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「デス・ストランディング……待たせたなぁ!」&「いいセンスだ!」に大歓声!
「DEATH STRANDING」TGS2018ステージレポート詳報版
2018年9月24日 08:40
東京ゲームショウ2018のソニー・インタラクティブ・エンタテインメント(以下、『SIE』)ブースにて、小島秀夫監督率いるコジマプロダクションが制作中の「DEATH STRANDING」のステージイベントが開催された。
ステージに登場したのは、小島秀夫監督に加えて、「DEATH STRANDING」の日本キャスト(声優)を務める、大塚明夫さん、井上喜久子さん、津田健次郎さん、三上哲さん、水樹奈々さん。司会進行役は芸人のハライチ岩井勇気さんが担当した。
出演した声優陣は「メタルギアソリッド」シリーズでスネーク役を務めた大塚明夫さんをはじめ、ザ・ボス役の井上喜久子さん、パス役の水樹奈々さん、オセロット役の三上哲さんという、津田健次郎さん以外は小島監督作品でお馴染みの超豪華な顔ぶれ。
そのステージを見ようとSIEブースのステージ前は、ホールの反対側の端まで人で埋め尽くされるほどのとてつもない集客となった。おそらく今年のTGSのステージイベントの中でも最も来場者が殺到したイベントといって間違いないだろう。
沢山の皆さん、本日はありがとうございました👍🦀🌈🐟🐋pic.twitter.com/OZdaHCIrnm
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo)2018年9月23日
豪華キャスト陣によるさすがの盛り上げから、いよいよトークへ。まずはサム・“ポーター”・ブリッジズを担当する津田さんだが、小島監督はノーマンの日本語吹き替えを担当する声優さんを約2年あまり探し続けて、ついに津田さんに決めたということだ。
だが、お2人の最初のやり取りはかなり独特だったそう。ある日、津田さんのTwitterアカウントを小島監督がフォローし、それを見た津田さんは驚いて、フォロー返ししつつDM(ダイレクトメッセージ)で挨拶を送ったという。すると小島監督からの返事がきて、「ゲームには興味がありますか?」といった会話から「DEATH STRANDING」への出演依頼と言っていいような内容になっていったそうだ。
小島監督は実は津田さんのことを知っていて、キャストにも考えていて、その津田さんがどんな人なのか、どんなものに興味を持ったりするのかを見たくてTwitterアカウントをフォローしたのだという。その人の人となりなどをちゃんと知った上で、一緒に仕事をするかを考えるようにしているのだそうだ。
トレーラーの日本語吹き替えを収録して、小島監督は津田さんの演技に非常に満足しているそうで「間違いなかった。ノーマンでありつつ津田さんでもある。役柄のサムでもある。ここが重要なんです」と語っていた。
大塚さんも「津田さんは無難なところではないNGギリギリのところを攻めていく。だから印象に残るんですよ」と高く評価している心境を語った。
リンゼイ・ワグナーさん演じる女性キャラクターの日本版声優を担当する井上さん。井上さんはゲーム内のリンゼイさんのモデリングが少し若返らせているというエピソードに、「若返ることができるあたりが時空を越えているというか、私自身も時空の歪みを体現しているから……(笑)」と、独特な親近感の持ち方をしていることを告白。
井上さんは小島監督との仕事はもう26年ほどになるということで、今回は久々とのこと。小島監督作品の現場ではいつも感動することがあり、ついていきたいと思っているということだ。一方で小島監督は井上さんに演じてもらうと、自分の書いた脚本ながら「これ書いた人、天才ちゃうか!?」と思えるほど、いい演技をしてもらえると笑顔で語っていた。
ちなみに、井上さんが声を演じるこの女性キャラクターは小島監督いわく「ある理由から年をとらない」のだという。言うなれば“永遠の29歳(ぐらい)のキャラクター”なのだそうだ。
レア・セドゥ演じる女性キャラクターの日本版声優を担当する水樹さんは、なんと翌日に東京ドームでライブがあってリハーサルをやらないといけないという状況にもかかわらず、どうしてもこのステージに参加したいという気持ちで駆けつけたそうだ。
トレーラーの吹き替え収録時に事前に渡されていた封筒には、台詞だけが書かれている何枚かの紙が入っているのみで、世界観やキャラクター設定などの解説も一切ないことに驚かされたそうだ。その上、水樹さんのトレーラーにおいての台詞は数が多く、重要そうな説明も多いことにかなり緊張したのだとか。
大塚さんいわく、最初の説明がほとんどないのは小島監督がよく取るスタイルだそうで、事前に情報が漏れてしまうことも予防しつつ、アフレコの現場で説明するようにしているということだ。
ちなみにレア・セドゥ演じる女性キャラクターは壊れた傘のようなものを持っているのが特徴的だが、これは本当に「新橋あたりで落ちている壊れた傘を見て思いついたアイデア」なのだという。可憐そうな見た目とは裏腹に、いろいろな背景のあるキャラクターになっているそうだ。
