【特別企画】

「アウトランカーズ」完成披露会。岡本吉起氏×小室哲哉氏の対談で明かされたあの名曲の裏側

タイアップ楽曲は小室氏がプロデュースする音楽ユニット「OVAL SISTEM」が担当!

【アウトランカーズ】
11月6日 正式リリース予定
基本プレイ無料(アプリ内課金あり)

 でらゲーは、Android/iOS用奪い合いアクションバトルゲーム「OUTRANKERS(アウトランカーズ)」の正式サービスを本日11月6日に開始した。同作は元カプコンの岡本吉起氏が運営するYouTubeチャンネルの企画から生まれたタイトルだ。

 「アウトランカーズ」は“老若男女問わず誰もが楽しめる奪い合いバトル”をテーマに開発されており、「ストリートファイターII」を生み出したゲームクリエイター・西谷亮氏を中心として、対戦ゲームの「勝ち負け」からゲームデザインを見つめ直している。

 でらゲーは正式サービス開始に先立ち、東京・原宿の「WITH HARAJUKU HALL」にて「アウトランカーズ」の完成披露会を実施。イベントにはエグゼクティブプロデューサー・岡本吉起氏と、「アウトランカーズ」のタイアップ楽曲を手がけた音楽プロデューサー・小室哲哉氏、さらに小室氏がプロデュースしている音楽ユニット「OVAL SISTEM」が登壇した。

 本稿では、完成披露会のレポートをお届けする。

【新作スマートフォンゲーム「アウトランカーズ」プレイスルー映像【9/1〜ベータテスト開催!】】

シーズン制で進化し続ける対戦アクション。誰でもキャラを入手できるフェアな設計に!

 完成披露会の冒頭で登壇したゲームディレクター・美根俊一氏は、本作のゲームデザインについて、「勝った時の喜びと負けた時の悔しさがイコールにならない」という、対戦ゲーム特有のストレスを緩和している点について改めて紹介した。

 そのため、本作は対戦アクションでありながらも“直接的な殴り合い”ではなく“奪い合う”といったルールを意図的に採用している。この辺りの経緯については、以前お届けした記事の中で、西谷氏からも直接伺っているので、気になる方はそちらも合わせてチェックしてもらいたい。

 ゲームの運営方針としては、プレーヤーが長期的に楽しめる「シーズン制」を導入している。1シーズンを約7週間として、新キャラクター&新ステージの追加、既存キャラクターの新技の追加、さらにゲームバランスの調整など、定期的にゲーム内環境を刷新していく。また、美根氏はキャラクターの入手方法について「ガチャでは登場しない」ことを明言した。プレイアブルキャラクターは誰でも入手できるよう、ゲーム内で条件を満たせば開放できるとのことだ。

 シーズンはいくつかの「ラウンド」によって構成され、ラウンド毎にさまざまなイベントが実施される。プレーヤーのやり込みに応じて、それぞれのイベントで報酬が獲得できる仕組みを採用しているそうだ。このラウンドは現状2週間を区切りとしている。発表会冒頭では、今後のシーズンで登場する新キャラクターのシルエットに加えて、クローズドβテストの要望に多かった最大9人でプレイ可能な「9ランカーズ」の実装も今後予定していることが明かされた。美根氏はユーザーの声に対して「常に耳を傾けていきます」と、挨拶を締め括った。

ゲームディレクター・美根俊一氏

あの名曲は岡本氏の“ボツ”によって生まれた! 30年越しに明かされる名曲の制作秘話

 トークセッションでは岡本氏と小室氏、そして宣伝プロデューサー・河本清翔氏らが登壇。岡本氏と小室氏がこうして直接出会うのは、1994年に公開された劇場アニメ「ストリートファイターII MOVIE」のテーマソングを手がけて以来、およそ30年ぶりになるという。

 今回「アウトランカーズ」のタイアップ楽曲を小室氏が手掛けることになった経緯として、河本氏は“3人×3チームの対戦”というコンセプトから「3」に関連するものを考えた結果、自身が小室氏による3人グループの音楽ユニット「TM NETWORK」を嗜む世代であったことを連想したそうだ。そんな中、今年4月に小室氏がプロデュースする3人組の音楽ユニット「OVAL SISTEM」がデビューしたことを知り、「アウトランカーズ」と同じく“新世代”同士のプロジェクトとして、通じるものを感じたと話す。そこで河本氏側からタイアップの話を持ちかけ、今回のタイアップが実現に至ったとしていた。

岡本吉起氏(右)と小室哲哉(左)が握手を深く交わす場面も
宣伝プロデューサー・河本清翔氏

 小室氏はタイアップの提案について当時のことを聞かれると、当初は自分自身でもタイアップ先の全容をよくわかっていなかったと話す。だが、岡本氏の名前が出たことで「岡本さんありきでやらせてください」と快諾したことを明かした。小室氏は「岡本さんとのコラボレーションは僕の音楽人生の中でも記憶にすごく残る経験なので(笑)」と話す。これに対して「すみませんでした……(笑)」と、当時のことを思い出しながら謝罪する岡本氏の様子が会場中の興味を誘っていた。

