インタビュー

どうぶつとロボットが奔走する鬼ごっこゲーム「プリッとプリズナー」インタビュー

本作のゆる可愛い世界観はどのように生まれたのかを元スクエニの市村プロデューサーに直撃

【プリッとプリズナー】
今冬 発売予定
価格:未定
「プリッとプリズナー」

 PinCool(ピンクル)は、どうぶつとロボットのチームが対戦する脱出アクションパーティーゲーム「プリッとプリズナー」をNintendo Switch 2/Nintendo Switch/PC(Steam)にて今冬の発売を予定している。価格は未定。

 本作は監獄からの脱獄を企てるどうぶつチームと、その脱獄を阻止するロボットチームに分かれて、それぞれの目的達成を目指して奔走する非対称型の対戦アクションパーティーゲームである。

 まずどうぶつ側は4人でチームを組む。看守ロボットに捕まらないようにして、食堂ステージであれば指定された数の「うんぴ」をトイレに流して脱出ゲートを開き、監獄の外に出れば勝利となる。どうぶつの種類は豊富でそれぞれ固有のスキルを持っており、それぞれのスキルやロボットの動きを止める「おぴっこ砲」を駆使して足の速いロボットに対抗していくのだ。

【プリッとプリズナー - 公式ティザートレーラー】
どうぶつチームは4人で協力して脱出を目指す
ゲームスタート時は脱出ゲートは閉ざされている
食べ物をたくさん食べて、トイレで指定された数のうんぴを流せばゲートが解放される
1人でも脱出できれば、どうぶつ側の勝利

 それに対してロボット側は2人チーム。脱出をされる前にすべてのどうぶつたちを確保して、完全に眠らせれば勝ちとなる。人数が少ない代わりにどうぶつよりも足が速く、さらに監獄内に設置されている監視カメラを使ってどうぶつたちの動きを探知することができる。

 ロボならではのカスタム要素もあり、4種類のパーツ(上半身、下半身、ガジェット、強化パーツ)を自由に組み合わせ動物たちに対抗する。各パーツによって性能がさまざまなので、膨大な組み合わせの中から自分だけのロボットでゲームに挑めるのも魅力だ。

ロボットチームは2人でどうぶつの脱出を阻止する
ロボットはどうぶつよりも足が速いので、発見したら爆速で確保せよ
監視カメラの範囲にどうぶつが入れば、どうぶつの居場所が丸わかり
すべてのどうぶつを捕まえて寝かせれば、ロボット側の勝利となる

 本作は人気イラストレーターのカナヘイ氏がキャラクターデザインを務めており、ユルくて可愛い世界観のゲームとなっているのも特徴。

 しかしそんな世界観に反して、どうぶつたちが何故囚われていて、ロボットによって監視されているのかという謎を秘めたストーリー性も注目のポイントのようだ。

 そんなまだまだ謎の多い「プリッとプリズナー」だが、今回は、本作を開発するプロデューサーの市村龍太郎氏に気になる点を伺ったので、ぜひチェックしてもらいたい。

全人類が認識する不変のものである「うんぴ」と「おぴっこ」

――こういった非対称型対戦ゲームといったジャンルの作品は殺伐としてるようなゲームが多い中、ゆるい感じのゲーム性にした経緯を伺えますか?

市村氏:やっぱり非対称型対戦ゲームというと「Dead by Daylight(Behaviour Interactive)」の印象が強いですが、3Dのゲームは操作をするのが結構難しくて、ホラーテイストだと怖くて一般ユーザーからはキツいんじゃないかなと思っています。でもゲーム性やシステムはすごく良くできているので、もっといろんな人たちがライトに楽しめた方がいいんじゃないかなという思いがありました。

 大元は動物とロボットの鬼ごっこゲーム作ろうと思ってたんすけど「Dead by Daylight」のエッセンスを少しお借りしようかなっていうことを考えて、2Dで操作がしやすくて可愛らしいキャラクターで血がブシャブシャ出ないような(笑)。

