インタビュー
世界利用者7,000万人! アメリカ発の「脳トレ」ゲーム「Lumosity」とは何か?
科学的根拠に基づいた“ジム感覚”の「脳トレ」プログラム。日本での本格始動を開始
(2015/1/14 00:00)
2005年発売のニンテンドーDS「脳を鍛える大人のDSトレーニング」が「脳トレ」という言葉を日本に定着させて以来、ゲームに限らず様々な形で「脳トレ」コンテンツが生み出されてきた。最近では「脳トレ」もスマートフォンで楽しめるようになり、「脳トレ」ゲームでオンライン対戦ができるiOS/Android「BrainWars」などもヒットを飛ばしている。
そのような中、世界で7,000万人の利用者を超えるというモンスター級の「脳トレ」ゲームがこの度日本進出を果たした。タイトルは「Lumosity」。2007年よりアメリカのWebサービスとしてスタートしたもので、その後スマートフォンアプリへと展開。昨年末に日本でもオフィスを構え、日本での本格始動を果たしたアメリカ発の「脳トレ」プログラムとなっている。
内容は毎日数回のミニゲームにチャレンジでき、そのスコアをカウントして自分の「記憶力」や「問題解決能力」といったLPI(Lumosityパフォーマンス指数)を計測できるというもの。計測値はゲームをプレイする度に変化していくほか、同年代のプレーヤーとの比較もできるようになっている。
プラットフォームはPCブラウザとスマートフォンの両方で展開されており、無料でスタートできるが、月額1,500円、年額8,200円を支払って有料会員へとアップグレードすることも可能。無料会員ではチャレンジできるゲームが1日3種類だが、有料会員では1日5種類のゲームにチャレンジでき、収録ゲームを何度でも練習できるようになるなど様々な機能がアンロックされる。
ゲーム内容はシンプルだが凝っており、落ち葉の色が緑なら先が向く方向に、色が黄なら動いている方向にフリックしていく「柔軟性」部門の「落ち葉フロー」、何匹かいる渡り鳥のうち“中央”の渡り鳥の向く方向をフリックしていく「注意力」部門の「渡り鳥ファミリー」、マス目状のフィールドに一瞬だけ表示される反射板からボールのたどり着く場所を示していく「メモリータイル」など、15種類のゲームが用意されている。
Lumosity日本代表を務める田澤悠氏によれば、本作の大きな特徴は、「Lumosity」は脳神経科学研究に基づいたプログラムであることだという。共同設立者で最高科学責任者のマイケル・スキャンロン氏はスタンフォード大学の博士課程に在籍していた神経科学研究者であり、神経心理学ツールやLumosityの科学チームが開発したツールを利用してゲームがデザインされている。
また本作はWebサービスであるため、プレーヤーからのフィードバックを活かしてさらなる内容の改善が可能であるほか、データは研究論文のテーマとしても採用されており、これまでに査読済みの研究論文が12本存在している。実際にサービス開始当初から内容が変化して洗練されたゲームもあるということで、この変化していくサービスは「買い切りの『脳トレ』ゲームにはなかったこと」として強みと考えているそうだ。
本作のそもそものコンセプトは、「体をジムで鍛えるように脳を鍛えられないか?」という発想が基になっており、それぞれの人が脳の潜在能力を最大限引き出せるようなプログラムを目指すことがミッションとなっている。
なお日本展開については以前にブラウザ版「Lumosity」の日本語版をテスト的にスタートさせた時、プレイ頻度や関心の高さなど、評判が上々だったために日本オフィスを設立して本格的に始動することにしたという。
プレイすると実感するのは、ゲームはいずれもプレーヤーのレベルに応じて自動で変化していくようになっており、能力に対してちょうど良い負荷がかかるようになっていること。科学的に研究されているだけあって、下手なミニゲームよりも手応えがあって面白い。1ゲームはほんの数分で終わるほか結果がすぐ反映されるので、「脳を鍛える大人のDSトレーニング」と同じように毎日の継続が楽しみになってくる。
ちなみに有料会員の月額1,500円、年額8,200円は少し高い気もするが、研究に基づいた内容を踏まえて「毎日ジムに通う気持ちで」入会してほしいという。海外では、家族5人までが有料会員としてプレイできるファミリープランも人気だそうだ。今後日本においてはプロモーションを積極的に行なっていくほか、日本の脳科学研究者への認知度も高めていきたいという。日本での「脳トレ」ブーム再燃となるかどうか、Lumosityの今後の動向に注目しておきたい。