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【連載第122回】 あの、おもちゃを徹底レポート




簡単操作で本格的なバイオリンの演奏が楽しめる!
トミー「evio(エヴィオ)」

「evio(エヴィオ)」
発売 トミー
価格 7,000円(本体)
1,200円(カートリッジ)
電源 アルカリ単3電池×4(別売り)
発売日 発売中



 憧れの楽器、バイオリン。その美しい音色によって、クラシックにとどまらず、ロックやジャズなど幅広いジャンルの音楽に使われているのはご存知のとおり。誰もが知っているほどポピュラーな楽器ながらも、演奏には高度な技術が必要で、「高値の花」としてあがめられることも多い。

 今回紹介する「evio(エヴィオ)」は、そんなバイオリンの擬似演奏が楽しめるトイだ。コマーシャルのインパクトもあってか、筆者の周囲でも「あれ面白そうだよね」と話題に上ることが多いこのアイテム。結論から語ればメチャクチャ面白い! これから年末にかけて、少年少女だけにとどまらず、幅広い層に売れるほどの魅力を備えている。


シンプルでいて豊か。あらゆる年齢層が遊べる作り

 「evio(エヴィオ)」全体に通じているのが、非常にシンプルだということ。パッケージには、バイオリンを模した「evio(エヴィオ)」本体と、弓、そしてAVケーブルだけが入っている。「evio(エヴィオ)」本体にCPUやソフトが搭載されているので、電池を入れて、AVケーブルでテレビと接続するだけで、すぐに楽しめるようになっている。

 この商品構成は、この連載でもたびたび取り上げているエポック社の「エキサイト」シリーズや、発売が待望されているスクウェア・エニックスの「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」などに通じる、最近の玩具界のトレンドとでもいうべき内容になっている。

セットに同梱されているアイテム一式。曲も本体に内蔵されているので、すぐに遊べる あらかじめ収録されている6曲に加え、別売のカートリッジで楽曲を追加する仕組みになっている


 「evio(エヴィオ)」本体をチェックしてみよう。ひと目でバイオリンとわかるデザインながらも、細部が「未来のバイオリン」を思わせるデザインになっていて、とてもカッコいい。左肩とあごではさみ、右手で弓を弾くバイオリン特有の演奏スタイルはそのまま再現できるようになっている。

 演奏の仕組みはこうだ。「evio(エヴィオ)」本体の弦にあたる部分に (弦はなく光学センサーになっているのだが) 弓を当て、左右に弾く。こうすると音が奏でられるのだ。弦の根元に当たる部分にはビブラートキーと呼ばれるボタンがあり、演奏中にこれを押すと音にビブラート(震え)の効果を与えられるようになっている。

 演奏は、テレビから流れる音楽と映像に合わせて、弓を弾くと奏でられる。音符マークが画面中央に表示されたタイミングで弓を弾くと、最適な音が鳴り響く。この仕組み自体は、「太鼓の達人」などのいわゆる音ゲーと同じだ。しかしながら、「evio(エヴィオ)」は、これらの先達を超える演奏能力を秘めているのだ。

 「evio(エヴィオ)」の核心に触れる前に、楽曲の説明をしておこう。楽曲は本体に収録されているほか、別売のカートリッジ方式でも供給され、これを手に入れることで、新たな曲の演奏にチャレンジできるようになっている。カートリッジは、すでに10タイトルが発売されており、SMAP、中島みゆき、坂本龍一、山下達郎、椎名林檎、モーニング娘。など著名アーティストの曲がズラリと並び、さらにはクラシック、アニメソング、ヒーリングミュージックとジャンル無用のラインナップになっている。あらゆる年齢層でも楽しめるようにした配慮がうかがえる。

 本体にはトトロの主題歌「さんぽ」や井上陽水の「少年時代」、ビバルディの「四季」など、合計6曲が収録されていて、カートリッジを手に入れなくても遊び始められるようになっている。

本体。玩具ながら大人が持っても恥ずかしさを感じない、スタイリッシュなデザインが施されている 弓。実物と同様に指のはらでつまんで操ることも可能だ 本体の弦の部分には光学センサーが内蔵されていて、弓の動きを読み取るようになっている
ビブラートキー。弓を動かしながら押すと、再生音が震えたようになり、味わいを生み出す 肩とあごで挟む独特の演奏スタイルも再現されているので、まさになりきりプレイが楽しめる



自分の感情をも表現する繊細な演奏が可能!