 こういったゲームを面白くするのはキラー次第(追う側)なので、そういうゲームをプレイしたときに責任というか僕はちょっとプレッシャーを感じたんですよ。なので捕まっても眠らされるだけっていうぐらいの平和な世界観にして、キラー側を複数にすれば責任の分散もできる。そういうのを僕なりに考え女性やお子さんとかも遊べて、対戦なんだけどカジュアルにコミュニケーションが活発になるようなゲームの方が良かったため、そちらに落とし込んだというイメージですね。

プロデューサーの市村龍太郎氏
ゆるいタッチの世界観は、ライトユーザーでも遊びやすいゲーム性を目指したからだそうだ

――ゆる可愛いキャラクターと世界観がすごい良いですね

市村氏:「うんぴ」とか排泄物も使ってるため、可愛く始末してあげないと気持ち悪くなってしまうので、ギャグテイストを取り入れて全体的に可愛くしました(笑)。デザインをしてくださったカナヘイさんはその筋の天才だなと思っていて、「こんな動物がいいんだけど」とか「ロボットもこんな感じで」ってお願いしたらすぐに描いてくれて、一緒に世界観も作ってくれました。

LINEスタンプのイラストなどでお馴染みのカナヘイ氏がデザインした本作のキャラクター。このゲームのゆるい世界感には欠かせない存在だ

――「うんぴ」や「おぴっこ」といったものはどういった発想から来たのですか?

市村氏:人間が出てくるんじゃなくて、動物とロボットとか可愛らしい世界観にしたんですけど、そうしたときに動物らしさをちゃんと追求したくて、ロボットはロボットらしさを追求しようと思ったんですよ。

 僕は猫を飼っているんですけど、家で猫を見てるとトイレでうんちした後に喜んでブワーって走るんですよ。そういう習性を入れました。

 「うんぴ」と「おぴっこ」をするっていうのは全ての動物が持ってる能力というか、我々もそうですけど生物の理として持っています。本作はワールドワイドな人に遊んでもらいたいという思いもあるので、「不変のもの――動物だからこそ持ってる生物だからあるもの」をベースのシステムとして取り入れて、動物ごとにちょっと特徴を変えるっていうのはどうかなという考えから始まった感じです。

万国共通で認識できる表現として取り入れられた「うんぴ」と「おぴっこ」。想像していたより深い理由があった

――リアルな動物から着想を得たのは面白いですね

市村氏:こんなゲーム他に無いだろうなと(笑)。うちの会社はPinCool(ピンクル)といいまして、“ピンとくる”っていうアイディアの会社というふうに謳っているので、やっぱりワンアイディアをしっかり入れたいと。

――ロボット側はカスタマイズ要素があって、組み合わせによって性能がガラリと変わるという部分は結構力を入れられたのでしょうか?

市村氏:動物は動物らしさ――先ほどもご説明した生物っぽい側面と種類をたくさん出して、それぞれが異なるスキルを持つ動物をいろいろ変えて遊ぶ楽しみがあるんですけど、ロボットはロボットでなければできない要素を入れたかったんですよね。

 僕らロボット大好き世代だとやっぱり合体ロボットとかをいっぱい遊んだ経験があるので、そのような感じ取り入れたいと思いました。でもパーツが多すぎると複雑になるため、上下2カ所のパーツの組み換えと、加えてガジェットと強化パーツという、これら4つの組み合わせで自分好みに無限にカスタムできるようになっています。ロボットは2人でチームを組むためカスタマイズで役割を変えられたりもできます。

 あとちょっと面白い仕掛けとしては、動物はうんぴをどんどんすることで遊びが進捗していくんですけど、このうんぴをロボットは回収できて納品するとパワーアップするっていうメタ(対抗手段)を入れてるんですよね。うんぴはいっぱいしなきゃいけないんだけど、し過ぎると取られてロボットが強くなるっていう。ここもバランスとしてちょっと面白いメタ構造にしようかなと。

複数のパーツを組み合わせて自分だけのロボットを作り出すという楽しみもある

――プレーヤーの配分について4対2の対戦というのはどういった経緯で固まったのですか?

