★ PCゲームレビュー★


04は果たして進化か? 退化か?
CMRシリーズ最新作が日本語版で登場

Colin McRae Rally 04

  • ジャンル:ラリーレースシミュレータ
  • 開発元:Codemasters
  • 発売元:Mystix Studios
  • 価格:オープンプライス
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:8月26日(発売中)


 今年は日本のモータースポーツファンにとって歴史的な年になる。WRC(世界ラリー選手権)が、初めて日本で開催されるのだ。F1が専用のサーキット、専用のフォーミュラーマシンで、戦うのに対して、WRCは一般公道上を、市販車ベースのラリーマシンで速さを競うモータースポーツ。どちらも世界各地を転戦しつつ、チャンピオンシップを争うもので、両モータースポーツともヨーロッパなどでは高い人気を誇っている。

 ただ、日本ではF1が'76年から開催(途中お休みはあったのだが)されているのに対して、WRCは公道でのレースということもあり、これまで日本では1度も開催されたことはなかった。そのWRC日本戦(RALLY JAPAN)が9月3日から9月5日まで、北海道の帯広において開かれるのだ。そして、まるでそのタイミングを待っていたかのように(単に日本語化が遅れただけなのかもしれないが)、WRCをテーマにしたレーシングゲーム、「Colin McRae Rally 04」の日本語版(以下CMR04)が8月26日に発売される。

 すでに、英語版は発売されているので、熱心なファンの人は遊び倒していると思うが、RALLY JAPAN開催を記念して、日本語版でのレビューをお届けする。


■ スタンダードな仕上がりの「Colin McRae Rally 04」

前作とはまた異なった雰囲気のメニュー画面。日本語の説明は出るものの、そのフォントはもう一工夫あれば……といったところ
1台のPCでも4人までの対戦が可能だ。4人対戦の場合、このように画面が4分割されてしまうので、なるべく高解像度のディスプレイで遊んだほうがよいだろう
 すでにシリーズ4作目となるCMR04だが、そのゲームシステムは完成の域に達していると言ってもよいだろう。基本的に各国でのレースは、1台でタイムを競ういくつかのSS(Special Stage)と、ほかの1台と特設コースで競うSSS(Super Special Stage)というステージで構成されている。

 基本的なゲームモードは、それら各国でのレースを順に戦いながら転戦していく「CHAMPIONSHIP」、ジャンプ天国などあるテーマに沿ったステージの組み合わせを楽しむ「RALLY」、自分で選んだある一つのステージを走破可能な「STAGES」、ランダムにステージが決定される「QUICK RACE」の4種類。また、今回から8人までのネットワーク経由での対戦が可能になり、それに対応する「NETWORK」モードも追加されている。

 もちろん、CMRシリーズお約束の制限として、CHAMPIONSHIPモードで走破したステージはSTAGESで選択可能(最初は一部のステージのみ)になり、ある一定のところまで終えると、特別なラリーカーを選択できるようになるというのは前作と同様だ。

 CMR04で最初から選択可能なラリーカーは、4輪駆動のCitroen Xsara(シトロエン クサラ)、Subaru Impreza(スバル インプレッサ) WRX 44S、Ford Focus(フォード フォーカス)、Mitsubishi Lancer Evo Ⅶ(三菱 ランサー エボリューション 7)と、2輪駆動のMG ZR Super 1600など4台の計8台。

 そのほか、あまりの速さから危険とされルール変更によって消えていったGroup Bマシンと、Lancia Delta Integrale(ランチア デルタ インテグラーレ)のようにラリーカーのベースになった市販車などが、CHAMPIONSHIPモードでの条件を満たすことで使用可能になる。

 これら特別なボーナスカーは、メニューから何がもらえるのか分かり、ゲームをする目的になるのはよいこととも言えるが、逆に何がもらえるか分からないドキドキ感はない。Group Bマシンはあらかじめ分かるようにしておき、そのほかの市販車ベースのものは分からないようにしておく手もあったのではないだろうか?と感じた部分だ。

cmr04の目玉とも言える、ネットワーク対戦機能。最大8人でのLAN対戦に加え、インターネット経由での対戦も可能になった OPTIONS画面からサウンドのセッティングが可能。EAX 4.0に対応し、リアルな音場を再現とのことだが、今回AudigyではなくSound Blaster Live!でプレイしたため、その実力は体感できていない。ただ、Live!でも十分サウンドのリアリティはあり、機会があったらこの点についても試してみたい


