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「ZOTAC CUP MASTERS CS:GO 2018」、グランドファイナル無敗でMIBRが王者に

強すぎたブラジルからの刺客

8月26日 開催

 香港ZOTAC Technologyは、「E-Sports and Music Festival(EMF)」にて「ZOTAC CUP MASTERS CS:GO 2018」のグランドファイナルを開催した。

 グランドファイナルにはこれまで世界各地で行なわれた予選を勝ち抜いたMVP PK(アジア代表)、Team Kinguin(ヨーロッパ代表)、Ghost Gaming(アメリカ代表)の4チームと、招待チームのTYLOO、Virtus.pro、MIBR、Optic Gaming、そして地元中国のFlash Gamingの計8チームが参加。優勝賞金は総額30万米ドル(約3,336万円)という香港でのeスポーツ大会史上、そして「ZOTAC CUP MASTERS」史上でも最高額の賞金が用意された。

 決勝に向けてEMFの開催初日から試合が行なわれ、最後の舞台に臨んだのはブラジルが誇る世界トップ10に入る強豪MIBRと、準々決勝、準決勝で格上のTyloo、そしてアメリカ代表のGhost Gamingを蹴落としたTeam Kinguin(以下、Kinguin)。

 決勝まではBo3(2本先取)ルールでの進行となったが、なんとMIBRは決勝までの2戦を2-0、すなわち1セットも落とすことなく破竹の勢いで勝ち進んできており、その実力と勢いを誇示していた。一方 Kinguinのここまでの戦績はいずれも2-1。競ったときの勝負強さが印象的で、抑えるべきところをしっかりと抑えてきた印象だ。

決勝戦ではMIBRとTeam Kinguinが激突!

 決勝戦はサブステージから会場を移し、巨大なメインステージで「Hong Kong PUBG World Invitational」の後に行なわれた。サブステージの試合の時点でもわずかに用意された座席は超満員で過密状態、さらに立ち見の観客がステージを覆うように広がっており、日本ではなかなか見られない光景に海外での「CS:GO」の人気を目の当たりにしたような心持ちだったのだが、メインステージでは観客席から交戦やキルシーンごとに歓声が上がり、サンダースティックが打ち鳴らされるという、まさに観客が一体となって試合観戦に熱狂する様子が肌で感じられた。

観客席からはものすごい熱気が感じられる

 さて、試合は蓋を空けてみるとMIBRがKinguinを完封。3セットを連取するという結果に終わった。遭遇戦での撃ち合いこそTeam Kinguinも負けてはいなかったが、そもそも遭遇戦にすらさせてもらえず、敵の存在に気づく前にMIBRがキルを取るという展開がしばしば見られた。

 中でも圧巻だったのはMIBRのリーダーでありAWPer(≒スナイパー)のFalleN選手。まるで相手が壁越しに見えているかのように銃を構え、相手が頭を出した瞬間、正確に撃ち抜いていく。時にはスコープを覗くやいなや射撃音がしたな、と思うとキルログが流れていたりして、そのマップの理解度、エイムの正確さ、そしてとっさの判断力が極めて優れていることがひと目でわかる。

 観戦では選手達の位置がミニマップ上に表示されるほか、メイン画面でも壁越しにシルエットでその姿が確認できるようになっている。さらに投げ物の軌跡なども表示されるので、今どのような状況でこれから何が起ころうとしているのかを予測することも不可能ではないのだが、大きな大会でのゲーム中にまるで観客の視点を持っているかのようなパフォーマンスを発揮するのは並大抵のことではない。

 試合の流れとして、1、2セットではMIBRがいずれも勝利したものの、Kinguinも1セット目で12ラウンド先行されながらもそこからじわじわとセットを取り返したり、2セット目でもややMIBRが先行してラウンドを積み上げる中、無理買い(お金が足りなくても無理やり装備を購入して、なんとか戦える状態にすること)によって活路を開いたり、相手のエコラウンドをきっちりと抑えて食らいついていった。ところが3セット目、Kinguinはわずか1ラウンドの獲得しか許されず、MIBRは次々に勝利を重ねて16ラウンドを獲得。もはやエコラウンドとか無理買いが、などというレベルではなく、冴えきったプレイでKinguinを完封した。

 実は観客達はラウンドカウントが15-1になった時点で席を立ち、MIBRを祝福する準備を整えていた。試合を終えてステージにMIBRが現われると大歓声で出迎え、表彰式が終わった後もMIBRの健闘を讃え続けた。

1セット目、12ラウンドを連取されるという苦しい状況のなか、Kinguinはなんとか6ラウンドを取り返すが逆転はならず
2セット目はかなり競った戦いとなり、かなり熱い展開に。しかしここでもMIBRはきっちりと16ラウンド目を獲得
そして一方的な試合が展開された3セット目。第15ラウンドでフル装備での戦いとなったが、健闘むなしくMIBRがラウンドを獲得。ここでほぼ勝敗が決まった
MIBRには、大会主催のZOTAC CEOのTony Wong氏よりトロフィーが手渡された

 「CS:GO」はマップの理解や投げ物の管理、そして射撃の際は「ストッピング」と呼ばれる、一瞬足を止める操作などが必要になるなど、FPSの中でもかなり難易度の高いタイトルだ。そんなタイトルのトッププレーヤー同士の戦いは、まさに世界最高峰、まさに世界大会といった様相で、観ていてずっとヒリヒリするような緊張感と、キルが発生した瞬間の興奮をたっぷりと味わうことができた。

 今回の大会は「ZOTAC CUP MASTERS」という名の通りZOTACが主催する大会で、ZOTACはオフラインの「ZOTAC CUP」や今回のような大規模オフライン大会「ZOTAC CUP MASTERS」の開催に精力的に取り組んでいる。まだ今大会が終わったばかりの現時点では次回の大会についてのアナウンスはないが、こうしたプロプレーヤーたちの晴れ舞台、そして観客達が互いに熱狂し合うような場所というのはゲームシーンの発展のため、今後も必要とされていくだろう。次の「ZOTAC CUP MASTERS」が楽しみだ。