市村氏:まずコンセプト上、ロボットを1人にするという考えはありませんでした。開発中はどうぶつが9人でロボットを3人にしていたときもあるんですが、ロボットを3人にするとどうぶつ側が結構大変ですぐ捕まってしまうという感じでした。

 9対3の配分もわちゃわちゃして楽しいんですけど、その分マッチングにも人数が必要になるため、できるだけコンパクトにということで4対2がちょうどいいという形になりました。

 また、今後はカスタムマッチというものを作ろうと思っていて、そのモードは人数を可変にできるようにしようと思っています。カスタムマッチでは5対1とか反対に1対5とかユーザーが好きなようにできるのもありかなと思っています。

いろいろの組み合わせを試し、試行錯誤の末に4対2というゲームバランスになったようだ

――ゲーム性と作風はライトな雰囲気がありますが、謎の多いストーリーがあるのだとか

市村氏:実はちょっとあったりします。オンラインのマルチプレイの他にキャンペーンモードを実装する予定で、こちらは複数ステージを用意します。クリアしていくと仲間を助けて最後にエンディングが見られる予定です。

 オープニングで語られますがゲームの舞台は監獄ってことになっていて、「なんで動物とロボットはこの島で追いかけっこしてるんだろう」という謎が明かされます。

 動物たちは何らかの犯罪を犯してこの島に収監されていて、凶悪犯罪をした奴らみたいな感じなんですよ。ロボットはそれを監視して逃げないようにしていると。「なぜ人間がいないくて動物とロボットの2つだけでこの島は成立してんだろう」という疑問にはちゃんと設定があり、エンディングで解き明かされるという形にしてあります。

本作の舞台となる島は監獄となっており、そこでどうぶつとロボットが鬼ごっこをしている理由も気になるところだ

――キャンペーンモードはオフラインで遊ぶ感じですか?

市村氏:キャンペーンはオフラインです。AIと一緒にプレイする形で練習もできるって感じですね。それも安心してマルチプレイに入りや易くしています。

――確かに、いきなりオンラインは敷居は高いですもんね

市村氏:練習できないといきなり戦場に行けっていう感じじゃないですか(笑)。それで知らない人と戦わされるの結構大変かなと。やっぱりマップ覚えるのも対戦する上で重要なので雰囲気をまず掴んだり操作の慣れだとかも必要になってくるはずです。

 動物ごとに結構特徴も違うし、ロボットもカスタムで性能が変わるため、あらかじめ1人用のキャンペーンモードで遊んで、好みのキャラクターを決めてからオンラインに旅立った方が遊びやすいかなと。ここの心理的な障壁をなるべく下げたいというのは早くから考えていた部分です。

いきなりオンラインではなく、オフラインプレイで練習できるのはライトユーザーに優しい設計だ

――こういうゲームってステージとかも結構重要だなと思うんですけど、ステージ数はどのくらいあったりするのでしょうか?

市村氏:結構用意しています。食堂とかはご飯を食べて、トイレにうんぴをして脱出ゲートを開けるって感じですけど、例えば宿舎とかだと全体的に暗いんですよ。眠る場所なので。そこでスニーキングアクションみたいな感じになって遊びが全然変わります。

 あと倉庫だとベルトコンベアの荷物が動いてるようなステージで、パズルみたいな要素がちょっと入ってまして、何かしらのをアクションを取ってゲートを開けるというギミックになっています。食堂とは違うゲートの解放条件ですね。

――地形とか見た目だけじゃなくて、ステージによって特徴がある感じなんですね

市村氏:そうですね。ステージに応じて遊び心地が違うというのを目指しています。飽きないようにそれぞれオブジェクトが遊ぶたびにランダムで変わるステージもあり、ステージによって全然遊び心地が変わります。

ステージによってゲーム性がガラリと変わるのは遊び応えがありそうだ

――いろいろなハードでリリースされますが、オンラインのマッチングはハードごとに分けられているんですか?

市村氏:クロスプレイ前提で開発してます。最大マッチングして6人なんで、6人ちゃんと集まるようにするためにはやっぱクロスプレイの方がいいかなと。

――プレイアブルキャラなどの追加DLCも予定していると

市村氏:そうですね。ステージも増やしていける余地もありますし。キャラクターも少しずつ足していくアップデートを配信して、そのたびにゲームバランスを調整して飽きないようにしていこうと思っています。

――いろいろなお話、ありがとうございました。