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スペシャルボタンが鍵を握る、「DEAD OR ALIVE 6」新堀プロデューサーインタビュー
2018年6月16日 10:13
E3と同時に発表された「DEAD OR ALIVE 6(以下、「DOA6」)」、オフィシャルトレーラーではスピーディで激しいゲーム性、リアルになったフェィシャルアニメーションとダメージ表現、汗の表現、ステージの仕掛けなど様々な要素が詰まっている。
インタビュー会場には試遊台もあり、試遊バージョンとして霞、エレナ、ジャン・リー、ザックの4人をプレイできた。「打撃」、「投げ」、「ホールド」の3すくみという従来のシステムに加え、「スペシャルボタン」による簡単に大ダメージを与える要素が導入されている。
今回、本作のプロデューサー/ディレクターを務める新堀洋平氏に本作に込めた想いを聞くことができた。
新堀氏は「DEAD OR ALIVE 2 ULTIMATE」のディレクターとしてTeam NINJA に加わり、「DOA4」ではバトルプランナーを務め、モバイル版などを経た後、「DOA5」でナンバリングタイトルのディレクターとなった。今作ではディレクターであり、プロデューサーを兼任、「DOA6」のヴィジョンを提示、ゲームデザインだけでなく、いかに世界にアピールしていくか、という戦略も考えていくという。
シリーズに関して新堀氏は今や世界中の人に「DOA」は認知されていると感じている。特に「DOA5 LAST ROUND」では、基本無料というスタイルを打ち出し、1千万人以上のプレーヤーを獲得した。今回も海外のメディアの注目の強さを実感しているという。この流れが「新作を!」という勢いに繋がり、新堀氏の想いが実現したという。本作の発表の反響も大きく、喜びを感じているとのことだ。
本作に関して新堀氏は、「DOA」の“遺伝子”を色濃く残していこうと考えている。ゲームシステム、ビジュアル、キャラクターの見せ方……こういったものを継承しつつ「グローバル」を意識している。今回のPVでは霞の衣装が大きく替わったのは、新堀氏の「アメコミ好き」が影響しているという。
その上で“戦う女性”を考え、最新のゲームエンジンで描いた姿だという。衣装としては“バトルスーツ”の意味合いが強く、プロテクターなど、今の戦闘用のスーツはこうなのではないか、といった解釈にこだわっているとのことだ。
「DOA」シリーズは「打撃」、「投げ」、「ホールド」の3すくみが基本となっている。打撃はホールドで返せて、ホールドは投げに弱い。今作ではそこに「読みの楽しさ」、相手の攻撃を予測し、読み勝ったときに大ダメージが与えられるなど気持ち良い方向にしようとしているという。
そして本作の大きな特徴である「スペシャルボタン」だ。このボタンは3すくみに新たに加わる要素だという。このボタンは敵の隙を突いたとき、このボタンを連打するだけで大ダメージを与えられる。それは「初心者のための入り口」として用意したものだ。スペシャルボタンだけで派手な技が出て、敵を吹っ飛ばしステージ破壊の演出も見れる。「このゲームの1番面白いところ」を簡単に楽しめる仕掛けだという。このボタンでゲームの楽しさを感じた上で奥深い世界へは行って欲しいと新堀氏は語った。
しかしもちろんそれだけではない。このボタンがあることで読みが難しくなるのだ。いきなり出すか、連続技に組み込むか、戦略の幅が広がる。「1つのボタンなんですが、上級者にとってはエキスがたっぷり出てくる美味しいボタンなんです」という。また、シングルプレイを楽しむユーザーにも心強いボタンになっているとのことだ。
「シングルプレイの時は、まずこの大ダメージを与えられるスペシャルボタンのコンボをいかに当てるかを考えて欲しいですね。このボタンを使えるようになって、各キャラクターでクリアできるようになると、ゲームやキャラクターのワザへの理解が深まる。そういう風にゲームに入っていってもらいたいです」と新堀氏は語った。
「DOA6」で対戦でうまくなっていくには2つの“道”があるという。1つは相手がガードする場合。特にスペシャルボタンだけで戦っているユーザーは「簡単に当たらないんだ」と思う。ではどう当てるか? ワザを空振りさせたところを当てる、相手が躊躇したときに当てるなど工夫する。そしてもう1つが、別のボタンを使い、「DOA」シリーズへの戦い方を模索していく道だ。
初心者への誘導、楽しい戦い方をいかに提示していくかはゲーム内で行ないたいとのこと。シングルプレイやチュートリアルでの提示を行なっていく。ユーザーの配信やテクニックの紹介など、コミュニティの盛り上がりも期待しているという。
シリーズのファンに向けた要素としてはホールドが「3Way」と「4way」の選択がある。これはシリーズの進化の部分で、3wayでは上段、中段、下段のホールドだったが、4wayでは中段の攻撃がパンチの場合はレバーの後ろ、キックの場合は前とにレバーを倒して対応することで、より相手の攻撃への読みを深くしている。
「DOA」シリーズは中段攻撃の豊富さが特徴だ。上段はしゃがんでいる相手には通じず、下段は強い打撃や相手をよろけさせる技が出ない。中段をいかに当てていくかが鍵となる。この豊富な中段はキックとパンチに分けることで、ゲームのバランスとしてはベストとなると考えている。ここは対戦でルールを変えられるように幅を持たせた部分とのこと。
そして「DOA」の大きな特徴がコスチュームだ。もちろん新堀氏は「DOA6」でもコスチュームを充実させる考えだが、新エンジンと、表現の細かさが大きな特徴である「DOA6」ではコスチュームの作業量もとても膨大なものとなる。どこまでできるか、どんなモノができるか、研究すすめているという。
キャラクターに関してはまず「きめ細やかな表現」に挑戦している。表情がつき、フェイシャルアニメーションが充実し、ダメージ表現や汗の表現などもきめ細やかに、リアルに可能となった。今後できれば暑いコスチュームだと汗をかきやすくなるなど、様々な表現の可能性を模索していくとのことだ。
今回、試遊台はメディアのみの公開だったが、ラスベガスで8月に開催される「DEAD OR ALIVE EVO Showdown 2018」に一般向けの試遊台を出展予定とのことだ。新堀氏は学生時代にゲーム大会を主催してしまうほどに格闘ゲームのファンだったが、今後のeスポーツの盛り上がりにも「DOA6」で参加してきたいという思いを持っている。
その中で新堀氏は「強い人だけがスターになれるとは思わない」という考えを持っているという。弱い、とされるキャラクターで大会を勝ち進んだらそれだけでものすごく注目を浴びるし、しゃべりが上手くても、プレイが独特でもファンを獲得できる。魅力がある人ならば誰でも輝けると思っているという。「「『DOA6』で皆さんの個性を主張して下さい」と新堀氏は語った。
「DOA6」に関して、今の時点でユーザーに見てもらいたい点として新堀氏は「これから『DOA6』がどう伸びていくか、という点に期待して下さい。もちろん本シリーズは美しい女性キャラクターが多いゲームですので、“お色気が0になる”なんてわけがあるわけないです。もちろんセクシーさを強調するのではなく、自然な方向に振っていきたい。まずは今後の成長を見ていって欲しいなと思います」と語った。
最後にユーザーへのメッセージとして新堀氏は「これまでシリーズを支えていただいてありがとうございます。皆さんが支えてくれたから、新作を出すことができました。これからなんです、スタートしたばかりなんです。まだまだ表現し切れていない。発売日まで一緒にゲームを作るつもりでご期待下さい、応援よろしくお願いします」と語りかけた。