← 前回分  【バックナンバー】

【連載第76回】 あの、おもちゃを徹底レポート




手のひらサイズの新感覚ロボット・トイ
トミー「マイクロペット」

「マイクロペット」
発売 トミー
価格 各1,280円
電源 ボタン電池×2(同梱)
発売日 発売中


ロボット・トイの新たな魅力を感じさせる

 この連載を定期的に読んでいる人なら、あるいはトイの最新情報をチェックしている人なら、一時期の喧騒が嘘のように、ロボット・トイの発売がへっていることにお気づきだろう。事実、そうなのだ。とはいえ、決してロボット・トイが飽きられたわけではない……と筆者は考えている。あくまで“オモチャである”という性格上、低価格のコストの範囲内で収められる技術が、現時点ではこれ以上ないのだろう。もうしばらくすれば、新たな技術を搭載し、これまでにない機能と魅力を備えたロボット・トイが続々と登場してくるだろうと確信している。

 今回紹介する「マイクロペット」は、こうした視点からすれば、決して新しくはない。採用されている技術は、おそらく“これまでのロボット・トイ”とさほど変わりはない。では、何が独自の魅力になっているのかというと、そのサイズ。手のひらに軽々と乗せられる小ささなのだ。それでいて、従来のロボット・トイと比較しても、ひけをとらないコミュニケーション機能を備えているのだから、“新しい商品”として十分な魅力が感じられる。

パッケージ。ペットがかごに入れられているようなイメージだ これは「イヌ」タイプのグレーモデル。名前は“ピィー”


かわいいデザインと豊富なバリエーションが新しい

 「マイクロペット」の新しさは、コンパクトなサイズのほかにも2点が挙げられる。まずひとつ目は、そのデザイン。先駆的存在の「プーチ」や「ピノ」などと比べると、若い女性にも歓迎されそうな愛らしいデザインになっているのだ。ふたつ目は、そのバリエーションの多さ。デザインやカラーリングが異なる商品が、同時に何と12個も発売されたのだ。これならば、どのペットを選ぼうかと品定めが楽しめるし、だからこそ自分が選んだペットへの愛情が沸く。

 1体1,280円という低価格の設定のためコレクションするのも容易だし、友達といっしょに買って遊ぶとか贈り物にするとか、バリエーション豊かな遊び方が可能になっている。筆者も発売日にトイショップに購入しにいったときは、どれにしようかと悩ましくも楽しい時間を過ごすことができたし、価格の安さから気軽な気分で2体を同時に購入することができた。これは確かに今までのロボッット・トイからは得ることができなかった新しい面白さだ。

 「マイクロペット」の12種類には、大きく分けて「イヌ」と「ネコ」と「クマ」をモチーフにした3タイプがある。そしてそれぞれの種類の中で、種類が違うものやカラーが異なるものなどが存在している。例えばイヌならば子犬風のタイプと、ダックスフンド風のタイプがあり、それぞれカラーが3種類と2種類あるといった具合。また、12種類にはそれぞれ「スカイ」や「チョコ」、「ピーチ」などの名前が決められている。

動作するのは両方の耳と、右前足、左前足の4箇所 丸みを帯びた尻尾がグッド。おしりには「マイクロペット」のロゴも見える 歩行は、お腹に設けられた車輪を使って行なわれる

 筆者が好みで選んだ2体は、どちらも「イヌ」タイプ。子犬風の“ピィー”と、ダックフンド風の“クッキー”だ。パッケージから取り出し、手に取ってみると、やはりかわいらしさに目を奪われる。つぶらな瞳と、短い手足、そして先端が丸い尻尾など、誰もが共通して持つ“かわいらしさのツボ”を突いてきたかのような印象がある。

 電池はボタン電池を2個使用するが、すでに内蔵されており、絶縁線を抜くだけで、遊び始めることができる。

 コミュニケーションには、言葉を使う。ユーザーが決められた言葉を話しかけると、「マイクロペット」がそれに対応したリアクションを返すという仕組みだ。音声認識は、言葉を一音一音解読するのではなく、言葉の長さによって行なわれる。例えば、ペットの名前「ピィー」と、歩行を命令する「ゴー」という言葉を続けて言うと、「ピー」を短い音として、「ゴー」を長い音として認識し、それに対して「歩く」という反応を示すのだ。

