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【連載第115回】 あの、おもちゃを徹底レポート




フランス生まれの組み立て式トイ
ニッコー「メカノ ヘリコプター」、「20モデルセット」

「メカノ 20モデルキット (左)」 「メカノ ヘリコプター (右)」
発売 仏メカノ (ニッコー)
価格 5,300円 価格 8,800円
電源 単3アルカリ電池×2 (別売)
発売日 発売中



 流行に敏感な方ならすでにご存知のことだろう。今回はフランス生まれのトイ「MECCANO (メカノ)」を紹介したい。ちょっと耳慣れない名前に聞こえるかもしれないが、プロフィールを知ると、きっと興味をかきたてられるはずだ。

 「メカノ」が誕生したのは今から135年前の1868年。ビートルズが誕生した町・イギリスのリバプールに暮らしていたフランク・ホーンビィ氏が、子供のためにボルトとナットだけで作ったトイが、そもそものはじまりだった。続く1901年にメカノ社が設立されて以来、フランスを生産拠点とし、ヨーロッパを中心に世界各国で販売されている。

 ……なんて、「メカノ」に造詣が深そうに書いてはみたものの、筆者も今回がはじめて触ることになる。伝統的な玩具でありながら、電動ギミックも用意されているものもあるという点に惹かれて遊んでみることにしたのだ。組み立てる前は、「フランス版のレゴみたいなもの?」なんて軽く考えていたのだけれど、作業をはじめてみてそれが大きな間違いであることを痛感させられた。


オリジナリティあふれる魅力的なデザイン

 前述したように「メカノ」は、フランスのメカノが販売しているトイ。これまで輸入という形で日本国内でも入手可能だったのだが、ニッコーが代理店契約を結び、広く販売されるようになった。

 現在は何種類ものラインナップが販売されており、代表的なものをあげてもかなりの数になる。「レトロトラップ」は、クラシックカーとも発明家が生み出したマシンとも取れる魅力的なデザインの自動車。「バット」は、一見すると小型飛行機なのだが、翼の形状がコウモリに近く、おまけに2輪タイヤまで取り付けられている。

 「ヘリコプター」はその名の通りのアイテムだが、コックピット部分が大きく、いかにもレトロなデザインで味がある。「スティームボード」は、表面に鉄パーツが剥き出しとなったデザインでこれもカッコいい。飛行船の「エアーシップ」は、気球部のデザインは斬新だが、客船は昔風というミクスチャーデザイン。機関車の「レインセット」は、今にも走り出しそうな流線型のスタイルがいい。

 ……さきほどから筆者は「メカノ」のデザインをほめちぎっているが、本当に素晴らしいのだ。アメリカ、そして日本のサブカルチャーから一切の影響を受けておらず、かといってヨーロッパの人にしかわからないようなクセがあるわけもなく、古臭いわけでもない。オリジナリティあふれるデザインが、非常に新鮮に感じられるのだ。

 中から筆者は「ヘリコプター」と、組み立て方しだいで何通りものマシンになる「20モデルセット」を購入した。

パッケージは、オーソドックスなデザイン


パーツ総数452点のキットを作る楽しみ

 箱を開けてみて息をのんだ。パーツの数がやたらと多いのだ。当連載をはじめて約3年。集中してたくさんの種類のトイを遊んできたが、「メカノ」はパーツの多さにおいて間違いなくダントツ。最近の半組み立てタイプのトイに慣れすぎていたためか、あるいは「レゴのようなものでしょ」との思い込みのためか、目の前にある膨大な量のパーツを眺めいるだけで疲れが出てくるようだ。しかし、完成型を一刻も早く見たいので、意を決して組み立てを開始する。

 まずは「ヘリコプター」から着手する。パーツはボルトとナット、そして金属パーツが大部分を占める。説明書は、世界中のユーザーを配慮しているためだろう、一切の言葉が使われておらず、イラストだけで構成されている。しかしイラストが精密で美しく描かれているため、作業に戸惑うことはない。唯一難点といえば、ボルトの長さか。大量に用意されたボルトの中で、そのときの作業に適切なものを選び出すために、毎度計測する必要があるのだ。