Citroen Xsara
アメリカのステージを激走する、Citroen Xsara。アメリカのコースは道幅が広いものが多く、快適なレースを楽しめる。タイヤとサスペンションまわりのセッティングさえ決まれば、爆走することも可能か?
Subaru Impreza WRX 44S
ターマック(舗装)路面の多い、スペインを走るSubaru Impreza WRX 44S。CMR3から、きちんと新型のImprezaに変更されており、最新のマシンでラリーゲームを楽しめる。本文でも書いたが、ターマック路面でもグリップはやや低め。そのため、ていねいに走る必要がある


Ford Focus
暗い、とにかく暗いイギリスのステージを駆け抜けるFord Focus。CMR04では、全体的に暗いコースが多いと感じるのだが、それにしてもイギリスは暗すぎる。ちまちまと森林の中を駆け抜ける必要があり、湿ったダート路面と相まってアクセルワークが勝負の分かれ目
Mitsubishi Lancer Evo VII
ギリシャのグラベル(未舗装)での、Mitsubishi Lancer Evo Ⅶ。全体的に明るいステージが多く道幅も広いので、走りやすい。ただ、アメリカとは違い、森林などが少なく、ガレ場をひた走るという感じだ


MG ZR
イギリスと匹敵するくらい暗い、日本のステージをMG ZRで走破する。日本のステージの天候は雨、もしくは曇りと陰鬱なイメージ。現地取材した時期が悪かったのか、それともそういうイメージで仕上げたかったのか分からないが、日本はそんなに国なのか?と言いたい
Citroen Saxo
雪のラリーで有名なスウェーデンを走るCitroen Saxo。近年の積雪量の少なさがゲームでも反映されており、豪雪という感じのステージではなくなっている。4作目ともとなると、ゲーム性を重視するより、こういうこだわりが大切になるのだろう。CMRシリーズを購入し続けている人にとっては、うれしい変更点


Ford Puma
アメリカのステージを激走する、Citroen Xsara。アメリカのコースは道幅が広いものが多く、快適なレースを楽しめる。タイヤとサスペンションまわりのセッティングさえ決まれば、爆走することも可能か?
Fiat Punto
ジャンピング、ジャンピング。Fiat Puntoでジャンピング。もちろんこれは、ジャンピングラリーとして知られるフィンランドでの一場面。ジャンプした直後にコーナーのある箇所などもあり、よいタイムを出すためには、とくにコース図を頭に入れておく必要がある



■ 美しいグラフィックスで彩られた各ステージ

基本のプレイ画面。グラフィックスは美しく、手慣れた感じを受ける。ドライビングスタイルの好みにもよるが、ドリフトを楽しめるのは、この基本画面だろう
 ラリーゲームの醍醐味は、市販車ベースのラリーカーで、一般公道を激走することにあるのではないだろうか。その意味でラリーカーのできも大切だが、各国のステージがどれだけよくできているのかが重要になる。CMR04に用意されたのは、オーストラリア、フィンランド、スペインなど8カ国全48ステージ。もちろん、日本で走ることも可能で、Tachikawa(立川?)、Yuzawa(湯沢?)、Tokamachi(十日町?)、Chichibu(秩父?)、Muikamachi(六日町?)、Ome(青梅?)の6ステージが用意されている。

 各ステージのモチーフになっているのは、ステージ名の地名のエリアなのだろうが、たとえばTachikawaをプレイしてみても、立川にこのような場所はあったかなぁという具合で、その辺りの風景のエッセンスが取り入れられているのだろう。あえてステージの雰囲気に近い場所を挙げるとするなら、秋川街道の小峰峠(旧道のほう。すでに新小峰トンネルが開通し、現在は通行不可能)付近になると思う。もちろん、実際の場所があったからといって、ゲームにとくに関係があるわけではないのだが、何となく場所を突き合わせてしまうのは、性格だからしょうがない。

 それら各国のステージがどれも美しいグラフィックスで描かれているのはこのシリーズならでは。雪のスウェーデンや、暗い感じのイギリスなど国によるラリーシーンの違いもきちんと描き分けられている。ただ、日本のステージに雨や曇りなど陰鬱な天候のものが多く、開発陣からはそう写ったのかな?と思う部分があったものの、どれも走らせて美しいステージだ。

