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【連載第124回】 あの、おもちゃを徹底レポート




呪文を叫んで魔物とバトル!
バンダイ「金色のガッシュベル!! 赤い魔本」

「金色のガッシュベル!! 赤い魔本」
発売 バンダイ
価格 3,500円
電源 単4アルカリ電池×3(別売)
発売日 発売中



 今回紹介するのは「少年サンデー」誌上に連載中で、テレビアニメも好調な「金色のガッシュベル!!」の関連商品。なのだけれど、実は筆者、この作品にあまり明るくはない。なのに、なぜ手にしたのかといえば、採用されているアイデアが面白そうだったから。

 液晶モニタを使用したいわゆる携帯ゲームで、ガッシュベルを戦わせて育成する内容はオーソドックスなものだが、戦闘方法がふるっている。プレーヤーが携帯ゲーム機に向かって呪文を叫ぶと、音声センサーで感知され、ゲーム中のガッシュベルが技を発動するのだ。

 声を出して呪文を唱える、というアイデアはありそうでなかったもの。これがどのような新しい“遊び”を生み出しているのか、楽しみながらチェックしていこう。


本体は“赤い本”を忠実に再現

 ハードのデザインは、主人公の清麿が持っている“赤い本”を忠実に再現している。表紙の呪文はエンボス加工で、立体的に表現されていて雰囲気が出ている。ボタンを押すと、本体が左右にパカリと開き、液晶モニタや操作ボタンが顔を出す。

 第一印象は、「液晶モニタが小さい!」だった。大振りなハード本体と比べるとどうしても小粒な印象が拭えないのだが、3,500円という低価格に抑えられていることを考えると、妥当なところだといえるだろう。

 興味をそそられたのが、操作ボタンの配列。こうした携帯ゲーム機の場合、操作ボタンは任天堂の十字ボタンになにかしらの影響を受けているものなのだけれど、これは例外。4種類のボタンが三角形の配置に並べられていて、独特な雰囲気。ゲームに特化した配置なのだとしたら、とても面白い。別売のアルカリ単4電池3本を本体にセットしたら、準備は完了だ。

“赤い本”の本体。手に持つとしっかりとした重量感を感じる プレイは“赤い本”を開いて進める。モニタ左下の穴が音声センサー



ガッシュベルを導いて、成長させていく

 ゲームがスタートすると、まず最初に時間の入力を求められる。現実時間とリンクした遊びがあるのだろうか。次に名前を入力。すると、ガッシュベルが映し出された。これ以降の展開は、特にウィーザードが用意されているわけではないので、取り扱い説明書をしっかりと読み込む必要がある。

 ゲームの概要はこうだ。ガッシュベルを導いて、敵と戦わせ、成長させる。最終的な目標としては「約50種類の呪文をすべて覚えること」。そして「全部で16人の魔物を倒すこと」だ。このふたつの目標を達成することができれば「やさしい王様」の称号を得ることができる。

   プレーヤーの操作は、ガッシュベルを操作して、街を探索させることからはじまる。移動できる場所には家、学校、公園、植物園、山などがある。それぞれの場所には、たとえば家ならばHPとMPが回復、学校ならば愛情値がUPするというふうに効能がある。ガッシュのどの部分を補強したいかによって、行く場所を選択する。またこれらの場所は行ける時間があり、学校ならば7時~19時、公園ならば6~23時と決まっている。最初に入力した時間が、ここに活きてくるというわけだ。

 液晶モニタに映し出されたガッシュベルは、とてもかわいらしい。液晶のドット数が決して多くはないのだが、ガッシュベルのいろいろな表情を上手に表現している。

基本画面。撮影時が正午だったので、ガッシュベルが昼食を取っている 学校へ行くと妙な踊りを披露。これは体育の授業?
砂場へ行くと踊ったり、砂遊びをしたりして自由に遊ぶ HPやMPなどの詳細ステータスを確認することもできる


叫ぶのが心地よく、妙にハマるバトル

 敵とのバトルは、基本的にはこれらの場所への移動中に起きる。移動した場所に敵がいれば、バトル開始だ。

 冒頭でも述べた通り、バトルには音声を使用する。ガッシュベルが覚えている呪文の中から使いたいものを選ぶと、画面にバーが表示される。このバーは長く短く伸び縮みしており、もっとも長くなったタイミングで呪文を叫ぶと攻撃力は最大値にアップする。

 ガッシュベルが最初に覚えているのは、攻撃呪文の「ザケル」だ。本体に向かって、「ザケル」と叫ぶ。バーが最大値のときに叫んだつもりなのだが、あらら、バーはもっとも短いところで止まってしまった。なるほど、音声認識にはほんの少しだけタイムラグがあるのだな。であれば、バーがもっとも長く伸びる前のタイミングで叫ぶと、ちょうどいいに違いない。試してみると、まさにビンゴ。次から次へと最大値で呪文をくり出せるようになった。

 同時にずっと気になっていたボタン配列の理由もわかった。右手で本体を支え、その親指ですべてのボタンを操作できるようになっているのだ。なかなかのアイデアだ。

 RPGのバトルとしては、きわめてシンプル。敵が出現する → 攻撃をする → 敵が反撃をする……とお約束のパターンなのだけど、妙にハマる。RPGを遊ぶこと自体が久しぶりだからかな? とも思ったが、それ以上に呪文を叫ぶことが快感になっていたことに気が付いた。「ザケル!」、「ラシルド!!」、「ジケルド!!!」。このいかにも呪文らしい呪文を口に出して唱えていると、気分は次第に異世界のヒーローになっていく。そうだ、そうだ、こんなふうに呪文を叫ぶ経験なんて、今までなかったものな。しかもガッシュベルが倒れたときに「がんばれ!」と叫ぶと、復活するギミックもある。

 これまでは頭の中で“叫んだつもり”で遊んできたけれど、口に出すと胸のうちがスッとする。ゲームを進めたい、ガッシュベルを育てたい、という欲求よりも、呪文を叫びたくて、ついつい手が伸びてしまった。

移動中だけでなく、同じ場所に長くいても敵とエンカウントする 「ゴォォォォ……」という擬音が表示されたら、呪文を叫ぼう 呪文を叫ぶときは、マイクに口を近づけてハッキリと
攻撃はアニメーションで表示される 戦闘後は呪文や仲間を得ることができる

 バトルに勝てば、敵が使っていた呪文を入手することができたり、敵が仲間になることもある。こんなふうにして、目標達成をめざして遊んでいく。今回のレポートは音声入力のギミックを中心にしたが、原作のファンならば、もっと深く楽しめるだろう。


(C)雷句誠/小学館・フジテレビ・東映アニメーション

□バンダイのホームページ
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(2003年9月11日)

[Reported by 元宮秀介]


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