楽しく組める本格的なロボットキット タミヤ「ロボクラフト」シリーズ
「メカ・ダービー」(左)、「メカ・ピッグ」(右) |
発売 |
タミヤ |
価格 |
各1,029円 |
電源 |
単四アルカリ電池×1(メカ・ピッグ) 単三アルカリ電池×1(メカ・ダービー) |
発売日 |
発売中 |
今回紹介する「ロボクラフト」は、タミヤから発売されている組み立て式ロボットキットだ。テーマは、ロボットを楽しく作って、そのメカニズムを学ぶこと。なかなかの好評を博しているようで、現在14種類ものバリエーションが発売されている。筆者が最も興味を惹かれたのは、その価格設定。商品ごとに多少の違いはあるが、ほぼすべて980円(税抜)という低価格。ロボットトイとしては、異例の安さといえるかもしれない。この価格でどれだけの動作を披露してくれるのだろうか。
■ 「動き」が見えるクリアーパーツ仕様
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パッケージは、タミヤ伝統のテイスト |
現在発売されているシリーズは、商品ごとに異なる「動作のテーマ」を持っている。例えば「メカ・ダチョウ」なら「2足歩行」。「メカ・ビートル」なら「障害物回避タイプ」。「メカ・カンガルー」なら「両足ジャンプタイプ」といった具合だ。どれも面白そうなので迷ったが、「メカ・ダービー」と「メカ・ピッグ」に決めた。「メカ・ダービー」は「両足キック走行タイプ」、「メカ・ピッグ」は「首ふり歩行タイプ」で、それぞれ対照的な動作が楽しめそうだからだ。
パッケージをチェックすると、やはりタミヤのロゴマークに目がいく。タミヤのキットに触れるのは、本当に久しぶりだが、やはり高揚感がある。
「メカ・ダービー」の中身を取り出し、作業台の上に並べる。本体を構成する樹脂パーツは、クリアータイプのものがほとんど。馬の頭と体、そして4本の脚。そのすべてがオレンジ色のクリアー素材だ。なるほど、これなら走らせるとき、内部のメカニズムをじっくりと見ることができる。
他には動力源となるモーターや金属パーツ、パーツ同士の滑り具合を潤滑にするグリスや、組み立て用のプラスドライバーなどが入っている。樹脂パーツが多いのでプラモデルのようにも見えるが、接着剤は一切使用しない。組み立ての大部分はビス止めとはめ込みで行ない、配線にはゴムパイプを使用する。
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樹脂パーツ。オレンジ色のパーツが馬の体となる |
ギアやネジなどの金属パーツもたくさん。シールは3種類 |
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内蔵されているモーターは、FA130タイプ |
取扱い説明書は、必要なパーツと作業内容をひと目で把握できる良質な出来栄え |
さすがタミヤと唸らされたのは、パーツの数の多さ。最近のe-Toyは、完成品か半完成品が増えているので異彩を放つ。しかも、あらかじめ完成品として用意されていることが多い電池ボックスやギアボックスまでを組み立てるようになっているのだ。うまく組み上げられるだろうか。
しかし、組み立て始めると、そんな不安もまたたく間に消えた。組み立て説明書が精密なイラストを中心に構成されており、ひとつひとつの作業が極めて明確に記されている。複数あるネジも、どの場面にどの種類を使うかがひと目でわかり、迷うことはない。
モーターを収納するギアボックスを組み立てて、本体に取り付ける。本体に電池ボックスをセットしたら、ギアから伸びるコードと接続。4本の脚を組み立てて、ジョッキーと共に本体に取り付ける。作業の流れはこんな感じだ。最後に3パターン用意されたシールからひとつを選び、ジョッキーの帽子と服、そして馬のマスクを飾る。
首の下に付ける無骨なパーツは、ガイドと呼ばれ、コース走行用に使用する。なるほど「ミニ四駆」のようにレースも楽しめる、というわけか。
完成までおよそ1時間。当初はパーツの多さにひるんだが、どうやら予備も含まれており、最終的には随分と余った。作業自体は多岐に渡るが、工作の腕前をシビアに問われる場面はないので、誰でも組み立てる楽しさを味わいながら、完成までたどり着けるだろう。
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最初に動力源となるギアボックスを組み上げる |
本体にギアボックスを接続する |
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前足の一本。後ろ足から伝わるモーターの回転をリンクロッドで伝達。 |
組み上がった足回り。あとは頭とジョッキーを取り付ければ完成 |
■ 小さなボディでパワフルな走りを実現!
