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【連載第132回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ポケットに入れて持ち運べる麻雀専用ゲーム機
エポック社「TV麻雀 昇段対局~4人打ち」

「TV麻雀 昇段対局~4人打ち」
発売 エポック社
価格 4,500円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
もしくは別売りのAC電源
発売日 発売中



 当連載ではこれまで多くのトイを取り上げてきたが、その中でも今回のアイテムは異質といえるかもしれない。これまでのトイは「子供向け」と「大きなお友だち向け」のどちらかに分類できることが多かったが、「TV麻雀」はそのどちらでもない「普段ゲームをしない大人向け」に発売されたものだからだ。

 基本的な仕様は、定期的にウォッチしているエポック社の「エキサイト」シリーズのノウハウを活用している。ゲーム機本体にソフトを組み込み、ケーブルを用いて、テレビと接続するだけ。コントローラは、そのゲームの内容に合わせた自由なデザインが施されている。そんな「エキサイト」シリーズの基本は踏襲はしているのだけれど、コントローラからして異質。なにせ、麻雀牌の形をしているのだ。しかも、一筒(イーピン)と七筒(チーピン)が合体した大胆なスタイルだ。

 ゲーム内容も基本はこれまでと同様に単純明快、誰にでもわかりやすく仕上げられているのだけれど、テイストが大きく異なる。これまでポップなキャラクタを登場させてきたシリーズだが、今回はVシネマテイスト全開。対局相手に和服の妙齢の女性が登場したり、男も妙にホストっぽかったり、はたまた格闘界やサッカー界をにぎわすあの選手たちとソックリな雀士が出てきたり。筆者としては、新鮮な気持ちで楽しめる。それでは、くわしくレポートしていこう。

 その理由は、これからくわしく述べていこう。


タイトル画面は、水墨画。麻雀を愛好する大人向けのイメージだ 対局するキャラクタは、「ベタ」なテイスト。だからこそなじみやすいとも言える

麻雀牌型のコントローラが訴えるものは?

 まずは麻雀牌型のコントローラからふれなければならないだろう。

 ふたつの麻雀牌が合体している外見から、大きなものに感じられるかもしれないが、意外とコンパクト。いうなればタバコの外箱を4箱並べたサイズか。左側は一筒(イーピン)、右側は七筒(チーピン)になっているが、なにもこれを使って本物の麻雀を打つ、というわけではない(当たり前だ!)。

 一筒はジョグダイヤルになっていて、七筒のそれぞれの丸にはカンやチー、ポンなどの役目が割り当てられていて、ゲームを操作するようになっている。筆者は、この仕様が非常に重要だと思う。GAME Watchの読者には意外なことに感じられるかもしれないが、ゲームのコントローラに抵抗感を感じている人はことのほか多い。ボタンやステック類が増える傾向にある中で、ゲームをしてみたくても「自分に扱えるだろうか」というためらいがあり、なかなかゲームで遊ぶには至らない人が、特に年配を中心にたくさんいる。このコントローラーは、そうした事情への回答だろう。

 丸型のボタンにはアガリやリーチなどの機能が書き添えられていて、それ以外の用途には使わないから、迷うこともない。何より大きな麻雀牌をコントローラにした、という遊び心がゲームにちょっとした抵抗感を感じる人の心もほぐしてくれる。すばらしいアイデアだと思う。筆者が冒頭で「普段ゲームをしない人たち向け」だと断じたのは、こうした理由からなのだ。

 接続が簡単だという点はもちろん、電源が電池だという点も見逃せない。これなら出張や旅行のお供として気軽に持ち運ぶことができる。

コントローラの大きさは、コートのポケットに収まるくらいだ 親指で一筒の丸をグルグルと回しながら、捨てる牌を決定する


条件が厳しい「昇段モード」に燃える

 とはいえ、コントローラーが優れていても、肝心な麻雀ゲームとしてつまらない出来栄えではお話にならない。結論から言えば、その点も大丈夫だ。麻雀ゲームに求められる機能をそろえ、テンポも良好で心地よく遊べる。牌をつもったら、一筒型のジョグダイヤルで捨てる牌を選択。この感触がなかなか心地よく、さらにどの牌を捨てるか迷いながら切る、という麻雀独特の行為がジョグダイヤルの挙動とよくマッチしている。

麻雀牌はきちんと描きこまれていて、見分けがつかないようなことは一切ない いわゆるローカルルールも、好みに合わせて詳細に設定することができる


 ゲームは「フリーモード」と「昇段モード」の2種類。「フリーモード」では裏ドラやダブル役満などのいわゆるローカルルールの有無を設定でき、難易度別に用意された対局相手を選ぶことが可能だ。

 筆者が注目したのは、「昇段モード」の方。与えられた課題をクリアしながら十級から九級へと昇段を目指していくのだが、この条件がなかなかに厳しい。

 例えば最初の「十級」は「半荘1回のうちに最低1回立直であがる」が条件。「九級」は「半荘1回のうちに最低1回役牌であがる」とまだまだ易しめ。しかし、「九段」になると「半荘1回のあいだすべて満貫以上で上がる」と厳しい。「師範代」では、半荘3回ですべて1位の成績、または役満1回」などと、さすがに相当の実力を求められる。しかし、だからこそ昇段してみたい、とやる気をかき立てられる。とかく単調になりがちな1人プレイに刺激を与えている、と思う。

昇段の条件を記した巻物。厳しい条件だからこそ、燃えるものがある
卓や牌のカラーを変更することも可能。ためしに卓を紫色にしてみた

 そうそう、この原稿を書きながら、20年前にファミコンを買ってもらったときのことを思い出した。「麻雀ができる」という一点で、父親が財布の紐をゆるめたのだった。プレイ人口は減少の傾向にあるというけれど、やはり麻雀の人気は特に年配層に根強い。この「TV麻雀 昇段対局~4人打ち」の存在を知ったら、「手に入れてみたい」と思う人は多いだろうと想像される。お父さんやお母さんが麻雀好きならば、この「TV麻雀」をクリスマスプレゼントとして贈ると、喜ばれるかもしれない。

(C)2003 EPOCH CO.,LTD (C)2003 SSD COMPANY LIMITED


□エポック社のホームページ
http://www.epoch.gr.jp/
□製品情報
http://www.taikan-game.com/tvmj/


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(2003年12月11日)

[Reported by 元宮秀介]


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