「両さん自転車R/C」 | |
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発売 | 太陽工業 |
価格 | 5,977円 |
電源 | 本体:単3アルカリ電池×5(別売)、006P-9V電池×1(別売) |
発売日 | 発売中 |
さて、そんな「こち亀」マニアの筆者だからこそ、キャラクターグッズにはうるさいつもりだった。アニメ化されて以来、さまざまなアイテムが登場してはいたが、心をグッと動かされるものには出会えていなかった。
ところが、今回紹介する「両さん自転車R/C」だけは違った。玩具店のディスプレイを目撃した瞬間、「これはすごいものでは」という予感が脳裏をかけめぐった。何しろ、両さんと自転車のディテールへのこだわりが半端じゃないのだ。これがアクションフィギュアだというのならわかる。しかし、この「両さん自転車R/C」は、“自転車のラジコン”だけで商品としての魅力を十分に備えているのに、両さんや自転車への作りこみがアクションフィギュア並に細かく、濃いのだ。20年来のマニアとして、チェックしないではいられない!
自転車から両さんを取り外したところ。サンダルの底に突起があるため、立たせることはできない | 自転車はコミック中で両さんが愛用している警察仕様のもの。前輪の横には警棒が付いている |
■ アクションフィギュア顔負けのディテールの細かさ
本体をパッケージから取り出して、電池をセットしただけで、これが“いい商品”だとわかった。何しろ、自転車の後部にある物入れが、電池ボックスになっているのだ。軽やかな遊び心が感じられる。
初期状態では、両さんは手でハンドルを握り、足をペダルにかけて、ガッチリと自転車に乗っているのだけれど、取り外すことができる。おおっ、アクションフィギュアとしても楽しめるのか! と早とちりをしたが、そうではなかった。サンダルの裏に足を自転車のペダルを固定するためのガイドが設けられているため、両さんを立たせることはできないのだ。しかし、自転車からの着脱が可能という自由さは、楽しい気分にさせてくれる。これがあるとないとでは、気分はまるで違ってくる。
両さん本体のディテールは、これがラジコン用のものだと思えば、十分すぎる出来栄えだ。制服はボタン止めで、ポケットもある。ズボンにはベルトが通っている。腰にはホルスターがあり、銃のグリップが顔をのぞかせている。こうした細部を眺めているだけで、時間がどんどん過ぎていく。
原作の「こち亀」で過去にGIジョーを取り上げた回があり、作者の秋本治氏がその出来栄えを熱弁したことがあるのだが、まさにそのエピソードが、このトイを通じて現実化されたかのような興奮を覚える。自転車も負けてはいない。ハンドルにはベルがあり、前輪には警棒が備え付けられているという芸の細かさだ。うん、文句なし。
コントローラ。2本のスティックで自転車を操作する | 階級章やまくられた袖など、細部にこだわりが光る |
腰周りにはホルスターも。ただし銃を引き抜いて手に持たせることはできない | ガニマタスタイルにサンダルで自転車を漕ぐ |
■ 両さんがペダルを漕いで自転車を動かす!
走らせてみることにしよう。付属のコントローラには、スティックが2個用意されている。左側のスティックを上方に倒せば、前進の命令となる。スピードは2段階の切り替えが可能で、左のスティックを上方に軽く倒せば通常の前進となり、深く倒せばターボスポードとなる。さらに下方に倒すとブレーキが働き、停止させられる。
右側のスティックは、方向転換だ。左側のスティックを上方に倒しながら、右に倒すと右旋回に、左に倒すと左旋回になる。
自転車本体のスイッチをオンにすると、「ヒュィィィイン」と高い音が響き渡った。音の意外な大きさに、ちょっと驚く。数秒たつと音が「グィィィィン」と低く変わり、いかにも中でモーターが駆動しているという感じが伝わってくる。
自転車本体を床に置くときは、前後2本の車輪でバランスよく立つように、細心の注意が必要だ。車輪が床についた瞬間に、握っていた手を離し、すかさずコントローラで前進を命令する。走った!
走行速度は想像以上に速く、眺めているとスカッとした気分になってくる。それ以上に感激させられたのが、両さんと連動したギミックだ。ペダルと足がグルグルと回転し、あたかも両さんがペダルを漕いで自転車を操っているように見えるアクションを実行しているのだ! 「自転車のラジコンって地味じゃないの?」と多くの人が最初は感じるのだろうが、このアクションを見れば、そんな感想はどこかに消し飛んでしまうはずだ。
モーター部。電源を入れると直後に作動し、大きな唸りを上げる | 走行のイメージ。広々とした空間で遊びたい | 自転車のスタンドを立てると、ディスプレイとしても楽しめる |
■ 安定性をキープするためスピードは速く屋外向き
ところが、しばらく遊んでいるうちに、問題があることに気づかされた。自転車の進むスピードが速すぎて、荷物だらけの仕事場では、すぐにテーブルの足や本棚にぶつかってしまい、長い間走らせることができないのだ。おそらくこの速さに設定したのは、2輪走行で安定性を得るためだろう。そうした事情はよくわかるから、特に文句をつける気にはならない。この走行を存分に楽しむためには、バイクのラジコンと同様に、広い広いスペースが必要なのだ。青空の下で、両さんをスイスイと自在に動かせたら、さぞかし気持ちよいだろうなあ。
それでも何とか仕事場の床の上で走らせてみると、目を引かれるのは、やはり両さんの姿だ。目と口を大きく開き、ガニマタ気味でペダルを漕ぐ姿は、コミックスで見ている両さんそのもの。このトイを制作したスタッフも、“両津勘吉”というキャラクタを心から愛していることがよく伝わってくる。
最後にひと言付け加えるのなら、これだけ充実した内容にもかかわらず、価格設定が安くてよい。定価だと5,977円だが、筆者が購入した量販店では4,190円で売られていた。4,000円前後でこれだけ質が高いおもちゃが手に入ると考えると、さらに高い評価を寄せたくなる。
(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・フジテレビ・ASATSU
□太陽工業のホームページ
http://www.taiyo-toy.co.jp/
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(2002年8月29日)
[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]
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