 作業工程が31もあり、さらに使用するパーツは452点とあって、作業はなかなか終わらない。ある日の午後をこの組み立てのためにさいたのだが、まるで終わらず。翌日と翌々日に持ち越しながら、フルスロットルのペースで、何とか完成にこぎつける。大変な時間を費やしたが、決して苦痛ではなく、それよりも今は楽しかったなあという思い出だけが残っている。黙々と作業して、一歩、そしてまた一歩と完成に近づいていく手ごたえもさることながら、「今日はここまで。明日はあの辺まで進めよう」と楽しみと目標が日々更新されていく感じがなんとも懐かしく思えたのだ。そうそう、まだまだ子供で時間は無限にあった頃、こんなふうにプラモデル作りに挑んだものだった。

 冒頭で「レゴとは違う」と書いたけれど、確かに異なる。レゴのブロックを組み合わせる行為はいかにも楽しく玩具で遊んでいるという印象だが、「メカノ」はボルトを回す作業が頻繁にあるためか、本格的な工作をしている雰囲気がある。

 工程の最終面で、木製パーツを貼り付けると、グッと雰囲気が出てきた。完成形にいたっては、感激のひと言。金属と木の融合。スタイリッシュでありながら、遊び心も満点という雰囲気。見るたびに発見があるので、何度眺めようとも飽きることはない。

 電気で動くのは、プロペラ部分。電源をオンにするとしばらくはゆっくりと動き、やがて素早く回転するという芸の細かさだ。

英語、フランス語、ドイツ語……と各国語の注意書きが並ぶ。ちなみに日本語はいちばん最後に書かれている キットの全容。金属、プラ、木製含め、452点ある キットの骨子となるのが金属パーツ。ボルトとナットで組み立てる
木製パーツは外観に使用。これが味わいを生み出す 「ヘリコプター」を前と後ろから捉えたショット
コックピット。パイロットのほか、ハンドルや計器も作りこむ
【ムービー】
「ヘリコプター」のプロペラ回転
MPEG、596KB


パーツの組み合わせで20種類のマシンに変形する

 もう1台の「20モデルセット」に取り掛かる。「ヘリコプター」の制作で慣れていたため、またパーツの総数が少ないことから、作業は4時間程度で終わった。この「20モデルセット」、基本はレーシングカーなのだが、パーツの組み合わせによっては、レーシングカーをはじめ、クレーン車、4WD車、スノーモービル、ヘリコプターなど20種類ものマシンに変わるという優れものだ。説明書通りに進めていったら、まず最初は4WDに仕上がった。内蔵した電動パーツで前進と後退が楽しめる。

 時間の都合で、今回は4WD車しか作ることができなかったのだが、組み立ても比較的簡単なので、いつか別のマシンへの改造にチャレンジしてみたい。

「20モデルセット」が完成するまで。電動パーツを核に全体を追加していく

「20モデルセット」。「ヘリコプター」と比べると現代的なデザイン 手に取ると金属の無骨な感触も心地よい
【ムービー】
「20モデルセット」の前進
MPEG、369KB

 2台の「メカノ」を作り上げた今、「これは面白い」と力強く断言したい。作り終えたのちも、造形が優れているため、部屋のインテリアとしても活用できる。説明書に頼らず自分の想像力で新たなモノを作り上げることもできるだろう。もし少しでも興味を抱いたのなら迷わず手にとってほしい、と願う気持ちでいっぱいだ。

□ニッコーのホームページ
http://www.nikko-group.com/JAPAN/
□「メカノ」の紹介ページ
http://www.nikko-group.com/JAPAN/meccano.html
□MECCANOのページ (英文)
http://www.meccano.com/


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(2003年6月19日)

[Reported by 元宮秀介]


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