「リネージュ 2」新運営スタッフインタビュー

より顔が見える運営へ。2011年は過去最大の変化の年に


12月18日 収録



 エヌ・シー・ジャパン株式会社が12月18日に開催した、Windows用MMOPRG「リネージュ 2」のオフラインイベント「エヌシージャパンが行く! 2010 リネージュ 2『クロニクルス』アップデート記念プレミア」において、新たな運営体制が発表された。

 これまで「リネージュ 2」では、プロデューサーの長瀬健裕氏と、開発コーディネーターのシン・ミンス氏という体制が長く続いていた。それが今回、新プロデューサーとして小高洋平氏、新開発コーディネーターとして五條隆将氏が引き継ぐと発表された。イベントの詳細についてはこちらの記事でレポートしているので、合わせてご覧いただきたい。

 いきなりの体制変更に驚かされたプレーヤーも多かったと思うが、エヌ・シー・ジャパンとしてこのタイミングで体制を変えたのはなぜなのか、また新体制ではどういった運営を考えているのだろうか。新体制が発表された当日のイベント会場で、小高氏、五條氏にインタビューできたので、詳細を伺った。




■ 旧体制を継承しつつ、より顔の見える運営へ

新プロデューサーの小高洋平氏
新開発コーディネーターの五條隆将氏
12月18日のイベントで、長瀬氏・シン氏の体制を引き継ぐことが発表された

――まずは自己紹介をお願いします。

小高洋平氏: プロデューサーの小高です。運営やポリシー、コンセプトを担当しています。

五條隆将氏: 開発コーディネーターの五條です。開発コーディネーターという名前はあるのですが、イベントの企画や、「リネージュ 2」のコンテンツのプランニングをやっています。その中にはお客様の声を吸い上げて、それを形にしていくという仕事も含まれています。

――今まではどういったお仕事をされていたのですか?

小高氏: 私は以前から同じ事業部にいて、こういった仕事をしてきています。

五條氏: 「お客様を楽しませる仕事って本当にいいな」と思いつつ「リネージュ 2」にはまってしまい、3年ほど前にこの会社に来ました。これまでは公式サイトのデザインや企画をしていました。

――スタッフの交代はいつごろだったのですか?

小高氏: 10月の中頃だったと思います。「クロニクルス」が私が担当する初めてのアップデートです。

――率直に伺いますが、なぜスタッフを交代したのでしょうか?

小高氏: 長瀬やシンが、個別のタイトルではなく、より包括的な仕事に移行することになり、「リネージュ 2」に関しては私や五條が担当することになりました。

五條氏: シンは韓国の開発とのパイプを持っているので、開発コーディネーターの仕事にもまだ携わります。私が代表してやりつつも、シンの力を借りながら進めていきます。

――これまで長く続いてきた長瀬さん、シンさんの体制とは違うやり方を考えていますか?

小高氏: 私も五條も、「リネージュ 2」を愛しているだけでなく、ほぼ毎日ゲームにログインしていますので、直接感じる部分も多いのです。そういった面を活かして、よりお客様視点の新しい運営をしていこうと考えています。

――五條さんは「ウザンカの中の人」と発表されましたが、そちらの活動も続けられるのですか?

五條氏: もちろんです。今日は名前も顔も出ましたので、ゲーム内では「五條!」と呼ばれると思いますが。ただ「ウザンカ」が開発の人だと伝われば、お客様ともそれなりの接し方ができると思っています。

小高氏: どんな人が運営しているのかがわかる、顔の見える運営を、これからは大事にしていこうと思っています。




■ コミュニティ活性化を狙った「クロニクルス」。「GD」も急ぎ実装へ

「クロニクルス」メインビジュアル

――直近のアップデートである「クロニクルス」は、どういった方針のアップデートになっているのでしょうか?

