海外でPS2版が未曾有の大ヒットを飛ばした「Grand Theft Auto III」。車強盗のチンピラとなってギャングからの依頼を次々とこなしていく、ギャングシミュレーションとでもいうべきデンジャラスな内容だ。アメリカの都市を模した「リバティシティ」を舞台に、“悪いことはしちゃいけない”といった常識を吹き飛ばし、次から次へ犯罪任務をこなしていく、その危険さがたまらないアクションゲームである。 |
■ ギャングたちの犯罪依頼をこなしていくアクションゲーム
「Grand Theft Auto III(以下GTA3)」は架空の都市リバティシティを舞台に、一介の車強盗であるチンピラ主人公が、都市内で勢力争いをするギャングたちの仕事を請け負い、彼らの抗争に巻き込まれながらも自分の人生を掴んでいくバイオレンスアクションゲームである。
ゲームはミッションクリア型で、プレーヤー操る主人公がギャング達から数々の依頼を受け、それらをクリアしていくことでストーリーが進む。たとえば、誰それを迎えに行けと依頼されたら、街中で適当に車を分捕って目的地まで運転し、クリアすると金がもらえて、別のギャングボスからも引き合いが来て次のミッションに結びついていくといった具合だ。
プレイ視点は、基本的にはキャラクタを背後から見たものだが、車を分捕って乗り込むと車視点にシームレスに切り替わる。キャラクタを背後から見た状態から、キーボードで移動、マウスで攻撃という操作なのだが、停止している車に近づいてEnterキーを押すと、いきなり運転手を追い出して自分が乗り込み、そのまま車視点となって走り出してしまえるのだ。
車に乗ったり降りたり、車から駆け出しながら銃を乱射したりといったことが自然に行なえるため、本当に自分の足で街を歩きまわり、車の乗り降りをしているような気分になれる。まるで実在するかのような広い都市の中を走り回り、車を乗り降りして、銀行強盗の手伝いや車両の窃盗といった犯罪ミッションを次々とこなしていく。「Grand Theft Auto3」は、シューティングとカーアクションの両方を含んだ、アクションゲームなのである。
銀行強盗中に女に裏切られて逮捕された主人公。護送中のアクシデントにより、脱走に成功する。一緒に逃げ出した“8-ball”という男に連れられて、売春宿を経営するオーナー、ルイージに仕事をもらいにいく |
ルイージにもらった初仕事は娼婦の送迎。クラブに勤めるミスティという女を病院に迎えにいき、またクラブまで戻らなくてはならない。車に乗って近くの病院まで運転していく |
最初の武器は木製バットだが、ゲームが進むに連れて手榴弾や拳銃、マシンガンといったものも手に入る | 路上で人を殴り殺したぐらいでは警察はこないが、殺した相手によっては仲間が駆けつけてきたりする | 車で人をポンポン跳ね飛ばしていってもお咎めなし。この都市では何が犯罪行為なのか悩む |
■ ギャングたちから受けるミッションの数々
プレーヤーがギャング達から受けるミッション内容は実にバラエティに富んでいる。誰それを迎えに行けといった単純なものから、銀行強盗の手伝い、敵対組織のボスの暗殺、警察の秘密パーティに娼婦を送迎といったものまで、実に60以上にも及ぶのだ。これらのミッションをひとつずつこなしていくことでストーリーが進み、行動範囲が広がっていく。
しかも、リバティシティの中では警察が目の前で見ていない限り犯罪にならない。ここでは通行人を車で跳ね飛ばしたり、バットで叩きのめして殺したぐらいでは、誰も通報などしないのだ。そもそも、依頼を受けにマフィアのボスのところに行く時などは、交差点で停まった車から運転手を引きずりだし、それを運転していってしまうのが常なのである。
しかも、ミッションクリアのためには、どんな手段をとってもかまわない。誰それを消せと言われたら、銃で撃って殺そうが、手榴弾でばらばらに吹き飛ばそうが、死体の上を車で2、3度往復しようがOKなのだ。犯罪者はプレーヤーやその取り巻き以外にも無数にいて、リバティシティは悪で満ちたちょっと不思議な世界だ。
ただし、警察にケンカを売ったり、盗難防止ブザーをならしたまま車を乗り回したりしていると、画面右上にある警察マークが点灯して、お尋ね者になってしまう。お尋ね者マークが点灯している時は、次々と警官やパトカーが駆けつけてプレーヤーを逮捕してしまう。逮捕後には釈放されるが、武器は没収、その時に受けていたミッションは失敗となってしまうのだ。
なお、このお尋ね者マークは、リバティシティ内に点在している警察バッジアイコンをとることで帳消しにできる。犯罪行為とお尋ね者状態とのバランスをとりつつ、ミッションをこなしていかなくてはならない。
ゲームはリバティシティ内のギャング達から仕事を受けて、それらミッションをこなすことで進んでいくが、ミッションを受けているとき以外も、様々な方法で金が稼げる。タクシーを分捕ってにわか運転手になってみたり、救急車で人命救助したりもできる。この辺のユーモラスさや、ムービー部分でのギャング達の軽妙な会話が、ゲームを犯罪一辺倒でダークな雰囲気を柔らげている。
【犯罪ミッションその1 ターゲットを車ごと爆破】 | ||
