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より美しくなったロスの闇の事件簿「L.A.ノワール」先行体験レポート

Swich版は携帯プレイ対応! 秘密を抱いたキャラクター達が手の中で微笑む

12月7日 発売予定

【L.A.ノワール】

価格:
パッケージ版
PS4/Nintendo Switch版 4,990円(税別)
ダウンロード版
PS4/Nintendo Switch/Xbox One版 4,491円(税別)
CEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)

 「L.A.ノワール」のHD版が発売される! アメリカでこの発表が為されたとき、筆者はすごくうれしかった。「L.A.ノワール」は2011年にプレイステーション 3とXbox 360向けに発売されており世界観にどっぷり浸かってプレイした。戦争帰りの警官コール・フェルプスが直面する戦後のロサンゼルスの闇、とにかく雰囲気が良くて、大好きなゲームだ。
 その「L.A.ノワール」がプレイステーション 4/Xbox One/Nintendo Switch向けに12月7日に発売される。さらにWindowsでのHTC VIVE向けに、本作をVR用に再構築した「L.A.ノワール: VR事件簿」も発売となる。こちらは発売日未定だ。

 今回、都内で本作の体験会が行なわれ、Nintendo Switch版の「L.A.ノワール」と、「L.A.ノワール: VR事件簿」を体験することができた。生まれ変わった「L.A.ノワール」はさらに美しく、緻密に当時のロスを描き出しており、雰囲気はさらに良くなった。もうこのままこの世界にずっと浸っていたいと強く思った。そしてNintendo Switch版ではSwitchならではの楽しさが盛り込まれている。本稿ではこちらの感触を中心に紹介したい。

 「L.A.ノワール: VR事件簿」に関してはヘッドセットをつけ、コントローラーを握り立ってプレイする。床の死体を調査するには、本当にしゃがみ込むのだ。全身を使って調査を進める、その楽しさが満喫できるゲームとなっている。こちらは別稿でレポートしよう。

手の中で展開するロサンゼルス殺人事件! 一味違うSwitch版

 1940年代後半、第2次大戦後のアメリカ・ロサンゼルスを描く。主人公は太平洋戦争に従軍し、心に深い傷を負うコール・フェルプス。彼はロサンゼルス市警の警官としてある殺人事件を調査したことをきっかけに異例の出世を遂げ、そしてロサンゼルスの“闇”に直面していくことになる。

主人公のコール・フェルプス。警察官としてロスの闇をのぞき込んでいく
本作の最大の特徴は「モーションスキャン」。キャラクター達は実に表情豊かで、彼らの心の内を表情で語る
当時の生活、世相、雰囲気など、美しいグラフィックスでさらなる臨場感をもたらす
収集要素も。Joy-Conを使うことで手で持っているかのように角度を変えられる

 細かなゲームの紹介より前に、早速Nintendo Switch版ならではのポイントを紹介していこう。Nintendo Switch版では、Switchというハードの特性を活かした多彩な機能を追加しているのだ。他機種版にない最大の特徴は「携帯モード」である。持ち運び可能なモードにすることでスクリーンに720pで「L.A.ノワール」をプレイできるようになる。

 この際、「タッチスクリーン」に対応し、直感的にプレイ可能になる。移動したい場所や手がかり、質問の項目など、全て指でタップするだけで選択したり操作できる様になっている。指2つを使っての“ピッチ操作”でカメラアングルを操作することも可能だ。スマホゲームの様に手軽な操作性で本作をプレイできるのだ。

 またJoy-Conを両手に握ってのプレイもできる。コントローラのジャイロに対応しており、視点や証拠品の角度を変えるときなどコントローラを傾けることでそのまま操作が画面に反映される。より没入感が得られるプレイが楽しめる。Switchならではのプレイ体験は、他機種版と大きく違う楽しさが盛り込まれているのである。

 今回体験したところで一番楽しかったのは携帯プレイだ。「L.A.ノワール」のような重厚で本格的なアドベンチャーを持ち歩いてプレイできる。推理小説の文庫本を持ち歩く感覚でどこでもプレイできるのはやはり楽しい。スマホ感覚のタッチスクリーン操作は直感的でプレイしやすい。コントローラと組み合わせることでより一層プレイしやすくなると感じた。

 そして本作は尋問の仕方を変えるなどすると展開が変わる。何度でもプレイしたくなるゲーム性を持っている。外で色々なパターンを試しながら、お気に入りのシーンを家でじっくりプレイするというのも楽しいだろう。本作はグラフィックスだけでなく音楽も素晴らしく、家の大画面テレビとちゃんとしたオーディオ環境でプレイすればさらなる臨場感が味わえる。Switchは、2つの環境を楽しめるハードなのだ。

