【特別企画】

1週間に57時間浸かった「Clubhouse」。ゲーマーにとって新しいSNSの魅力とは?

クリエイターの生の話も聞ける、ゆるいゲーマー仲間もできる、トレンドもわかる!

2020年4月 配信開始(招待制、iOSのみ)

 音声SNS「Clubhouse」が大きな盛り上がりを見せている。

 「Clubhouse」は2020年4月にスタートし、日本では著名人などの参加によりここ数週間で一気に流行し始めたSNSだ。サービスを利用するには既存ユーザーからの招待をもらう必要があり、さらに一人あたりの招待枠に制限もあるという希少感などもありその熱はますます上がっている印象だ。

 「Clubhouse」とは一言でいうと「音声で繋がるSNS」。TwitterやFacebookが基本は文字ベースで他のユーザーとコミュニケーションを取る一方、このSNSは音声でのコミュニケーションが前提になる。むしろ自己紹介以外にはテキストを入力することができないという割り切ったシステムになっている。

 「Clubhouse」内では一期一会の出会いもあれば、よく出会う顔見知りのような存在に出会うこともある。音声でコミュニケーションをとっているため、文字で交流する他のSNSに比べて情報量が多く、より親密になれる印象だ。

 筆者は使い始めてから約1週間だが、1日平均9時間以上起動してしまうほど入り浸っている。そこで本稿では「Clubhouse」のシステム概要について紹介しつつ、このSNSの魅力を語っていきたい。

自分でも驚いたのだが、この1週間の累計起動時間は57時間38分。ドップリとハマってしまった

音声で繋がるユニークなSNS「Clubhouse」

 まずは「Clubhouse」の基本的なシステムについて改めて解説したい。

 「Clubhouse」では自分でトピックを設定してルームを作るか、他のユーザーのルームに入り、そのルームで自分で話したり、話を聞いたりする。平たく言うとボイスチャットの部屋が複数立っており、そこに自由に出入りできるというイメージだ。

 他のSNS上では「それならば「Discord」などのボイスチャットツールでいいじゃないか」とも言われている。だがそれはナンセンスな指摘だ。

 「Discord」などのツールと「Clubhouse」の最も大きな違いは”半オープンのゆるい繋がり”にある。アプリを起動するとトップにルームがズラッと表示されるのだが、多くのルームが「オープン」という設定で作られている。この設定はユーザーなら誰でも入れるという設定なので、テレビのザッピングをするようなノリで気軽に様々なルームに入ることができるのだ。

 そして「Clubhouse」にはTwitterのように誰かをフォローしたり、フォローされたりというシステムがある。これがゆるい繋がりを作ってくれる。

 トップに表示されるルームには傾向があり、基本的にフォローしている人が入っているルームが表示される。つまりゲーム好きをフォローしておけば。そしてルームに入った先でさらに趣味が合いそうな人をフォローすると、さらに最適化されていく、という具合だ。

 例えば筆者はゲームファンや、ゲームクリエイターを中心にフォローしているので、そういったユーザーがいるルームが表示される。そのためゲームに関連するルームが優先して表示される。

 そこで好きなゲームについて語るルームがあれば、特に知り合いがいなくても飛び込んでしまう。聞いているだけでも問題ないし、それだけでも面白い。そして自分も語りたくなったら挙手して話し手に参加することもできる。初対面でもまったく問題がなく、むしろ共通の話題やトピックがあるから気軽に話せる。

 形としては残らない”音声”を媒介として、ここでしか聞けないようなオフレコ話を聞けるのもClubhouseの魅力だ。だが基本的にはClubhouseの規約上中で知った情報を外で公開することは禁じられている。そのためここでも具体的には紹介しづらいのだが、筆者はかなり多くのユーザーと様々な話題で盛り上がってきた。

アプリのダウンロードはiOSユーザーなら可能だが、サービスの利用は招待が必要になる

「Clubhouse」はホントに面白い!