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ミッションを受けるとムービーと字幕でストーリーが始まる | 今回トニーから頼まれたのは、金を返さない奴らへの見せしめだ | まずは相手の車を盗んで、“8-ball”のガレージに持っていき車に爆弾を仕込む |
何食わぬ顔で駐車場に車を戻して爆弾をセットオン | ターゲットが何も知らずに駐車場に降りてきた! | ターゲットが車にエンジンをかけた途端に大爆発! で、任務完了 |
【犯罪ミッションその2 盗難品を新品に】 | ||
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ゲーム中のテクニックとして、ガレージでの修理がある。ここに車を入れて塗装しなおせば、警察からのお尋ね者マークが消え、盗難車だという証拠もなくなるという。ちなみに手前の死体は通りすがりうっかり轢いてしまった通行人 |
【犯罪ミッションその3 タクシーでアルバイト】 | ||
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信号待ちをしているタクシーから運転手をひきずりだして、自分が運転席に。テンキーの+を押せば、サブミッションモードになって、にわかタクシー運転手に |
【犯罪ミッションその4 救急車で人助け】 | ||
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タクシーと同様に救急車などでも金が稼げる。救急車に乗り込んでサブミッションモードにし、けが人をピックアップ。病院に運べばOKだ |
【犯罪ミッションその5 銀行強盗のお手伝い】 | ||
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今回は銀行強盗のお手伝い。指定の場所に迎えにいくと、スキーマスクをかぶった男達が車に乗りこんだ。そのまま街の中心にある銀行へ。「エンジンかけとけよ!」といって男達が駆け込み、銃声が何発か聞こえた後、すごい勢いでお尋ね者マークが点灯。パトカーが何台も追ってきた。急いでガレージに入れて車を塗り替え、男達を送り返した |
■ 油断のならない都市「リバティシティ」
「GTA3」が単なるアクションゲームに終わらず、広がりと爽快感をもったゲームとなっているのは、リバティシティというゲームの舞台がリアルで生き生きとしているからだ。チャイナタウンやイタリア人街といったNPCたちの生活圏が建物でよく伝わってくるほか、街中のごちゃごちゃした道路や海岸沿いの工場や倉庫が並ぶ人気のないエリアというように、都市の構成がしっかりメリハリついているのがいい。
地下鉄や電車が走り、街中を歩いている住民たちがそれぞれ行動しているのも、都市に活気を与えている。街を歩いていると、目の前で自動車強盗が起こったり、いきなりキレた通行人が銃を乱射したりするゲームが他にあるだろうか? プレイし始めは、通りで拳銃を持った黒スーツの男やバットを持った青年を見ると、札付きのこっちがビクビクしてしまったほどだ。
また、ある時など、タクシーの運転手を引きずりだして車を奪ったつもりだったのに、信号待ちで止まっていたら先ほどの運転手が追っかけてきて、今度は自分が引きずり出されてしまったこともあった。NPCたちのアグレッシブな行動は、都市の広さリアルさとあいまって、ゲームにさらなる臨場感を与えている。
ミッション中にポケベルが鳴って、新たな情報を得ることも | 画面右下のマップ上に青字で記された場所で、ギャング達からの仕事をゲットできる | 警察に追いまわされて撃たれると、ミッション遂行は難しくなる |
雨のリバティシティ。街中を走る車、電車の高架や信号などがまざって、リアリティにあふれた風景を演出している | 最初の島ポートランドのチャイナタウン。道行く人々も中国語もどきらしきものをしゃべっている | 車の爆発が起こって集まってきた野次馬達。爆発に触発されて襲いかかってくる市民もいたりする |
路上の消火栓や信号機はぶつかると壊れる。もちろん車のほうもダメージを受けてしまう | 画面左下の地図では見えない歩道でも車で無理に走行できたり、街中を思いのままに暴走できる | 廃棄工場で死体入りの車をつぶしてもらったりなんてことも |
■ アウトロー気分で暴れ回る爽快さがたまらない
スキンを導入してプレーヤーの操作する主人公の見た目を変更 |
ゲーム視点をシネマティックに変更すれば、リプレイムービーもかっこよく |
・スキンの変更
・自作ラジオチャンネル
・リプレイ機能
まず、プレーヤーキャラクタのスキンを変更できる点については、すでに各国のファンサイトで大量のスキンが出回っている。また、ゲーム中に車に乗るとカーラジオのチャンネルを選べるのだが、ゲームフォルダに自分の手持ちのMP3ファイルを入れることで、自分だけのラジオチャンネルを作成できる。お気に入りの曲を聴きながら任務や金稼ぎに勤しむことができるのだ。そして、リプレイ機能。30秒という短時間ではあるがムービーのようにプレイを録画でき、ほかのプレーヤーがそれを見ることもできるわけだ。
