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【連載第151回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ドリルが地中に潜行する驚異のギミック搭載!
タカラ「フルアクションRCジェットモグラ」

「フルアクションRCジェットモグラ」
発売 タカラ
価格 6,300円
電源 単4アルカリ電池×6本(別売)
発売日 発売中



 まもなく公開日を迎える映画「サンダーバード」。制作途中から、現代風にアレンジされたメカのデザインが議論を呼んでいたが、それもこれも長年愛され続けてきた人気ゆえ。今回紹介する「フルアクションRCジェットモグラ」は、作り手の「執念」をも感じさせる力の入ったアイテム。長年のファンはもちろん、「子供のころ何度か見た」という人でも、アイテムからほとばしる情熱に、感動させられるはずだ。

   レポートに入る前に、簡単に「ジェットモグラ」についておさらいしておこう。「ジェットモグラ」は、国際救助隊「サンダーバード」の3番目のメカ。巨大なドリルを備えた車体が強烈なインパクトとなり高い人気を誇っているが、実は全32話中3回しか登場していない。

 先端のドリルは特殊製鋼で製造され、強固な岩盤をも掘り進む。出動時はサンダーバード2号のコンテナで運ばれ、現場では自走式のタンクに乗って移動する。潜る際は、タンクのガントリー(台座)を傾け、ドリルを地面に接着させて、地中に潜行する。

 「フルアクションRCジェットモグラ」は、この特徴的なアクションをあますところなく再現しているのだという。そんなことが可能なのだろうか。


ウェザリングも施され作りこまれた本体

パッケージでは、地中潜行のイメージを一望できるように工夫されている
 「特別なオーラが漂っている!」。パッケージからアイテムを取り出した瞬間に、並々ならぬ気配を感じた。パッケージには「ジェトモグラ」本体とコントローラ、そしてジオラマベースが入っているのだが、そのどれもが普通じゃないのだ。

 「ジェットモグラ」本体は、非常に密度が濃い。全長はサインペンよりも小さいのに、表面にはありとあらゆるディテールが刻まれている。その造形にも目を見張らせられるが、ペインティングも凄い。本体はもちろん、ドリルや車体の裏までにウェザリング(汚し塗装)がかけられ、「たった今、地中に潜行して任務を果たしてきた」という風情なのだ。

 現在トイショップの店頭には別スケールの「RCジェットモグラ」が並べられているのだが、それと比べてみると、作りこみの深さがよりハッキリする。

 コントローラも特別。最近のラジコンのコントローラは、誰もが扱いやすいようにテレビゲームのコントローラに近い形が主流になっている。しかし、このコントローラは、原作の移動司令室にあるものの形を再現しているのだ。手に持ってみると決して扱いやすくはないのだが、だからこそ「原作を極力に忠実に再現する」という気迫が伝わってくる。

 ジオラマベースも面白い。表面に大きな穴が2個開いており、その下にクリアパーツで作られたパイプが取り付けられている。単に「ジェットモグラ」を飾るものではなく、有機的に結びついているようだ。

「ジェットモグラ」本体。サイズは1/144スケール ドリルの先端から動力部、シャーシまで精密な塗装が施されている
小型のサインペンよりも小さいサイズ 同じくタカラから発売中の「RCジェットモグラ」。作りこみの深さが伺えるだろう コントローラーは劇中の移動司令室を再現。操作はしにくいが、志は伝わる
「ドリル」と「シャーシ」それぞれ独自に電源を供給する仕組み 操作時や充電時にはライトが点灯。こうした光るギミックの搭載も泣かされるポイント ジオラマベース。乾いた土壌の雰囲気がよく出ている

 本格的なレポートを始める前に、苦言を述べておくと、説明書がわかりにくかった。小さい誌面に情報を詰め込みすぎて、いろいろと悩みながら準備作業をすることになった。しかし、「フルアクションRCジェットモグラ」の実体は、そんな不満を軽く吹き飛ばすほどに素晴らしいものだった。


車体と分離してドリルが地中へ潜行する!

「地中潜行」のアクション。興奮の瞬間だ!
 遊ぶ前には、「ジェットモグラ」本体に充電を行なう。充電口は「ジェットモグラ」の土台の「シャーシ」と、ドリルの付いた「モグラ」のそれぞれにある。「シャーシ」はコントローラの充電口に設置し、「モグラ」へはコントローラーから伸びたソケットを差し込んで、充電を行なう。つまり、走行を担う「シャーシ」と、地中潜行アクションをくり広げる「モグラ」はそれぞれ別の電源を使い、別の動力を用いて動作を行なうわけだ。こんな小さなボディでよくもそこまで細かい芸を……と驚かされる。