小高氏: とにかくパーティープレイがとても有利に、かつ活発になるような仕組みをたくさん入れています。皆様にどんどん一緒に遊んでいただこうというのが基本的なコンセプトです。それに合わせて、新規や休眠中のお客様への無料大開放など、お客様に気軽に遊んでいただけるようなキャンペーンもたくさん組んでいます。昔「リネージュ 2」をやっていた方も、今やっている方も、全ての方に「クロニクルス」を楽しんでいただきたいと思っています。

五條氏: オンラインゲームでは人と人との繋がりが大切だと考えていいます。パーティープレイの促進は、システム的な対応だけでなく、イベントやキャンペーンも行ないます。血盟というシステムを利用した「初心者冒険隊」も引き続きやっていますので、今から無料で新規に始められる方は、そういったところを利用していただければ、ぐっと楽しめると思います。

小高氏: お客様のコミュニティを育てるのが大きなコンセプトになっています。来年以降もそこを強化していこうと思っています。

韓国で発表された「Goddess of Destruction」イメージビジュアル

――今後の展開としては、「Goddess of Destruction(GD)」も発表されています。それに向けてどう動いていこうと考えていますか?

小高氏: 「GD」はかなり大きな変化なので、そこに向けてゲーム内の環境も少しずつ変わっていくと思います。その方法を今、五條と一緒に考えているところです。

五條氏: 「シーレン」が封印されているというストーリー自体は以前からあるものなのですが、最近のアップデートでは、「フレヤ」などサイドストーリー的なところが多かったのです。今回は軸になるストーリーに戻りますが、時間が空いてしまいましたので、お客様にもう1度ストーリーをきちんと伝えていきたいと思っています。

小高氏: これまで「リネージュ 2」では、多くの追加コンテンツが実装されましたが、それによって「リネージュ 2」のストーリーが進んでいくということがあまりなかったのです。「GD」からは、「リネージュ 2」の世界がストーリーの面からも変わっていくのが大きな変更点です。それに向けての変更を「クロニクルス」から進めていきます。

――「クロニクルス」自体も1回で全て入るわけではないのですよね?

小高氏: まだはっきりとは言えませんが、「GD」に向けて、何回かアップデートはある予定です。例えば明日ログインしたら、いきなり血の雨が降っていたり、村が滅んでいたりというのでは、お客様が困りますので(笑)。

五條氏: ストーリーの露出に合わせて、少しずつ変えていきます。早く入れたいのはやまやまですが、経済への影響も考える必要があるので、そういった部分もきちんと見ながら進めます。

――まだ「クロニクルス」が実装されていないタイミングのインタビューなのですが、今後の展開について何かお話しいただけることはありますか?

小高氏: 詳しいことをお話しできる段階ではないのですが、来年は「リネージュ 2」が最も大きく変化する年であるとは言えます。

――韓国では2011年上半期に実装予定とされていますが、日本での実装時期はいつごろになりそうですか?

小高氏: これまでのペースから言うと、韓国での実装から6カ月前後になります。

五條氏: あまり韓国の実装から時間が経って、ネタバレしてつまらない思いをさせたくはないので、なるべく早くしたいという気持ちはあります。「クロニクルス」に関して言えば、韓国で1番最近実装された仕様が、2カ月と経たずに日本に来ています。韓国の開発では、海外向けの開発プロセスの見直しも図っていますし、我々もそういう要望はしています。




■ 「クリエイティブディスカッション」の結果は開発に手渡し!

――日本の独自要素についてはいかがでしょうか?

小高氏: それが今回、中間発表させていただいた「クリエイティブディスカッション」という形に結実しています。ここで日本のお客様の生の声を聞いて、集計して議論し、提案していくというのが新しい試みです。そこから日本独自の仕様であったり、日本に合わせた形に変化させていこうというのが我々の狙いです。

五條氏: 内容は最終的に私が洗い直します。日本のお客様の声として間違いないだろうというものは企画書にして、韓国の開発に持っていきます。いつもはメールで送っているのですが、今回は手で持っていこうと思っています。「これだけありますのでやってくれ」という形で見せたいのです。

小高氏: 以前もきちんと要望は出していましたが、裏づけのあるやり方にしたいのです。「クリエイティブディスカッション」でお客様の声を集めることで、本当にこれだけの数が来ているんだということを、目に見える形で届けられると思います。これまでは開発に、ごく一部の意見だととらえられていたかもしれませんが、そうじゃないんだということをはっきりアピールできる素材だと思います。

――「クリエイティブディスカッション」について具体的なスケジュールは決まっていますか?