さて、プレイしていて我を忘れてしまうようなこのゲームだが、唯一、セーブポイントとその機会が限られているのは不満だった。ミッション中はセーブが一切できず、セーブポイントも限られている。セーブするのも忘れて夢中でプレイしていたら、突如ゲームがフリーズしてしまい、絶叫することが何度となくあった。マシントラブルなど不安定要素が多いPCならではの措置として、クイックセーブやミッションクリア時のオートセーブはつけてほしかったところだ。ただし、セーブができない不満を除けば、「GTA3」はゲームとしてはとことんお勧めしたくなる作品だ。
このゲームは、ミッションをクリアするために、車の分捕りや路上強盗などの悪事を日常茶飯事のようにさらりとこなしていく。悪いことだろうがなんだろうが、手段を選ばずにミッションをこなし、任務遂行のためには細かなことにこだわらない、そんな部分にプレイしていて爽快さを感じる。
犯罪を題材にしたゲームと聞くと悪いイメージがあるが、「GTA3」には一般人虐殺ゲーム「POSTAL」のような陰湿さは全くなく、ヤングマフィアやアウトローたちが活躍する、乾いたユーモアのある痛快アクション映画といった趣きなのだ。しかも、雑然とした都市の中を、自分の判断で行動してミッションをクリアしていくうちに、本当にリバティシティの中で生きているかのような錯覚さえ覚えてしまう。
主人公のこれからを思いながらストーリーにわくわくし、現実の自分は知らないアウトローな世界を垣間見、実在するかのようなリアルな都市の中で、プレーヤー自身の思考によって暴れまわれる。そんな、ゲーム全編を通して非常にすがすがしいアクションにあふれた作品なのである。
ちなみに、「GTA3」は日本語マニュアルつき英語版(6,980円)が6月にズーから発売される予定だ。英語版マニュアルはかっこいいのだが、やや不親切な部分も多いので、英語が苦手な人は日本語マニュアル付きを待つのもいいだろう。
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■ 今週の気になる直輸入ソフト番外編
今回ご紹介したGTA3は、発売当初品切れ気味だったが、6月の第一週にはLaOXゲーム館に大量入荷されていた。急いでゲットすべし。その他、帆走を忠実にシミュレートした海洋冒険アドベンチャー「Sail Simulator 4(6,000円)」、メジャーリーグの野球チーム経営シムの最新データ版「Baseball Mogul 2003(2,730円)」、3人称視点アクションでの再登場となった「Duke Nukem: Manhattan Project(4,380円~4,800円)」、ローラーコースターが自在に作れる遊園地経営シムの本体と拡張パックのセットもの「RollerCoaster Tycoon Gold Edition(5,500円)」、'30~'40年代の実在兵器が続々登場のアクションシューティング「
Operation Blockade(3,630円~3,800円)」、GTA3と同じ開発元がPS向けに制作したミッションクリア型のドライビングアクションゲーム「The Italian Job(4,850円)」などが並んでいた。また、E3期間中の取材記事でも紹介したが、「Anrchy Online」の最新版クライアントとさまざまな特典がセットになった「Anarchy Online Special Edition(3,250円)」も入荷していた。
こまやかに描かれたグラフィックがヨーロッパ産ゲームらしい箱庭シム。バイキングのひとりとして新たな土地に植民し、さまざまな職業のキャラクタたちを操作して資源を集め、食料を生産しながら自分たちの体制を整え、敵対する勢力と戦ったりしながらゲームを進めていく。
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「Age of Empire II」のゲームエンジンをベースに「Star Wars」をモチーフにしたストラテジーゲーム「Star Wars Galactic BattleGrounds」に拡張パックが登場した。先ごろアメリカで公開された映画「Star Wars: Episode2」にもでてきたクローン戦争がモチーフとなっていて、2つの新勢力や新ユニットなどが追加されている。
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Microsoftから発売された動物園経営シミュレーションゲームに、恐竜バージョンでの拡張パックが発売された。今回の拡張パックでは、恐竜のいる動物園を作成できる。通常の動物と恐竜との共生にチャレンジしたりもでき、まるで映画「ジュラシック・パーク」のような体験ができるかも!? 本体「Zoo Tycoon」の完全日本語版「ズー タイクーン」がすでに発売済みなので、興味を持った人はまずそちらからプレイしてみよう。
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(2001年6月5日)
[Reported by 西尾ゆき]
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