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【特別企画】楽しく遊ぶための「World of Tanks Console」ビギナーガイド

“好き”から始めてみる。筆者もきっかけは「ドイツの戦車に乗ってみたい!」

「World of Tanks Console」はFPSである!
「フロントライン」(タイトー、1983年)
「バトルシティ」(ナムコ、1985年)
「アドバンスド大戦略」(セガ、1991年)

 さて、ビギナー向けオススメ戦車ガイドに続いては、筆者自身どのように「World of Tanks」と接点を持ち、プレイするようになり、そしてビギナー時代を過ごしたのかをお伝えしたい。

 のっけから身もふたもないことを言ってしまうと、「World of Tanks」が楽しめるかどうかは、戦車が好きかどうか、興味があるかどうかに尽きると思う。戦車がよっぽど嫌いというのであればともかく、実はちょっと興味がある、昔戦車のプラモデルを作ったことがある、戦車ゲームで遊んだことがある、という方は、「World of Tanks」はあなたにとって未曾有の世界が待ち受けている可能性がある。

 まず、「WoT」は、ゲームとして他に類例のない、ライバルもいないし、今後現われそうな気配がまったくない孤高のゲームだが、スナイパーモード(1人称視点)で敵の弱点を狙撃するという点では、れっきとしたFPSのひとつだ。つまり、「バトルフィールド1」(エレクトロニック・アーツ)や「オーバーウォッチ」(Blizzard Entertainment)と同ジャンルにカテゴライズ可能なゲームだ。

 ただ、それらと「WoT」が決定的に異なるのは、自身が操作するキャラクターが戦車であり、しかもその数が400種類以上にのぼることだ。使用キャラを400種類以上から選択できるゲームなんてほかにあるだろうか。もちろん、他のオンラインFPSのように、拡張パーツやアイテム、砲弾、迷彩等で更なるカスタマイズが可能で、同じ車輌でも無限のバリエーションを誇る。このため、この戦車達が好きかどうか、興味が持てるかどうかは、ゲームを楽しむ上で決定的に重要な要素と言っていい。

 筆者自身は、「フロントライン」(タイトー、1983年)で戦車の存在とその畏怖すべき圧倒的な強さを知り、「バトルシティ」(ナムコ、1985年)で戦車の操縦と射撃の仕方を覚え、「アドバンスド大戦略」(セガ、1991年)で、戦車の歴史とその種類を学ぶという、戦車と共に年を重ねてきた人間であるため、「World of Tanks」はドストライクのゲームだった。

 ただ、意外に思われるかもしれないが、「WoT」サービス開始当初から無茶苦茶ハマったかというと実はそうではない。今も昔も、どちらかというと自身で遊ぶよりも、WGLの観戦など観る方がメインのユーザーだ。理由は単純にFPSが苦手だからだ。「バトルフィールド」や「Call of Duty」のようなFPSのマルチプレイに参加すると、上位陣が30キル、3デスというようなスコアになるのに、筆者はその逆になる。これはもうハッキリ言うが、全然おもしろくない。だからFPSはもっぱらキャンペーン(シングルプレイ)専門のプレーヤーだ。

 「WoT」がそれらのFPSと違うのは、リスポーンの概念がない、つまり1度撃破されたらそこで終わりで、1戦で何十回も撃破されることがないということと、装甲の概念があり、砲撃を受けても立ち回りによってダメージを0にすることができる可能性があること、最後に役割が明確にわかれた15対15のチーム戦なので、ひとりひとりの影響が小さいことが挙げられる。要するに、下手くそでも無茶苦茶に負けないし、エイミングが下手くそでもある程度勝てるし、立ち回りが良くなくてもそれなりの活躍の仕方があるので、心が折れずにマルチプレイを楽しむことができるのだ。このゲームデザインは、まさに筆者のようなFPSが苦手なゲームファンや、FPSビギナー向きだと思う。だから、重要なのは、あとは戦車が好きかどうか、興味を持てるかどうかだ。

 筆者の場合、「アドバンスド大戦略」の影響で、ドイツ戦車の熱狂的な信者であり、「I号戦車を皮切りに、IV号戦車、V号戦車(パンター)、IV号戦車(ティーガー、ティーガーII)、VIII号戦車(マウス)やE100に乗りたい!」とまるで子供のような動機で「WoT」を始めたクチだ。実際には先述したように、ドイツは玄人向けの車輌デザインであり、実はビギナー向きではなかったのだが、「やっぱ、ティーガー良いよなあ」、「E50も格好いいなあ」と、常に将来の目標を持ちながらゲームを楽しめたのは良かったと思う。「WoT」をはじめてみようかな、というビギナーは、お気に入りの戦車を見つけ、それを目標にしてプレイしてみることをオススメしたい。