ドライバー視点でのプレイモードも用意されている。視界は狭くなるものの、ボンネットやビラーを基準にコーナリングの開始位置などを固定しやすい。タイムを詰めていく走りをしたい人にお勧め CMR04では、ボンネットビューがなくなり、このフルスクリーンモードとあわせて、プレイ画面は3タイプとなる。フルスクリーンモードはワイドでよいのだが、それだけに自車の位置がつかみにくいのが難点か


CMR04のメインキャラクタカーとも言えるCitroen Xsara。2003年シーズンにColin McRaeとともに活躍したものの、ドライバーズランキングでは7位となった。最初から使えるラリーカーとしては、このXsara以外に7車種が用意されている 基本となるCHAMPIONSHIPやSTAGES以外に、新モードであるRALLYモードが追加された。これは、あるテーマに沿った各国のステージが集められたもの。「ジャンプ天国」、「ターマック攻略」、「グラベル祭り」と三つ用意されており、自分でステージを組み合わせることも可能だ


STAGESの国選択画面では、その国で開催されるラリーの特徴が解説されている。この辺りの解説が日本語になっているのが、日本語版のうれしいところだろう。ゲームモードして、QUICK RACEも用意されており、そのモードでは車種とステージがランダムに選択される STAGESで国を選んだ後は、このステージ選択画面になる。日本のステージは六つ用意されており、ここではChichibuのコースレイアウトを表示している。CHAMPIONSHIPで走り終えれば、ロックされているステージも直接選択できるようになる



■ 完成の域に達したCHAMPIONSHIPモード

CHAMPIONSHIPでまず行なうのが、プレーヤー名や国籍の入力、そしてラリーに使うマシンの選択。その後、このSHAKEDOWNでとりあえずラリーカーを走らせてみよう。走りに不満があれば、CAR SETUP画面からラリーカーのセッティングを行なうことになる
CAR SETUPでは、タイヤやサスペンション、車高など各種のセッティングが可能だ。ただ、そのパーツがどこについているかクルマに詳しくなければ分からず、初心者の楽しみをスポイルしているとも言える。この画面に関しては、前作のほうがグラフィカルで優れていた
いざCHAMPIONSHIPにチャレンジ。画面上部にはステージの中での進行度がプログレスバーによって表示され、次のコーナーの具合が、アイコンとコドライバーのアナウンスによって分かる。このシリーズではおなじみの画面だ
 肝心のCHAMPIONSHIPモードは、評価が微妙に分かれる部分だ。基本的な流れは従来のシリーズ同様、CAR SETUPからセッティングを行ない、SHAKEDOWNからテスト走行によってそのセッティングを確認し、8カ国の各ステージに挑んでいくことになる。前作では、そのSHAKEDOWNテストの後、テレメトリー画面が表示され、ラリーカーのセッティング状態をグラフで確認できたが、なぜか今回はなくなってしまった。

 また、CAR SETUPでサスペンションや、タイヤなど各項目をセッティングできるのだが、ダイナミックなグラフィックスでセッティング箇所が図示された前作に比べ、CMR04では微妙にグラフィックスが変わる程度。セッティングの結果はタイムがすべてと言えばそれまでだが、控えめな演出になっているのはなぜなのだろう? 開発意図がよくわからない部分だ。

 CMRシリーズをプレイしてきたユーザーにとっては、あまり必要のない部分でもあるが、たとえばサスペンションがどこに付いているか分からないプレーヤーにとっては、そのパーツが図示されるほうが、クルマへの興味もわき、知識が身に着くと同時に楽しめるゲームになったと思う。ただ、なくなった部分だけでなく、追加された要素もある。それが「パーツのテスト」だ。

 CHAMPIONSHIPモードである一定の場所まで進むとこのパーツのテストモードに移行する。ここでは、スペシャルパーツを取り付け、テストを行ない、条件を満たすとそのパーツをゲットできる。たとえば、ダンパーでは、一定時間内に一定の負荷をかければOKだ。ただ、新要素は増えているものの、シリーズも4作目になって、全体的にはハデさが抑えられており、熟成された感はある。

