★ PCゲームレビュー★


スーパーグラフィックでイージードライビング
IMPREZAオーナーによる入魂レビュー

Colin McRae Rally 3

  • ジャンル:ラリーシミュレータ
  • 開発元:Codemasters
  • 発売元:シャルラクプラス
  • 価格:6,980円
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:発売中(日本語版は8月29日発売予定)


 市販車をベースにしたラリーカーで、世界各国を転戦して戦うWorld Rally Championship(WRC:世界ラリー選手権)。夜の峠道や、砂漠、そして凍り付いた林道や狭い市街地をすさまじいスピードで駆け抜けることで世界的に高い人気を誇っているレースだけあって、WRCをテーマにしたゲームは数多くの製品が発売されている。その中でも衝撃的な作品だったのが、Codemastersが'98年にリリースした「Colin McRae Rally(以下CMR1)」だ。

 CMR1は、'95年にSUBARU IMPREZAでチャンピオンとなったColin McRaeをメインにすえ、コ・ドライバーであるNicky Grist自身の声でコースをナビゲートしてくれるなどラリー好きにはたまらないフィーチャーがあった上、グラフィックも当時の水準以上であり世界中で大ヒット。日本でもスバルが連続チャンピオンを取っていたという話題性もあって、同様に大ヒット。レーシングゲームファンはCMR1ばかりやっていたという時代があった。

 このCMR1の優れていた点として、前述のポイントに加え、実際に走らせたときに自由度の高さがあったことだ。コーナーにあわせてステアリングを切れば、マシンが気持ちよく滑り出し容易にドリフト状態に持ち込める。そしてその収束も簡単でアクセルをぐっと入れればタイヤが路面を噛み前に進む。タイトターンでサイドブレーキを引けば容易に向きを180度変更でき、ギャップなどでジャンプした場合の立て直しも比較的優しく、初心者にはラリーゲームで走る楽しさを、上級者にはコースを攻略する楽しみを与えてくれた。

 その後、2000年にリリースされた「Colin McRae Rally 2.0」(以下CMR2)では、Colin McRaeがFORDに移籍したことで、メインの車種をSUBARU IMPREZAからFORD FOCUS WRCに変更。Nicky Gristのナビゲート音声は変わらなかったものの、コンシューマゲームとしての遊びやすさを意識してか、5台のラリーカーがヨーイドンでコースを周回するArcadeモードを追加するなど本来タイムを1秒1秒詰めていくWRCの魅力をスポイルするような拡張が行なわれていた。もちろんメインのゲーム部分もグラフィックはよくはなっていたものの、やはり走るという部分においてはコンシューマゲームを意識した改良が行なわれ「グラフィックはすごいけど……」というゲームに仕上がっていた。

 さて前置きが長くなってしまったが、最新作のCMR3はどうだろう。以下でじっくり見ていこう。


■ シンプルでわかりやすいゲームモードが特徴

基本的なゲーム画面は従来と同様。Nicky Gristのナビゲート音声や画面上部に表示されるペースノートサインで、先の状況をつかみ、ガンガン突っ込んでいく。グラフィックは前作から格段の進歩を遂げ、感動的なレースシーンが目の前に広がる
 今回リリースされたCMR3は、2002年のWRCシーズンをもとにして作られているのがポイント。と言うのも2003年よりColin McRaeはCITROENに移籍してしまい、Nicky Gristとのコンビも解消。言わば、McRae&Gristコンビの最終シーズンをテーマにしたゲームとなっているのだ。もちろんメインの車種はFORD FOCUS RS WRC 02で、このマシンを存分に楽しめるゲームに仕上がっている。

 このCMR3で用意されているゲームモードは、CMR2で導入されたArcadeモードを廃止し、FORD FOCUS RS WRC 02で世界各国を転戦する「CHAMPIONSHIP」と、代表的なラリーカーでステージごとに楽しめる「STAGES」の2つのみ。ある意味思い切った割り切り方だが、同シリーズに中途半端なヨーイドンのレースを求める人は少ないだろうから、この点は歓迎したいところ。その分各モードに対する期待が高くなる。

 まず「CHAMPIONSHIP」モードだが、プレーヤーはFORD FOCUS RS WRC 02のみしか選べないのがすごい。通常のレーシングゲームの場合、自由に選べることがほとんどだが、このような制限を課せられたことで、FORD FOCUSを深く使い込む必要があるわけだ。プレーヤーはColin McRaeとなり(もちろんプレーヤーネームは自由に入力できるのだが)、Nicky Gristのナビゲート音声を頼りに、オーストラリア、スペイン、フィンランド、アメリカ、日本、スウェーデンの順に各国のステージをクリアしていく。