【お気に入りのドイツ戦車たち】
Luchs(TierIV軽戦車)
IV号戦車H型(TierV中戦車)
パンター(TierVII中戦車)
ティーガーI(TierVII重戦車)
ティーガーII(TierVIII重戦車)
レオパルド プロトタイプA(TierIX中戦車)

自分の得意な車種、好みのプレイスタイルを把握する

 マウスを最終目標に「WoT」を遊び始めた筆者だが、筆者が好きな戦車は重戦車ばかりであり、必然的に重戦車ツリーを育てていくことになった。マウスやE100は最終TierとなるTierXである。始めたばかりの人がそこまでたどり着くためには、短く見積もっても3カ月から半年ぐらいは掛かるだろう。筆者みたいに5,000戦ぐらいこなすと、ゴールドを消費して他の車輌で稼いだ経験値を任意のツリーで使ったり、ゴールドで車輌購入費のシルバーを入手したりできるため、その時間はかなり短縮できる(その代わりお金が掛かるわけだが)ようになるが、いずれにしても長く険しい道のりだ。

最上位TierXに君臨するマウス。唯一、「生存性100」を誇る高いHPと重装甲を誇る。筆者はまだたどり着いていない

 筆者の場合、TierVII重戦車ティーガーまでは順調に来たが、TierVIII重戦車ティーガーIIあたりで「おや?」という感じになってきた。重戦車といえば、最重量級の車輌、同Tierでは最強の戦車ばかりが集まるため、性能的な強さを求めるビギナーと、大戦果を求める上級者でひしめく激戦区だ。重戦車は高威力の主砲と、厚い装甲を誇る代わりに鈍足で、最後発で主戦場に向かい、チームの主力としてダメージソースと文字通りの盾として機能する。重戦車が活躍すれば勝ちはグッと近づくし、早期に撃破されれば前線の崩壊を意味し、大ピンチに陥る。まさに戦場の花形である。

 文字にすると血湧き肉躍る感じで最高なわけだが、実際にはそんな生やさしいものではなく、こちらの長い装填時間の末に撃ち込んだ乾坤一擲の一撃は敵重戦車の厚い装甲に阻まれるのに、敵の重戦車には正確にこちらの弱点を貫かれ、格下のはずの中戦車にも側面を撃ち抜かれ、眼中にすらなかった軽戦車にも履帯を切られ、「あ、いかん」と思ったら、空から自走砲の榴弾が振ってきて撃破される。まあ、これは最悪のケースだが、筆者は性格的に重戦車はあまり向いてない、というより重戦車を操るだけのスキルが身に付いてないなと思ったのだ。

無残に撃破される我がティーガーII。高Tierと当たれば、さすがのティーガーIIも勝てない

 重戦車は、俗に昼飯、豚飯と言われるような、戦車の角度を調整して装甲を傾斜させることで砲弾の運動エネルギーを分散し、跳弾を狙う「避弾経始(ひだんけいし)」や、砲塔以外を隠して車体を守りながら戦う「ハルダウン」といった「WoT」特有のテクニックの習得や、キューポラや覗視孔や機銃口といった弱点を車体別に把握できているかどうかが重要で、中Tier帯以降は、それらの理解は必須といっていい。筆者は理屈ではある程度理解していたつもりだが、まるで実践できていなかったのだ。

 そこでマウス/E100計画を一旦ペンディングにし、重戦車以外のツリーを育て始めた。その中で意外にも一番合っていたのが、重戦車の対極にある軽戦車だ。小型軽量で快速を誇り、チームの目として機能する。主砲は口径が短いためダメージはあまり期待できないが、同Tierではもっとも視界が広く、隠蔽率が高い。つまり、敵に見つからずに敵を見つけることが可能なわけだ。これがもうゾクゾクするほど楽しい。「WoT」では、敵を撃破したり、ダメージを与えたりするだけでなく、敵を発見したり、自分が発見したり、履帯を切った敵を味方がダメージを与えてもアシストとして戦果として判定される。これはエイミングが下手な筆者に向いていたのだ。

