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【連載第147回】 あの、おもちゃを徹底レポート




「太鼓の達人」をいつでもどこでも楽しめる!
トミー「太鼓の達人どこでもドンドン」

「太鼓の達人どこでもドンドン」
発売 トミー
価格 4,179円
電源 単3アルカリ電池×3(別売)
発売日 発売中



 ここ数年のゲーム業界のトピックスを振り返るとしたら、ナムコの「太鼓の達人」の誕生は欠かせない話題になるだろう。日本人なら誰もが知っていて親しみを感じている太鼓をモチーフにし、リズムに合わせて叩くというシンプルな内容。敷居の高さを微塵も感じさせず、太鼓を力いっぱい叩ける爽快感もあり、小さな子供から年配の方まで、幅広い層の人々を魅了した。

 今回紹介する「太鼓の達人どこでもドンドン」は、そんな「太鼓の達人」から生み出されたトイ。ゲーム機を使わず、テレビも不要。それでもいつでもどこでも「太鼓の達人」を楽しめるアイテムなのだという。これは面白そうだ。ちなみに現在の販売状況は、玩具店でも、ネット上のトイショップでも売り切れ続出。プレイステーション 2版が発売された直後に近い状況を巻き起こしている。


テレビ画面を使用しない「太鼓の達人」。その再現度は……?

 箱から取り出し、内容物を確認。太鼓を含んだ本体、本体を支える台座、そして2本のバチが入っている。本体の裏面にアルカリ単3電池を3本セットして、台座を取り付けたら準備は完了だ。

 本体を眺めてみたら、あらためて疑問が湧き上がってきた。本当に本体だけで遊べるのだろうか。当連載で定期的にウォッチしているエポック社の「体感ゲーム」シリーズも、ゲーム機本体にソフトが内蔵されているお手軽な設計だが、それでもテレビは必要だ。はたしてテレビ無しで「太鼓の達人」を楽しめるのだろうか……?

 本体をくわしくチェックする。太鼓の部分は握ったこぶしで軽く叩くと、弾力を感じた。バチを振り下ろしてみると、ほど良い感触が伝わってきた。これなら誤って力んでしまっても、怪我をすることはなさそうだ。

 太鼓の上部には、ボタンやランプ類が並ぶコントロールパネルがある。左右のスイッチは、電源と音声ボリューム。ふたつあるボタンは、「セレクト」と「キャンセル」。合計10個あるランプは、おそらく太鼓を叩くタイミングを示すものなのだろう。なるほど、これなら確かにゲームは進行できそうだ。しかし、アーケード版の「太鼓の達人」と同じプレイ感覚を味わえるのだろうか。

パッケージ。「プレイステーション 2には対応していない」などの注意書きが書かれている 本体。太鼓には弾力があり、叩くと好感触が返ってくる 電池は裏面にセットする。スピーカーも裏面だが、台座があるので音がこもることはない
組み立て式の台座をセット。本体を叩きやすい角度に持ち上げる プレイステーション 2対応の「タタコン」と比較。半分のサイズだ 続いて携帯電話とのサイズ比較。持ち運びも快適な重量だ
コントロールパネル。テレビ画面とコントローラの両方の働きを担う バチ。非常に軽く、無駄な疲れを感じさせない



プレイ感覚はオリジナル版とそっくり!

 とにかくプレイをしてみないと始まらない。電源を入れると「たいこのたつじん、どこでもどんどん~!!」というボイスが鳴り響いた。アーケード版やプレイステーション 2版で聴けるあの声だ!

 ゲームは「太鼓の達人モード」、「ミニゲームモード」、「リズムモード」の3種類が用意されている。セレクトボタンを押すと、「たいこのたつじんもーど!」や「みにげーむもーど!」というふうにボイスで読み上げられる。モードを選んだら、バチで太鼓を一回叩いて決定する。おおっ、この操作体系はオリジナルの「太鼓の達人」とそっくりだ。

 「太鼓の達人モード」に決定したら、次は曲を選択する。収録曲は以下の10曲だ。

  • 『ドラえもんのうた』
  • 『アンパンマンのマーチ』
  • 『おどるポンポコリン』
  • 『アドバンス・アドベンチャー』
  • 『ハム太郎とっとこうた』
  • 『サザエさん一家』
  • 『おさかな天国』
  • 『タッチ』
  • 『だんご3兄弟』
  • 『夏祭り』

 ドラえもんあり、ポケモンあり、ちびまる子ちゃんあり、ハム太郎あり……と子供路線の王道をゆく豪華なセレクト。それでいてお父さんやお母さんを意識した『タッチ』もあり、抜け目がない気配りも見せる。10曲だけ、と聞くと少ないような気もするが、メジャーな曲ばかりを取り揃え、子供も大人も遊べる選曲がなされており、充実度は高い。

 選曲は、点灯するランプの位置を変更することで行なう。例えば一番左のボタンを光らせると『ドラえもんのうた』に、右から三番目のボタンを光らせると『サザエさん一家』になる。ボタンが光ると同時にイントロが流れ出し、曲を聴いて確認できるので、混乱することはない。

 小手調べとして、最も難易度の低い『ドラえもんのうた』をセレクト。いよいよゲーム開始だ!