 もうひとつの「STAGES」は、各国のコースやラリーカーをそれぞれ選択できるモード。選べる国はCHAMPIONSHIPに加え、イギリスとギリシャが追加された8カ国になっている。ラリーカーは、FORD FOCUS RS WRC 02、MITSUBISHI LANCER EVO VII、CITROEN XSARA KIT CARなど10車種が選べ、国を選んでラリーカーを選べばすぐに楽しむことが可能だ。

CMR3のメニュー画面。レースモードはCHAMPIONSHIPとSTAGESの2つのみと非常にシンプルなものになっている。回想シーンのような映像が流れ、気分を盛り上げてくれる 感動的なシーンが展開されるリプレイ画面。流れる背景、ドリフト時に出るタイヤスモーク、ウィンドウを通してみることが可能な、Colin McRaeとNicky Grist。サイドウィンドウに書かれた2人の名前を実際に見ることはもうできないのだろうか?


こちらはドライバーズビュー。人によって好みはあるだろうが、こちらの画面のほうがAピラーやボンネットエッジを使い正確なライン取りを行ないやすい。タイムをギリギリまでつめたい人にお勧め ボンネットビューでは、視界が広がるためより風景を楽しみやすい。丁寧に描き込まれたさまざまなラリーコースを思う存分楽しんでみよう



■ CMR3の車の挙動を徹底解剖

STAGESモードでの目玉は何と言っても日本(JAPAN)ステージだ。長野県信州新町を取材したと思われるSPECIAL STAGEをぜひ走ってみてほしい
 実際にSTAGESモードでゲームを始めてみると、その3Dグラフィックの素晴らしさに驚いた。ラリーマシンのボディ表面に映る太陽光や木々の反射光や影。雪道やグラベル(砂利道などの未舗装路)、ターマック(舗装路)など、路面ごとに細かく描き込まれたグラフィック。そして、そこをラリーカーが疾走することで巻き起こる砂塵の表現。これまでのレーシングゲームを超えるグラフィックを実現している。とくに夕刻などは、茜色の光が辺り一面にあふれ、走らせることより、その光の変化をいつまでも見ていたいと思わせるほどだ。もちろんひとつのステージをクリアすればリプレイも見られるので、ラリーシーンをより楽しめることは間違いない。

 このリプレイシーンのグラフィックの出来がさらに素晴らしく、スクリーンショットをご覧いただければわかると思うが、路面、沿道風景、そしてそこをラリーカーが駆け抜けることで作り出されるシーンは、クルマが好きな人にはたまらない。贅沢な希望だが、あらかじめ用意された視点パターンだけではなく、自由に視点を切り換える機能があれば、この素晴らしいグラフィックを思う存分に堪能できたと思う。

 とは言え、ただゲームが好きという人にとっても一見の価値があるだけの映像だろう。  さらにうれしいのは、日本のステージが用意されているところ。現在日本ではWRCは行なわれていないが、CMR3では日本のステージを爆走することができる。狭く曲がりくねったつづら折れの峠道、そしてその道には深い側溝がある。近くの民家はどこかで見たような造りで、墓地のすぐそばを走り抜ける箇所もある。ステージ名にはSHINSHUSHINMACHIと書いてあるので、長野県信州新町のどこかなのだろう。真っ先にプレイしたいステージだ。

 では、ドライビング感覚はというと、これが今ひとつしっくりこない。たとえばFORD FOCUS RS WRC 02でターマック路面の多いスペインのSPECIAL STAGE 1を走った状態でも、ステアリングを切るよりワンテンポ早くリヤのスライドが始まるような感じを受けるほど、リヤのスライドスピードが速い。ステアリングを切るとゆっくりノーズが回頭しはじめ、あるポイントからドンとリヤが出る。

 うまく書けないのだが、実車の感覚で言うと、ゴムが古くなり固くなったタイヤで峠道を走る感じに似ている。それでいてコーナリングアシストが介在するため何となくコーナリングラインは描け、とても不思議な感覚の走りとなる。