五條氏: 2011年1月25日の定期メンテナンス開始前まで掲示板を運用します。それを閉じた後、なるべく早い段階で私が資料を作ります。ただ、日々投稿件数が増えていまして、最終的にどれだけ集まっているかによってかかる時間が変わりそうです。とはいえ、全部が終わるまで韓国に持って行かないというのでは時間がもったいないので、特に重要そうなものをまずはピックアップします。

小高氏: 最初は掲示板を公式サイトの隅のほうに置いていたのですが、「こんないい掲示板なのだからもっと目立つようにしてほしい」という声をいただき、トップページから行けるように調整したところ、一気に意見が増えました。驚くほどの勢いで投稿数が伸びています。大変ありがたく思っています。

五條氏: 公式サイトのお問い合わせの部分から、ゲームについてのご意見をお送りいただけるフォームはあるのですが、お客様のプレイスタイルは様々ですから、その方の意見が絶対とはいえません。ですから掲示板で意見を出し合って、みんなで考えることが重要なのではないかと思っています。ぜひ多くの方にご参加いただければと思います。

――これがもうすぐ終わってしまうのも残念ですね。

五條氏: まだ決まってはいませんが、第2弾の開催や常設化なども前向きに検討しています。今はお客様が投稿していただいていますが、今後は我々のほうから「これについてどう思いますか」と提案することも考えています。

――他にユーザーとのコミュニケーションを深める施策はありますか?

小高氏: それは大きなテーマとして持っています。来年の上半期にも、お客様のコミュニティをより大きくしたり、コミュニティからの声をもっと聞けるような活動をどんどん行なおうと思っています。具体的なプランはまだお話しできる段階ではありませんが、何か決まり次第発表したいと思います。

五條氏: シンは「ユーザーと飲みに行け」と言うんです。袋叩きにされると困るので、そこは慎重に考えています(笑)。

――運営とユーザーのコミュニケーションは綿密になってきたと感じますが、ユーザー間のコミュニティに対するサポートはやや薄いのではないでしょうか?

小高氏: playncブログや、そこに付随するクラブで、お客様のコミュニティを育てています。他のゲームとは違うと言えるところまで努力する必要はありますが、既に下地はありますので、そういう部分をさらに強化していきたいと思っています。その意味では、FSの役割がより重要になってくると思います。「ウザンカ」というキャラクターはその象徴ですね。そうやって存在が愛されるものになっていくための取り組みも、今後どんどんやっていきます。

――イベント関連で何か考えていることはありますか?

小高氏: オンラインイベントは五條と話をしているところですが、オフラインイベントも、今日になってシンが「『GD』までにもう1回やろう」と言っていました。来年は色々な活動に取り組みたいと思っています。

五條氏: 今日のオフラインイベントも、会場の席の配置をサーバーごとに分けて、お互いが向かい合うようにしました。これもコミュニティ強化の一環です。

小高氏: 人と人との絆がMMOの面白さに繋がっていくと思いますので、それを少しでもバックアップできるイベントやキャンペーンを、積極的に行なっていこうと考えています。

――では最後に、来年に向けての意気込みを一言ずつお願いします。

小高氏: 今はどんな方でも「リネージュ 2」が遊べる環境になっていますので、ぜひ遊んでいただきたいと思います。来年は「リネージュ 2」の激変の年になります。先ほどからも申し上げているように、お客様の声、日本で望まれているものを織り込みながら、「リネージュ 2」最大の変化を皆さんとともに迎えられるよう、一生懸命頑張っていきます。

五條氏: サービス面でも、お客様の目線に立ったサポートをしていきます。例えば血盟主が最近ログインしないという時に、血盟の権限がなくて困っている方がいらっしゃいます。これに対して我々としてどうすべきか検討してきて、そういうところもサポートすることになりました。なるべくプレイを阻害するものを排除して、気持ちよく遊べる環境を目指していきます。

――ありがとうございました。


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(2010年 12月 25日)

[Reported by 石田賀津男]