 遊ぶときは、まず頭にある小さなスイッチを押す。このスイッチは電源を入れて「マイクロペット」の目を覚まさせる機能と、チカチカと点滅してユーザーの言葉を認識したことを表示する役割を兼ね備えている。

 最も基本的といえる命令が「歩行」。“ピィー”など種類別に決められた名前を呼んだあと、頭のランプが光るのを確認したあとで、「ゴー!」と言えばオッケーだ。さっそく試してみた。「ピィー」と呼ぶと、頭のランプがピカリと光り、かわしいらしい声で「ワンッ」と返事をする。続けて「ゴー」というとしばらく歌のようなものを口ずさみ、耳を交互にバタバタと動かしながら、前進をはじめた。歩行は4本の足ではなくて、地面との接着面であるお腹にある車輪を利用して行なう。ただし、歩行と同時に、前足をバタバタと小刻みに振るギミックを披露するので、「なあんだ、車輪かあ……」と興ざめさせられることはない。

 「名前」のあと「グールグル」と言うと、右へ左へと交互に回り込みながら、前進を続ける……と書くと、いかにも簡単そうに思えるかもしれないが、命令を下すときにはちょっとしたコツが必要だ。「マイクロペット」が認識するのは「短い音」と「長い音」のみ。これを十分に理解しないで、例えば名前を「ピィ~~」などと伸ばして発音すると、短い音のはずが、長い音として認識され、期待とはてんで異なるリアクションを実行されてしまうのだ。このコツに気づいてからは、短い音はより短く、長い音はより長く発音し、何とか狙い通りのリアクションを引き出せるようになった。

ユーザーの音声を認識すると、頭上のランプが光って知らせる こちらは同じく「イヌ」タイプのクッキー クッキーは、命令を受け付けたとき、目が点滅する


2体そろえば歌を合唱させることもできる

 「おさんぽしよう」と言ったあと、名前を呼びかけると、「お散歩」がはじまる。速く走ったかと思いきや、今度はゆっくりと歩き、右へ曲がったかと思えば、左に向かったりする。なるほど、この気まま風な歩行は、確かにお散歩をしているかのようだ。

 「ごきげん」のあと「ダンシング」というと、ダンスを披露してくれる。右前足を一回振って、次に左前足を一回振って、これを繰り返していくと、体が左右に振られる。そうか、ダンスはダンスでもツイストというわけか。

 「マイクロペット」は、歌も歌う。「4」「3」「2」「1」とカウントしたあと、「ハイ」と掛け声をかけると、童謡の「10人のインディアン」を口ずさみはじめるのだ。

 また、2匹をそろえ同時に歌を歌うことを命令すると、合唱を聞かせてくれる機能もある。もう1台の「クッキー」を取り出し試してみたが、なかなか大変。2匹を横に並べてると何かの音に反応した片方が動き出し、その音に反応してもう片方も動き出してしまうのだ。収拾がつきません! 結局、2匹が互いに反応しあわないように離れた場所におくことで、合唱を歌わせることに成功した。曲は同じく「10人のインディアン」だが、クッキーの太い声と、ピィーの細い声が重なって、味のある歌を聞かせてくれた。

クッキーが歩いているところ。耳や足の動きがわかるだろうか? 2体をそろえて歌を歌う命令を与えると同時に歌いだす

 従来のロボット・トイのような派手さはない。くり出されるアクションは、その体の小ささから地味とも映る。ただし、だからこそ、つい見守りたくなるようなかわいらしさが伝わってくるし、いかにも「マイクロ」な感じが表現されているのだ。

 常にかまって遊ぶ、というよりも、机の上に置いておき、ホッとひと息つきたいときに遊ぶ。あるいはポケットの中に入れておき、友達に自慢する。そんなライトな付き合い方がちょうど良さそうだ。

□トミーのホームページ
http://www.tomy.co.jp/
□「マイクロペット」のページ
http://www.tomy.co.jp/micro-pets/


 毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部)

→ game-watch@impress.co.jp ←

(2002年8月1日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 impress corporation All rights reserved.