【特別企画】

「ドラゴンクエスト」が発売40周年!

勇者ロトの末裔がアレフガルドに降臨! ファミコン史上初、本格派RPG登場の衝撃を振り返る

【ドラゴンクエスト】
1986年5月27日発売

 1986年5月27日にエニックス(現:スクウェア・エニックス)が発売したファミリーコンピュータ用ソフト「ドラゴンクエスト(以下DQI)」が、本日で40周年を迎えた。

 本作は、プレイヤーが主人公の勇者ロトの末裔となり、敵のモンスターに覆い尽くされたアレフガルドを救うため闇の覇者、竜王の討伐を目指すRPG。ファミコンでは初となるコマンド入力方式のRPGであり、敵のモンスターデザインには漫画家の鳥山明氏を、音楽には作曲家のすぎやまこういち氏を起用し、発売前から「週刊少年ジャンプ」誌上で盛んに紹介され、大いに話題になったことはあまりにも有名だ。

 以下、筆者が本作を遊んでいだ当時の体験を元に、国民的RPGとなって久しい「ドラゴンクエスト(以下DQ)」シリーズ第1弾の魅力を改めて振り返ってみよう。

※画像はファミコン版での撮影(以下同)

初めて体験した「本格派RPG」の衝撃

 筆者が「DQI」の存在を初めて知ったのは、「週刊少年ジャンプ」1986年11号の袋とじ企画「ファミコン神拳」に掲載された記事であった。

 当時の筆者はまだ小学生で、「ウィザードリィ」などの有名なPC用のRPGをまったく知らなかった。なので、本誌でその後も繰り返し掲載された本作の紹介記事を通じて、コマンドを入力して会話をする、敵のモンスターを倒すと経験値やゴールドがもらえる、アイテムは武器屋や道具屋で入手する、HPが少なくなったら宿屋で回復するなど、RPGの基本のキとなる遊び方を初めて知った。

 加えてスライムやゴースト、メーダなど、カッコイイかつ可愛らしいモンスターたちと戦えるとあって、「遊んでみたい!」と本作に大いに興味を持った。だが、筆者は本作を買えるだけの小遣いを持っていなかったので、正確な時期は忘れてしまったが、本作の実物を初めて見たのは同年の夏休み中に、ソフトを購入した友人宅だったと記憶している。

 友人がある程度レベルを上げた勇者を介して、短時間ではあったが初めて遊んだ本作は衝撃の連続だった。フィールドマップは全部で何画面分あるのか、まったく見当が付かないほどに広い。城や町など、行く先々で住民、兵士、長老などたくさんの人物が登場し、近付いて「はなす」コマンドを使用すると、それぞれ異なるセリフが表示されるではないか。

本作の舞台となる広大な世界、アレフガルド

 モンスターにエンカウントすると、突然画面と音楽が切り替わりスライム、ドラキー、ゴースト、まほうつかいなどのモンスターたちが眼前に現れる演出の迫力にも圧倒された。

 「たたかう」コマンドを実行すると、メッセージウィンドウには「5ポイントのダメージを あたえた」などと表示され、「どうぐ」コマンドで薬草を使用すると「キズが かいふくした」と表示されるなど、バトルの経過は文章で逐一示されるのも、今までにない新鮮な体験だった。

 モンスターの攻撃が当たると、「3ポイントのダメージを うけた」などと表示されて画面が揺れ動く演出は、まるで自身が叩かれたかのような気分になるほど痛々しい。さらに主人公のHPが残り少なくなると、ウィンドウや文字の色が赤に変わり、スリルが増す演出にも大いに感動した。

 「じゅもん」コマンドを選択したとき、またはモンスターが呪文を唱えた際は「ダメージをたくさん与えてくれ!」、「効け!」、「くらうな!」などと画面に向かってついつい叫んでしまう。「こうげき」選択時に、ごくまれに出る大ダメージ攻撃、会心の一撃が決まったときも最高に気持ちが良かった。

【手に汗握るモンスターとのバトル】
新たなモンスターが出現するたびに、どのコマンドを選択すべきか毎回ワクワクさせられた
序盤の強敵、まほうつかいは攻撃系の呪文、ギラの使い手だ
ダメージを受けると画面が揺れ、ピンチになると文字などが赤色になる演出も迫力満点!
瀕死の状態に追い込まれたときに、運良く会心の一撃が炸裂したときの快感は格別だった