 筆者はラリーカーで公道を走った経験はないので、何とも言えないが、このシミュレートは実際のラリーカーとはかなり違うのではという感じだ。きっとこれは、マシンとコースの相性が悪いに違いないと思い直し、ほかの車種やコースなど組み合わせを変えて走ってみたが程度の大小はあるものの同様な傾向を示した。

 「あ、これは要するにセッティングしろと言うことだな」と思いついたのだが、残念ながらSTAGESモードではセッティングが行なえず、何度か走ってはみたものの違和感の残る結果となった。グラフィックが素晴らしいため、さらに何度も走り込んでいたのだが、やっとこの違和感の原因を突き止めることができたような気がする。

 つまり普通のラリーゲーム(CMR1も)で右コーナーを曲がる場合、ステアリングを右に切る→クルマの向きが変わり始める→リヤタイヤがすべり始める→クルマの滑る角度をステアリングを逆方向に切ることで調整する、という操作を行なう。ところがCMR3の場合、ステアリングを右に切る→アシストでクルマの向きが強力に変わる→リヤタイヤがアシストで滑る→アシストで向きが安定する。そのため余分な操作を行なうとおかしな挙動になる、という具合。

 すなわち従来のラリーゲームのつもりで操作をすると無駄な操作ばかり行なっていることになり、マシンが曲がり過ぎたり、またカウンター操作をし過ぎて反対方向に曲がったりしてスピンという結果になりがちだ。CMR3は強力なコーナリングアシストが効いているので、無駄な操作はなるべくしないほうがよいのだ。右に曲がりたければ、チョンチョンとステアリングを切り(キーを押し)、左はその逆。それでクルマは勝手に曲がっていってくれる。

 さすがにきついコーナーはそうもいかないが、どのくらいステアリングを切ってよいか正直よくわからない(笑)。CMR3はラリーマシンのコントロールはなるべく簡単にして、美しいグラフィクスを楽しむゲームなのだろう。PS2版やXbox版があるため、初めてレーシングゲームを楽しむユーザーのための工夫だと思われるが、最後発のPC版ではもうひとつぐらいドライビングモードがあってもよかったのではないだろうか。

【日本】
雨のWRC in JAPAN(?)を激走するSUBARU IMPREZA WRX。納屋の中にあるトラクターはヤンマーなのか? 雨のため滑りやすく、丁寧なドライビングを心がけたい 側溝の深いつづら折れの峠道を駆け登らんとするIMPREZA。群馬の峠とは違い側溝が深いため、溝落としという特殊テクニックは使えない。タイヤを引っかけないように気を付けるべし
背後には高圧線の鉄塔、手前には漢字の刻まれた墓石と日本を感じさせる風景。長野県の信州新町というより大町という雰囲気 辺りは暗く、雨は降る。いくらAWD(全輪駆動)のIMPREZAと言えどもこんな日にスピードは出したくないもの。しかし、レースとあらば、ガンガンタイムを詰めていこう


【オーストラリア】
WRCは世界各国を転戦するため、ここ南半球のオーストラリアでも開催されている。ちらりと映っているのはこのゲームの主役とも言えるFORD FOCUS RS WRC 02のボンネット オーストラリアのWRCコースは、小さな玉砂利路面となっているので、通称ボールベアリングロードと呼ばれている。そのためFOCUSからは盛大な噴煙が巻き起こっている
ドーンとジャンプ一番、小さな丘を飛び越えるFOCUS。ただ、高く飛び過ぎたため、着地後リヤガラスが粉々にくだけた。路面にリアルタイムに生成される影の表現などは感涙もので、このゲームのリプレイ画面のすごさがうかがわれる リプレイ画面で注目してほしいのは、ロングショットのときの映像表現。巻き起こる爆煙など、理屈抜きに素晴らしい。もちろんスピード感も抜群だ


【ギリシャ】
広く開けたギリシャのグラベルを走るMG ZR RALLY CAR。このマシンは、FWD(前輪駆動)なのだが、AWD(全輪駆動)のマシンと比べてドライビング特性に若干差がある。クセをつかんで乗りこなすのもまた楽しい ギリシャとオーストラリアの風景は似ているが、どちらかというとギリシャのほうが走りやすい。もちろん天候によって変わってきてしまうのだが、こちらのほうがドバドバドバッーと走れる感じ
砂利道、そして爆煙系のリプレイで楽しいのがコーナリングシーン。色が微妙に違うスモークが次々に生成され、ドリフト量やスピードの違いを実感させてくれる 砂利道ばかりを走るギリシャのため、ホコリまみれになったMG ZR。砂利道を走る距離に比例してボディが汚れていく感じがとてもよく表現されている


