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【連載第109回】 あの、おもちゃを徹底レポート




動きと音に優れたミュージシャンロボ
バンダイ「リトルジャマー」

バンダイ「リトルジャマー」
発売 バンダイ
価格 20,000円
電源 ACアダプタ(同梱)、単4電池×2(同梱)
発売日 発売中



 今回の「リトルジャマー」は、発売日を心待ちにしていたアイテムだ。音楽に合わせて踊るトイは、それこそ今までに何種類も発売された。しかし、「リトルジャマー」は違う。音楽に合わせて、ミュージシャンたちがあたかもピアノやギターを弾いているかのように動くのだという。しかも音質はかなりいいらしい。音楽好きとしては、非常に興味をそそられるアイテムだ。先日開催された「ROBODEX2003」に展示されていたのを横目で眺めながら(楽しみはとっておこうと、くわしくチェックしなかった)、指折り数えて待っていて、ついに入手することができた。

 これまで本当にたくさんのトイを遊んできたが、「リトルジャマー」のパッケージは過去のどれとも似ていない独特な雰囲気。まるで楽器ケースを思わせるアダルトなテイストなのだ。これはますます興味が沸いてきた!


こだわりと愛が感じられるミュージシャンのフィギュア

 パッケージを開ける前に、背面を見て必要な電池をチェックする。本体用のACアダプタは内蔵。リモコンに使用する単4電池2本も同梱されているとのこと。太っ腹な仕様だが、そうこなくっちゃとも思う。何しろこの「リトルジャマー」は、定価が20,000円という高額商品なのだ。それくらいのサービスは、まあ当然である。

 パッケージを開けて箱の中を覗くと、いろいろなものが所狭しとギッシリ詰め込まれている。ミュージシャンたちは、傷が付かぬようビニール袋で二重に包装されてる。全部で5人いるので、包装を解くのもひと作業だったが、高価なトイを手に入れた、という実感も味わえて、心をくすぐられた。

 同梱されていたアイテムは、以下の通りだ。ミュージシャンロボットが5体(ピアノ/ギター/ベース/サックス/ドラム)。「コントロールボックス」が1台。そして、20曲入りのロムカートリッジにリモコン、そしてACアダプターだ。机の上に並べると、たちまち窮屈になるほどの充実度だ。

 主役たるミュージシャンたちをチェックしてみよう。その外見は……ひと目見て気に入った。全体的にはデフォルメが利いたオシャレなイメージ。だけど、ドレッドヘアやたくわえたヒゲ、細身のサングラスなど細部が非常に凝った作りになっていて、いかにもミュージシャンという雰囲気を放っている。楽器へのこだわりもなかなかのもの。たとえばサックスは、すべてのキーが再現されている。ピアノは黒鍵と白鍵が正しい配列で並べられ、楽譜台の上にはマイクが置かれているという凝りよう。「リトルジャマー」の開発者は、かなりの音楽愛好家とみた。

 さらにミュージシャンたちを眺めていると、新たな発見があった。台座がスピーカーになっているのだ。ギタープレーヤーの台座からはギターの音が、ドラマーの台座からはドラムの音が流れるというわけか。5人のミュージシャンを基本に、コントロールボックスに内蔵された低音補強用スピーカーが加わり、まさに5.1チャンネルのサラウンドサウンドが楽しめるようになっているのだ。

パッケージ。地はダンボールながら、オシャレなあしらい コントローラボックス。低音補強のスピーカーも内蔵 リモコン。ボリュームやテンポの調節、選曲が可能

ギタープレーヤー ベースプレーヤー サックスプレーヤー
ピアノプレーヤー ドラマー

鍵盤の配列やドラムセットの組み合わせなどに、作り手のこだわりが光る



誰もが知っている超有名曲が続々と演奏される

 演奏の前には、ちょっとしたセッティングが必要となる。各ミュージシャンのフィギュアから伸びるケーブルを「コントロールボックス」の背面に差し込んでいくのだ。こうした作業に慣れていない人でも間違えずにできるように、ケーブルと差込口が色分けされ、とてもわかりやすくなっている。すべてのミュージシャンのケーブルを挿し終えると、まだ余っている差込口がある。そこには「GUEST」と書かれていた。今後、別の楽器を演奏するミュージシャンのフィギュアが登場し、増設できるようになるのだろう。何の楽器が加わるのだろうか。あるいはボーカルか。いずれにしろ楽しみだ。

 楽曲はカートリッジ形式で提供されるスタイルだ。ひとつのカートリッジには、MIDI形式の楽曲データが20曲分収録されている。付属のカートリッジの曲目は以下の通りだ。