 それから、パワーウェイトレシオ(出力重量比)が高い車輌が多いため、アナログスティックを前に倒すと車輌がクイックに動き、すぐ最高速に達するのも好みに合った。これにより、敵に位置がバレても偵察ポイントを容易に転換できるし、こちらを見つけた重戦車が一目散に攻め込んできても逃げることができる。これはますます向いているなと思った。それ以来、筆者は軽戦車乗りに転向した。ドイツのTier VIII軽戦車Ru 251まで到達した後は、ソ連やフランス、アメリカの軽戦車にも乗り、今も軽戦車をメインで楽しんでいる。車輌選びに関するアドバイスは、最初の思い込みというか願望に固執せず、ひととおり遊んでみてフィーリングに合う車輌を選ぶことだ。

【軽戦車】
走って良し撃って良しのRu 251(ドイツTierVIII)
小型軽量快速で可愛くてたまらないLocust(アメリカTierIII)

 ちなみに、現在は、重戦車を含めて、すべての車種に乗るようになったので、簡単な印象をお伝えしておくと、中戦車は重戦車に準ずる火力と装甲、軽戦車に準ずる機動力を持ち、高火力、高機動力を併せ持つ、単騎で戦場を支配できるポテンシャルを持つ。逆に言えば器用貧乏で、下手に立ち回ると何もできずに撃破されることも少なくなく、重戦車以上に難易度の高い車種だと思う。

 しかし、プロリーグであるWGLでは、エースが乗る車輌は常に中戦車(現在は、マウスに引きずられて重戦車寄りの編成になるケースが多いが)だ。彼らが乗るBat.-Châtillon 25 tやE 50 Ausf. M、Obj.140、STB-1は惚れ惚れするほどカッコ良く、強い。目下、筆者の最終目標は、ドイツTierX中戦車レオパルト1を乗りこなせるようになることだ。

【中戦車・重戦車】
機動力と火力のバランスが優れたレオパルド PTA(ドイツTierIX中戦車)。紙装甲(紙のように装甲が薄い)で有名な車輌だが「当たらなければどうということはない」
砂漠戦に挑むティーガーI(ドイツTierVII重戦車)。重戦車は最前線を張る覚悟が必要だ

 駆逐戦車は、敵の撃破することに性能を全振りした、いわゆるスナイパーだ。圧倒的な火力と貫通力を備える代わりに、全方位への砲撃を可能にする旋回砲塔を持たず、固定砲が基本で、それ以外にも機動力や装甲に難を抱える車輌が多い。敵に見つからない遠距離から狙撃するのが基本的なプレイスタイルとなるため、狙撃に適した位置の把握、主戦場の予測が必要不可欠となる。その予測がうまくできないと、自分はまったく何もしないまま戦局だけが動いていくという情けないことになるため、最低限マップの構造を理解してから手を出したい車種だ。

 自走砲は、これだけゲームが違う。味方が確保した敵位置の情報をもとに、俯瞰視点から榴弾で敵戦車の天板を狙う。ざっくり言うと、FPSにおける指揮官役の爆撃指示みたいなものだが、そればかりを20~60秒間隔で射撃し続けるところがユニークだ。筆者もTierVIIまで自走砲ツリーを育てたが、3つの理由からあまり選ばなくなってしまった。1つは、あまりにルールが異なり運の要素が強いため、自走砲を繰り返しプレイしても、あまり上達に繋がらないことと、その他の車種の主砲と比較して、遠距離を狙うため精度が低くなっており、絞りきってから撃っても外れることが多く、単純にストレスがたまること。最後にシステム上、大戦果が狙いにくいため、あまり儲からないことだ。ただ、CarenTigerのopelisk選手のように、異常なほどに高い精度で当てる自走砲のスペシャリストも中には存在するため、TierVぐらいまで遊んでみて「あ、これだわ」と思ったら、遊び続けるのはアリだ。

 長々と述べてきたが、ある程度ゲームに慣れてきたら、5種類の車輌を乗り比べてみて、自分のプレイスタイルに合った車種を選ぶのが大事だと思う。

【駆逐戦車・自走砲】
後方にじっと潜み、チャンスをうかがうカノーネンヤークトパンツァー(ドイツTierVIII駆逐戦車)。前に出たい人、動きたい人は基本的に駆逐戦車は向いていない
最後方から、大口径の榴弾砲で敵を狙うシュトルムパンツァー(ドイツTierIV自走砲)