これまでのトレーラーでは声だけでどんなビジュアルなのかが明かされていなかった大塚明夫さん担当のキャラクターの設定画が、この日に初めて公開された。
公開された設定画ではマスクで素顔を隠していて、肩のところにはサムと同じライン状のマークがある。小島監督いわく、このキャラクターはサムと同じ組織に所属している隊長とのことだが、なぜマスクを着けているのかはまだ秘密とのこと。
このキャラクターの台詞量はかなり多いそうで、登場キャラクターの中でも1番多いかもしれないのだとか。隊長という「周囲をまとめるキャラクター」であり、大塚さんに現実の現場もまとめていって欲しいという、ダブルミーニング的なところも込めているということだ。
大塚さん以上に、声すらもまだ登場していなかった三上哲さんが声を担当するキャラクターについては、設定画と共にゲーム内の映像も公開された。これからボス戦が始まるぞという雰囲気たっぷりの映像だ。
ちなみにこのキャラクターを演じるトロイ・ベイカーさんは、以前に海外版のオセロットの声を演じていたという。今回はそのキャラクターの日本語音声を三上哲さんが務めるという以前の逆の状態になっているわけだが、それは小島監督が意図的にそうしたわけではなく、気がついたらそうなっていたのだという。
映像では「逃げ切れればOKだ」という台詞があるが、この場面の後は「戦ってもいい」し「逃げてもいい」ということだ。主人公を妨害する敵のような雰囲気があるが、実際に、サムの前に何度も現われる存在になるということだ。
#TGS2018コジプロ・ステージで公開した映像、三上哲さんによる日本語音声バージョンです。pic.twitter.com/mhQ02VK2l2
— Kojima Productions (@KojiPro2015)2018年9月23日
#TGS2018コジプロ・ステージで公開した映像、トロイ・ベイカーさんによる英語音声バージョンです。pic.twitter.com/9SNT8V7tSS
— Kojima Productions (@KojiPro2015)2018年9月23日
ステージでは、さらに2人のキャラクターについても紹介された。
マッツ・ミケルセン演じるこのキャラクターの日本版での声優も、小島監督は2年あまり探し続けたそうだ。誰にしたのかは秘密とのことだが最近ようやく決まったのだとか。なお、このキャラクターについてはすごく重要な役で、MCの岩井さんがどんなキャラクターなのかを聞くと、「マッツ・ミケルセンのキャラクターだということを考えると説明がいらないのでは」と答えていた。
ギレルモ・デル・トロ監督が友情出演するキャラクターは、日本語の吹き替えを洋画やドラマでの吹き替えも数多くされている石住昭彦さんが担当するという。
ちなみにこのキャラクターは、元がデル・トロ監督ということもあり、かなり面白い感じになっているという。そして実は、このキャラクターの台詞量がもしかしたら1番多いかもしれないということで、このデル・トロ監督のキャラクターに次いで大塚さんの隊長キャラクターの台詞が同じぐらいに多いという。
小島監督作品の収録への印象を聞かれると、大塚さんをはじめ皆さんからは「楽しい」と笑顔で語られた。
大塚さんからは「こっちがこれぐらいかなと考えていても小島監督からは『もっときてください!』と常に言われる」ということで、それが楽しいとのこと。小島監督としては「一緒に作っている、一緒に遊んでいるような感じ」としつつ、自分の作ったものが俳優さんと一緒に作ることで、より面白く変わっていく様を楽しんでいるということだ。
井上さんや水樹さんは、ハードなシーンの収録では情熱を感じたり、かと思えば、ときには笑わせにきたりもするということで、そんな緩急の効いた一体感とやりがいに魅力を感じているそうだ。また、掛け合いのシーンではキャストのスケジュールを調整して、個別収録ではなく一緒に収録するスタイルを取っているのも、大きな魅力とのことだ。
ちなみに、海外キャストの収録はどんな雰囲気なのかという質問では、本作はキャラクターモデルだけでなく、俳優さんご本人に演じてもらって声や演技を同時にキャプチャーしていく、映画「アバター」でも使われたパフォーマンスキャプチャーという手法で収録しているため、まさに映画を撮るようなスタイルで進められているということだ。
井上さんからは、「杉田智和さんの役はありますか?」という質問もあった。「メタルギアソリッド」シリーズではカズヒラ・ミラー役で参加されていた杉田さんだが、残念ながら今作には杉田さんに合うキャラクターがでないそうだ。小島監督からは「次回作でぜひ!」とのことだった。
最後に、気になる発売日についてもお話が出たが、現在収録に遅れは出ているものの、それ以外は順調に進んでいるとのこと。
小島監督は、「『DEATH STRANDING』は縄のゲーム。棒の世の中でお互い殴り合ったり中傷し合ったりの世の中で、縄の繋がりを持ちたいという発想で作っているゲーム。あらゆるものとゲームを作りながら絆が繋がっていて、今日の皆さんとも絆が繋がっていると思います。まだ完成していませんけど、このままみなさんと繋がったまま開発を続けて、良いものを作りたいと思いますので、もうしばらくお待ちください」とステージを締めくくった。