エアブレード | |
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発売 | テンヨー |
価格 | 16,800円 |
電源 | 付属ACアダプター使用 |
発売日 | 発売中 |
数あるラジコンの中でも「飛行もの」は別格、といえるだろう。セスナやヘリコプターのラジコンの価格が高価であることもさることながら、やはり「空を飛ぶ」というギミックは特別だ。非日常的で、科学的で、勇壮で、だからこそ憧れを抱いてしまう。
今回、紹介する「エアブレード」は、そんな「飛行もの」に分類されるラジコン……というか、線でつながっているため正確にはラジコンではないが、コントロールすることが出来るe-Toyだ。こういった製品はこれまでもあったのだが、5万円以上と高価でなかなか手が出なかったものだが、今回紹介するテンヨーの製品は16,700円とぐっと価格を下げている点が魅力の一つだろう。本体はタイヤか円盤を思わせるユニークなデザインだが、ギュンギュンと飛び回るらしい。その様子を目撃した人の話を聞くと「迫力があってスゴイ!」だとか。ネットをチェックしてみるとアメリカでは「Vectron Flying Saucer」というタイトルで販売されており、大ヒットを記録しているとのこと。おおっ面白そうだ! 実は筆者は「飛行もの」のラジコンを操るのはコレがはじめて。ついにこの日が来たか!という喜びと上手く飛ばせるかなという不安が錯綜し、いささか興奮気味にパッケージを開けてみた。
エアブレード本体。タイヤでもなく、UFOでもなく、どこかレトロなデザイン | コントローラ。両スティックを押すと、プロペラを急停止することができる |
パッケージの中には「エアブレード本体」と「ドッキングセンター」、そして「コントローラ」と「ACアダプタ」が収められている。
まずは「エアブレード本体」からチェックしてみよう。エアブレードを特徴付けている黒いリングは、発泡スチロール製。触るととても軽い。軽量化と、おそらくは人体に接触したときの安全性を考慮した選択なのだろう。またこの黒いリングの側面にはLEDランプが付いていて、飛行中に文字やメッセージを表示することができる。そして本体を浮上させ、左右上下に移動させるプロペラが3基。中心にはコントローラからの指示を受信する「赤外線送信部」がある。この「送信部」については、後ほどくわしく紹介しよう。
あらためて全体を眺めてみると、その華奢な外見から「本当に飛ぶの?」とか「どんな飛び方をするの?」など、様々な疑問が沸いてくる。「コントローラ」は、ゲーム機のそれを思わせるなじみやすいデザインだ。2基あるスティックのうち、右は上昇下降を司るパワーコントロールレバー。左は前後左右の移動に使う方向コントロールレバーとなる。その他、「ターボ」スイッチやモード切替ボタンなどがある。
「ドッキングベース」は、筆者ははじめ、ここにエアブレードを設置し上昇させる、いわばベース的な役割を果たすのだろうと思っていたのだが、全然違った。このエアブレード、飛行するラジコンではあるが、有線なのだ。コントローラから伸びるコードは、電源と操作命令の伝達役を担っているが、さらに本体を遠くへ飛ばしすぎない手綱の役割もある。このコードをガッチリと押さえつけるのが、「ドッキングベース」なのだ。ドッキングベースの底面にコードを収納し、上面に伸ばす長さを変えることで、エアブレードの飛距離をコントロールするというわけだ。コードには「ここで60センチ」を示すタグがついており、初心者はこれを頼りに適切な飛距離を調整できるようになっている。
ドッキングベース。底面にコードを通しガードするという仕掛けだ | 中は空洞になっていて、この口から水を注ぎ、重量を増やして使用する |
さあ、飛ばしてみよう。モードはAUTO。コードは60センチに調整。共に初心者向けの仕様だ。コントローラのパワーをオンにし、スタートボタンを押す。すると3基のプロペラが回りだし、続いて本体が激しく回転をはじめる。同時に巻きおこる風。机の上の書類は飛び散り、顔や手に強い風圧を感じる。ギュルルルルと唸る動作音もスゴイ。「ここまでしないと飛ばないのか」という驚きと「確かにこれは飛ぶぞ!」という直感が脳裏をかすめる。数秒後……エアブレードが飛び上がった! フワリと浮かび上がり、間髪いれずに力強く一気に上昇する。飛んだっ! 見慣れた部屋の中で、重力から解き放たれて何かが飛ぶ光景は、衝撃的だ。体が瞬時に熱くなるほどの興奮をおぼえる。しかもパッケージを開けてからホンに数分後に飛行させられるとは!
