【特別インタビュー】

「HALO (ヘイロー)」
マイクロソフト株式会社プログラムマネージャー
インタビュー

【田寺詩乃(たでらうたの)さん】
プロフィール
 マイクロソフト株式会社 Xbox事業部 制作統括部 プログラムマネージャー

 Xboxのキラーソフトとして米国では短期間で100万本を達成するなど華々しいデビューを飾った「HALO (ヘイロー)」。FPS (一人称視点のアクションシューティング) というジャンルが定着しきっていない日本でも注目を集めている。「HALO」のどういった点が魅力なのか、日本版を担当したマイクロソフト株式会社のXbox事業部 制作統括部プログラムマネージャー、田寺詩乃さんにお話を伺ってみた。(文中敬称略)


■ 「HALO」はこれまでにないスケールの大きなゲーム

--田寺さんは日本版のローカライズを担当していらっしゃいますが、「HALO」を初めてプレイされたのはいつ頃でしょうか。また、その時どのような感想をお持ちでしたか

田寺 2001年の夏に初めて触ったんですが、取っつきはよくてすぐにこれは面白そうだと思い、やりこむくらいハマリました。それまでにもFPSというジャンルでは「DOOM」、「QUAKE」、「ALIENS vs. PREDATOR」とかコンソールでは「魔剣X」、「パーフェクトダーク」などなどひととおりはプレイしてきました。

--そういったこれまでのゲームに比べて「HALO」の魅力はどのように感じましたか

田寺 自由度が高いというのと、プレイして感じるスケールの大きさが違うと思うんです。マップも広いですし、戦車などの乗り物を使って屋内外を移動したり先に進んだりと、こういった大きなスケール感というのは、これまでなかったと思うんです。

--海外においてはゲームスタート直後、なにをしたらいいのかわからなくなってしまうほど自由度の高いゲームがよくありますが、日本においてはそういったゲームは受け入れられにくい傾向があります。そういった意味では「HALO」はいかがですか

田寺 キャンペーンモードでは、主人公の脳内にAIチップとして搭載されているという設定の「コルタナ」というキャラが登場し、彼女が色々とどこに行けばいいのか方向を指示してくれたり、「そっちに行っている場合?」などとつっこんでくれたりするんです。あまり長い時間放置しておくと、こっちに行きなさいといったナビゲーションポイントが表示されるなど、ある程度ヒントが提示されるようになっています。また敵がいる方にいる方へ進んでいくと道が開けていくといったヒントも用意されています。自由度は高いけれど、なにをしたらいいのかわからないといった不親切なことはないと思います。


■ 日本版はどのように制作されていったのか

--日本版の制作にあたって難易度調整など具体的にどういったことが行なわれているんでしょうか

田寺 ひとつは、チェックポイントを通過するときにその時の状況を一時的に記録し、その後に死んだらチェックポイントで復活するんですが、その時体力が復活しているという点です。復活するのはヒットポイントだけで、それ以外のパラメータについては触っていません。

 日本版を制作するときパラメータの調整を色々と考えたんですが、やはりゲームとして完成されている部分が大きいので、改めて調整しようとするとどうしてもバランスがおかしなことになってしまうので、最低限におさめました。

--それは制作元の米Bungieも納得したと言うことですか

田寺 そうですね。それはBungieのスタッフが来日した際に、彼らは日本のユーザーが「HALO」をどのように感じているのかリアルに感じてなかったんです。そこで簡単なモニターを20人くらい用意して実際に遊んでもらい、難しいかとか、操作性はどうかなどアンケートを採ったんです。そこで、Bungieのスタッフとディスカッションを行ない、日本のユーザーの生の声を聞いてもらったんですよ。そうしたら、彼らも日本の一般的なユーザーにとっては難しいんだと言うことを実感したようで、こちらが一生懸命パラメータを調整したいといっている意味をわかってもらえたようでした。

--その他に変更した点はあるんですか

田寺 台詞やテキストの内容なども微妙に変わっていますよ。時間的な制約もあるのが、ほかになんとかフォローできるものはないかということで、結局考えたのがパッケージに簡単な攻略本を同梱することだったんです。レベル1を紹介したその本でゲームの雰囲気をつかんでもらおうと思ったんです。

 パラメーターのチェックとは別に、最初に選択する難易度をビギナーにすると敵の装甲の堅さが変わるんです。比較的簡単に倒れてくれます。それと出現する数と出現ポイントなども変わってきます。そういった意味ではビギナーモードでゲームをスタートさせればそう簡単に死ぬことはないと思います。