【スペイン】
情熱の国スペインを走るMITUSBISHI LANCER EVO VII。右下には高速道路らしきものが見え、クルマが行き交うなどラリーコースの表現は前作を完全に凌駕。ゲームグラフィックの進化を体感できるシーン SPARCOのスポンサーカラーを身にまとったランエボ。個人的にはマルボロカラーがランエボらしいと思うのだが……。よく見るとリアホイールの隙間からは赤いBrenboのキャリパーが見え、タイヤのサイドウォールにはMICHELINのホワイトレタリングが読み取れる。スゴすぎ!!
スペインのステージは気持ちのよいワインディングロードが続く。橋があるなど変化に富んでおり、プレイしていて本当に楽しい。明るい雰囲気の道が多いのも特徴だ 右コーナーにブレーキングしながら進入して行くランエボ。結構道幅が広く見えるがこれはリプレイ画面のためか? 実際のプレイ画面ではもう少し道幅が狭かったような……


【スウェーデン】
ラリーゲームのお約束、雪のスウェーデンを行く、FIAT PUNTO RALLY CAR。水分の少な目のふわふわとした雪が降り、速度を上げるに従って激しくなるなど、現実感が高い FIATの大衆車であるPUNTOベースでありながら最高出力は215馬力に達する。軽い車体と、その車体の小ささできびきびした走りが得意だ。ただゲームでは過剰なきびきび感はなく、もう少し味付けをしてほしかったところ
オーバーフェンダーで太いタイヤも装着可能なFIAT PUNTOだが、この雪のスウェーデンではタイヤの面圧を上げるためか、細いタイヤを履いている。ブロック状のパターンも見て取れるように、細部にわたった作り込みがなされている ギャラリーが少なくちょっと寂しい感じのするスウェーデンステージ。ギャラリーがレインコートをきちんと来ているのがほほえましい。そのほか、まわりの雪原では、スノーモービルが走り回るなど北欧らしい風景が展開される


【イギリス】
WRC最終戦の舞台として有名なのが、このイギリス。深い森、そしてその中を通る細い道はマッディで、重くずるずるドリフトして行くシーンをテレビ放送などでは見かけることができる。ちなみにこのラリーマシンはCITROEN XSARA KIT CAR。現在本物のColin McRaeは、このCITROENチームのドライバーとして戦っている 暗い森の中を走るXSARA。これはリプレイ画面だが、プレイ中にはPentium 4 2.4GHz+ASUSTeK V9950(nVIDIA GeForce FX 5900)、1,024×768ドット、32bitカラーという環境で駒落ちのような現象が発生してしまった。もちろんグラフィック設定をフルオプションにしているためでもあるのだが、それだけ森を描き込んでいるのだろう。ハイエンドビデオカードでも描写しきれないほどのゲームと言える
リプレイ中のニアショット。ペースノートを読むコ・ドライバーの姿がはっきり見え、細部まで描かれたテクスチャがわかる。スムーズなカメラワークでリプレイ画面を演出してくれる 森を抜けややマッディな道を走行中。イギリスのコースは狭い道が多く速度を上げられない。またドリフトアングルもあまり付けられず、ラリーゲームと言うよりドライブゲームのような感じになる。ほかの国との違いを実感できる部分だ。ぶつけないように、ひたすら我慢


【アメリカ】
イギリスとうってかわって明るい画面のアメリカステージ。スタートゲートに「PIKES PEAK INTERNATIONAL HILL CLIMB」と書いてあるので、パイクスピークのヒルクライムをステージとして組み込んだのだろう。疾走するのはFORD PUMA RALLY CAR 本物のパイクスピークヒルクライムレースは、ひたすら登っていくだけなのだが、このゲームではそれほど強く登っていく感じはない。FORD FOCUSと同じくニューエッジデザインというFORDのデザインコンセプトで作られており、AピラーからCピラーへかけてのラインの流れ具合など、同じテイストを感じるものだ
同じくPUMAを上から見たところ。ゆるやかな曲線で作られるニューエッジデザインの独特な面構成がよくわかる。ルーフラインの消失ポイントとテールランプのラインがクロスするなど幾何学的なデザインだ。現在日本市場に投入されていないが、このようななじみのないクルマで遊べるのもレーシングゲームの楽しみ アメリカのステージを快適に走るPUMA。とにかくぶっ飛ばせるステージが多いので、アクセルを踏んで踏んで踏みまくるという感じ。大味とも言えるがそれがアメリカなのかもしれない