 充電時間は約2分。1回の充電で約3分の操作が可能になる。最初はジオラマベースを使わずに、作業台の上でノーマルな走行を試してみる。コントローラは大きくふたつに分かれており、下部が「シャーシ」の操作を、上部が「モグラ」の操作を担っている。

 操作ボタンは、「左キャタピラ前進」と「左キャタピラ後進」、そして「右キャタピラ前進」と「右キャタピラ後進」の4種類があり、前進後退や左右への方向転換、戦車に特有の超信地旋回などが行なえる。

 ここまでの動作は、「コンバットデジQ」などで体験済みの予想範囲内。しかし、コントローラの中央にある「ギミックボタン」を押した瞬間に、すべてが変わった。「モグラ」を載せたガントリー(発射台)が起動し、支柱で「モグラ」の後方を持ち上げる。持ち上げられる振動で「ジェットモグラ」全体が揺れ、リアリズムを生む。

 次にコントローラ上部にある「モグラ」を操作するボタンを押してみる。ボタンには「モグラ前進」と「モグラ後退」の2種類がある。「モグラ前進」を押すと、「ギュィィィィン」というモーター音を立てて、「モグラ」本体が前進。先端を作業台に付けて、止まった。前進と共にドリルが回転し、側面にあるキャタピラが駆動を始める。おおおっ、格好いい。子供のころにテレビで観た「サンダーバード」そのものの動きではないか!

 しかも、よく出来たもので、すべての動作をシームレスに行なうことができる。たとえば「ジェットモグラ」を前進させて、目標地点にまで移動させる。次にガントリーを起動させ、「モグラ」に傾斜をつける。そして「モグラ」を前進させ、地面に接着させる。こうしたテレビさながらの流れのある動作が、簡単な操作で再現できるのだ。逆も簡単だ。「モグラ」を後退させ、ガントリーを下げる。そして作業現場を去る、というような、いかにもな場面をすぐに生み出すことができるのだ。

 これだけでも十分に楽しめるのだが、ラジコンベースと組み合わせて遊ぶと、いよいよ真価を発揮する。ラジコンベースには、ふたつの穴が用意されており、「地中潜行」と「岩盤掘削」の異なるアクションを楽しめるようになっている。

 「地中潜行」は、斜めに持ち上げられた「モグラ」が地面を掘り、そのまま地中に潜行していくアクション。穴の手前に用意されたガイドまで「ジェットモグラ」を移動させたら、ガントリーを上げ、「モグラ」の先端を下方へ傾斜させる。次に「モグラ前進」ボタンを押して、「モグラ」を回転、前進させる。みるみるうちに、地面の中に潜行していく「モグラ」。本体の半分以上が地中にめり込んだ。もちろん実際に地面を掘っているわけではなく、用意されたパイプの中を潜行しているだけなのだが、体感した衝撃はハンパじゃない。子供のころ、「ジェットモグラ」や「轟天号」など先端にドリルの付いたメカのトイを手にしては、それらが実際に地面を掘る様子を夢想したが、その夢が目の前で実現しているのだ!

 「岩盤掘削」は、それ以上の興奮をもたらしてくれた。ジオラマベースを横に倒して、クリアのパイプの末端に「ジェットモグラ」をセット。「モグラ前進」ボタンを押すと、「モグラ」が直進。そのまま直進を続け、何と「シャーシ」本体と完全に分離! そのまま突き進み、ジオラマベースの岩壁をぶち破る! 後退も見事なものだった。「モグラ」が後退し、「シャーシ」の上に再び重なったかと思うと、そのまま完全にドッキング。まるで出来のいい手品を見ているよう。すげえ!

 論より証拠。ムービーを用意したので、「地中潜行」と「岩盤掘削」の凄さをぜひ確かめていただきたい。

「岩盤掘削」。「ドリル」がジオラマベースの岩盤をぶち破る 「ドリル」側面のキャタピラが「パイプ」に触れ、前進と後退が可能にしている
分離後の「ドリル」と「シャーシ」。動作のギミックが見て取れるだろうか
【ムービー】
「地中潜行」
(MPEG-1、1.14MB)
「岩盤掘削」
(MPEG-1、2.36MB)


 もう褒めるだけ褒めたが、最後にもうひとつだけ褒めたい。これほど充実した内容を有しながら、価格は6,300円。量販店によっては、5,000円前後で手に入る場合もある。価格はあくまで玩具レベルを保ちながら、スペックは遥かにそれを上回るのだから文句なしだ。

 今後もシリーズ作が発売される、とのこと。完璧な「2号」の登場に期待したい。

(C) and 1964, 1999 and 2003 ITC Entertainment GroupLimited. Thunderbirds is a Gerry Anderson Production.Licensed by CarltonInternational Media Limited
創作・著作物 TAKARA Co.,Ltd. 2004


□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「フルアクションRC」のホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/thunder/


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(2004年7月22日)

[Reported by 元宮秀介]


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