【特別企画】
野田先生の展示コメントが熱い! 「ゴールデンカムイ展」内覧会レポート
実物資料に名シーンの振り返り。完結の余韻も未知の魅力も味わえる感激の空間に
2022年4月28日 10:09
- 【ゴールデンカムイ展】
- 会期:4月28日~6月26日
- 会場:東京ドームシティ Gallery AaMo (ギャラリー アーモ)
- チケット価格:
- 一般・大学生:1,800円(税込)
- 中学・高校生:1,500円(税込)
- 小学生:1,000円(税込)
- グッズ付き:4,000円(税込)
4月28日、数々のドラマと感動、そして時には笑いを生み出した大作漫画作品「ゴールデンカムイ」が長きに渡る連載の末ついに完結を向かえた。そんな堂々のゴールを祝福するが如く開催されるのが今回紹介する「ゴールデンカムイ展」である。場所は東京ドームシティ Gallery AaMo (ギャラリー アーモ)。チケット価格は一般・大学生が1,800円(税込)、中学・高校生が1,500円(税込)、小学生が1,000円(税込)、グッズ付きが4,000円(税込)。
こちらの展示会では作品に関わるイラスト・原画の公開をはじめとして、「杉本佐一の軍帽」「アシ(リ)パのマキリ」等の作中でキャラクターが使用した各道具のモデルとなった実物資料なども展示されており、本作が持つ独特の世界観をより深く理解できるような展示会と言える。展示ブース全体も「ゴールデンカムイ」の世界観を感じ取れる作りになっており、ファンであればその場にいるだけでも楽しめる空間となっているのだ。
料理実寸大のサンプルも! 展示物として高い満足度に
今回の「ゴールデンカムイ展」では各テーマに沿った6つのゾーンが用意されている。作中で登場した道具や、武器のモデルとなった実物資料と共に各キャラクターがピックアップされて紹介されていたり、原画やカラーイラストを用いてストーリーを振り返れるようなブースなど、多種多様に用意されている。
さらには作中に登場したアイヌ文化や他の文化についても詳しく取り上げているゾーンなどもあり、作品のバックボーンについてより詳しく知ることもできる。「ゴールデンカムイ」と言えばド迫力の戦闘シーン以外にも、各キャラクターが作る自然味の溢れる料理や、現代ではなかなか知り得ない自然の知恵なども魅力の1つであり、今回の展示会ではその魅力も掘り下げてくれている。ファンからすれば、感激しかない内容だ。
第1・第2ゾーンでは、主人公「杉本佐一」を中心としたキャラクター達や相対してきた「24人の刺青囚人」達について詳細に語られている。キャラクターが使用した道具のモデルが一緒に展示されていたり、刺青囚人たちが手配書になって紹介されていたりと世界観の再現に力が入っている。自分の好きなキャラクターを見つけ、改めて活躍を思い出しながら見て回るのも楽しいだろう。
第3ゾーンでは作中に登場した文化について紹介されている。アイヌ文化の道具「キサラリ」「ストゥ」などのモデルに加えて「アシ(リ)パ」が作っていた料理のサンプル等も置かれており、物によっては、初期に杉本が微妙な顔をしながら食事をしていた気持ちを理解できるかもしれない。実際にマンガでは白黒だった物体が色のついた実寸大の物として拝見できる機会は中々ない。歴史的な価値も十分ある事も踏まえると、展示物としての満足度は非常に高いと感じられた。
第4ゾーンでは作中の”戦い”に注目して物語の重点を振り返る事ができ、第5ゾーンではこれまでに登場したカラーイラストが色鮮やかに飾られている。両ゾーンとも視覚的に楽しめるゾーンとなっており、物語序盤から終盤までの流れを改めて思い返す事ができるため、会場を巡っていると様々な感情が込みあがってくるに違いない。改めて見返す事で本作の各キャラクターの思惑の交差や過酷すぎる戦いに改めて驚かされてしまう。
そして筆者が今回特に注目して欲しいのが、展示物にそれぞれ付随している作者 野田サトル先生のコメントだ。モデルとした資料にはマメ知識が描かれている事もあれば各シーンごとに対する見解が書いてある事もあり、読者視点からではわからない本作の裏側の魅力にも触れることができる。
特に個人的に面白かったのは、作中で登場した際には多くの衝撃を残した「ラッコ鍋」。内容はあえて伏せるが、野田先生のコメントがあまりに興味深く、筆者はその場で思わず暫く立ち止まってしまった。他にも面白く興味深いコメントばかりで、いわば作者の解説付きで展示物を見ることができるので、ぜひ注目して欲しい。
さらに今回撮影禁止となっていた第6ゾーン「そして未来へ」では最終話を含めた物語終盤の怒涛の展開をシーン毎に追う他、「野田サトル」先生描きおろしのイラストが複数展示されている。先生のコメントを含め、「完結したんだ」という満足感と一抹の寂しさを味わう事ができるため、ぜひ自分の目で見に行ってほしい。展示会として非常にハイレベルな内容なっているため、最終話を迎えて感傷に浸ったり、気持ちが昂ったりしているファンの方は、その感情のまま足を運んでみてはいかがだろうか。
©野田サトル/集英社