【フィンランド】
森と湖で知られるフィンランド。フィンランドのSPECIAL STAGE 1には滝があり、その流れ落ちる様を横目に見ながらのラリードライブも新鮮だ。フィンランドで行なわれる1,000湖ラリーはWRCの中でも著名なもので、ジャンプスポットが多いことが特徴かもしれない グレートラリーカーとして世界的に有名なIMPREZAがWRCにデビューしたのは、このフィンランドで行なわれた1,000湖ラリー。デビュー戦で2位になり、そのポテンシャルの高さを知らしめた。そのせいかIMPREZAにはフィンランドコースが似合うような気がする。いや、ほんとに
川沿いの道をスタスタ走るIMPREZA。フィンランドステージは川などが沿道にある箇所が多く、さまざまな水面での照り返し処理を見ることができる。ある程度の距離であれば、川の中に入る(落っこちる)のも可能だ 路面が変化するとIMPREZAが巻き上げる砂煙の色が変わり、ブラウンからグレーに、またその逆と走る楽しさを後押ししてくれる。風景の美しさがフィンランドステージの一番のよさ



■ マシンセッティングの分析も可能なCHAMPIONSHIPモード

CHAMPIONSHIPモードのメニュー画面。マシンのセットアップ作業を行なうクルーを背景に、メニューが並ぶ。CAR SETUPを行ない、SHAKEDOWNでテスト走行、TELEMETRYでその結果を確認し、ラリーに臨みたいところ
グラフィカルなCAR SETUP画面。ただ画面はグラフィカルだが、それほど細かいところまでセットアップはできない。ブレーキに関しても、前後のブレーキバランスや効きを簡単なメニューから選ぶだけとなっている
このグラフがTELEMETRY画面。3本までの走行を比較することができ、その中でよいと思われるものをレースでのセットアップに使うことが可能だ
 CHAMPIONSHIPモードは、前述したようにFORD FOCUS RS WRC 02しか選べないが、さすがにこのモードでは、CAR SETUP画面からマシンセッティングが行なうことができる。セッティング項目はブレーキの効きや前後バランス、タイヤやサスペンションの種類、前後の駆動力配分(全輪駆動の場合だが)など多岐にわたる。ただ、サスペンションやタイヤなどパーツの変更が伴うものについては、ステージをクリアするにつれて獲得できるパーツが必要なものもある。

 このCHAMPIONSHIPで特筆したいのはSHAKEDOWNというテスト走行モードがあり、走った結果をグラフ化できるTELEMETRYが用意されていること。このTELEMETRYで、REV(エンジン回転数)とGEAR(何速に入っているか)の変化を見ることができ、その結果どのくらいのSPEED(速度)を出すことができたのか一目でわかることだ。これによりこれから走るステージの路面に合わせたセッティングを行なうのが楽しくなる。

 オーストラリアのSTAGE 1から始まり、各ステージをクリアしていくと、各国のステージの最後にはお約束のSUPER SPECIAL STAGE。このSUPER SPECIAL STAGEは、2台のマシンがクローズドコースで争うもので、これを無事クリアすると1カ国のレースが終わる。セッティングを行ない、できるだけステージに合ったクルマを作って楽しんでほしい。

 レーシングゲームの最高峰とも言えるグラフィック、必要にして十分なラリーカーの車種、美しく変化に富んだラリーコース。CMR3をプレイすれば、現在のPCゲームグラフィックの素晴らしさを存分にあじわうことができるだろう。ただ筆者にとっては、ドライビング感覚が合わなかったのが残念だ。もちろん、バッチリ合う人もいるだろうし、同様に合わない人もいるだろう。デモ版が公開されているので、ぜひ遊んでみてその美しいグラフィックを体験し、ドライビング感覚を確認してみてほしい。PCのマシンパワーは要求するが、手軽に遊べるゲームなのは間違いない。

 なお、この同作では、OPTIONSメニューからSECRETを選び、そこでアクセスコードを入れることで、ジェット戦闘機やホバークラフトといったボーナス・マシンなどで遊べるようになるが、なんとこれが有料(£2.99:約575円、7月11日現在)になっている。このような仕組みは実際にゲームを購入した人にとっては、「なぜ? さらにお金を払うの?」としか思えないものだし、すでにインターネット上にはこのコードを生成するツールが出回っており、この仕組みそのものが無意味となっている。

