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【セガフェス】「龍が如く」ファンミーティングを開催
気になる新作の話題は!?
2019年3月30日 16:28
セガホールディングスは、3月30日と31日にベルサール秋葉原にてグループ横断のファンフェス「セガフェス2019」を開催する。開催時間は10時より19時までで、入場は無料(30日は18時まで)。
初日となった30日には同社の人気シリーズ「龍が如く」のファンミーティングを開催。ここにはシリーズ総合監督の名越稔洋氏、シリーズチーフプロデューサーの横山昌義氏、桐生一馬役の声優・黒田崇矢さん、真島吾朗役の声優・宇垣秀成さん、春日一番役の声優・中谷一博さんが登場した。
シリーズ新作は「1作目を出したときのようなエネルギー」で鋭意制作中
まずは名越氏が1人で登場してあいさつ。初のファンミーティングという形でのイベントを設けた経緯については、「アトラスはファンミーティング大事にしていて、そこからファンのロイヤリティーを獲得して成功している。いろいろなチャレンジをしてもいいのではという声が会社からあった」と明かす。
気になるコンシューマー向けの最新作だが「まだ言えないが、近々何らかの形でお伝えしたい」とし、「できたらすぐに出したいというように考えているチームなので、でき次第徐々に出していきます」と語る。「『セガなま』でも触れたが、(最新作は)ゲームとしても1段、2段進化している。1.0が2.0になるような変わり方を遂げたい。すごく時間もかかっているので、1作目と同様な試行錯誤をひさびさにやっている。1作目を出したときのようなエネルギーでやっている。出る日は来ると思っているのでもう少し待っていてほしい」(名越氏)。
また「少しだけいうと」という前置きのあと名越氏は、「主人公が変わったことによるメリットはあって。桐生一馬じゃないのが最大のメリット。人格が違うと行動原理が違う。行動原理が違うとゲームが変わる。主人公が変わったことによるゲームの変化を最大限に生かしたい」とも。
シナリオについてだが、今回は馬鹿馬鹿しく笑えるシーンも多いのだとか。ただし「それがなんらかの、後々の感動につながっていくような、新しいテイストを盛り込めるように考えている。こういうのもありかな、いいじゃない、と」(名越氏)。
なお助演女優のオーディションを行なうことについてだが、このアイディアは開発スタッフから出たのだそう。「今までやってきたような内容だと新鮮味がないので、違うアイディアがあればいいよという流れ」(名越氏)。応募してくる人については、「プロアマ問わずいろいろな方に応募してもらえれば。ゲームが大好きなので、何らかの形で関わりたいと思っている人でもいい。こういうモチベーションの人を、というより、個人個人の中での思いがあればいいと思います」(名越氏)。
桐生一馬と真島吾朗、春日一番が勢ぞろい
ファンミーティングでは、名越氏と横山氏、黒田さん、宇垣さん、中谷さんによる一問一答のトークセッションも行なわれた。
「龍が如く」に関わる前と後で何か変化したことは?という問いについて黒田さんは「桐生さんですよねと言われることが多くなった」と回答。「名前がもう1つ増えたような感じ」と感想を漏らす。
これを受けた宇垣さんは「真島さんですね……とは言われません」と場内を笑わせると「ただ長くやっていると、後輩から『兄ちゃん』とか言われたり。ここまで言われるのはない。それだけ対衝撃を受けたのかと思うし、やっていてよかった」と語る。
中谷さんは錦山彰役も演じているが、初めてオーディションに受かったのが錦山彰だったと明かす。「1では消息不明になってしまって。でも錦山人気があることを人づてに聞いてうれしかった。役者としていいきっかけを与えてくれたものになった」と中谷さん。
この流れで名越氏にもこの話題が振られるのだが、「私はよく『龍が如く』だ、と言われる。でも私は『龍が如く』ではない」と苦笑い。場内からも笑い声が。「一応ありがとうとは言いますけど」。
しかしちょっと真面目な話として「昔からゲームを作っているが、飽き性なので同じものは作りたくない。1、2と作ると違うゲームを作っていた。でもこれまで続けられたというのも、ファンサービスもあるが仕事として価値のあること。人生の後半で“続ける”という得意でなかったことにチャレンジするのは、後々の精神修練みたいなものを含めて意味があったのかなと。もともと大人ですけどもう一段大人になれた」と語る名越氏。
横山氏は第1作に関わったのは27歳の時だったという。「今は42だが、15歳年を取るというのはすごい。そのまま桐生も年を取っている。リアルタイムでタイトルと自分を重ねているので、過去を振り返ることはないが、こういうことをやれるとは思っていなかった。うれしいとは思いますね。老いたことがいやなのではなく、一緒に歩んできた感じ」(横山氏)。
1番緊張した共演者は、という質問に黒田さんは「渡哲也さん」と即答。「すごくいい人でしたけどね。あいさつも自分からしてくれるし。でもオーラがすごかった」(黒田さん)。ちなみに黒田さんが人生で最初に買ったレコードは、渡哲也さんの「ひとり」だったそうだ。