--これまで日本ではFPSが根付いていなかったんですが、そういった土壌のところに「HALO」を出すにあたってどういった工夫がされているのでしょう

田寺 FPSが日本に根付いていないという点に関しては、「HALO」にとって逆によかったと思うんです。PCのゲーマーの人にとってはありがちなスタイルなんですが、日本のコンソールユーザーにはあまり馴染みのないスタイルですよね。そういった状況の中で、これだけのスケール感を持った単純に面白いと思えるゲームが登場したのは初めてだと思うんですよ。ストーリーもありますけど、なんとなく触っているだけでも面白さがわかるFPSがコンソールで出てくるのは初めてだと思うので、アプローチが難しいというのではなく、逆にチャンスだと思っています。

--日本語化に関してですが、なぜ字幕スーパーにしなかったんですか

田寺 「HALO」はかなり激しいアクションゲームですので、字幕を読んでいる暇がないんですよ。字幕を読むとゲームにならない。そう言ったこともあって吹き替えにしました。吹き替えにすることで、逆に海外のSF映画の吹き替え版のようなイメージに仕上がってよかったと思います。

--FPSになれていない人のために「HALO」をプレイする上で生き抜くコツをプロから教えて欲しいんですが

田寺 まず最初に、マルチプレイモードとキャンペーンモードはまったく違うものだと言うことですね。だから、キャンペーンモードの“LEGEND”をクリアしたからといって、マルチプレイモードでは急に負けだしたりしちゃうんです。つまりテクニックも違うということですね。だからマルチプレイモードで勝ちたいからといってキャンペーンモードをやりこんでも、あまり意味がなかったりするんです。

 マルチプレイの対戦だと、FPSをやってる人には一般的ですけど「ジャンプしながら撃つとか逃げる」とか、“しゃがみ”を使いこなせるようになるとかなり違うと思います。それと、マップを覚える、武器の特性を知る、敵を狙うときは頭を狙いといったことでしょう。で、対人で基本は“殴る”が基本です。背後から忍び寄って“殴る”、飛び降りながら“殴る”などが基本です。

 ルールによって違うんですが、デスマッチであればこれでOKです。もちろんチーム戦などではチームワークなどが重要になってきますが。

--ゲームになれていないうちは味方同士で打ち合ったりしてしまいますね。逆に味方は撃っても死なないといった設定は作らなかったのですか?

田寺 人数が多いとどうしても仲間を撃つといった状況が発生しやすいですね。取りあえず何か出てきたら撃つということになってしまいますので。でも、味方は撃っても当たらないというのは面白くないと思うんです。敵と遭遇してドキッとしたら、じつは味方だったというのがあるじゃないですか。そこら辺の楽しめる要素が無くなってしまうじゃないですか。もちろん「誤射することもあるんだ」というリアリティの追求というのもありますし。


■ 将来はネットワークに対応する?

--キャンペーンモードとマルチプレイモードとではどちらの比重が重たいですか?

田寺 「HALO」は「シューティングバトル」、「ストーリー」、「マルチプレイ」というのが3本柱となっているんです。そういった意味では同列ですね。

--将来的にマルチプレイモードだけ抜き出してネットワークに対応して楽しめるといったことがないのかなと

田寺 そうですねぇ……ネットワークに対しては現状では特にコメントできませんが、そうなったら楽しいですね。

--操作方法についてですが、コントローラの操作方法に関してモニターテストの段階でやりづらいといった話はなかったのですか

田寺 やはり最初は両方のアナログスティックを操作すると言うことで違和感があったようです。視点と移動をそれぞれのスティックで行ないながら投げたり撃ったりというのは難しかったようです。でも、何時間かやってるうちに感覚をつかんでみなさん問題なくプレイされていました。

--最後に、「HALO」はやはりキラータイトルですし、米国だけでなく欧州でも同時発売となっています。なぜ日本では同時発売にしなかったのですか

田寺 正直に言って、我々なりの戦略です。確かに時間的な余裕もなかったのですが、それだけでなく、はたして発売と同時に出すものかどうか悩みました。何がなんでも本体と同時に本数を揃えなければならないのかと。そういった意味ではもめましたが、この時期にしたというのは、正解だったと思っています。

--今回はどうもありがとうございました。

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HALOは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

□Xboxのホームページ
http://xbox.jp/
□「HALO」のページ
http://xbox.jp/software/halo/
□関連情報
【4月15日】マイクロソフト、Xbox「HALO」プレス向け体験会を開催
話題の16人対戦を体験
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020415/ms.htm
【4月23日】Xboxの期待作「HALO」発売直前、その魅力の一端を紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020423/halo.htm
【4月25日】Xboxゲームレビュー「HALO」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020425/halo.htm

(2002年5月8日)

[Reported by 船津稔]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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