 さて、本作が「L.A.ノワール」初挑戦という人のために、ゲームの概要にも触れておきたい。「L.A.ノワール」は1940年代後半のロサンゼルスが舞台となる。この時代、アメリカは暗い影を背負っていた。戦争が終わったことで大量の復員兵が帰ってきたが彼らはフェルプスと同じように戦争で心に傷を負い、社会に適合できないものも多かった。

 急激に増してくる共産主義による社会混乱や、根強く残る人種差別などが原因で起こる事件も少なくなかった。そして一方で映画はTV普及前の“黄金期”を迎えており、ハリウッドのスキャンダルが絶えなかった。この時代は最も殺人事件が多かった時期と言われている。

 「L.A.ノワール」は実際の殺人事件を元にした様々な事件に立ち向かっていく。フェルプスはパトロール課、交通課、殺人課……といった形で各課を転籍しながら様々な事件を調査することになる。緻密に作られたロスの街を移動し、現場を調査、証拠を集め、参考人を尋問し真実に迫っていく。当時の街並み、家庭の生活、様々な店、きらびやかな映画業界とその闇、犯罪組織……本作は非常にうまく“時代”を描写している。

 最大の特徴は人々の“表情”である。驚いた顔、泣いた顔、こちらを探るような目、嘘を本作の隠して引き締まる唇、ごまかそうと浮かべる笑顔のこわばった頬の筋肉……「モーションスキャン」によってアクター達の表情を取り込んだその表現は6年経った今でも色あせない。

 今回発売されるバージョンでは以前のものが720pだったグラフィックスを1080pで表現(Swichの携帯モードでは720p)。PS3/Xbox 360版では追加販売となったさらなる事件を描いたDLCも全て同梱される。カメラアングルも事件現場全体が見渡せる視点と肩越しの視点を切り替えるようにできるようになった。氷上や建物などグラフィックスデータはオリジナルと同じものだが、高画質化し、テクスチャをアップグレードすることで、はっきり見やすいものになっている。

 この他、尋問システムに関しては「信用する」、「疑う」、「反証する」の3つから、「Good Cop(優しい警察官)」、「Bad Cop(悪い警察官)」、「Accuse(問いただす)」に変更されている。収集物、実績要素も追加されており、「書籍」、「レコード」を集めることができるほか、特殊なアビリティを備えた4つの衣装が入手可能となった。最新機種で、より美しいグラフィックスで、全てのDLCが同梱された「L.A.ノワール」がプレイできるようになるのである。

【Nintendo Switch版「L.A.ノワール」公式トレーラー】

【スクリーンショット】
フェルプスは様々な事件を調査しながら異例の出世遂げていく。戦後のアメリカが直面する問題、様々な人々が抱えている矛盾を見るフェルプスの心の内を、プレーヤーは見つめていくこととなる

PS4/Xbox Oneでは、4K対応! さらにロスの街が美しく

 なお、PS4/Xbox One版に関しては天候やスモッグ、雲のエフェクトもアップグレードされている。金属光沢や汚れなどもリアルになり、PS3/Xbox 360版以上に美しいロスの街で、より表情がはっきりとしたキャラクター達の駆け引きが楽しめるようになっている。

より高精度になったグラフィックスで、雰囲気はさらに素晴らしく
グラフィックス、オーディオが目を惹くが、本作の最大の魅力はストーリーである。「L.A.ノワール」の深いストーリーと強いテーマ性は、ぜひ触れて欲しい

 さらにPS4 Proと、Xbox One X、そして4Kモニターを持っているユーザーにはさらなる美しい世界が待っている。本作は4K出力に対応しており、さらに、さらに美しく描画されたロスの街を見ることができるのだ。体験会の際4Kモニターでプロモーション映像を見ることができたのだが、「ああこの世界に浸っていたい」と心の底から思った。4K環境に憧れてしまう映像だった。

 筆者は「L.A.ノワール」のXbox 360をかなりのめり込んでプレイした。戦後の暗い世相、殺人事件を追うそのテーマ性と、この時代のアメリカ社会が抱える深い闇をのぞき込む本作は、渋く、苦い味を持っており、アダルトな雰囲気を味わえる。レイモンド チャンドラーの探偵小説を読んでいるような雰囲気に酔える推理アドベンチャーである。社会批判と、「人間の生き方」をきちんと問う深いテーマ性は、ゲーム文化の素晴らしさを実感できるだろう。

 この渋くカッコイイゲームを、より美しいグラフィックスでプレイできるようになったのは、大いに喜びたい。ぜひ多くの人に手に取って欲しい。

【「L.A.ノワール」4Kトレーラー】
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