涙あり、恐怖あり、笑いありのアレフガルドの世界に大感動

 その後、友人のひとりに頼んで本作のソフトを借りると、自宅で連日夢中になってやり込んだ。

 友人宅では、ずっと友人の名前で作った勇者で遊んでいた。だが、ソフトを借りられたことで自身の名を冠した勇者を初めて作ることができ、ラダトーム王から「おお、もりひろ!」と呼んでもらえただけでも、テンションが大いに高まった。

 初めのうちは、もっぱらモンスターとのバトルに集中し、主人公のレベル上げに没頭していた。やがて城や町の住人たちのセリフを元に、攻略のヒントとなる情報を集めて次の目標地点を決めるなど、バトル以外にもいろいろな楽しみ方があることが徐々にわかるようになると、本作がますます面白くなった。友人のアドバイスはもちろん、未知のマップやモンスター、アイテムなどが掲載されたファミコン専門誌の情報も、RPG初心者の筆者には実にありがたかった。

王様が名前を呼んでくれるので、自身が勇者になったかのような気分にさせてくれる
道行く人々に「はなす」コマンドで話し掛け、攻略のヒントが見付かるたびに大いにワクワクした

 モンスターを何度も倒し、経験値とともにゴールドを少しずつ貯め、たけざおからこんぼう、こうぼうからどうのつるぎへと、どんどん新しい、かつ強力な武器、または防具を購入できたときは本当に嬉しかった。逆にモンスターとのバトルに敗れ、ペナルティとしてゴールドが半分にされたときは「今までの俺の苦労は何だったんだ……」と、眼前が真っ黒になるほど絶望したものだ。

ゴールドを集めて武器屋、道具屋で新たなアイテムを購入するのも大きな楽しみだった

 主人公がレベルアップすると、最大HPや「ちから(攻撃力)」が増え、「じゅもんを1つおぼえた!」と表示されるたびに新たな呪文が使えるようになるのも凄く嬉しかった。レベル3で初めて勇者が覚える回復呪文「ホイミ」と、その強力版「ベホイミ」はもちろん、モンスターを眠らせて行動不能にする「ラリホー」と、呪文を封じる「マホトーン」は、とりわけ筆者愛用の呪文となった。

レベル3で主人公が最初に覚える呪文、HP回復の効果を持つホイミを初めて使ったときの感動も今なお忘れ難い
マホトーンを唱え、ベホイミの呪文と炎を吐く攻撃を繰り出す強敵、スターキメラの呪文封じに成功!

 フィールド上で流れる曲をはじめ、スリル感を大いに高めるバトル中の曲など、音楽もすぐに気に入った。洞窟内で流れる曲が、階段を降りて下の階に移動するたびに音程が下がり、テンポが遅くなって不気味さを演出していることに初めて気づいたときも大いに感動した。また暗くて視界が狭くなる洞窟内では「たいまつ」のアイテム、またはレベル9で覚えるレミーラの呪文を使用して、宝箱を発見したときは飛び上がるほど喜んだものだ。

たいまつの灯りを頼りに移動する、洞窟内の冒険は実にスリリング
宝箱を発見するたびに、中にはいったい何が入っているのか毎回ワクワクしたものだ

 ラダトーム王が教えてくれる、プレイデータを保存するための「復活の呪文」をメモするときの緊張感もハンパなかった。

 当時の筆者は、学校の授業では書き取り全般が苦手で、しかも通信簿の国語の評価は毎回「書写マイナス」、つまり字が汚いこともあり、自身でメモした復活の呪文をしばしば間違えてしまった。自業自得とはいえ、毎回の最初のプレイ時に復活の呪文を入力後「じゅもんが ちがいます」と表示され、泣くほど悔しい思いをいったい何度味わったことか……。

 筆者宅では、ファミコンを遊ぶときは毎回親からプレイ時間を決められていた。なので、本編の冒険に1秒でも多くの時間を割くべく、復活の呪文を入力するときは毎回「急げ、急げ!」と自身にハッパをかけながらプレイしたことも、今なお忘れられない思い出である。