 岡本氏も関わっていた「ストリートファイターII MOVIE」では、小室氏の代表的な楽曲の1つとして知られている「愛しさと せつなさと 心強さと」がテーマソングに採用されていた。この楽曲は200万枚超の大ヒットを記録したことでも有名だ。しかし岡本氏によれば、当初テーマソングとして小室氏に依頼し、出来上がった楽曲はバラード(※他誌による過去のインタビューからエンディングテーマに採用された「GooD LucK」と考えられる)であった。そのため、楽曲が映画のイメージと合わなかったことから、岡本氏は「ボツで」と一蹴した衝撃の過去を告白した。

30年前の過去を振り返り小室氏に謝罪する岡本氏
岡本氏によるボツがなければあの名曲が生まれていなかったのでは、ということを聞かれると「ない、ないです」と認めた小室氏

 司会から「小室哲哉にボツを突きつけたんですか?」と問われると、「そんなにね、小室さんが偉いと思っていなかったんです。本当にその頃はね(笑)」と当時を振り返る岡本氏。これに「『trf』のプロデュースを始めて、音楽プロデューサーとしては駆け出し。これからという時期だったので本当にすごくなかったです(笑)」と小室氏はフォローを返す。

 ボツにされた小室氏は楽曲制作をやり直すにあたって、電話越しで岡本氏から直接楽曲のオーダーを聞くことになった。そこで岡本氏から出されたオーダーが、「trf」の楽曲「寒い夜だから…」のように楽曲の出だしからすぐにサビが来る盛り上がる感じがほしいといったものだった。この時期の小室氏は「ストリートファイターII MOVIE」以外の仕事も複数請け負っていたが、劇場作品という大きなプロジェクトにも関わらず、楽曲制作の締切が1週間もなかった裏話を披露した。

岡本氏に「いい意味で圧があります(笑)」と小室氏
河本氏は小室氏を“スーパーリスペクト”しているとのこと

「愛しさとせつなさと心強さと」の音源が“隠しアイテム”に?タイアップ新曲「風に舞う戦士」制作のウラ

 「アウトランカーズ」のタイアップ楽曲「風に舞う戦士」では、「愛しさと せつなさと 心強さと」で使用された音源データや一部のフレーズ(ドラムのイントロ部分など)が散りばめられている。しかし、当時と比較してソフトウェア環境が大きく変化しているため、小室氏はテープから音源を取り出し、それをデータとして移植する制作の苦労を明かした。

 そんな今回の楽曲は、河本氏が「隠しアイテムみたいに散りばめてください」と小室氏にオーダーしたとのこと。また、小室氏は自身が手掛ける楽曲に古臭さだけを感じてほしくないとして、懐かしさと新しさの匙加減の難しさを語っていた。

【アウトランカーズ×OVAL SISTEM:コラボMV「風に舞う戦士」】

 この日の完成披露会では「OVAL SISTEM」のメンバーたちも登壇していた。ボーカルの住田愛子さん、キーボードのmochilucaさん、ギターのiBerryさんの3名で構成されており、エレクトロ、ロック、ポップを融合させたサウンドで注目を集めている。mochilucaさんは「タイアップ曲を持つことが目標の1つだったので、夢が叶って本当に嬉しいです」とコメント。

 iBerryさんはゲーム実況などの配信コンテンツで「ストリートファイター」シリーズを視聴するという。中でも「ストリートファイターII」の「リュウ」が推しとのことで、これには岡本氏もまんざらではない様子だ。ボーカルの住田さんは、レコーディング時に小室氏から英語のレクチャーを受けたというエピソードを披露した。

「OVAL SISTEM」。住田愛子さん(中央)、mochilucaさん(左)、iBerryさん(右)

 ゲームのリリース後もさらなる盛り上がりを目指し、「アウトランカーズ」は多角的なプロモーション展開を行う予定だ。10代・20代の男性ゲームファンを中心ターゲットとしながらも、誰でも楽しめるゲーム性をフックに幅広い年齢層への訴求を目指す。

 デジタル広告やYouTubeでの番組配信をはじめ、東京・中京・関西・九州エリアでの屋外広告、映画「果てしなきスカーレット」上映前のシネアド、SNSやインフルエンサー、イベントタイアップに至るまで、大規模なメディア展開を実施する。さらにpixivでのイラストコンテスト、Discordによる公式コミュニティ運営など、ユーザーとのつながりを重視した多彩な施策が展開されることになっている。

 著名なクリエイター陣が贈る、新時代の対戦ゲームが、いかにして賑わいを見せていくことになるのか。レジェンドクリエイターたちが現代に寄り添うことで生み出される、新たなモバイルゲームの反響に期待したい。