏
この状態からジャンプして左右の足の位置を入れ替える。これを10回以上繰り返す。正直かなりしんどい

 「EA SPORTS Active」は、フィットネスクラブのインストラクターが監修した、健康管理を目的としたエクササイズが気軽に自宅で楽しめるフィットネスソフト。ゲームソフトに加えて、ヌンチャクを太もも部に固定するためのレッグストラップと、手の運動に負荷を掛けるためのレジスタンスバンドがセットになっており、価格は7,140円。正確な動きを求めるゲーム性ではないため、Wii Motion Plusには対応しないが、一部のアクティビティにおいてバランスWiiボードに対応する。

 基本的なゲームデザインは任天堂の「WiiFit」に近く、体重と身長を入力し、後は自分のペースで30種類のアクティビティの中から自由にエクササイズを進めていく。30日を1単位としており、インストラクターの指示に従いながらエクササイズを続けることで健康管理に一定の効果を上げることができるという具合だ。

 「WiiFit」との違いとしては、「WiiFit」が運動した時間を“貯金”していくのに対し、「EA SPORTS Active」では結果が“消費カロリー”という形で明示され、しかも数字が運動の強度や度合いに応じて動的に変化するなど、遊び心は少なめで実用本位となっている。あくまで真面目にエクササイズに取り組みたい人向けのソフトウェアだ。

 実際にプレイしてみたが、ランやジャンプ、片足に重心を掛けてもう片足をグッと伸ばす運動、それからレジスタンスバンドを使っての両腕の二頭筋を刺激する運動など、「WiiFit」にはない運動ばかりで新鮮だった。特にレッグストラップでヌンチャクを足に固定するシステムを採用したことで、足の動きをしっかり計測してくれるのが嬉しいところ。「WiiFit」のWiiリモコンのセンサーのみで走りを検知していたため、どうしても実際の動きと認識にズレがあったが、「EA SPORTS Active」では太ももの動きを見るため、なかなか走りがいがあった。

 一方、「EA SPORTS Active」の弱点としては、運動の検知をWiiリモコンとヌンチャクのセンサーに頼っているため、持ち方や位置を正しくしないと検知してくれないこともあることだ。運動に夢中になるあまり、ついつい持ち方が変になったりしがちで、慣れるのに若干時間が必要かも知れない。

 ちなみにアクティビティをプレイ中は消費カロリーがリアルタイムで加算されていくシステムを採用している。運動強度を高めれば動的に消費カロリーを高めることができるし、動きをゆるめれば消費カロリーも下がる。このため2人で共同プレイをするとついつい無理をしがちで、楽しいもののかなり疲れる。翌日は両足のふくらはぎが筋肉痛になってしまったほどだ。

 思いっきりジャンプしたり走ったり手を動かしたりと、「WiiFit」以上に運動強度の高いゲームに仕上がっており、“床下に音が響きそう”というなかなかやっかいな懸念点を除けば、「WiiFit」ユーザーにしっかりアピールできそうだ。日本での発売は8月6日を予定し、価格は7,140円。


【EA SPORTS Active】
レッグストラップの効果は実際にプレイしてみないとわかりにくい部分があるが、ヌンチャクを足に固定することで、足を使った運動を数多く取り入れることに成功している。その手間に見合うだけの効果は十分にある



■ 落とす位置までコントロールできる!? リアルなテニス体験が可能な「EA SPORTS Grand Slam Tennis」

取材に応じていただいた「EA SPORTS Grand Slam Tennis」エグゼクティブプロデューサーのDavid McCarthy氏
プレイしている風景は、既存のWii向けテニスゲームとまったく同じだが、プレイ感覚はずいぶん異なる。テニスというスポーツの難しさがよくわかる