「メカ・ダービー」を走らせてみる。馬の背中に位置する電源スイッチをオンにすると、想像以上の速度で作業台を駆け抜け、あわてて床に落とすところだった。競馬のスタート直後の緩やかな走りをイメージしていたのだが、ラストスパートの全力疾走のような走りだった。こんなに小さなボディでパワーを感じさせる走行を実現できるのか! と驚かされる。
前述通り、本体はクリアパーツで構成されているので、メカニズムをじっくりと観察することができる。モーターにダイレクトに接続された後ろ足がパワフルに前後し、その動力がリンクロッドを通じて前足を伝わる。これを自分が作り上げたんだと思うと愛着もひとしおで、時間を忘れて眺めてしまう。
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完成形は競走馬の精悍なイメージ。パワフルな走りを予感させる |
後方から見たところ。モーターが後ろ足を回転させ、前進する |
電池ボックスを中心に置き、重量とバランスを取る |
【ムービー】 |
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「メカ・ダービー」の疾走 (MPEG-1、232KB) |
動作のクローズアップ (MPEG-1、475KB) |
続いて「メカ・ピッグ」を組み立てる。「メカ・ダービー」といくつかのパーツが共通していることもあり、作業はスムース。競走馬の精悍なイメージを抽象化した「メカ・ダービー」と異なり、「メカ・ピッグ」は豚の可愛らしさを強調したデザイン。顔は丸で表現され、小さな尻尾はクルリと巻き上がっていて愛嬌たっぷり。
電源スイッチをオンにすると、ウンともスンとも動かない。モーターは回っているのだが、脚が動いていない。こんな厳しい状況でも、あわてずにいられるのが、クリアパーツのいいところ。内部機構をチェックし、原因を突き止めた。ギアとシャフトが噛み合っていなかったのだ。急いで修復し、再トライ。首を左右に振りながら、前進を続ける。気になる首振りの秘密は脚にあった。左右それぞれの前脚の先端が顔の裏側まで伸びており、交互に顔を押す、という仕組みだ。
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「メカ・ピッグ」のパッケージ。脇に書かれたイラストも楽しい |
「メカ・ピッグ」の樹脂パーツ。こちらはピンクで可愛らしい |
「メカ・ダービー」と比べると電源スイッチや配線が複雑 |
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完成形。顔と瞳、そして鼻が円で表現され、心をなごませる |
クルンと巻いた尻尾が最大のチャームポイント |
前足についたバーが顔を押し出し、首振りを演出する |
【ムービー】 |
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「メカ・ピッグ」の前進 (MPEG-1、271KB) |
動作のクローズアップ (MPEG-1、313KB) |
キットを組み立てる醍醐味。パワフルな走りを眺める興奮。動きの仕組みを理解できる知的発見。千円札1枚分の金額で、これだけ楽しめるのだ。良質なキットだと断言できる。
□タミヤのホームページ
http://www.tamiya.com/
□「ロボクラフト」シリーズのページ
http://www.tamiya.com/japan/products/robocraft/
□「メカ・ダービー」のページ
http://www.tamiya.com/japan/products/71112racehorse/
□「メカ・ダービー」のページ
http://www.tamiya.com/japan/products/71111pig/
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(2004年7月8日)
[Reported by 元宮秀介]
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