ここで渡さんにオファーをしたときのこぼれ話が。仕事を依頼しに石原プロへ行ったとき、1分遅刻したそうだが、それを当時の小林専務から「遅刻をするような人間とは仕事ができない」とひどく怒られたのだとか。次に謝りに言ったときは1時間半前から周辺をうろうろしていたのだそう。「行ったら、随分前から下にいたねと言われましたが(笑)。でも石原プロにはいろいろと教えていただいた」(名越氏)。
ところで宇垣さんと中谷さんは、共演者を抜きにすると1番緊張するのは名越さんなんだとか。「フレンドリーに接してくれるが、その奥が怖い」と中谷さん。これには「そんなことはないですよ」と苦笑する名越氏だった。
「龍が如く6 命の詩」で桐生一馬の登場は終わるが、その後桐生一馬は幸せになるのかという質問について横山氏は「“6”の形がいいエンディングだと思う。幸せの形かと言われるとそれはない。ただ桐生一馬がその後何をしているのかわからないが、何かあったら出てくるんじゃないかと思っている」と語る。名越氏も「幸せなエンディングが気になるが、2度と出ないと言った覚えはない。希望はあるのではないでしょうか」とも。これについて黒田さんは「桐生一馬は、“6”は“6”で遥とか、産んだ子供が幸せなら、幸せなんじゃないですかね。ある意味幸せなエンディングなのでは」と感想を述べた。
そしてファンから、気が弱そうと言われるが、どのようにしたら堂々としていられるか、という問いが。名越氏は「人からオーラがありますねといわれる。オーラって何だろうと考えたが、ひとことで言うと自信なのでは。ただし過剰な自信はオーラがないというかみっともない。軽い。どう考えるべきかと言えば、正直に生きていることかなと。後ろめたさがなければ隠し事がなくなる。隠し事がないと堂々としていられる。常に自分に対して正直に生きている。人に対しても誠心誠意で。質問された方は、自分をよく見せたいというのが出ちゃっていますけど、それはたいしたことない。それを捨てるのが最初かなと思います」と回答。これには場内の人もうなずいていた。
続いてゲームを作っているうちに内容が変わることがあるのかという質問へ。すぐさま上がったのが「龍が如く4」に出てきた「城戸 武」だ。最初は「チンピラB」だったのが、横山氏がシナリオを書いていくうちにいっぱい出てくるようになり、「2章くらいから城戸に変えた。1人の主役キャラになってしまった」(横山氏)。このほかに挙げられるのはやはり真島吾朗。「真島吾朗も大人気だったから続いた。大変更ですね。ファンの皆さんが作ることも往々にしてある」(横山氏)。
ただし、こうした変更にはコストがかかるのも事実。それについては会社からもいろいろ言われることがあると語る名越氏だが「積み上げていく中でできていくので、これを加えたいと思ったときにはやったほうがいい。自律発展的に育っているので」(名越氏)。実際、「5」の時に冴島大河が網走刑務所にいるシーンで、シナリオミーティングのときに「妄想で街へ飛べるようにしよう」となり、実際に入れてしまった。「最初の思いつきは大事。それをゲームに投影するのはいいこと」(横山氏)。
シリーズの中で1番手応えを感じた作品を問われて黒田さんは「1つに絞るのは難しい」としながらも「『維新』(龍が如く 維新!)かなあ」と答える。「『維新』が好きですね。個人的にも大きな手術をした後だったりして、結構ギリギリだった。最後まで持つかなという中でもやっていたので。ストーリーが大好きでやり遂げたという感じ」(黒田さん)。
宇垣さんはやはり「龍が如く0 誓いの場所」と回答。収録の量が主役とそのほかではここまで違うのか、と思ったという。
中谷さんも「維新」を挙げた。「達成感はやはり『維新』ですね。土佐弁にも挑戦したし。また8年ぶりに収録に参加したのですが、お会いしていなかった8年で昔より下手になったと突っぱねるかと思っていました」(中谷さん)。また手応えを感じたのは「0」なのだそうで、「名越さんからメールでお褒めの言葉をいただいて。うちでガッツポーズしました」。
名越さんは「好きな作品は『1』か『0』」なのだそう。「『0』はストーリー自体のゴールが早い段階から見えていた。真島については、理解しているけど認識できないというダンディズム。終わりはわかっていたので、不思議な手応えがあった作品」(名越氏)。
横山氏は「5」を挙げる。「まれに見ることをやったと思っているので。野球とアイドルとヤクザと囚人。あれをなんとかしたいというのは無理だ、という状況に追い込まれたがやりきった。ゲームとしても、これだけいろいろな、日本のコンソールゲームで面白いと言われていたジャンルを全部入れてみようと思ってどうにか入れられたのは奇跡」(横山氏)。また初めてプロデューサーをつとめたのが5だったこともあり、印象に残っているそうだ。この話を受けて名越氏は「あれで(物語を)終わらせようかという話もあった。でもできちゃったらできちゃったで、先はもうわからねえぞみたいな。後のことを考えないで作っちゃう。作りながらヤバいなと思っていた」と語った。