 「EA SPORTS Grand Slam Tennis」は、EA SPORTSに新たに加わるスポーツフランチャイズだ。ジョン・マッケンロー、ロジャー・フェデラー、セリーナ・ウィリアムズ、マリア・シャラポアといった超一流の選手たちとライセンス契約を交わし、テニスの世界四大大会(グランドスラム)である全豪オープン、全仏オープン、ウィンブルドン、全米オープンを網羅するなど、スポーツゲームの最上位ブランドを自認するEA SPORTSらしい豪華なテニスゲームとなっている。日本語版のパッケージは“エアケイ”こと錦織圭選手が飾ることも発表され、「EA SPORTS Active」と並んで、今年もっとも旬のタイトルと言える。

 実名選手と実在の大会を戦えるというのがEA SPORTSブランドのスポーツゲームの大きなウリだが、「EA SPORTS Grand Slam Tennis」は新たなウリとして、Wii Motion Plus対応タイトルであることが挙げられる。Wii Motion Plusは、任天堂が2008年のE3で発表したWiiリモコンに装着するアクセサリで、より正確で包括的な位置検出を可能にするというWiiリモコンの性能をパワーアップしてくれるアイテムだ。全世界で2009年6月の発売が予定されており、「EA SPORTS Grand Slam Tennis」はこの新アクセサリーのローンチタイトルのひとつとなる。

 「EA SPORTS Grand Slam Tennis」はWii Motion Plusは必須ではなく、Wiiリモコンだけでもプレイすることができ、パッケージについてもWii Motion Plus同梱版と、非同梱版の2種類を用意するとしている。価格はそれぞれ49.95ドル(約7,500円)と39.99ポンド(約6,000円)で、発売日は6月12日を予定。ちなみに、PS3版とXbox 360版の発売も予定されているが、発売時期は今秋と少し先で、特徴としてはリアルなグラフィックス、“革新的なコントロールシステム”、オンラインプレイの3点を挙げている。PS3とXbox 360における“革新的なコントロールシステム”とは何を意味しているのか、こちらもまた注目したいところだ。

 さて、肝心のWii版である。会場には、テニスコートを模した体験コーナーが用意され、1対1の対戦プレイを体験することができた。Wii Motion Plusを接続したWiiリモコンは、全長が5センチほど長くなり、また、新たなWiiリモコンのカバーは手元が反り返った形状をしていることもあって、両手でしっかり持つにはまだ短いが、実際のテニスラケットの持ち方に近い握り方が可能となっている。

 プレイ方法は、実際のテニスとまったく同じようなスタイルで、Wiiリモコンをテニスラケット替わりに扱って、サービスを行ない、ラリーを続けていくことになる。サービス時は頭上で振り抜き、ラリー時は正しい向き、角度で打ち返す必要がある。

 「EA SPORTS Grand Slam Tennis」は、テニスゲームとして珍しい2つの特徴がある。1つはWii Motion Plus対応により、Wiiリモコンの微妙な傾きの変化を関知して、撃ち返したボールの球威や落下点に影響を与えることと、もうひとつは基本的なゲーム性として“ボールをうまく撃ち返すこと”に集中してもらうため、選手は自動的にコートを移動してくれることだ。これらの要素により、単に“ボールの落下点に移動してボタンを押すゲーム”から、高速で襲ってくるボールを適切な角度、向きで打ち返すというテニス本来の醍醐味が味わえるようになっている。

 走り回らなくていいとはいえ、素早く左右に向き直り、適切な角度で、素早くWiiリモコンを振り抜くのはなかなか大変な重労働で、3セットプレイするだけで良い汗がかける。 残念ながらリリースに記載されているような「打点までコントロールできる」という境地にはたどり着けなかったが、これまでになくリアルなテニス体験が楽しめた。2人で対戦することを想定した場合、場所をどう確保するかというのが1番のネックになってきそうだが、パーティーゲームとしては最高に活躍してくれそうな1本だ。日本での発売時期は今夏を予定し、価格は未定。正式発表を待ちたいところだ。


【EA SPORTS Grand Slam Tennis】
選手のモデリングはWii向けということもあり多少デフォルメされている。会場はウィンブルドン

(C) 2009 Electronic Arts Inc.

(2009年 4月 28日)

[Reported by 中村聖司 ]