 さて、そろそろ「evio(エヴィオ)」の核心について語っていこう。「evio(エヴィオ)」は、いわゆる音ゲーに近い仕組みを持っていながらも、それらとは比べ物にならないほどの繊細な演奏が可能なのだ。ビブラートキーを押すと、音を震わすことができることはすでに説明したが、そんなものではない。

 まずひとつは音の長さ、弓を弾く長さを変えることで、長い音、短い音を自在に奏でることができるのだ。弓を刻むように弾くと1音1音短く切ることができ、同じ方向に引き続けると長く伸ばした音になる。さらには音の大きさも自由に調整できる。弓を速く動かすと大きな音が鳴り、遅く動かすと小さな音になる。ビブラート、音の長短、そして音量、これらを自在に操れることで、自分の感情をも反映した音を奏でられるのだ。

 ただし、弦がないので、音階を変えることは不可能。音楽に合わせて自動的に音がセレクトされ、弓を弾くと鳴る、という仕組みだ。だけど、玩具でここまで演奏できるのなら、十分過ぎるといえる。例えるならば、補助輪付きの自転車か。

 「evio(エヴィオ)」の操作方法をマスターできるレッスンもなかなかの出来栄えだが、本編となる演奏は楽しい楽しい。

 「コンクール」は、曲に合わせてどれだけ上手に演奏できたか腕試しをするモード。伴奏にどれだけ合った演奏ができているかが「シンクロ率」として表示される。このジャッジ、ささいなミスをも見逃さない厳しいものになっているが、だからこそ演奏に緊張感と、課題を乗り越えたときの達成感が味わえる。

 「オーケストラ」はガイドの表示はなく、伴奏に耳をしながら、記憶だけで演奏するモード。画面を見る必要はないから、目を閉じて、自分だけの世界に浸りながら演奏を楽しめる。

 「ソロ」はさらに一歩進んで、ガイドも伴奏もないモード。完全に自分だけの独奏が楽しめる。操作になれたら、弓を弾くスピードを調節して、ハイスピードバージョンにする、あるいはスローバーンジョンにする、など曲をアレンジして演奏する、という面白さも味わえる。

「レッスン」モード。ステップアップ方式で演奏のノウハウを一から学べる 楽曲には難易度を示した★マークが添えられている。宇多田ヒカルの「FirstLove」はさすがの難しさ 画面上部に表示される音符マークが中央に来たタイミングで、弓を弾き、音を奏でる
音符が表示されない「オーケーストラ」モード。完奏したときの気分は最高! 曲の演奏順を記憶させて、自分だけのコンサートを開くことも可能だ



 世の中に音ゲーは数あれど、どれもがタイミングを競うゲームだった。それに比べて、どうだろう、この「evio(エヴィオ)」の自由なこと。ゲームとしての面白さを2歩も3歩も広げているのだ。

 筆者はといえば、電源を入れて以来、ズッポリとハマりっぱなし。「コンクール」モードもいいけれど、自由に弾ける「ソロ」バージョンが最高だ。「evio(エヴィオ)」の豊かな表現能力によって、自分が奏でる音に酔い、ひょっとしたら本物のバイオリンもうまく弾けるんじゃないの? なんて舞い上がっている始末だ。

 要望はただひとつ。カートリッジに「洋楽バージョン」を出してください。'60年代ロックマニアとしては、ビートルズの名曲「エリナーリグビー」のバックに流れるストリングスを奏でられたら、感動ものなんだけどなあ。


(C)2003 TOMY
(C)2003 SSD COMPANY LIMITED
■この製品にはXaviX(R)テクノロジーが使われています。
■XaviX(R)は新世代株式会社の登録商標です。

□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□「evio」公式サイト
http://www.tomy.co.jp/evio/


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(2003年8月28日)

[Reported by 元宮秀介]


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