 画面の指示に従って、タイミングよく太鼓を叩く。基本的なルールは、オリジナルの「太鼓の達人」とまったく同じだ。肝心の指示は、8個並んだランプの点灯で表示される。太鼓を叩くタイミングを示す明かりが右から左へ流れてくる。この光が左から2番目にあるランプに差しかかり赤く点灯した瞬間が、太鼓を叩くタイミングだ。ゲームの画面が、そっくりそのままランプによって再現されている、というわけだ。

 音量はたっぷりで、ゲームをはじめるやいなや周囲が音楽に包まれる。太鼓を叩く「ドン!」という音も、サンプリング音源を採用しているようで、重低音が効いた迫力のあるサウンド。ランプによる指示にもすぐに慣れることができ、ひたすら気持ちいいプレイ感覚はまさに「太鼓の達人」だ。タイミングの良し悪しもランプによって表示され、プレイに熱がこもる。ハイライトといえる連打は同じくランプで示され、太鼓を叩きまくる爽快感を味わえる。

 力の強弱や太鼓のふちを叩く要素がカットされているが、子供向けにシンプルにした結果だろう。とはいえ、いたずらに簡単になっているわけではなく、曲の難易度が上がると相応のリズム感が求められるので、物足りなさは感じない。筆者も通常のプレイなら万年「見習いだドン!」の腕前なのだが、今回ばかりは「達人だドン!」の認定をもらえた。大変うれしい。

プレイスタイルは、オリジナル版の「太鼓の達人」と同じだ 音量は3段階に調整可能。家庭で遊んでも近隣の迷惑にはならない 光るランプが右から左へ流れ、叩くタイミングを表示する
ランプが赤く光ったら太鼓を叩く! タイミングも判定される 「れんだ~!」という声が聴こえたら、連打の合図


 太鼓を叩くと鳴り響く「ドン!」という音を、別の音に変えられる仕掛けもある。演奏中にセレクトボタンを押すと、音色が別のものに切り替わるのだ。楽器の音が多いのかなと思いきや、スーパーなどにあるレジの「ガシャーン」という音をはじめ、猫や犬の鳴き声、外国人ラッパーの「YO!」というかけ声、さらにはオナラの音などもあり、遊び心にあふれていて楽しい。子供はこういう仕掛け、好きだろうな~!

 「ミニゲームモード」は、例題の音を覚えて、太鼓を叩いて再現するゲームだ。レベル1からレベル3まで合計9問出される問題に、正解すればクリアとなる。レベル1は「ドン!ドン!」と2音の連なり。レベル2は「ドン!ドン!ドン!」と3音の連なりだったので、「これは子供向けに思いっきり難易度を下げているな~」とタカをくくっていたのだが、レベル3になると「ドン!(1拍空き)ドンッドンッドンッ」とロックのビートを刻み出し、難易度が急上昇して驚かされた。

 「リズムモード」は、太鼓を自由に鳴らして遊べるモード。「太鼓の達人モード」と同様に、セレクトボタンを押すと音色がどんどん切り替わる。

 マニアックな視点から見れば、操作方法が簡略化されているなどの不満はあるだろう。だけど、筆者はこのアイテムを高く評価したい。テレビ画面がないという大きな制限がある中で、これだけ見事に「太鼓の達人」のエッセンスを再現したのだ。文字通り、いつでもどこでも気軽に「太鼓の達人」を楽しめるし、プレイステーション 2は持っていないが「太鼓の達人」は大好き、という子供たちには朗報となったはずだ。

 テレビ画面を使わず、テレビゲームの遊びを表現する。筆者自身には、何よりこれが刺激的だった。今後「太鼓の達人どこでもドンドン」に続く商品が発売されることを望みたい。

(c)NAMCO LIMITED


□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□トミー「太鼓の達人どこでもドンドン」のページ
http://www.tomy.co.jp/dokodemo_dondon/
□関連情報
【1月22日】トミー、春からゴールデンウィークに向けての新商品を発表
テレビがなくても楽しめる「太鼓の達人 どこでもドンドン」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040122/tomy.htm


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(2004年6月24日)

[Reported by 元宮秀介]


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