    1.LOVE
    2.HOW HIGH THE MOON
    3.CARAVAN
    4.STARDUST
    5.IN THE MOOD
    6.TAKE THE “A” TRAIN
    7.MY FAVORITE THINGS
    8.ST.THOMAS
    9.WHEN THE SAINTS GO MARCHIN’ IN
    10.AUTUMN LEAVES
    11.THE GIRL FROM IPANEMA
    12.MOANIN’
    13.TAKE FIVE
    14.SAY IT
    15.CAPTAIN CARIBE
    16.I CAN'T TURN YOU LOOSE
    17.SIR DUKE
    18.LAYLA
    19.IMAGINE
    20.COME TOGETHER
 ジャズを中心に、ミュージカルあり、ロックあり、そしてビートルズ・ナンバーあり、とバラエティに富んだラインナップだ。洋楽と聞くととっつきの悪さを感じる人もいると思うが、誰もが一度は耳にしたことのある超有名曲ばかり。たとえば1曲目の「LOVE」は、サントリーのコーヒー飲料「BOSS」のCMで使用されている曲。7曲目の「MY FAVORITE THINGS」は、JR東海のCM「そうだ京都に行こう」の使用曲。18曲目の「LAYLA」は、エリック・クラプトンの「いとしのレイラ」。19曲目の「IMAGENE」……この曲の説明は不要だろう。

「コントロールボックス」の背面。「AUDIO OUT」からは演奏がモノラルミックスして出力される ケーブルはLANケーブルに似ているが、独自規格のようだ
カートリッジにはMIDI形式の音楽データが収録されている 「コントロールボックス」の前面にあるパネルでも各操作は行なえる



曲と動きがピッタリあって、まるで彼らが演奏しているよう

 演奏をはじめよう。リモコンを使い、曲を選択。さらにスタートボタンを押す。1~2秒の静寂のあと、ドラマーがハイハットを叩き、カウントをはじめる。「チッ、チッ、チッ」。そして各プレーヤーが一斉に音を出し、演奏がはじまった。

 音色が豊かだ。ピアノ、ギター、ベース、サックス、ドラムの音がそれぞれ力強く鳴り響き、演奏がはじまる前とあとでは、仕事場の空気がガラリと変わった。音質は生演奏そのもの、といえるほどのクオリティではない。それでもリアリティが追求されているのが、十分にわかる高音質。暖かみが強調された音質で、心地よい。

 それ以上に目を奪われるのが、ミュージシャンたちの演奏だ。誰もが体いっぱいに演奏を披露するのだ。たとえば、ギタープレーヤー。体を左右に振りながら、左手でコードを変え、右手で弦をつまびく。たとえば、ドラマー。右手はハイハットを、左手でタムを叩き、あたかスネアパッドで叩いているかのように、バスドラムが激しく上下する。

 曲との連動も見事なもの。曲とミュージシャンたちの動作にほんのズレもなく、あたかも彼らが実際に演奏しているかのような錯覚にとらわれる。筆者がもっとも感激したのが、「LAYLA」の演奏だ。イントロは、あの有名なギターソロからはじまる。複雑なメロディに乗せて、ギタープレーヤーが完璧なタイミングで右手を激しく振る。カッコイイ! ギターソロが終わると間髪いれずに、ピアノ、ベース、ドラムが一斉に音を鳴らして、サウンドがグワッ~と広がる。ああ、気持ちいい。

ミュージシャンたちのレイアウトも楽しみのひとつ。置き方によって、音響が変わる。ちなみに同時発音数は最大20音


 リモコンを使うと、曲の選択や音量の調整はもちろん、曲のテンポを変更することができる。テンポを変えると、レコードの回転数を間違えたときのような(古い?)チグハグな演奏になるのかと思いきや、これが意外と楽しめた。テンポをめいっぱい上げても、めいっぱい下げても、不思議と聴ける演奏になるのだ。テンポを上げれば元気のいい曲となり、下げればイージーリスニングのようになごめる曲となる。1曲で3回楽しめる、というわけだ。

 ほかには「ライブテイスト」モードがある。これをオンにすると、演奏の前後や途中に、拍手や歓声が入り、さながらライブハウスで聴いているかのような雰囲気を味わえるようになる。

 演奏モードもたくさん用意されている。好みの曲を好みの順番で演奏する「プログラム演奏」。収録曲の中からスローテンポな曲を自動で選択して演奏する「リラックス演奏」。軽快な曲だけを演奏する「ビート演奏」。そしてロムカートリッジに収録された曲をシャッフルしてエンドレスに演奏する「ランダム演奏」の4種類だ。いずれも簡単な操作で、すぐに切り替えることができる。

 コントロールボックスに内蔵された時計機能を使って、予約した時刻に曲を演奏することも可能だ。休日の朝を彼らの演奏で目覚めるとしたら、それは楽しい一日が過ごせそうだ。ほかにもホームパーティーで演奏をさせてムードを盛り上げたり、ショップに導入して“お店の顔”にしたり、とさまざまな活用が考えられる。この先、あなたも街のどこかで彼らと出会うかもしれない。

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/
□「リトルジャマー」のページ
http://www.roboken.channel.or.jp/lj/set.htm


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(2003年4月24日)

[Reported by 元宮秀介]


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