AUTOモードでは上昇下降の操作はできず、前後左右の操作のみ。ただし、本体の飛行時のバランスが悪く、左右へフラフラと移動し、しばらくすると落下してしまう。これをプレーヤーの腕前によってコントロールするのだなと思い直し、試してみるとなかなか難しい。左へ動かそうとしたら左下に一気に落下。はたまた右に移動させようとすると、今度は室内の観葉植物や机に激突してしまい、墜落。マニュアルを見ると「約20分から2時間の練習が必要」と書いてある。なるほど、腕を磨く楽しさもあるというわけか。
3基のプロペラ。想像以上に急激な回転をし、浮力を生み出す | ドッキングベースの底面にあるガイド。ここにコードを通し、固定する |
今度はマニュアルモードにチャレンジしてみることにした。このモードの楽しみは何より離陸から自分の操作で行なえることにある。それとターボの威力がいかほどなのか、非常に気になる。
まずは離陸だ。スタートボタンを押し、プロペラと本体を回転させる。数秒が過ぎると、本体に「VECTRON」という文字が浮かび上がってくる。これが浮上の合図だ。パワーコントロールレバーを前方に倒すと、本体がフワッと宙に浮かぶ。AUTOモードで前後左右のコントロールを体験済みだけど、この上昇をさせる行為には特別の感激がある。自分の手で飛ばした、という実感が沸いてくるのだ。
さらにコードを伸ばし飛距離を上げてから再挑戦。フワリと飛び上がったエアブレードは、筆者の目の高さまで一気に上昇。この迫力! 次はそのまま前後左右移動をさせてみる。これまでの経験から方向コントロールレバーは強く倒さず、少しずつ動かした方がよいとコツを会得していたので、その通りにする。その結果、滞空時間が伸びはじめた。離陸後3秒後に不時着していた本体が、7秒、10秒、20秒と今までよりも少しずつ長めに飛ぶようになってきた。テクニックを磨き、滞空時間を伸びすことが、エアブレードの面白さのひとつなのだな、と納得。
続いてターボを試してみた。本体が飛行中にターボボタンを押すと、プロペラの回転が速度を増した。とはいえ移動速度が上がるのではなく、強い回転ゆえ、飛行の安定性が向上するという印象だ。ターボを使って、それまで以上に長い飛行時間をキープし、飛行を楽しませてもらった。
【ムービー】 | |
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m01.wmv (約418KB/13秒/WMV) |
m02.wmv (約326KB/10秒/WMV) |
さて、ここら辺でエアブレードの最大の秘密に触れることにしよう。考えてみれば非常に不思議なことだ。レーシングカーや飛行機など他のラジコンと違い、エアーブレードは本体自体が回転をするため、コントロール時にはどこが正面なのかわからなくなるはず。車なら車体の先端が正面となり、そこから右へ左へと操作すればよい。だが、正面そのものが不明なエアブレードはどのような仕掛けのもとで操作が可能なのだろう。
答えは、エアブレード本体の中心に備え付けられた赤外線送信部にある。ごく普通ならコントローラから送信された命令を受け付ける「受信部」があるのだろうが、エアブレードの場合は本体が赤外線を送信しているのだ。これをコントローラの先端にある受信部が感知し、本体の位置を確認。左右上下へのコントロールを可能にしている。そう、赤外線送信部は、いわばエアブレードの目なのだった。よく出来ている。
本体中央にある赤外線送信部。灯台のように回転しながら全方位に赤外線を発信する | コントローラの受信部。回転速度と赤外線受信のタイミングから本体の位置を割り出す |
最後にエアブレードには、本体のリング側面にあるLEDランプを使い、最大30文字以内のメッセージを表示する機能がある。真っ黒でそして急回転するリングに、赤い文字が浮かび上がる様子がとてもカッコいい。筆者もオリジナルのメッセージを入力してみた。出来のほどはいかがだろうか? ぜひムービーで確認してほしい。
メッセージを表示するLEDランプ。使用できる文字は英字、数字、各種記号 | 側面にメッセージを表示 m03.wmv (約264KB/8秒/WMV) |
□テンヨーのホームページ
http://www.tenyo.co.jp/
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(2002年1月31日)
[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]
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