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ため息をつくほどに濃厚な“和の世界”、「Ghost of Tsushima」から立ち上る美しい時代劇の香り

6月11日 開催

会場:LA Center Studios

 随所にため息が出てしまうほどの美しさを見せてくれたのが、「PlayStation E3 2018 Showcase」での「Ghost of Tsushima」のデモプレイ映像である。本作の発表では壁一面にススキの穂が揺れる映像の中、尺八奏者の演奏でスタートした。身体をダイナミックに動かし、力を込めた演奏で吹き鳴らされる音色は、力強いのだがどこかもの悲しく、独特の雰囲気があった。

 本作はアメリカのSucker Punch Productionsが製作するアクションゲームだ。蒙古軍に襲われる対馬をテーマにしており、主人公は蒙古軍と戦いながら対馬を救うため奔走していく。今回筆者達来場者の心をつかんだのが“和”の雰囲気である。

 竹林からススキが一面に生える原野を馬で駆け抜ける主人公、林を抜け、敵と対峙するところまで、重厚な日本映画の1シーンのようだ。「この映像を持ったゲームを日本人が作れないのは、ちょっと悔しいな」と思ってしまった。圧倒的な“中世日本の雰囲気”なのである。

尺八の演奏から始まった「Ghost of Tsushima」のデモプレイ。いきなり和の世界に飲み込まれてしまった

 敵は蒙古軍、盾と曲刀、槍などを持ち、鉄の鎧に身を包んだ兵士達だ。対峙した瞬間、主人公が見せたのは「居合い」の一閃、タイミングが合えば敵を一撃で倒せるのだ。他にも敵を押し倒して刀を突き刺したり、敵の攻撃をいなした隙で切りつけたり、さらには格闘術である「組み討ち」まで使い、本当に本作の研究熱心さと、それをちゃんとゲームで表現する熱意に感心してしまった。

 主人公は丘の上に立つ寺に向かう。真っ赤な紅葉の散る寺には僧侶が捕らわれている。主人公は同じく蒙古と戦う女武者と共に寺に向かう。主人公はおもりのついたロープを投げその力を利用して寺の破れた天井の穴から侵入する。本作では忍者のようなアクションも楽しめるようだ。

 そして僧侶をとらえる敵を主人公は連続攻撃で倒していく。敵の隙を突くことで強力な攻撃を連続で出せるようで、最後は障子の向こうにいる敵を障子を貫いて刀を突き立てて倒した。刀を引き抜くと引っ張られた敵が仰向けに障子を壊して絶命する。時代劇で見られる演出である。

居合から始まる戦闘。流れるような太刀さばきが素晴らしい
寺の天井からの強襲、敵が畳を壊して倒れてくる姿も良い

 しかし助け出した僧侶を女武者が襲う。対馬の民と仏教の者の間にも根深い対立があるようなのだ。主人公は僧侶を助けるため、やむを得ず女武者と対決する。音楽と共に大写しになる2人の刀の柄、そして2人は激しく場所を変えつつ切り結んでいく。このときのカメラアングルが素晴らしい。2人を引きの絵でとってカメラを回すなか、大量の紅葉が散り、舞い踊るのだ。美しく、悲しく、そして緊張感をもたらす景色の中、2人は激しく切り結ぶ。主人公は敵の隙を突き、ダメージを与えていく。

 そのとき、2人に火矢が撃ち込まれる。蒙古軍の火矢だ。炎は周りの紅葉を焼いていく。主人公がついに女武者の刀を跳ね上げ、女武者は負けを認めて座り込む。しかし主人公は女武者の刀を拾い上げ、返す。2人に襲いかかる蒙古軍、主人公と女武者は肩を並べて彼らを迎え撃つ。

 本当に、ものすごくかっこよく、濃厚な“和の雰囲気”を持ったデモプレイである。映画の殺陣ならではの様式美を感じさせる立ち回り、美しい自然と建築物の描写、本作は日本のプレーヤー、ゲーム開発者にこそ見てもらいたいゲームだ。このリスペクトは、本当に日本のユーザーにとって魅力的だ。

様式美さえ感じさせる2人の殺陣