 「Clubhouse」の鉄板の魅力としてはまず著名人のトークを聞けることだ。

 ほぼ毎日実業家や芸能人がルームを立ち上げていて、「Clubhouse」でしか聞けないトークを繰り広げている。音声コンテンツだから作業をしながら片手間に聞くことができ、ラジオのトーク番組を聞いているようなノリで楽しめる。

 そして聞くだけでも魅力的だが、会話に参加することも「Clubhouse」の面白さの1つだだ。

 最初はオーディエンス(聞き手)として参加するのだが、ルームのモデレーター(管理者)が権限を付与すると発言することができるのだ。モデレーターから指名されることもあれば、自分から挙手をしてアピールすることもできる。

 参加人数が多いルームだと難しいこともあるが、数十人規模のルームだとかなり発言できる印象だ。普通のSNSだと交流しづらかったり、そもそも接点すらなかったりする人と交流できるのが「Clubhouse」ならではの楽しみである。

 こちらが聞くのをメインとした楽しみとすれば、話す楽しみもある。

 どこかのルームで質問などを繰り返しているうちにメインのスピーカーになったり、自分でトピックを設定してルームを作ることもできる。

 ルームは法律やルールに則っていれば自由なトピックスで作ることができ、例えば適当に雑談するルームを作ってもいいし、何か特定のテーマについて語るルームを作っても良い。ユニークなところだと「声真似をするためのルーム」などもある。そしてルームを作ると自分のフォロワーに通知がいったり、ルーム一覧に表示されるので、そこから参加者が入ってくる……というサイクルだ。

 とはいえ始めたばかりのときはフォロワー数も少ないのでいきなり「雑談」のようにテーマが広すぎるルームだと参加しづらい。ある程度テーマを絞ったトピックにするのがオススメだ。

 後述するが筆者は深夜にゲームの話題を主軸に雑談をするルームを作っている。フォロワー数が多くない筆者の場合は大規模なルームになることはないが、「Clubhouse」で知り合った友人を中心にゲームファンやゲームクリエイターと交流することができている。

 筆者は仕事柄1人で作業していることが多いので、リアルに誰かと会って会話することが難しい。それ故漠然と誰かと話したいという欲求が生まれるのだが、コロナ禍ということもあり、友人と会食する機会が激減している。「Clubhouse」はそんな欲求を気軽に満たしてくれるアプリでもある。

数多くのルームが有り無理に喋らなくても楽しいし、積極的に喋っても楽しいのが「Clubhouse」の魅力だ

ゲーマーに「Clubhouse」を激推しする理由

 そして筆者がゲーマーにこそ「Clubhouse」を勧めたいメリットは3つある。

 1つ目は繰り返しになるがゲームクリエイターの生の話を聞いたり交流することができることだ。

 「Clubhouse」には多くのゲームクリエイターが参加している。Twitterなどで情報を公開している人だけでも、ドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二氏、モンストを手掛けた岡本吉起氏、サイバーコネクトツーの松山洋氏などが「Clubhouse」に参加している。

 ゲームファン視点で見るとゲームクリエイターによるトークの様々は興味深いものだ。「Clubhouse」側の規約があるため具体的な内容は書けないが、いわゆる開発秘話のような話から、ゲームシステムについての分析、好きなアニメや漫画の話など話の幅は広い。

 そして話を一方的に聞くだけでなく、実際に会話して交流することも可能だ。筆者が「Clubhouse」で会ったクリエイターは気さくに接してくれる印象だ。実際に筆者もあるゲームクリエイターの方とゲームの思い出を語ったり、オススメのアニメ作品を教えてもらった。とは言えズケズケとオフレコ話を聞くような失礼なことはないように心がけたいところだ。

 2つ目は同じことに興味関心を持つゲームファンと出会えることだ。

 筆者は主にゲーム関連のコミュニティに入り浸っているので、他のエンタメ系コンテンツについてはわからないのだが、ゲームに関しては昼夜問わずほぼ24時間なんらかのルームが立っている印象だ。

 もし関連する部屋が見つからなければ、自分で部屋を立ててしまっても良い。ルームのトピックは具体的な方が人は集まる傾向にあるが、思いつかなければ「ゲームに関する雑談」くらい大雑把でもいいだろう。

 こういったルームで同じゲームをプレイしているユーザーと出会ってそのゲームに関するトークで盛り上がったこともあるし、おすすめのゲームを教えてもらったこともある。

 そして3つ目はゲーマーの生の声が聞けることだ。

 これは少し特殊な使い方かもしれないが、筆者はゲームに関するトレンドを調査……調査というと大げさだが、要するに今のゲーマーがどんなゲームをプレイしているかを直接聞いている。

 普段だと接点がない他のゲーマーにひょっこりと出会えるのは「Clubhouse」ならではのメリット、面白さである。

 音声のみの交流、かつゆるく他のユーザーと繋がるという、これまでにない新感覚のSNSとなっている。現状はiOS版のみかつ既存ユーザーからの招待が必要という少しハードルが高いSNSであるが、もし利用できる環境があるならマストで利用していただきたい。そう思うほどユニークで面白いSNSだ。