 こういうおまけ機能はやはりクリアした結果得られるものであってほしいし、おまけ機能をたくさん付けるよりは多くの人が気持ちよくドライブできるようなセッティング幅を持たせてほしい。少なくともジェット戦闘機などでラリーを楽しむために購入するゲームではないのだから。次作となる「Colin McRae Rally 4」の情報もちらほら出始めているが、次作ではグラフィックでの充実より、手応えのあるドライビングモードの追加を望みたい。

納得のいくセッティングを終えたらいざレース。スタート時には気分が盛り上がる映像が流れ、緊張感が増してくる。ドライバーの顔がColin McRaeそっくりなのは、McRaeファンとしてうれしい 激走&タイムアタック。あとは全力をつくして好タイムでステージを走りきる。途中でクラッシュなどをしてしまうと車体にダメージを負ってしまい、その後のばんかいが苦しくなる。ギリギリまで攻めるか、安全策を取るかは自分の順位などラリーの状況しだいだろう クラッシュなどしてしまうと、マシンはどんどん壊れていく。この壊れ方ですごいのは、内部まできちんと作り込まれていることだ。ラジエータや内部フレームなど、これまでは省略されがちだった部分まで再現されている


ここまで壊れてしまい、水に落ちてしまうと正直リタイヤしたほうがよいだろう。そのまま次の国でチャレンジを行なうことも可能だが、獲得ポイントを考えると、一からやり直すべきだ 1日目が終わり2日目の最初にサービスを受けられる。各箇所のダメージが表示され、可能な限り自動で直してくれる。逆に言えば2日目まで直せないので、クラッシュには気を付けたい このように2台が競り合う形になるのがSUPER SPECIAL STAGEの特徴だ。クロスポイントでイン・アウト入れ代わり、2周するような感覚だ。基本的にはタイムアタックレースなので、ほかのマシンはあまり気にせず集中して走るべし


SUPER SPECIAL STAGEのスタートシーン。夜ドライビングランプを多数搭載したラリーカーでチャレンジ。夜はコースが見づらいので、注意したいところ 国をクリアするなどあるタイミングでもらえるセットアップパーツ。これはSOFT SPRINGSをゲットしたシーン。次回のCAR SETUPでは、これらスペシャルアイテムが使えるようになる。が、それほど劇的なパーツはない SECRETからアクセスコードを入れるとこのようにスペシャルマシンで遊べるようになる。このような楽しみそのものは否定しないが、お金を払って手に入れるというのは評価できない。ラリーゲームの楽しさとは何か、ユーザーは同シリーズに何を求めているのか、よく考えてほしいところ


(C) 2003 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"R and the Codemasters logo are registered trademarks owned by Codemasters. "colin mcrae rally 3.0 "is a trademark of Codemasters. "Colin McRae" is a trademark of Colin McRae. All Rights Reserved. "Colin McRae"and copyrights, trademarks, designs and images of car manufacturers and /or on car liveries featured in relation to the game, are being used under license. Developed by Codemasters and distributed exclusively under license by Imagineer Co. Ltd. This game is NOT licensed by or associated with the FIA or any related company.


【Colin McRae Rally 3】
  • CPU:Pentium III 750MHz以上(Pentium 4 1.4GHz以上を推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:3.5GB以上
  • ビデオカード:VRAM 32MB以上(64MB以上を推奨)


□シャルラクプラスのホームページ
http://www.shall-luck.co.jp/
□「Colin McRae Rally 3」のホームページ
http://www.mystixstudios.com/colin3/index.html
□関連情報
【2003年6月12日】シャルラクプラス、「Colin McRae Rally 3」を6月27日に発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030612/cmr.htm
【2003年5月30日】シャルラクプラス、海外ゲームブランド「MYSTIX STUDIOS」を設立 第1弾タイトルは「Colin McRae Rally 3」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030530/shall.htm
【2001年11月14日】英Codemasters、ラリーシミュレータ最新作「Colin McRae Rally 3」をPC、Xbox、PS2向けに2002年秋発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011114/colin.htm
【2002年5月27日】Codemastersブースレポート イングランドの雄もコンソールへのシフトを鮮明に「Colin McRae Rally 3」、「Project I.G.I 2」ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020527/e3code.htm

(2003年7月23日)

[Reported by DOS/V POWER REPORT編集長 谷川 潔]


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