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【連載第69回】 あの、おもちゃを徹底レポート




完全二足歩行ロボットついに登場!? 京商「ガンウォーカー」

「ガンウォーカー」
発売 京商
価格 16,000円
電源 単4アルカリ電池×4、006P(9V)×1
発売日 発売中


電磁石のパワーで、鉄板の上を歩行する

 完全な二足歩行をするロボットを造り出す……。

 今、多くのメーカーがこれを目標に掲げ、開発に邁進している。これまで二足歩行を謳ったロボットがたくさん登場しているが、どれもが擬似的なものであり、完全な二足歩行を実現したトイは少ない。それもそのはず。二足歩行は、そのメカニズムが極めて難しい。片足を上げ、前に出す。たったこれだけの動作でも、軸足には全体重がかかり、体のバランスも大きく移動する。これにしなやかに対応し、体を支えられる機構を造るには、相当の技術力とコストが必要とされる。完全な二足歩行を実現しているソニーの「SDR-4X」やホンダの「ASIMO」の価格が、「高級車1台分」と表現される理由の多くは、そこにあると見ていいだろう。

 ところが、16,000円という価格にして、完全な二足歩行を実現したロボット・ラジコンが発売されたのだ。京商の「ガンウォーカー」だ。競合他社を追い抜いた快挙! と称えたいところだけど、実は留保付き。磁力を利用しているため鉄板の上だけ、という制限があるからだ。片足を上げた瞬間に、軸足の裏にある電磁石がオンになり、体をシッカリとガード。これをくり返すことで、二足歩行を実現している仕組みなのだ。

 評価が分かれるところだろうが、筆者はこのアイデアは嫌いじゃない。何より“発想のひらめき”と“大らかさ”がある。デザインに「スタジオぬえ」の宮武一貴氏を起用し、キャラクタが先行する昨今の中で、オリジナルで勝負をかける! という気概もいい。

パッケージは、CGモデルで描かれた「ガンウォーカー」 本体はほぼ完成品だが、腕や頭部を組み立てる必要がある

塗装済みパーツを組み上げる

 パッケージを空けると、ランナーに組み込まれた無数のパーツが目に飛び込んできた。遊ぶ前には、組み立てが必要なのだ。しかも、この手のトイには珍しく、接着剤を使用する。大人向けのトイであることが伺える。パーツをチェックしていくと、塗装済みであることが判明。顔の中心に位置するカメラ・アイなどは、細かな箇所も塗り分けがなされていて好印象。

 動力部を含んだ本体は、ほぼ完成しているので、それ以外の腕や頭部などを造っていくことになる。頭部の作業にさしかかると、あることに気が付いた。ムギ球があるのだ。これをカメラ・アイのパーツに仕込み、歩行と同時に光らせるわけだ。完成への期待がグッと高まる。

 この「ガンウォーカー」には、架空の自衛隊が採用した戦闘機、という設定があり、ボディにはワイヤーを通すスリングや手すりなどのパーツが付いている。ロボットよりも、“兵器”という言葉が似合う機能性を重視したデザインが、武骨でカッコよく感じられる。銃器へのこだわりもなかなかのもの。「零弐式75ミリ高初速汎用砲」という名のアサルトライフルは、先端には刀剣が付けられるようになっている。他にサブマシンガンが1基付属しており、自由に選択できるようになっている。

 そうこうしているうちに、完成だ。作業に費やした時間は、トータルで約1時間程度。

パーツは、すべて塗装済み。形式番号もマーキングされている アサルトライフル。先端の刀剣は着脱可能 「ガンウォーカー」パイロットのフィギュアも付属している


力強い二足歩行を披露!

 二足歩行をさせてみよう。歩行には、コンバットフィールドと呼ばれる付属の鉄板を使用する。「ガンウォーカー」の足の裏から放たれる磁力によって、鉄板と足がガッチリと固定される、このトイで遊ぶときに、なくてはならないものだ。ただし、パッケージに入っているコンバットテーブルは1枚のみ。計測すると30cm×40cmのサイズで、ロボットを歩行させるには、いかにも小さい。別売という形での拡張は可能だが、遊び勝手を考えて、せめて2枚は入れてほしかった。

完成した「ガンウォーカー」。兵器然としたデザインが印象的だ 操行板、スリング、手すりが各所についているのがわかるだろうか?
腰にあるのが排気口。ここに単4電池を4本収納する 歩行と同時に、カメラアイが赤く点灯し、リアリティを醸し出す


 コントローラーの前進ボタンを押すと、「ガンウォーカー」のカメラアイが点灯し、ノッシノッシと歩き始めた。これまで様々なロボット・トイの歩行を体験してきて、それぞれ興奮させられたが、力強さという点では、この「ガンウォーカー」が最高だ。足に目を向けると、片足が完全に浮き上がっている。おおっ! 完全な二足歩行だ。続いて後退も試してみる。同じように迫力がある。

 「ガンウォーカー」の向きを変えるため、手で持ち上げようとしたらと、磁力の作用でビクとも動かない。そうか、この強力な磁力が、完全な二足歩行を可能にしたわけか、とナットク。

 左右への方向転換の操作は、より楽しめた。右旋回なら左足が前に出たタイミングで、左旋回なら右足が前に出たタイミングで、ボタンを押すと、クルッと90度の旋回を行ない、一度の操作で体の向きを変え終えるのだ。この機敏さが気持ちよくて、何回も何回も旋回を楽しんだ。

 ちなみに、試しとばかりに、通常のテーブルの上も歩かせてみたのだが、一足歩みを進めたところで、転倒……そりゃそうか。

足の裏には、強力な磁力を発する機構が内蔵されている コンバットフィールド。表面にはメカニカルなイラストがプリントされている
専用コントローラ。前後左右への移動は、すべてボタン操作で行なう 二足歩行中、片足が完全に浮いている瞬間

【「ガンウォーカー」ムービー】
WMVムービーその1 (歩くガンウォーカー) 691KB
WMVムービーその2 (前進後退するガンウォーカー) 139KB
WMVムービーその3 (歩行時の足のアップ) 298KB

 コンバットフィールドの狭さを逆手にとって、この中でどれだけ自由に動き回れるかに挑戦してみた。端に到達したら後退! あるいは旋回! というふうに操作していくと、機敏な反応のおかげで、コンバットフィールドから落ちることもなく、長く操作を楽しめた。とはいえ、もっともっとコンバットフィールドがあれば、面白さは増すのになあ……という思いに変わりはない。コントローラーには、現時点では使用しない「オプションスイッチ」があり、今後パーツの追加によって遊び方が拡張される予定もあるようで、どんなものが登場するのだろうかと興味が沸いてくる。

 そしてまた、「ガンウォーカー」の発売で、各社間の“完全二足歩行ロボット”の開発がさらに熱くなることに期待したい。

□京商のホームページ
http://www.kyosho.co.jp/
□製品情報
http://www.kyosho.co.jp/models/car-ep/gun_worker/gun-j.html


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(2002年6月13日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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