 これは、ドライビング感覚も同様で、前作で感じたミョーな違和感は消え、素直なドライビングができるようになった。路面へのグリップ感こそ少ないものの、ドリフトする際や、コーナリング中のジャンプなどよく調整されている。ステアリングを切ったら、切った分だけスライドが始まり、逆ステアでのスライドの収束も容易だ。

 慣れないうちは、そのグリップ感の少なさにとまどうものの、慣れてくればスライド量を計算に入れた走りが可能になる。ただ、グリップ感が少ないため、ガンガン攻めていくというより、きちんとステアリングとスピードを調整するという守りの走りになりがちなのはリアル感が高いとも言えるのだが、その分落ち着いた走りにならざるを得ない。

 この辺りは多分に個人の好みの領域になるが、ガンガン攻め込む走りができないゆえ、ドライビングにおけるカタルシスを得ることはできなかった。グラフィックスも抜群で、ドライビング感覚も十分リアルと文句の付けどころがないできのゲームだが、ゲーム全体に流れる落ち着いた雰囲気に、「このシリーズはこれでひとつの完成形なんだなぁ」という感じを受けた。

 このゲームタイトルにもなっている元WRC世界チャンピオンColin McRaeは、ゲームパッケージなどでCitroen Xsaraがメインマシンとして扱われているようにシトロエンチームに在籍していたのだが、今シーズンは事実上の引退となっている。スバル、フォード、シトロエンと各チームで活躍したColin McRae、そしてその後を追うようにゲーム化されてきたCMRシリーズだが、ゲームタイトルの本人が引退してしまい、今後どのような方向でゲームを作っていくのだろうと思う。

 すでにゲームの開発元である、Codemastersのホームページ上では次回作である「colin mcrae rally 2005」のスクリーンショットなどが掲載されている。画面を見る限り、CMR04よりも明るい感じのステージ構成になっているようで、また違った方向性のゲームになるのかもしれない。

 ある意味、従来路線での完成形となったCMR04。十分熟成されたゲームのため、あっと驚く試みや、とんでもない破綻もなく、安心して楽しむことができるのは間違いない。間もなく開催されるRALLY JAPANに思いをはせつつ、CMR04に取り組んでほしい。

一つのステージが終了すると、ステージ内での自分の順位が表示される。がんばって順位を上げておきたいところ およそ2ステージごとに、ラリーカーのダメージを修復可能なCAR REPAIRが用意されている。軽度のダメージはすべて修復可能だが、あまりに激しいダメージは直しきることができなくなる


CHAMPIONSHIPを進めていくと、パーツのテスト画面が現われる。ここではダンパーに負荷をかけ、きちんとテストを終えると、そのパーツを利用可能になる。まだ、40%ぐらいか…… 当初選択可能なラリーカー以外はこのような表示で使用できなくなっている。ラリーカー以外の上に書かれた条件を満たすことで、使用可能になる


(C) 2004 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"(R) is a registered trademark owned by Codemasters. "Colin McRae Rally 04"? and "GENIUS AT PLAY" are trademarks of Codemasters. "Colin McRae" and the Colin McRae signature device are registered trademarks of Colin McRae. "Colin McRae" and copyrights, trademarks, designs and images of car manufacturers and /or on car liveries are being used by Codemasters under license. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are being used under license. This game is NOT licensed by or associated with the FIA or any related company.


【Colin McRae Rally 04完全日本語版】
  • CPU:Pentium III 700MHz以上(Pentium 4 1.4GHz以上を推奨)
  • メインメモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:3.0GB以上
  • ビデオメモリ:32MB以上(64MB以上を推奨)


□「Colin McRae Rally 04完全日本語版」の公式ページ
http://www.mystixstudios.com/games-co4.html
□関連情報
【2003年7月23日】PCゲームレビュー「Colin McRae Rally 3」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030723/cmr3.htm
【2003年6月14日】Mystix Studios、「Colin 04」、「TOCA 2」の発売日を決定
「Colin 04」は完全日本語版のみの取り扱いに
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040614/mystix.htm
【2月25日】「Colin McRae Rally 04」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040225/demo0225.htm
【4月5日】「Colin McRae Rally 04」Single/Multi-player Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040405/demo0405.htm

(2004年8月25日)

[Reported by DOS/V POWER REPORT編集長 谷川 潔]


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