竜王討伐のためには、ラダトーム王が教える復活の呪文を正確にメモする能力も必須であった

 本作を通じて、RPGにおける謎解きのコツをいろいろと覚え、自身のプレイの幅を広げてくれたという意味でも、元祖「DQI」は筆者にとって忘れ難いタイトルとなった。

 例えばガライの町にある、ガライの墓(洞窟の一種)の入口となる階段の発見方法。筆者はこの入口を独力で発見できなかった。あるとき、友人からお手本を見せてもらい「まさか、こんなところに抜け道があったとは!」と目から鱗が落ちた。

 筆者が特に衝撃を受けたのが、ラダトーム城にある秘密の階段だった。その存在を初めて知ったのは、確か「ファミコン通信」の攻略記事だったと思われるが、まさかスタート地点の城に、しかもマップ上の思いがけない位置に、階段がひっそりと、しかもそこには超重要なアイテムが隠されているとは夢にも思わなかった。

 竜王の城の1階では、竜王の待つ最深部に続く階段は左右どちらの階段が正解ルートなのかと思ったら、同じく「ファミコン通信」の記事で「……と見せかけて、実は真ん中の階段」などと書かれて、実はどちらも不正解で、正解は「しらべる」コマンドを使うと発見できる隠し階段というトリックも衝撃だった。

ガライの町では、ガライの墓へとつながる、真っ暗な部分に隠された通路の存在にビックリ
ラダトーム城1階の外れ、人影がまったくない場所に階段が隠されていたのも衝撃だった
竜王の城のマップはトリッキーかつ広大。数々の強敵の存在にも大いに悩まされた

 夏休みの終わり頃、軽く20を超えるレベルまで勇者を成長させた友人が、竜王を倒してエンディングへと進む場面を初めて見せてもらった。メッセージウィンドウまではみ出すほどの巨大な竜王のビジュアルと音楽はすごい迫力で、ラダトーム城に帰還した後に流れるエンディング曲も、あまりのカッコよさに涙が出るほど感動した。

 その一方で、住人たちのセリフには数々のギャグが仕込まれていたことも強く印象に残った。特に、リムルダールの町にいる女性の「おいでぼうや。ぱふぱふしてほしいなら50ゴールドよ。」のセリフには友人たちも大爆笑。直後に「所持金を50ゴールドぴったりに合わせて話しかけたらどうなるだろう?」と思い付き、試してみたが何も起こらずガッカリしたのも、今となっては良い思い出だ。

 ファミコン専門誌の裏技コーナーで初めて知った、捕らわれていたローラ姫を救出し、ラダトーム城に戻る前に宿屋に泊まると「ゆうべはおたのしみでしたね」と表示される裏技にも引っくり返るほど驚かされた。同じく、リムルダールの町にいる「ゆびわはせんしのたしなみだ」と話す兵士に、確かドムドーラの洞窟で発見した戦士の指輪を身に着けてから再び話し掛けたら「ゆびわなどしておまえははずかしいやつだなあ。」と言われ、思わず目が点になったことも忘れられない。

 結局、筆者は自力でエンディングに到達することはできなかったが、初めて遊んだ「本格派RPG」の底知れぬ面白さにすっかり魅了されてしまった。

愉快なセリフをしゃべる住人がたくさん登場するのも「DQ」ならではの楽しさだ
初めて見た瞬間、友人たちと笑い転げた思い出の「ぱふぱふ」
せっかく戦士の指輪を見付けたと思ったら、予想外の返事が表示されポカーンとなったことも忘れられない

 本作は、1993年に発売されたスーパーファミコンのリメイク版をベースにしたスマホアプリ「ドラゴンクエスト for スマートフォン」が現在でも配信中で、2025年10月にはHD-2Dリメイク版「ドラゴンクエストI&II」が各プラットフォームで発売されたのも記憶に新しい。発売から40周年を迎えた本作が、今でも手軽に遊べるのは改めてすごいなと思う次第である。

 なお「ドラゴンクエストI&II」には、特技や呪文を習得できるアイテム「巻物」のほか、塔やドワーフ族が住む洞窟や、妖精たちの紋章づくりを手伝うシナリオなど、元祖ファミコン版にはなかった追加要素が多数盛り込まれている。40年前に冒険を終えたという人も、この機会に当時の思い出に浸りつつ、久々にアレフガルドの世界を楽しむのも一興だろう。

スマホアプリ「ドラゴンクエスト for スマートフォン」
HD-2Dリメイク版「ドラゴンクエストI&II」